22/03/21(月)22:11:55 fu90528... のスレッド詳細
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22/03/21(月)22:11:55 No.908885849
fu905282.txt これの続きです
1 22/03/21(月)22:12:33 No.908886073
日曜日の夜明け前、俺はメジロマックイーンに頼まれてトレーニングコースに来ていた。 指定された時間通りにコースに行くと、そこには勝負服を着たメジロマックイーンがいた。 「おはようございます、トレーナーさん。こんな時間に来てくださってありがとうございます」 [こんな時間に何をするんだ?] 「……あれから考えたんです。お友だちが、私に望んでいることはなんなのか。その答えがこれすわ」 マックイーンは、何かを決意したようにしっかりとこちらを見て続ける。 「今から私は、彼女と本気のレースをします」
2 22/03/21(月)22:13:12 No.908886328
[お友だちと、レースを?] 「彼女は、私と走りたかっただけだったんだと思うんです。誰にも邪魔されずに。……でも、私は、彼女の気配がするといつも立ち止まってしまっていたから……」 [それで本気で走れば満足してくれるかも、と思ったのか?] 「確証はありませんけれど。……誰にも邪魔されない状況で、と思ったらこんな時間になってしまいました」 [俺はどうすればいいんだ?] 「コースの外から私たちの走りを見ていただきたいのです。お友だちの姿は見えないでしょうけど、私たちのどちらが勝つかを見届けてくださいませ」 マックイーンはくすりと笑って続けた。 「ご安心を。決して退屈させませんわ」
3 22/03/21(月)22:13:49 No.908886578
マックイーンは一人でスタート位置につき、走り出した。 本番のレースさながら、足を溜めながら順調に走っている。 そろそろ最終コーナーに差し掛かる。マックイーンは徐々にペースを早めている。 (彼女が追い抜いてくるのはいつもコーナーを走っているとき……そろそろ仕掛けてくるはず……!) 最終コーナーに入る直前、マックイーンが後ろを見たように見えた。
4 22/03/21(月)22:14:17 No.908886787
「……来た!ここっ!!」 マックイーンがスパートをかけて加速していく。 「はああああっ!!」 そのまま直線に入る。マックイーンは誰かと全力で競り合うように走っている。 マックイーンがゴール板を駆け抜ける直前、一瞬黒い影が抜け出していくように見えた。
5 22/03/21(月)22:15:17 No.908887172
走り終わった後、マックイーンはゴール板の先を見つめていた。 ちょうどその方角では朝日が昇り始めている。 [マックイーン!] 「トレーナーさん。……私の負けですね。完敗でしたわ」 [……お友だちは、満足したのかな?] 「ええ、それは間違いないと思いますわ」 そう言って、マックイーンはまた朝日の方を見る。
6 22/03/21(月)22:15:55 No.908887413
「レースの後、こちらを見て満足そうに微笑む彼女が見えた気がしたんです」 そう答えるマックイーンも、朝日を眺めながら満足げな表情をしていた。 「もっと速くならなければ。彼女にリベンジしなければなりませんものね」 昇りゆく朝日が、日曜日の始まりを静かに告げていた……。