虹裏img歴史資料館

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22/03/25(金)02:30:25 天皇賞... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1648143025953.png 22/03/25(金)02:30:25 No.909879721

天皇賞で勝ったあの日が始まりだった 「うぅ~スマホ忘れてくるなんて……ホールまだ開いてるかなぁ?」 身内で盛大に祝って、祝い疲れて、静まり返る夜の道 急いで薄明りの中を駆けていくその最中に 「……あれ、ブライトさん。こんな時間に?」 見覚えのある影が暗闇へ消えていったのを見てからだ

1 22/03/25(金)02:30:42 No.909879754

さっきまで何に焦っていたのかをさっぱり忘れ、その寂しそうな背中を追ってしまう 姿を見失って、それでもなんだか気になってあっちこっちを探し回る 目が夜闇に慣れて、ひゅうと風が吹いて、体が思わず縮こまったときに 木の洞の前でへたり込む彼女を見つけた 「ブライトさん……?」 「……スペさん」 かさりと芝を踏む音に振り向いた顔をみてぎょっとする 表情はいつものようにぽやっとしていた なのに目尻からは大粒の涙だけをぼろぼろと零していた

2 22/03/25(金)02:30:54 No.909879796

「だ、大丈夫ですか!?」 「なんともありませんわよ~」 「い、いやいや!すっごい泣いてますよ!?」 「……あら」 頬を拭った手を見て、ようやく自分の現状を理解したようで 心配をかけたのを恥じるように苦笑しているのがまた不気味だった ハンカチがべたべたになっても止まらない涙はそのままに 彼女もまた、ぽつりぽつりと話だした 「この木の洞に、悩みを叫ぶと良いと聞いたのです」

3 22/03/25(金)02:31:12 No.909879832

「悩み……ですか?」 「それなのにわたくし、上手く声が出せなくって」 日向ぼっこが人の形をしたような彼女にも、当然悩みがあるのは分かる ただその悩みは、もしかしなくても 「私……」 「……スペさんが悪いはずありませんわ~」 相も変わらずぼろぼろと、大粒の涙をこぼし続ける彼女がにっこりと微笑んだ そしてそのままそっと手を差し伸べたかと思うと、頬をマッサージされた ぐちゃぐちゃの心を受け止めきれないまま、むにむにとなされるがまま

4 22/03/25(金)02:31:27 No.909879860

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5 22/03/25(金)02:31:39 No.909879886

「悪いのは、弱かった、勝てなかった、わたくし」 「……っ」 「あなたがそんな顔をしていては、他の方にも示しがつかないでしょう?」 どうして どうして、あなたは泣いたまま笑えるのだろう 見てるだけで伝わりそうなほど張り裂けた心を仕舞いながら どうして一緒に張り裂けそうな自分の心を解してくれるのだろう 「わ……わたしっ……ごめっ、ごめんって、いっちゃ、だめっ、なのに」 「今だけは、一緒に泣いてくれますか」 「っ!……うっ、ううっ、ああ……」

6 22/03/25(金)02:31:54 No.909879922

こんなに弱い私なのに こんなにダメダメな私なのに わんわん泣き叫ぶ私を、彼女は静かに支えていてくれた 「……っ、すん……んぐ……」 「落ち着きましたか?」 「ご、ごめんなさいっ!本当に、私こんな……」 勝者が敗者を想って泣くことがどんなに失礼なことかは身に染みたと思っていた 彼女が家名に掛ける想いも知っていた、その上で それなのに泣きながら支えてくれた彼女はあっけらかんとしたものだ 「一緒に悲しんでくれて嬉しかったですわ~……一人では、上手く泣くこともできなくて」 「うぅっ……」

7 22/03/25(金)02:32:12 No.909879963

家の為に捧げたかった栄誉をもぎとった張本人を相手に、こうまで言える懐の深さには感服する他ない どうにか償いたいと思ってしまう、が方法は浮かばない そんな居心地の悪さを感じていたら 「今度、お茶会にいらしませんか?」 「へ、お茶会?」 「はい~是非~」 表情通り何も考えていないのか、それとも全てお見通しでしらを切っているのか あまりにも都合の良い言葉に完全に固まってしまった

