虹裏img歴史資料館

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22/03/04(金)06:05:24 [不定期... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1646341524528.jpg 22/03/04(金)06:05:24 No.903092287

[不定期] 関係ねぇ、きりたんを産卵させてパンケーキを作りてぇ [成分] ・ゆかきり ・コッショリ ・淫紋

1 22/03/04(金)06:07:01 No.903092365

それから、朝の支度を終えた私達はリビングへと向かう。 ドアからドアを抜けて、部屋の中が不快感を感じない程度の温度に満たされた部屋の中を歩く。 ……この暖かな空気は何処から湧いてくるのだろう。 天井、床、周囲を見回すが特に何か目立つ機械があるわけでもない。 では、この部屋の暖かさは何処から来ているのだろうか。 と思いながら周囲を見渡すが、特に何かが見つかるわけでもない。 ……だとしたら、何が私を温めてくれているのだろう? 部屋に流れる空気から伝わる温度と、少女の手のひらから伝わる温度を比べてみる。 ……周囲の気温が陽光の中で風の無い程度の気温だとすれば、少女の体温は少し汗ばみそうなほどに温かい。 やはり何かはあるのだろう。 そんな事を思いながら、私達は最後の扉をくぐり抜ける。 その先には、やはりあの憂鬱気な表情をした女が湯気の立つ料理の前に座っていた。

2 22/03/04(金)06:07:23 No.903092384

それでも目の前のスープは薄い琥珀色をしていて、中身の団子が美味しそうな匂いを誘う。 部屋の中は暖かく、料理は極上、調度品はどれも質がよく以前の生活からは考えられないほどだ。 ……それなのに何を浮かない顔をしているのか、何ともわかりかねる。 そうして静かに部屋に入った私を、少女の手のひらが前に引いてみせた。 思わず怪訝な顔を返すと、彼女は私の顔を見ながらにぃっと笑みを零す。 ……その表情の意味は瞬時に察せられた。 私は思わず嫌そうな表情をしてみせるが、それでも雫は私の耳に口を近づけて小さく言葉を放つ。 「心配なんだよ」 「……それで、何で私が……」 思わずそう言って返しますが、その間も目の前の女は私達に気がつく様子は見せない。 ……本当はこちらに気がついているのではないか、なんて錯覚を覚えそうなほど彼女は気落ちした様子でテーブルの料理を見つめていた。 その様子に、嘘偽りが含まれている様子は見て取れない。

3 22/03/04(金)06:07:35 No.903092391

だが、もしその様子が本当に嘘だったとしたら、私は彼女を見破ることなんて出来やしないだろう。 そうして、思わず小さなため息を一つ漏らしてから、ゆかりに向かって口を開いてみせる。 「支度を終えましたよ」 「……え、あ、は、はい」 私が朝の支度を終えた事を少し大きな声で告げると、目の前の女は少しだけ慌てたような様子でこちらを見上げて見せる。 その表情には、何かを取り繕って見せようという表情が見て取れた。 ……何に対してかは分かりかねた。 だが誰に対してかは明確だろう。 「あ……こほん」 そうして彼女が私を改めて認識し直すと、一つ咳払いをしてから私から目を反らす。 余り血色が良くない彼女も、この時は何を感じていたのか微かに頬が赤らんでいる。

4 22/03/04(金)06:07:48 No.903092398

「……ね? 面白いでしょう」 そう言って、雫は私にだけ聞こえるように耳打ちをしてから机へと歩いていく。 私に向けている表情は何処かいたずらっ子だったような表情が、ゆかりの方を向く時にはさっと何時もの表情へと戻っていた。 ……ゆかりなんかより、よっぽどこの子のほうが厄介なんじゃなかろうか。 そんな事を思いながら、私も席へ着くために足を動かした。 席は3つ用意されていて、2つはゆかりと雫が占拠しており、私は残された一つの席に腰を下ろす。 そうして、私は改めて二人の様子を伺う。 雫は既に料理の前で、口を閉じてゆかりの方を眺めており。 ゆかりは私の顔を少しだけ目線を彷徨わせながら、眺めている。 ……恐らくゆかりは雫に見られている事に気がついていないし、それも雫は把握しているのだろう。 ……いい趣味だこって。 そんな事をぽつりと考えると、ゆかりがゆっくりと口を開く。

5 22/03/04(金)06:08:00 No.903092412

「それでは、頂きましょう」 彼女はそう言ってから、両手を合わせてみせる。 ……教会の真似事だろうか、そんな事を思いながらそのまま彼女は口を動かす。 「いただきます」 ……彼女以外誰もそう言わないことに対して、雫は小さく眉を細めて、とうのゆかりは少しだけ困惑したような表情をしている。 その表情は少しだけ不安気で、私はともかく何故雫が同じ行為をしなかったのか、不安がっているように見て取れた。 姉を名乗るならば、そこで雫を軽くたしなめてみせてもいいのだろうが、なるほど雫の言っている意味が徐々に読み取れる。 詰まるところ彼女は自分に自信がないのだろう。 結果が伴ってくるのか、それとも行為の意味は何なのか彼女は何度も考えてはいる。 その度に自分自身の行いが、間違っていないと言ってくれる人をつい目で追ってしまう。 今までであれば、雫が同じ行為に協同してくれていたのかもしれない。 だが今回はそうならず、彼女は不意に訪れた不安になってしまった。

