虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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22/03/14(月)00:43:47 ! 注... のスレッド詳細

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22/03/14(月)00:43:47 No.906323108

! 注意 途中で人を選ぶ表現があります 少し遠くで鍵が開く音が聞こえた 短くなった煙草を灰皿に押し付ける この部屋のドアの鍵を持ってる奴なんて俺以外にはアイツしかいない 「…ようトレーナー、お前の煙草一本貰ったぜ」 俺の視線の先でため息をつくアイツはいつものようにバッグを置くと、俺が差し出した煙草ケースから一本抜いて慣れた手付きでライターに火を付ける 大きく息を吸い込みはあ、と白い煙を吐き出すといつものようにお説教タイムが始まる

1 22/03/14(月)00:44:30 No.906323365

「はいはい、ごめんなさい、っと…あむっ」 学生が煙草を吸うなとか、バレたら大変だとか、聞き飽きた言葉を聞き流して用意していたボトルを手にする 蓋を開いて雑に傾ければ、ザラザラと出てきたガムを大口開いて口に含む 「むぐっ…んっ…んぐっ………はぁー………これならバレねぇだろ?」 アイツの顔目掛けて息を吐くとミントの中に煙草が混じった匂いが俺たちの間に広がる 「それに、トレーナーだって吸ってるだろ?最悪トレーナーが吐いた煙を吸ったって誤魔化すし」 俺が笑いながら話すと、トレーナーはこれ以上言っても無駄だと諦めたのかため息をつく 「ま、そういうこった…トレーナー、風呂入ってこいよ?その間俺はこいつを楽しんでるからよ」

2 22/03/14(月)00:44:49 No.906323459

「………ふう…」 部屋を照らすライトを見ながら息を吐く 聞こえるのは換気扇が回る音と小さなシャワー音、それと近くのウマ娘たちの小さな喧騒のみ 「…………………………みんな…」 ズキリ、と胸が痛む 「イヤ、ダメだ。『俺』は強く生きるんだ」 不安をかき消すかのように、俺はまた煙草を咥え大きく息を吸い込んだ

3 <a href="mailto:【注意】この先人を選ぶ表現有り">22/03/14(月)00:45:52</a> [【注意】この先人を選ぶ表現有り] No.906323762

……… 「そろそろお休みの時間だな…今日も俺が抱き枕になってやろうか?…なんてな」 時間も10時を回り、互いにパジャマを着て同じベッドに入る いつも通りアイツが内、俺は外という形で横になると互いに向き合って一言 「…おやすみ、いい夢見ろよな?」 そう言ってお互い目を伏せ眠りにつく

4 22/03/14(月)00:46:43 No.906324020

ぐるり がしゃん どがん

5 22/03/14(月)00:47:06 No.906324138

『───パパぁ…ママぁ…助け─』 傾いた世界 『───お母、さん…』 至るところから聞こえる悲鳴 『───か、は…』 全身に感じる痛み 『───だれ、か…』 血、血、血、血、血─── 『たす…け───』

6 22/03/14(月)00:47:41 No.906324320

「─────はっ………!?」 また、あの夢だ 「はぁ………はぁ………」 背中が汗で濡れている 頭からも、身体からも、未だに汗が噴き出している 「はぁ…はぁ…クソッ………またかよ………!」 忘れようにも忘れられないあの光景 何度あの光景を夢に見たことか 「………ったく…」 横で眠るアイツの顔はムカつく程に幸せそうで、つい殴りたくなるのを抑える

7 22/03/14(月)00:48:02 No.906324432

「………寝るか…」 はぁー、と息を大きく吐くと汗で濡れたベッドにまた横になる 着替える余裕なんて無い。一刻も早く、夢のことを忘れたくて 「…ちょっと借りるぞ」 トレーナーの腕に抱き付いて、俺はまた目を閉じる

8 22/03/14(月)00:48:42 No.906324624

『ねぇ、サンデーちゃん』 『どうして、あなただけが生き残ったの?』 知らない 『私だって、みんなのために走りたかったのに』 『どうしてあなただけが?』 知らない 『私たちだって、走りたかったのに』 『みんな死んじゃったよ?』 知らない… 『みんな将来を期待されてたのに』 『期待されてないはずのあなただけが』 知らない………!

9 22/03/14(月)00:49:07 No.906324755

『ねぇ………サンデーちゃんも………』 ───死んじゃえばよかったのに。

10 22/03/14(月)00:49:24 No.906324844

「─────やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!」 静寂の中に響く悲鳴 「やめろ…!やめてくれよ…!どうしてそんなこと言うんだよ…!」 いないはずの何かに怯えて、全身が縮こまる 「なんで…どうして、そんな酷いことを言うの…」 両手で自分の身体を抱きしめる、自分でも身体が恐怖で震えているのを感じていた 「ひっく…なんで…酷いよ…」 ギュッと目を閉じると、涙が溢れ頬を伝う

