22/04/03(日)22:01:13 月が替... のスレッド詳細
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22/04/03(日)22:01:13 No.913211181
月が替わり4月1日早朝 美浦寮寮長のヒシアマゾンは早朝の自主トレーニングを済ませて浴場へと向かう途中、掃除当番がいるはずの庭先へと進路を変えた 寮生の自主性を育むべく、各区画ごとに週一ペースの割合で誰かしらが掃除を担当する様になっているのだが、今朝はとある問題児が当番だったので確認が必要と判断したのである 「さて……やってるのかね」 ヒシアマゾンはそう呟きながら庭先に向かう角を曲がると 「あ、ヒシアマおはよ」 「おはようございまーす」 当の問題児とそのルームメイトから朝の挨拶が飛んできた 「ああ、おはよう」 挨拶を返したのちに 「珍しい事もあるもんだねウインディ。アンタが真面目に掃除してるなんて」 と懸念の対象だった問題児・シンコウウインディに向けて素直な感想を漏らした 「ウインディちゃんだってたまには真面目になるのだ。もう終わったから朝食食べに行くねー」
1 22/04/03(日)22:01:25 No.913211282
「あ、おい」 言うなりその場を去ってしまうシンコウウインディの背に声を掛けるも、彼女は振り返らずに姿を消した 「終わったって……本当かい？」 「え、はい」 未だ残っていたもう一人のウマ娘に確認を取るも、戻ってきたのは是の返答 「ふーん……」 珍しい事もあるものだ、と思う傍らでもう一つヒシアマゾンの脳裏に新たな疑問点が浮上した (今日って絶好のタイミングであの子が嘘をつかないなんてねえ？) エイプリルフール、嘘をついても許される日 てっきりさっきの掃除完了の言葉がその嘘かと思ったのだけれども 嘘もつかずに真面目に掃除していたウインディの姿がどうしてもすんなり頭の中に入っていかず、ヒシアマゾンはその場で腕を組んで頭をひねった
2 22/04/03(日)22:01:45 No.913211465
朝から一仕事をこなし終え、朝食を食しているシンコウウインディのテーブルの脇を通る二つの人影 その片方の顔を見てシンコウウインディは声を掛けた 「あ、タイキ。おはようなのだ」 「ハーイ、グッモーニンウインディさん」 通りかかったのは同じく美浦寮生のタイキシャトル。シンコウウインディの後輩にあたるウマ娘である 「丁度良かった。タイキ見かけたら伝言しておいてって食堂のおばちゃんに言われてたのだ」 「オウ、なんデスカ？」 「試しで作った肉料理の味見を頼みたいって。おばちゃんに聞いてみるといいのだ」 「ワオ！朝からハッピーになりそうデース。サンキュー、ウインディさん」 そう聞いてタイキシャトルは、真っ先に食事の受付カウンターへと駆けていった 「ふふふ、おはようウインディ。アナタもワルねえ」 タイキシャトルと並んで歩いていたもう一人のウマ娘、シーキングザパールが挨拶を交えてシンコウウインディの事をそう評してきた
3 22/04/03(日)22:01:56 No.913211558
「おはよパール。ワル？」 「ふっ、でも今日なら許されるし良いんじゃないかしら」 「んー……ま、いいのだ。ごちそーさま！じゃあねパール！」 シンコウウインディはテーブルの上の朝食を平らげた後、空の食器を持ってその場を立ち去った 「今日このタイミングで新しいメニューのテストなんてねぇ……うふふ」 (ウインディと食堂のおばちゃんも人が悪いわ） と考えながら自分も朝食を受け取りに行くべくタイキシャトルの後を追う。と、そこで 「見てくだサイ！パール！」 タイキシャトルがお盆の上にたっぷりの肉盛り料理を乗せて見せにきた。シーキングザパールはそれを目にして 「え、ええー？」 と混乱に陥るのだった
4 22/04/03(日)22:02:21 No.913211758
トレーニング設備のある練習ルームでウォーミングアップをしている二人のウマ娘がいた 中等部に所属するマヤノトップガンとビコーペガサスである 「マヤノー。今日はウインディ先輩に気を付けるんだぞー」 「わかってるよー」 ルームランナー上を並んで駆けながら会話を交わす 「今日は絶対なんか仕掛けてくるからなー」 「そうだねー」 「それにしてもなんでマヤノはいつもウインディ先輩の噓に引っかかるんだー？普通見てわかるだろー」 「だってー。あんなあからさまに変な文言が嘘だなんてわかんないよー」 彼女たちは今までにシンコウウインディにちょっかいを掛けられていて、少なからずいたずらの餌食になっていた
5 22/04/03(日)22:02:37 No.913211887
今日この日にシンコウウインディが嘘を付きに来ると警戒するのは不思議な事ではない ないのだが 「おー、おはよービコーにマヤノ」 「あ、おはようウインディ先輩」 「おはよーございまーすー」 「んじゃ頑張ってね」 「「………………ええー？」」 挨拶を交わすだけでスルーされる結果に終わったのは想定外であった