ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/04/03(日)19:56:23 No.913141048
「トレーナー!お花見しよっ!」 突然我が愛バであり担当のファインモーションがそう言ったのは、暖かな日の差す春の日だった。 「お花見か.....そういやもうそんな季節だな。」 気づけばもう4月に入っている。きっと近所の公園の桜並木も満開だろう 「ふっふっふ〜そうでしょ?じゃあ今週の日曜11:30に〇〇駅前の公園に集合!遅刻は認めないよ!」 「ああ、今度の日曜に〇〇駅...え?遠くないか?」 〇〇駅といえばトレセン近くの駅から更に二駅は離れた場所にある都市部だ。そんな所に行かなくても近所の公園で済ませればいい
1 22/04/03(日)19:58:17 No.913142043
「なにぃ?貴様~私の命令が聞けぬと申すか~」 そう言ってファインがむくれてそっぽを向く。こうなったらこちらには逆らう手段は無い、大人しく従うのがベストだ。 「はいはい、〇〇駅前の公園に11:30ですね。了解致しました殿下」 「む~。殿下はやめてって言ってるでしょー」 そう言いながらも軽い足取りで部屋から出ていくファインを見守っていると、彼女のお付きのSP隊長が現れて頭を下げた
2 22/04/03(日)19:58:28 No.913142127
「申し訳ありませんトレーナー殿...毎度のことながら殿下のワガママに付き合って頂いて...」 「いえいえ別に迷惑だなんて思ってませんよ。このワガママも彼女が俺の事信頼してくれてるって事ですし。それに...」 「それに?」 SP隊長が首を傾げる 「こういうやり取りがあると...ファインが本当に帰ってきたんだなって実感できるんです」 一度あったファインとの別れ。それは時間にしてみれば数ヶ月にも満たない短い間だったが、その間自分はまるで抜け殻のようだった。だからこそ帰ってきたあの時はすごく嬉しかったし、それから戻ってきた日常が何よりも愛しいのだ。
3 22/04/03(日)19:58:46 No.913142272
数日後の日曜日、一応お花見に必要なシートや飲み物、それに軽い食事としておにぎりを用意して駅前にいると、見慣れた普段着のファインと、珍しく私服なSP隊長が現れた 「うむ、時間には遅れなかったな。褒めてつかわす」 「それはどうも」 そう言い合いながらファインに手を引かれると、向かった先には辺り一面の桜と──────── 「いや~ずっと楽しみにしてたんだよね!どれから回ろうかな~?」 大量のラーメンの屋台があった
4 22/04/03(日)20:00:07 No.913142945
「全国ラーメンフェスタ...?」 目の前の看板にはそう書いてあった 「そう!南は鹿児島、北は北海道から全国のラーメンが集う一大イベント!ちょうど桜の開花シーズンと合わさるからお花見もできて一石二鳥!いいでしょ?」 「ああ...うん...」 ファインが楽しそうならいいのだが、せっかく作ったおにぎりが無駄になりそうなのが残念だった それからはファインと共に色んな屋台を見て回り、途中からはお盆を持ったSP隊長とも一緒に様々なラーメンを買ってから予め敷いておいたシートに座り、全国から集まってきた様々なラーメンに舌鼓を打った
5 22/04/03(日)20:00:35 No.913143211
「うーん!このスープもすごくいい!でもこれならこっちの麺の方が...ねえトレーナーそっちの麺ちょうだーい?」 そんなこんなで買ったラーメンを全て食べ終わる頃には、もうお腹がいっぱいになっていた 「ふー満腹満腹!ご馳走様でした!」 「ご...ご馳走様でした...」 流石ウマ娘、俺の倍以上食べてもピンピンしている。こちらは晩御飯も入りそうにないのに 「うーんいっぱい食べたらお散歩したくなっちゃった!トレーナー!一緒にお散歩しよ?」 「えー...俺もう動けないんだけど」 「いいから!一緒に行こう!」 そう言って無理やり起こされると、右手をギューッと握られて半ば強引に散歩に連れて行かれるのだった
6 22/04/03(日)20:01:08 No.913143499
「いいのか?SP隊長連れてこなくて」 「いいの!誰かが片付けしないといけないんだし、それに...」 「それに?」 「...キミと一緒にいたかったから...なーんてね」 ああ、まったく彼女は卑怯だ。 こんなに言われて嬉しくない男はいないのに
7 22/04/03(日)20:01:47 No.913143931
そうして桜並木を2人で歩く。春の日に照らされてピンク色に輝く桜の花はとても綺麗で、こんな名所があるなんて知らなかった。 「綺麗でしょ?ここの桜。前にネットでラーメンのイベント調べてたら今日のイベントがあってね、でもその時は帰国の手続きやらで忙しくて結局来られなかったの。だから今日来れてすっごく嬉しかったんだ」 「ラーメンいっぱい食べられたから?」 「それもあるけどね?」
8 22/04/03(日)20:02:00 No.913144048
そう言ってファインが手を離して俺の前に出ると 「キミとここを一緒に歩きたかったんだ♪」 そう言った瞬間、風がザアと吹いて花びらが大量に散り、その中にいるファインは、まるで消え去ってしまいそうなくらい美しかった
9 22/04/03(日)20:02:51 No.913144526