11 22/03/14(月)00:49:56 No.906325004

『サンデーちゃん…』「ひっ…!?」 『サンデーちゃんも、私たちと一緒になろう?』「やだやだやだ!やめて!話し掛けないで!」 聞こえるはずの無い幻聴が頭の中に響く あの子たちの声が、『私』に語りかけてくる 『サンデーちゃんも楽になろうよ?』「やだ!私はまだ生きたい!生きていたいの…!」 『どうして?』「どうしてって…」 『どうして生きてるの?どうしてあなたなんかが生きてるの?ねぇ?なんで!あなたなんかが!サンデーちゃんなんかが!サンデーちゃんだけがっ!どうして生き残ってるのっ!?』 「ひっ…やだ…ひぐっ………やめて………」

12 22/03/14(月)00:50:39 No.906325201

強く私を非難するあの子たちの声に、私の心が痛み締め付けられ息苦しさを覚える 「もう、やだ………うっ!?ぁ…うぇぇ………!」 喉に感じた強烈な吐き気、それを我慢することも出来ず毛布に吐き出していく 「げほっ、ごほっ………んぷっ、うぇ…!」 胃から逆流してくる何かを、喉を伝ってくるその何かを口から吐き出し布団にぶちまける

13 22/03/14(月)00:50:53 No.906325277

「かはっ………あぇ………ぁ………ごほっ、おぉ"……!」 いつの間にか起きていたトレーナーに背中を擦られ、私は胃の中身を次々と吐き出し布団を嘔吐物で濡らしていく 「はぁ………はぁ………みんな………ごめんなさい………ごめんなさい………ごめんなさい………ごめんなさい………ごめんなさい………ごめんなさい………!」 全てを吐き出した後、トレーナーに抱き抱えられながら私は許しを乞う言葉を繰り返していた

14 22/03/14(月)00:51:24 No.906325458

「………ごめんなさい、トレーナー…また迷惑をかけちゃって…」 一頻り許しを乞い、トレーナーの熱に包まれて落ち着きを取り戻した後、私はトレーナーに頭を下げていた 「………あ…」 彼の手が私の頭に添えられ、そのまま宥めるように頭を撫でていく 「ありがとう…ございますっ…」 彼の優しさが手から伝わったかのように、心の奥が暖かくなっていく 誰にも見せられない『私』を、彼は受け止めてくれる それが嬉しくて、いつも私は彼に甘えてしまうのかもしれない

15 22/03/14(月)00:52:05 No.906325669

「………ふう、これで大丈夫かな…」 嘔吐物を処理し汚れてしまった毛布を熱湯に浸け置きした後洗濯機に入れてそのまま洗濯機を回す。何回も行ってきたこの処理をトレーナーと共に済ませたあと彼と向き合う 口の中もしっかりと洗い流しておいたので、吐き気の心配は無い…と思いたい 「明日消毒とかしなきゃなぁ…じゃあ、そろそろ寝ましょうか?………あ、ふふっ」 彼にそう提案すると、トレーナーは私の手を取って一緒に歩き出す

16 22/03/14(月)00:52:40 No.906325853

ある程度消毒を済ませたとはいえベッドで寝るのは心許ないため、トレーナーと一緒に床に布団を敷いてそこに横たわる 「………あったかい…」 彼と一緒の布団に入ると、不安を和らげるためにトレーナーが私を抱きしめてくれる 「…じゃあ…おやすみなさい、トレーナー」 その熱の中で、私は目を閉じた

17 <a href="mailto:おわり">22/03/14(月)00:53:12</a> [おわり] No.906326006

……… 「………あ、そうか…俺、昨日…」 朝日が窓から射し込み、暗かった室内を照らしていく光で俺は目を覚ます 抱きしめられた状態で目覚めた俺は、幸せそうに眠るアイツの顔を見る 「………ありがとうな」 いつもは『俺』に対する小言ばかりで煩いが、『私』が不安なときは優しく勇気づけて支えてくれる 寝息を立てるその唇に口付けをして、俺はもう一度目を閉じた

18 <a href="mailto:s">22/03/14(月)00:53:33</a> [s] No.906326121

唐突にSSの重い話を書きたくなってしまったので書いた 普段は強く生きてるけどふとしたときにトレーナーにだけ弱い自分を見せてほしい

19 22/03/14(月)00:54:12 No.906326304

弱りきったSSが暴君の姿ではなく1人の子供に戻ってしまうのはお辛い…けどいいですね…

20 22/03/14(月)00:55:03 No.906326560

SSさんは過去が重いからな…

21 22/03/14(月)01:13:51 No.906331254

アヤベさんとかは身内だったから本人の勝手な被害妄想ってオチだったけどこっちは同期とはいえたまたま居合わせた赤の他人だったからこういうのに取り憑かれたりもするんだ…

22 22/03/14(月)01:23:08 No.906333344

「お前も死ね」までは妄想と言い切れても「私も生きたかった」は本当にそう言いかねない状況だからな

23 22/03/14(月)01:32:47 No.906335561

後に産駒達みんなにあの子たちの面影重ねちゃうんだ…

24 22/03/14(月)01:44:17 No.906338060

ヤバい供給してくる原作者はマジで何?

25 22/03/14(月)01:47:10 No.906338661

>ヤバい供給してくる原作者はマジで何? サディスト

26 22/03/14(月)01:52:25 No.906339739

生まれた直後から原作者が飛ばしすぎる…

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