22/03/17(木)22:08:10 「ああ... のスレッド詳細
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22/03/17(木)22:08:10 No.907511727
「ああ、いつもので頼む」 昼下がりのカフェテリアで、『俺』は普段から頼んでいる一杯を要求する 俺の目の前で機械の上部から豆がセットされ、ガリガリと豆を挽く音が大きく響けば、少しした後にカップへと黒い液体が芳醇な香りを立てながら注がれていく 『はい、いつものだよ』とカフェの店員の言葉に「どうも」と一言返し空いてる席へと向かう 「………ふう、やっぱ良い匂いだ」 混じり気の無い珈琲の香りに酔いしれ、そのまま口へと含めばストレートな苦味が口の中に広がり………
1 22/03/17(木)22:08:48 No.907511938
「………にがぃ…」 『私』の舌はまだまだ子供のようで、少しずつ慣れてきたとはいえブラックの苦味はやっぱりキツいものがあった 「うう…でも、『俺』はこっちのほうが…」 いつまでも子供のままではいられない、成長しなきゃと意気込んでもう一度飲むが… 「…あぅ…」 少し涙目になりながら、カップの中に注がれたコーヒーを眺める 黒い液体に私の顔が反射し、息を吹き掛ければ表面が波打って私の顔もそれに合わせて揺れる 吸い込まれそうな美しい黒を眺めていると、そこに私以外の顔が映りこむ
2 22/03/17(木)22:09:28 No.907512192
「やあサンデー君、今日もコーヒーかい?」 茶色の髪を黒の中に移し、タキオンが話し掛ける 手に持っていたカップからは紅茶の香りが広がっていた 「ああ、タキオンか…お前は今日も紅茶か」 「そうさ、私は紅茶派だからね………ふふふ…」 不敵に笑いながら、タキオンはシュガースティックに入った砂糖を紅茶の中へと次々に入れていく 二本、三本、四本と注がれていくのを眺めると、自分の口の中まで甘くなったかのような感覚に見舞われる 「お前…どんだけ甘党なんだよ…」 はぁ、とため息をついてから口の中をリセットするために珈琲を飲む
3 22/03/17(木)22:10:03 No.907512396
(…苦いなぁ…) 慣れない味に苦戦しながらもようやく中身を半分まで減らすと、タキオンも紅茶を口へと運んでいく 「…はぁ………!やっぱりこの甘さこそ至高たる物さ!君も飲んでみないかい?」 「お断りだ、そんな甘ったるいの」 心の中に少しの興味を持ちつつ、俺はその提案にNOを突き付ける 「おや…残念、紅茶も良い物なんだがねぇ?」 「お前の紅茶はおかしいんだよ…せめてマックの入れた普通の紅茶なら飲むけどさ」 悪態をつきながら甘くない液体を口に流し込む
4 22/03/17(木)22:10:31 No.907512554
「ほうほう…なら今度、見る人物全てがマックイーン君に見える液体を………」 「そんなことしたらお前をダートに埋めんぞ」 「おお怖い怖い………まあ、そんなことはしないから安心してくれたまえ」 「ったく…誰が安心するかよ…」 ケタケタと笑うタキオンを尻目にカップの中を飲み干すと、手に持っていた容器を返すために立ち上がる 「おや、もう行っちゃうのかい?」 「当たり前だろ、お前と居たら口の中が砂糖まみれになっちまうだろうが」 はっはっは…と笑うタキオンを放っておいてカップを返し、そのままカフェテリアから出ていく 背後からは『また来てね』と店員の気さくな声が聞こえていた
5 22/03/17(木)22:10:58 No.907512718
何もトラブル無く無事に授業を終えることが出来た私は、トレーニングに向かう子達を支離滅裂にトレーナーの部屋へと向かっていた 「ふぅ………ただいま」 合鍵を使ってトレーナーの部屋へと帰ると、穏やかに微笑んでトレーナーが『おかえり』と返してくれる そんないつも通りのことが愛おしくて、私もつい笑顔になってしまう 「…うん、いつものがいいな」 椅子に腰掛けて、彼が淹れてくれるコーヒーを待つ 優しい手つきで豆が挽かれる音が小さく響き、トントンと箱を軽く叩いて粉を整える音を目を瞑って楽しむ 彼が淹れてくれるコーヒーの匂いが部屋全体に広がると、自分でもわかるぐらいに心が踊る 「………そろそろかな………あ、ふふっ…」 頃合いを見て振り向くと、青とピンクのお揃いのカップを乗せたお盆を持ったトレーナーと目が合って一緒に微笑みあう
6 <a href="mailto:おわり">22/03/17(木)22:11:27</a> [おわり] No.907512901
「ありがとう、トレーナー」 お盆の上に乗せられた砂糖とミルクをお互いにカップの中へと入れていく スティック1本にミルクを2つ、黒かったコーヒーが見慣れた色に変わるとそれを口に含めば仄かな香りと共に砂糖やミルクの甘味と少しの苦味が混ざりあって……… 「………美味しいなぁ…ふふっ」 隣に座るトレーナーに身体を寄せてぴったりとくっつく 「………あったかい………」 目を閉じれば、手元に感じる熱とは別に胸の奥がほんのりと暖かくなっていく 「………ふふっ」 彼の温もりを感じながら、今日もまた彼の熱に私は溺れていった
7 <a href="mailto:s">22/03/17(木)22:11:46</a> [s] No.907513012
昨日光のSSのアイデアが湧いたので書いた たまには光の怪文書も書かないとね
8 22/03/17(木)22:14:06 No.907513822
いい…
9 22/03/17(木)22:26:58 No.907517912
もっと光の怪文書書くんだ
10 22/03/17(木)23:01:23 No.907529358
良い…