「ねえ、何かあったの?」 「別に?」 散歩の帰り道、ファインは俺にそう尋ねる。原因は明らかだ、さっきの感覚がまだ頭に残っていて、それで少しナイーブな気持ちになっているんだ 「ふーん...まあいいけどね」 そう言って納得してくれたファインは、しばらく歩いているとふと鼻歌を歌い始めた。それが何の曲かはすぐに分かった。自分とファインが挑んだ、ウマ娘にとって一生に一度のクラシック期の3つのレース、そのウイニングライブの曲、 「きゅんとぎゅっと鼓動がこんなに苦しいねぇ~♪」 彩fantasiaだ 桜の花びらが散っているこのシチュエーションにはピッタリの曲で、きっとファインもそれで歌いたくなったのだろう
10 22/04/03(日)20:03:21 No.913144799
「いいよね このまま世界中敵に回っても~♪」 個人的にライブが1番好きなのはこの曲だ。三冠路線もいいが、華やかさのあるトリプルティアラの方が自分は好みだった。そして何より、担当と駆け抜けた1年だったというのがやはり印象深い。そうしてあの日々を思い出していると 「このまま離さない 譲れない 逃がさない 渡さな~い♪」 ふと、その歌詞が耳に入って、思わず繋いだ手を強く握ってしまった ハッと思ってファインを見るが、そのまま歌っているのを見るにきっと気がついていないだろう。ふうと胸を撫で下ろした
11 22/04/03(日)20:03:41 No.913144981
もうすぐ昼食を食べた広場に着く。この時間もそろそろ終わりかと思っていると 「ねえ、さっき私の手ギュッて握ったよね?」 しまった。どうやらバレていたみたいだ 「しかも離さないの所で握ってたよね~?もしかしてトレーナーって私の事誰にも渡したくないなんて思ってる~?」 そう訊ねてくるファインに、もう遠慮しなくてもいいかと自分の中の何かが切れた 「当たり前だろ!!」 瞬間、周りの人が一斉にこちらを見るが構わない
12 22/04/03(日)20:04:20 No.913145379
「あんな別れをして!もう会えないと思って!でもまた会えてこうして今は一緒にいる!でもまた何かあって別れないといけなくなるかもしれないと思うと...それが嫌なんだよ!ずっと俺といて欲しいんだ!!」 そう言い切ると呆けているファインの手を引いて歩き出す。しかし、しばらく歩いた所で自分の言った事を反芻していると..... 「.....っっっっ!!??!!!!?!!?」 自分がとんでもない事を、それも周りに人がいるにも関わらず大声で言ったことに気がつく。ふと周りを見渡すと道行く人からは暖かい目で見られ、中にはヒューヒューと囃し立てる人もいた。途端に顔が真っ赤になると同時にファインの方を向いて何か言おうとすると、
13 22/04/03(日)20:04:45 No.913145642
「....................私もだよ」 真っ赤な顔で、俯いたままで、消え去りそうな声で、でも自分の耳には確かにその言葉は届いたのだった
14 22/04/03(日)20:05:19 No.913146078
結局2人して顔を真っ赤にしながら隊長の元に戻って風邪かと心配されたり、帰りのリムジンでは2人とも無言だったり、それでも手は離さなかったりしていると、学園が見えてきた。 荷物を持ってリムジンから降りようとすると、ふと食べられなかったおにぎりを思い出す 「ファ、ファイン!」 名前を呼ばれたファインが、ビクッと大きく飛び上がってからこちらを向く 「こ、これ!朝作ってたお弁当のおにぎり!あの!花見で食べようと思ったけど食べられなかったから!夜食にでも!」 そうして強引に押し付けると、後はもう急いで車から出てトレーナー寮へ走って行った。
15 22/04/03(日)20:06:16 No.913146706
ああ...昼間は凄かったな...まさかトレーナーにあんなに言われるなんて... 「うう...今思い出しても顔が熱くなるよ...」 でも、すごく嬉しくて幸せだった すると (グゥ~...) 「ハア...お腹空いたな...結局寮に戻った後も部屋から出られなくて晩御飯食べられなかったし...あっ!そういえば!」 トレーナーが渡してきたバッグにはおにぎりが4つ、どれも他の荷物に押し潰されて形が変わってしまっていたが 「もう...言ってくれたらその分お腹空けておいたのに...」 そう言いながらもラップを剥がしてからそれを食べる
16 22/04/03(日)20:06:49 [終わり] No.913147076
「...美味しい」 その時食べたおにぎりは、昼間食べたどの料理よりも、ずっとずっと美味しく感じた
17 22/04/03(日)20:07:22 [s] No.913147431
たまにはトレーナーが押せ押せのファイトレが見たいなって思って書きました
18 22/04/03(日)20:08:21 No.913148044
そなたさぁ…式はいつがいいのかね?
19 22/04/03(日)20:08:50 No.913148350
良いです 本当に良いです
20 22/04/03(日)20:09:35 No.913148815
抱けー!抱けー!!
21 22/04/03(日)20:11:16 No.913149720
いいよね
22 22/04/03(日)20:11:28 No.913149851
若いなぁいいことです
23 22/04/03(日)20:11:59 No.913150265
>いいよね いいよね
24 22/04/03(日)20:12:16 No.913150465
>>いいよね >いいよね いいよね
25 22/04/03(日)20:12:36 No.913150661
>>>いいよね >>いいよね >いいよね このまま
26 22/04/03(日)20:14:58 No.913152223
>>>>いいよね >>>いいよね >>いいよね >このまま 離さない