ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/03/13(日)10:13:43 No.906024752
エクソシスター・イレーヌの朝は早い。荒れ果てた世界を救う使命を帯びた彼女はちょうど今くらいの時間にモゾモゾとベッドから起き出してまず荒れ果てた寝癖を整える。 イレーヌは経験な信者だった。彼女の一日は神への祈りから始まる。 今日も遍く人々に幸せが行き渡りますように。地に花が咲き誇りますように。生き物達に歓びが溢れますように。異教徒が万病を患い苦しんで死にますように。エリスちゃんがデートのお誘い受けてくれますように。おやつが真っ白なババロアでありますように。 長い祈りを終え部屋の扉を開け放つ頃には時計の針は10時を超えていた。 さて、10時15分からの訓練に今から間に合わせるには──? しばし考えたイレーヌはその場で変身を敢行した。本来厳重な許可承認が必要な行為だったが、イレーヌはこういう時主の力を振るうことに全く躊躇がなかった。 輝く金色の髪をなびかせてイレーヌは廊下を疾走する。大小様々な埃が舞い飛び、古い窓にまた一つヒビが入った。 怒られるのは嫌なので集合場所に着く前にこっそり変身を解き、イレーヌは何食わぬ顔で皆に挨拶をした。 身分証代わりのロザリオを着け忘れた事に気付いたのはその後だった。
1 22/03/13(日)10:36:04 No.906030230
かくして愛しのエリスちゃんのお説教が始まった。人差し指をぴんと立ててぷりぷり怒ってくれる姿もまったく愛らしい。 「エリス、そのくらいにしてあげなさい」 邪魔が入った。馴れ馴れしくもエリスちゃんの肩に手を置くそいつは何者なのかとじっくり眺めてみると── 毒々しいピンクの髪。艶めくリップ。入って数日のクセに皆から頼られて、何よりエリスちゃんと仲良さそうにしている。 推定99%異教徒だった。この場で誅殺する事こそが主の御意志であろうとイレーヌは確信した。 「ですがお姉様……」 「あらエリス?私のお願い、聞いてくれないのかしら……?」 エリスちゃんの人差し指を優しく両手で包んだのでそいつはもう異教徒だった。なのにエリスちゃんはモゴモゴと頬を赤らめて俯いている。騙されているのだ。私がなんとかしなければならない。 後ろ手に構えた武器まで見透かすような視線でそいつは私に向き直って微笑みかける。 「誰にでも間違いはあるもの。それより、ええと……イレーヌさん?私にもお稽古をつけてくださいませんか?」 もちろん、と満面の笑みで承諾したイレーヌはその後30分に渡りボコボコにのされる羽目になるのだった。
2 22/03/13(日)10:40:59 No.906031503
かつてのお姉様が後輩になってドギマギするエリスちゃんいいよね…