6 22/03/04(金)06:08:16 No.903092424

そうして救いを求めているように雫と私を交互に見渡している。 ……と、何となく彼女の考えを読み取ってみた。 彼女自身が本当にそう考えているのかは分からない、根拠もないし理由も直感でしかない。 だが、そうなると彼女の狼狽えている様子が少し哀れに見えてきた。 私はまた一つ、ため息を漏らして両手を静かに合わせてみせる。 すると、それに気がついたゆかりが私を少しだけ目を見開いて見つめてきた。 少しだけ不安が和らいだ様子に、私はその様子に気が付かないふりをしながら目をつぶった。 ……そうして一応、私も招かれた客なのだからと、彼女がしていた行為を真似てみせる。 「……いただきます」 私がそう言って目を開くと、雫も少しだけ遅れてから両手を合わせてみせた。 その様子には何かが愉快だという表情が見て取れる。 ……内心何かに呆れるような気持ちが湧き上がってくるのを感じつつ、ゆかりを横目でそっと見る。

7 22/03/04(金)06:08:38 No.903092447

すると、彼女と目線が合い彼女自身は少し慌てて目線を反らした。 ……何もそこまで露骨に逸らさなくてもいいだろうに、そんな事を思いながら目線をゆっくりと料理に戻す。 ……眼の前の料理からは、暖かく美味しそうな匂いが漂っていた。 だが、それでも食事の前に聞きたいことが一つ浮かび上がっている。 「……それで、これは何ですか?」 私がそう言うと、少女が手に持ったスプーンでスープを掬いながら口を開く。 「ポトフだね」 そう言って、少女は微笑んだ。 私はそう言ってこちらを見る少女から、ゆかりに目を移す。 彼女は開けかけていた口をゆっくりと閉じると、目の前の料理を見ながら何とも言えない表情をしている。 ……少しだけ何かを残念がるような、それとも少しだけ安堵したような表情。

8 22/03/04(金)06:09:10 No.903092475

そんな表情の彼女から目線を戻すと、目の前の少女は少しだけまた笑みを漏らす。 その表情は、何かを催促しているように見える。 ……おおよそ、この料理がどんな料理なのかを聞けという所だろう。 そうして、少女は一口スープを掬い上げる。 その表情は何時ものように飄々としていて、既にもう私には関係ないとでも言わんばかりだ。 ……撤回、厄介かもしれない、じゃなくって家の情のほうがよっぽど厄介だ。 そんな事を思うが、思っているだけでは目の前の女は曖昧な笑みを零したまま、静かにスープを啜るだけだろう。 私の理屈が正しければ、彼女は多分このまま行けば食事中に口を開かない。 恐らく、雫に遠慮しているのだろう。 ……だが、ふと思うのだ。 ゆかりは私が好きだと言っていた、それは雫も一緒なのだろうか? そう思いながら目線を動かすと、少女と目線が交わった。 彼女は、そんな私を見ながら小さく笑みを漏らす。 その表情からは、私に対する感情を読み取ることは出来ない。

9 22/03/04(金)06:09:28 No.903092486

ただ愛想で笑みを浮かべているようにも見えるし、その笑みにも何かの意味があるのかもしれない。 ……それとも、ただ何も考えていないのか。 一見した評価と、実際の評価の差を考えると色々と乖離がある事に気が付かされる。 ゆかりは見た目よりもわかりやすいし、雫は見た目よりも複雑だ。 表情はどちらも色々と変わる事を見せてくれるし、それでも彼女たちは興味深い。 ……そして、彼女たちの感覚は年老いている筈なのに何処かみずみずしい。 彼女たちの様子を見ていると、何だか不思議な気分が沸き起こってくる。 それは……少なくとも、彼女たちはこの家の中で困っている限りは手を伸ばしてくれるのだろうと思う。 だが外に対する態度はそれとは別だ、彼女たちは自分たちならば解決できる問題を目視して何を思ったのだろうか。 悲しんだのだろうか、それとも仕方ないことと割り切る事ができたのだろうか。 ……もっと、手を伸ばす。 彼女たちを見極めるためには、そうするしか無い。 「……ゆかり」

10 22/03/04(金)06:09:43 No.903092496

私がそう言って、彼女の名前を呼びつける。 すると、彼女の体が少し揺れた。 少しだけ目を見開いてこちらを見る彼女の表情は、少しだけ何かを期待しているように見える。 ……頼ってほしいということか? 私はそう言って、次の私の言葉を待つ彼女に対して口を開く。 「……これがどういう料理なのか、教えてくれますか?」 「あ、は、はい」 私がそう言うと、彼女の目が少しだけ嬉しそうに細められた。 その表情が、余りに目まぐるしく変わるの変な錯覚を覚える。 ……まるで、彼女が小さい子供のように話を聞いて欲しがるとは思いやしなかったのだ。 「……これは、昔のフランスという国で作られた料理です」

11 22/03/04(金)06:12:20 No.903092610

今日はここまで fu856933.txt これから根暗ジメジメクソロリコンレズレイパーのゆかりになるってマジですか?

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