虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/03/05(土)00:02:31 No.903350702

    「うーーーん……」 トレセン学園購買部の特別ショップ。そこで悩みこんでいる一人のトレーナーがいた。目の前の棚にはカップケーキが置かれている。食べればどんなウマ娘でもたちどころに調子が向上する魔法の様な代物である。しかし――― 「フジは甘いもの苦手だしなぁ」 決して不調というわけではない。ただ、本調子にはほど遠い。彼女自身よくわかっているのだろう。周囲に見せない様にしているが、絶えず傍にいればもどかしそうにしているのも分かる。 「そもそもなぜカップケーキで調子が良くなるんだ……?」 このカップケーキ特有の効果なのか。それとも一種の『特別さ』の様なものによる精神的な作用なのか。 「食の好みは関係なく効果があるのだろうか。だとして無理に食べさせるのもなぁ」 フジキセキならばいやとは決して断らないだろう。しかし、だからといって強制して良いというものでもない。 しかしトレーナーとして、彼女がトゥインクルスター・クライマックスで実力を発揮する為にすべきことをするべきではないか、という思いもある。 「…………よしっ!!」 トレーナーは覚悟を決めた。

    1 22/03/05(土)00:02:50 No.903350797

    トレーニングの後のミーティング。トレーナーからの指示で、フジキセキは一人、トレーナー室で待っていた。もうすぐトゥインクルスター・クライマックスだというのに調整がうまくいかない。そんな自分にトレーナーである彼が何を提案するのか。 「すまない、待たせたな」 彼はカップケーキがのった皿を運んできた。 「……おいしそうだね」 フジキセキにはわかっていた。トレーナーである彼がすべきこと。 「どうか、食べてみてほしい」 彼はひどく張り詰めた表情をしていた。 「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」 苦笑いしつつ、カップケーキを持ち上げ口に運ぶフジキセキ。その姿はどこか、嫌いな薬をいやいや飲み込む子供の様に見えた。 「………………!?」

    2 22/03/05(土)00:03:23 No.903350950

    カップケーキを口にしたフジキセキが驚愕の表情を浮かべる。最初に感じたのはクリーミーでありながらも生クリームとは違うスッキリとした酸味。これは、クリームチーズ? そして、一般的なタルトと異なる、甘さ控えめのビスケットの様な食感。ザクッとした小気味よい音。ローストアーモンドを粗く砕いてタルトの中に混ぜ込んである様で、噛むたびに軽い苦味と香ばしい風味が広がる。 さらにアーモンドには軽くほのかな塩っけが味付けされていて、バターの香りとよく合う。そしてクリームチーズが口の温度で溶けるにつれ、ラムレーズンとクランベリーの存在が露わになる。 甘さがありながらもバニラエッセンスと違う、ラム特有の芳醇な香り。そしてクランベリーの強い酸味がケーキ全体の後味を引き締めてくれる。

    3 22/03/05(土)00:04:03 No.903351127

    「おいしい……」 社交辞令でもなんでもなくするりと言葉が出た。その言葉を聞いて、笑顔になるトレーナー。その表情に喜び、そして安堵といった感情を見出し、フジキセキは気づいた。 「すごいね、このカップケーキ……まるで甘いものが苦手な私の為だけに一生懸命作ってくれたみたいだ。このケーキは一体どうしたんだい?」 「……あー、ほら特別ショップの商品について理事長に相談して、甘さ控えめのケーキとかも欲しいってね」 何処か気まずそうに眼をそらす。ごまかそうとしている時にトレーナーが良くする癖だ。数年に及ぶ付き合いの中でフジキセキは見抜いていた。、 「ほんと、とっても食べやすいね。ラムレーズン、クランベリー、そしてオレンジピールが良いアクセントになってる」 「え?オレンジピールなんていれてな……あ」 数秒間のフリーズ、ののち自身の顔に手を当てトレーナーはうなだれてしまった。