8 22/03/25(金)02:32:52 No.909880050

「お茶菓子も沢山持ってきますので~」 「行きます!」 頭より先に胃袋が返事をしたのに気が付いて思わず吹き出してしまう 彼女も一緒にころころと笑って、しばらく二人で笑い合った お茶会の始めは肩を誰かに押さえつけられている感覚が抜けなかった そんな感覚は紅茶と、焼き立てのクッキーの香りに混ざっていつの間にか消えていた 作法に絡めとられカップを落としかけてからは、気を使いすぎる方が良くないと教えてもらった 「今度一緒にお買い物でも行きませんか?」 それからは彼女との交友が増えた 他の皆とはあまり行かない高級な店を沢山知った 並ぶもの全部がキラキラ眩しくて、手は出ないけど見ているだけで楽しかった

9 22/03/25(金)02:33:08 No.909880082

自然と併走する機会も増えた 長めの距離を走るコツを教えてもらったり、スパートでの踏み込み方を見せ合ったりした 「これ全部メジロの……」 「代々重ねてきた、栄光ですわ」 彼女を知れば知るほど、あの日の涙が重たくなる でも、その重みは枷ではなく決意になった この伝統をを打ち倒すことの意味を少しずつ理解した

10 <a href="mailto:おしまい">22/03/25(金)02:33:24</a> [おしまい] No.909880117

「……次も」 「はい~?」 「次も、絶対負けません……!」 「……望むところですわ」 伝統ある家名を背負う彼女と並び立てるウマ娘になりたい 日本一のウマ娘になる夢と、その願いはぴったりと重なるようにも思えた

11 22/03/25(金)02:33:54 No.909880201

すばらしいですわ~

12 22/03/25(金)02:39:44 No.909880924

新たな憧れの形を見つけるスペちゃんもいいよね

13 22/03/25(金)02:39:49 No.909880940

嘘でしょ…

14 22/03/25(金)02:46:31 No.909881701

>嘘でしょ… 「……はぁ」 「大丈夫?調子、悪そうだけど」 「ドーベル……昨日スペちゃんがね」 『ねえスペちゃん……明日一緒に……』 『あっ、明日はブライトさんと用事があって……また今度お願いしてもいいですか?』 『え、えぇ……』 「私よりブライトさんと一緒に過ごすことが多いような気がして……」 「ああ、最近仲いいよね。ウチの実家にもよく来てるみたいだよ」

15 22/03/25(金)02:46:52 No.909881738

「はぁ……」 「そんなに寂しい……?」 「……」 「代わりにアタシ付き合おうか?今日暇だし」 「……本当?じゃあお願いするわ」 …… 「……あれは、ドーベル?」 「どうしたんですかブライトさん?」 「なんでもありませんわ~」 「……楽しそうにしてるのに邪魔してはいけませんもの」 「何か言いました?」 「いいえ~」

16 <a href="mailto:おしまい">22/03/25(金)02:47:23</a> [おしまい] No.909881798

みたいな人間関係ぐちゃぐちゃになるやつが見たい

17 22/03/25(金)02:57:15 No.909882913

嘘でしょ…人間関係が天皇賞秋の時の私の足みたいに複雑骨折… …スズカジョーク!

18 22/03/25(金)02:58:39 No.909883096

好き

19 22/03/25(金)02:59:05 No.909883135

ブラスペいい…

20 22/03/25(金)03:07:09 No.909883951

>嘘でしょ…人間関係が天皇賞秋の時の私の足みたいに複雑骨折… > >…スズカジョーク! 寝る前にお話ししてくれる方だろお前!

21 22/03/25(金)03:11:25 No.909884372

スペブラ書きたいけどブライト引けてないんだよな…良いよね

22 22/03/25(金)04:24:42 No.909889764

>…スズカジョーク! 年寄りの寿命ジョークみたいなのやめーや …マジでやめてください

23 22/03/25(金)06:48:05 No.909896752

スズカさんは冗談が下手なのは解釈一致ですが…

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