虹裏img歴史資料館

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22/03/05(土)04:44:14 [不定期... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1646423054370.jpg 22/03/05(土)04:44:14 No.903399473

[不定期] 関係ねぇ、きりたんを産卵させてパンケーキを作りてぇ [成分] ・ゆかきり ・コッショリ ・淫紋

1 22/03/05(土)04:44:52 No.903399515

「……ごちそうさまでした」 そう言って、ゆかりが少し遅れて食事を食べ終える。 彼女はそれから机上の箱から、薄い紙切れを手にとって口元を拭った。 ……あれはなんだろう、そう思いながら一息ついた彼女をじっと見つめる。 「あ、え、えっと……お待たせしました」 「……それ、何ですか?」 私がそう言って白く薄い紙の詰まった箱を指差す。 ……見ている所、使い捨ての汚れや水分を拭うものに見えるが、名前が思いつかない。 まあ、見たことがないのだし仕方が無いだろう。

2 22/03/05(土)04:45:10 No.903399531

「あ、これはティッシュです」 「ティッシュ……へぇ、便利なものを思いつくものですね」 私はそう言って、ティッシュを一枚手に取る。 その紙切れはひらひらと向こうが透けて見えるほど薄く、持っている重さを感じない。 ……この使い捨ての紙切れも、地下で作られたものの一つなのだろう。 そんな事をぼんやりと考えながら、私はゆかりを真似てその紙切れで口を拭った。 口元にふわりと柔らかな紙が擦り付けられ、口元の汚れを拭い去る。 そしてティッシュを見ると、汚れを拭いながら微かにティッシュが破れていた。 なるほど、硬すぎないから肌にこすっても痛みは無いらしい。 見ている限り、紙でできているから竹や木材を原料にしているには違いは無いのだが、製法はまるで思いつかない。 私は使い終わったティッシュを眺めた後、4つに折って周囲を眺める。 このゴミは何処に捨てれば良いのだろうか、そんな事を思っているとゆかりが机の下の円筒型の箱を持ち上げて見せた。

3 22/03/05(土)04:45:25 No.903399547

「ゴミはここに捨ててください」 「ああ、ありがとうございます」 そう言って、手元のゴミを箱の中に入れる。 ……あのゴミはどうするのだろう、埋めるのかそれとも何かの用途があるのだろうか。 そんなことを考えていると、ゆかりがゆっくりと立ち上がる。 彼女は目の前の皿を集めながら、口を開く。 「それでは、皿を洗って来ますので……」 だがその途中で雫が彼女から皿を奪い取ってみせると、ゆかりが少し困惑する。 ……恐らく、皿を洗っている最中部屋の中を雫と一緒に見て回ってきてほしかったのだろうが、雫はそうではないらしい。

4 22/03/05(土)04:45:35 No.903399551

「ゆかり、今日は私がやっておくよ」 「え、でも……」 「今朝は私がきりたんを案内したから、午後はよろしくね」 「……は、はぁ……」 彼女はそう言って、ゆかりから皿を取り上げた後私にウィンクをしてみせた。 だがそんな彼女の楽しそうな表情とは裏腹に、私は妙な感覚を抱いている。 ……端的に言ってしまえば少し不安だ。 段々と化けの皮が剥がれてきた女の顔を見ると、少しだけ曖昧な笑みを浮かべてこちらを見ている。 ……会話が苦手なのか? そんな事をぼんやりと思いながら、私はゆかりに手を差し出す。 「……案内よろしく」 「あ、は、はい……」

5 22/03/05(土)04:45:49 No.903399569

私がそう言うと彼女は先程の曖昧な笑みを浮かべたまま、小さく頷いてみせた。 ……雰囲気変わり過ぎじゃないか? そんな事を思いながら、私は彼女に向かって差し出した手を見る。 ……やはり、雫とゆかりは大きく反応が違う。 雫ならば難なく私の手を引いて歩き始めただろう。 だが、ゆかりはそうではない。 ……臆病なのか? そんな事をふと思って、彼女の顔を見る。 私に改めて表情を覗き込まれた彼女は、少し恥ずかしげに目を反らす。 ……ここに来た当時はまだもう少し私の顔を見れていたと思うのだが、彼女の精一杯を振り絞った結果だったらしい。 そう考えると、彼女が少し感情が欠けているように感じていた理由も薄々納得できる。 詰まるところ、いっぱいいっぱいだったのだろう。 そしてそのキャパシティを超えた結果、彼女はこうして暫く笑みを浮かべたまま固まってしまった、といったところか。