    4 22/03/05(土)00:04:28 No.903351250

    「ごめんね……種明かしさせるような事をして」 「いや、いいんだ……カップケーキで調子が上向くウマ娘たちを見てフジの力になれたら、と思ったがやっぱりしょせん俺の手作りじゃ……」 「そんな事ない」 トレーナーの手を両手で包む。 「フジ……?」 「このケーキ、私の事を心から考え、大事に想ってくれているのが分かる。こんなに美味しいケーキを食べられて、私はすごい幸せ者だって自信をもって言える」 青い宝石の様な瞳がじっとトレーナーを見つめる。 「トレーナーさんが見せてくれた温かな奇跡、そのお礼を必ずトゥインクルスター・クライマックスでご覧入れよう」 「何だか、そこまで言われると気恥ずかしいな……君のそばで、君の走りが見られるだけで、もうお礼をもらっている様なものなのに」 「ふふっ、じゃあ一つおねだりしてもいいかな。またこのカップケーキを作ってほしいんだ……ダメ、かな?」 普段あまり人におねだりをしない彼女の願いにトレーナーはとても喜んだ。

    5 22/03/05(土)00:05:18 No.903351487

    「ああ、任せとけ!!何度でも、いくつでも、何年先でもずっと食べたい時にいつでも作るさ!!」 「とても楽しみだね」 時計を見る。そろそろ寮に戻らなくてはならない。 「おっと、長居させて悪かったな。それじゃあ明日からのトレーニングも頑張ろう」 「うん、それじゃあトレーナーさん。あ、そういえばさ『何年先でもずっと』なんてプロポーズみたいだね♪」 「……んんっ!?いや、そういう訳じゃ」 「私は全然オーケーだよ?」 そのまま部屋を出て駆け出すフジキセキ。一人、取り残されるトレーナー。一方で帰途に就くフジキセキは、ここ最近で一番自身の足が軽いと感じでいた。 「まずはトゥインクルスター・クライマックス……!」 夕闇は終わり、外の景色は煌星が燦然と輝く時刻へと移りつつあった。

    6 22/03/05(土)00:06:49 No.903351898

    TSでフジがカップケーキ食べてやる気アップするのどうなの?って疑問から思いついたネタ

    7 22/03/05(土)00:07:15 No.903352006

    とてもいいです…

    8 22/03/05(土)00:07:22 No.903352042

    甘いものが苦手いい…

    9 22/03/05(土)00:07:49 No.903352174

    >最初に感じたのはクリーミーでありながらも生クリームとは違うスッキリとした酸味。これは、クリームチーズ? >そして、一般的なタルトと異なる、甘さ控えめのビスケットの様な食感。ザクッとした小気味よい音。ローストアーモンドを粗く砕いてタルトの中に混ぜ込んである様で、噛むたびに軽い苦味と香ばしい風味が広がる。 >さらにアーモンドには軽くほのかな塩っけが味付けされていて、バターの香りとよく合う。そしてクリームチーズが口の温度で溶けるにつれ、ラムレーズンとクランベリーの存在が露わになる。 >甘さがありながらもバニラエッセンスと違う、ラム特有の芳醇な香り。そしてクランベリーの強い酸味がケーキ全体の後味を引き締めてくれる。 普通に腹が減るのだが?

    10 22/03/05(土)00:09:52 No.903352753

    フジ寮長強いな…

    11 22/03/05(土)00:10:24 No.903352944

    雑誌のインタビューとかで好物聞かれて『トレーナーさんの作ってくれるカップケーキ』って答えてファンスレのサバ落ちしそう

    12 22/03/05(土)00:14:29 No.903354205

    トレフジでしか摂取できない栄養分がある

    13 22/03/05(土)00:15:11 No.903354405

    甘いもの食べると胸やけするみたいだしフジ的にロイヤルジュースの方がカップケーキよりましって可能性すらあるよなぁ…

    14 22/03/05(土)00:19:12 No.903355743

    いい…

    15 22/03/05(土)00:19:51 No.903355991

    トレーナーさんのクリームだとやる気が上がるんだよね

    16 22/03/05(土)00:21:13 No.903356439

    >トレーナーさんのクリームだとやる気が上がるんだよね やりすぎると太り気味?になるから注意な

    17 22/03/05(土)00:29:37 No.903358966

    引退後の家庭計画がしっかりしている方の寮長!

    18 22/03/05(土)00:33:05 No.903360083

    …どっちだ?