ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/03/22(火)21:50:40 No.909197778
中山レース場、有馬記念──この場所に今、ウララは立っている。 正直に言えば──トレーナーとしては失格だけれど……まさかここまで来られるとは、と思ってしまった。 つまりそれだけウララが頑張ったということだ。 いつもの明るい顔だけではなく、どこか気合の入った表情のウララ──気負い過ぎていないといいが。 その心配は、杞憂に終わる。 ──レース終了後、看板の一番上にはウララの番号が刻まれていた。 ウイニングライブのセンターを務めるウララは、いつも以上に輝いて見えた。 おめでとう、ウララ──。 目に涙が流れたけれど、戻ってきた時には笑顔で出迎えないといけないだろう。
1 22/03/22(火)21:50:53 No.909197864
インタビューを受けているウララ、いつもの様に楽しかったと言うんだろうな、と思っていたら……。 「ぐらんどすらむをしたいですっ」 えっ……? と口に出しそうになるのを思わず抑える。 そんなことを考えたなんて──俺も、今まで以上に頑張らないといけないな……。 ──── 数年後──。 ついに、やった……トレーナー冥利に尽きる。 ウララは、とうとうグランドスラムを達成した。 ……色んなことがあった。ウララにも、俺自身にも。 ウララは順調にレースを勝ち抜いて行ったので、どちらかと言えば”俺自身”の方を主語にすべきかもわからないが。 初めて”月の物”を経験したり、身長が伸びて成長痛が酷かったり……とはいえ、それでも身長130センチ台だけれど……(ウララも背が少し伸びたので、身長差はちぢあまり縮まらなかった)。 もう少し大きくなりたかったけれど、何だかこれで止まってしまいそうな気がするが……俺のことは、置いておこう。 ウイニングライブは、流石に涙が溢れた。笑顔で出迎えることなんて、できない。
2 22/03/22(火)21:51:04 No.909197942
「トレーナー!」 インタビュー中に自分のことを呼ばれ、ビクっとなる。 一体、俺に何を言うつもりなんだろう? 「だいすきだよ! ずっと一緒にいたいっ……だから、”けっこん”しよーっ!!!」 「はい?」 会場から上がる大きく上がる歓声。俺がウマ娘であるということは知られていたので、目線とカメラが向けられたのを感じる。 「ぐらんどすらむしたらやりたいことがあるんだー♪」 と聞いた覚えがあるけれど、まさか……逆プロポーズされてしまうなんて……。 いつの間にか、俺の口元にマイクとカメラが向けられている。もしかして用意周到だったのか? はぁ、やれやれ。 「わかった、結婚……しよう」 ここまでされたら、断るなんてできないじゃないか──。
3 22/03/22(火)21:51:15 No.909198021
「綺麗だよ、ウララ」 「……ありがとー♪」 純白のウエディングドレスを身にまとったウララ、それにただただ愛おしさを覚える。 俺はタキシードだけれど──似合ってないねって言われてしまった、まあ正直同意せざるを得ないのだけれど。 ともかく、これから俺たちは幸福な瞬間を迎え──末長く一緒に、歩み続けると誓い合う。 ──── 指輪交換を終えて、ウララのベールを上げる。 その顔は泣きそうなのと、喜びと、半分だった。 俺の身長が低いので、ちょっぴり無理させちゃってるよなぁと思いながら。 口づけを、交わす。
4 22/03/22(火)21:51:27 No.909198121
「……それでは、新郎新婦お色直しのお時間のため、少々お時間を頂くことをご了承願います」 「はい?」 思わず口に出てしまった言葉、そんなこと聞いてな。 「行こっ♪」 「え、ウララ?」 ウララに手を引かれ、会場を後に──。 「その際、再度儀式を執り行わさせて頂くことを──」 という声を、聞きながら。
5 22/03/22(火)21:51:38 No.909198207
「聞いてない……っ」 まさに早業である。新郎から、新婦へ。俺は……ウエディングドレスに着替えさせられていた。 すっかり新郎気分だったのに……恥ずかしすぎる! 「さぷらいずだよーっ♪」 ウララもタキシードに着替えていた。うぅ……俺より似合ってるかも。 「おむこさんで、およめさん。二人共いっしょだよ?」 ウララはニコニコと笑っている。ああもう、後に引き下がれないじゃないか。サプライズにも程がある……。 ──── 今度はウララが俺を出迎える。ウララは、にこにこと笑っている。 しかし、指輪は交換した次は何を交換するんだろうか? 同じではないだろうし──そんな疑問が、ふと過ぎった。
6 22/03/22(火)21:51:51 No.909198308
「それでは新郎新婦、先程は指輪交換でしたが……耳飾りの交換を」 あ、なるほど。ウマ娘同士ならそれができるか──。 ウララが屈む。先に俺が付けるということか。えっと、ウララはいつも左に……。 付けようとしたところで「こっちだよ」と囁く声。ウララが、右耳を指差している。 意図は測りかねたけれど、言われた通りに右耳に付ける。 そして──ウララは俺の左耳に、耳飾りを付けた。 何故か、ドキドキする。どうして、なんだろう? 「では、誓いの口づけを」 ベールが上げられる。そしてウララの顔が、正面に。 その顔にときめいた瞬間に、唇が奪われた。
7 22/03/22(火)21:52:02 No.909198391
「……二回もお色直しあるっていうのは待たせすぎだったんじゃないか?」 「ちゃんと言ってたもーん」 俺以外には、か。やれやれ。 ウララはあの後改めてウエディングドレスに着替えた。 ちなみに俺はそのままで、新婦……?と新婦が並ぶ光景になった訳だけれど。 式は時間がかかったものの終わり、ブーケトスの時間。 ウララと俺の両方が、ブーケを手に持っている。 「幸せ、ふたつぶんだねっ!」 「まあ、そうだな……」 それはそれで、いいのかな。なんて思いながら──俺とウララは、同時にブーケを投げた──。 (Fin.)
8 22/03/22(火)21:53:24 [s] No.909198942
おしまい どうも(これに限らず)今までTSモノじゃなくホラーを書いていたようなので 立てたスレ画でジャンル詐称してしまっていたことを謝罪します (ナチュラルに書くとホラー化するので今回はかなり意図的に気をつけて書いて書き始めた以上はとりあえず畳みました) 一応(ジャンル詐称だけど)前回までの+今回の fu908005.txt
9 22/03/22(火)22:02:42 No.909202816
TSしても口調変わらないの私好き
10 22/03/22(火)22:08:40 No.909205339
前回までのも今回のもTSものしててよかった あとホラーではないと思う
11 22/03/22(火)22:09:09 No.909205559
いい…
12 22/03/22(火)22:43:19 [s] No.909219476
ぼちぼち赤字なので書きますがTS系ダイスとかも投げてたんですけどそっちもよくよく考えたらホラーだったわ… 絶筆するので許して…
13 22/03/22(火)22:46:14 No.909220660
許さん 書け