6 22/03/05(土)04:46:05 No.903399579

「……それで、先ずはどちらに?」 「う、え、えっと……どうしようかな」 このように彼女に対して声を掛けてみたものの、彼女は暫く何か迷うような素振りを見せている。 その間も、私の顔に対して時折曖昧な笑みを返すことだけは忘れない。 だが、問題は笑みではないことに彼女は気がついているだろうか? ……いや、気がついてはいるだろう。 そうであっても、彼女はこうして何かに迷い続けているのは何故だろうか。 彼女自身も自称ではあるが、他人との繋がりを得ていたはずだ。 詰まるところ彼女の言う私の産みの親であるずん子さんとも生活していた……はず。 だが、こうしてみると段々と見えてくる物がある、もしかすると彼女自身はその、私の産みの親に尻を敷かれていたのではないか? そんな事を思いながら、ゆかりの顔をマジマジと見上げる。 その表情は先程と変わらず、曖昧な笑みを浮かべたままだ。

7 22/03/05(土)04:46:18 No.903399592

「……それで、ゆかりが先に説明するべきだと思う部屋はありますか」 「う、うん……でも、色々あるから……」 彼女はそれでも何を迷っているのか、私の手を見てから曖昧な笑みを浮かべている。 ……うん、人選に難ありだな。 だが、得てして人選というのは誰にも選ぶことは出来ないし、彼女自身雫に頼っている癖があるならば改善しなければいけないと思っているかもしれない。 兎に角このままこうしていても仕方がない、そう思った私は彼女の手を掴んだ。 「ひゃっ」 すると、彼女は聞き慣れない声を漏らしてこちらを見つめている。 ……何を驚いているんだ? そんな事を思いながら、彼女に対して口を開いた。 「……お手洗いは何処ですか」

8 22/03/05(土)04:46:30 No.903399605

暫く満足も行かない寝食を繰り返していたからか、トイレの回数がかなり少なくなっていた。 だがこうしてお腹を満たすような食事を取ったせいか、催していた。 「え、あ、は、はい」 そう言って彼女は私の手を引いて歩き出す。 ……こうして彼女の反応を見ていると、少し頭が痛くなる。 多分、彼女の本性は何に対しても曖昧なのだ。 決断しないというのは、本人の優柔不断さや優しさの現れだと言う人も居るだろう。 だが実際には何かを決断するということが苦手で、決断しないことに対する問題を他の誰かが決断することで肩代わりしていたのかもしれない。 ……彼女自身はどう思っているのだろうか。 そんな事をぼんやりと思いながら、私は彼女に手に引かれてお手洗いへと向かうのだった。 ───

9 22/03/05(土)04:46:42 No.903399613

「ふぅ……」 先程のティッシュに似た、トイレットペーパーを手にとって下半身に残った液体を拭う。 それから、ゆかりに教えて貰ったとおり汚れた紙を汚れた水たまりに落として、タンクに付いたノブを回す。 すると、汚れた水と紙が透明な水流に流れていく。 ……地下でこれがどう処理されているのかを考える。 だが結論としては、特に回答らしいものは思いつかない。 これ以上考えても仕方がないか、思った私は隣の流し台で手を洗う。 ……はて、どうして彼女たちはこうも手洗いを入念にしろというのだろうか。 今まで手洗いをしなくて困ったことはない、だが、彼女たちはそうではないらしい。 もしかして、臭うのか? そう思って水で濡らした手を持ち上げて、匂いをかいでみる。 ……だが漂うのは指についた水の匂いだけ。

10 22/03/05(土)04:46:54 No.903399622

……全く、分からないことだらけだな。 そんな事を思いながら指先を石鹸でこすってから、手のひらをこすっていく。 指先が泡で覆われていくのを見ながら、少しため息を漏らす。 ……見たことのないもの、したことのない習慣。 そのどれもが目新しくはあるものの、この手洗いとやらは苦手だ。 確かに手は綺麗になるのだが、洗い終えた後手が濡れているのに何だかカサカサする。 ……それがどうにも苦手だ。 だとしても、彼女たちは気にするだろうから手は洗うだろう。 それがここで決められたルールなら、仕方があるまい。 そうして、私は手を洗い終えて備え付けのタオルで指を拭った。 「出ましたよ」 「あ、はい」

11 22/03/05(土)04:47:46 No.903399661

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