虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/02/27(日)14:44:12 No.901660832

    [不定期] 関係ねぇ、きりたんを産卵させてパンケーキを作りてぇ [成分] ・ゆかきり ・コッショリ ・淫紋

    1 22/02/27(日)14:44:31 No.901660913

    そうして、私は得物も逃げ出す口実もすっかり逃してしまい。 二人の女が奥の台所で料理を作るのをじっと待ち続けている。 部屋の奥では、何やら料理をしている匂いは漂っているようですが、正直なところ彼女との出会いも相まって不気味です。 ……何やら底知れないようで、だが何かが抜けている。 奇妙な感覚だ、こうして彼女たちから離れているともしかしたら出し抜けるのではないか、そんな気分が湧き上がって来た。 もしかしたら、美味しいご飯を食べて彼女たちをだまくらかしてもとの家に帰ることだって簡単ではないのだろうか。 ……そう思うと、何だか楽観的な気分になってくる。 敵意は感じないし、今の所言及されているのも私の出自くらいなものだ。 後は鉈を取り返して、さっさと家に帰ってしまえばいい。 そう思い始めると、幾分楽な気持ちになってきた。 「……出来の良い、調度品ばかりだ」

    2 22/02/27(日)14:44:41 No.901660952

    そんな気分になってくると、家の様子が段々と気になってくる。 どれもこれも精巧に作られていて、普段使う日用品のように無骨ではない。 立ち上がって、部屋の中をゆっくりと歩き回る。 ガラスの板をはめ込まれた食器棚を覗きんで端まで彩られた食器を見ると、繊細なガラス細工や陶磁器がふんだんにそして華美になりすぎない程度に飾られている。 ちょっとやそっとの成金では、こうはならないだろう。 天井から注ぐ明かりは、奇妙な丸い円盤状の薄い板の中から透けている。 ……だが、火を使っていれば当然出てくる明かりの揺らぎはなく、ずっと光が固着したように動かない。 これも魔術なのか? ……それにしては、何か怪しい気配は感じない。 ……そんな事をぼんやりと思っていると、台所へと続くと思われるドアが開かれる。 立ち上る匂いを嗅ぎ取ると、思わず目線で匂いのもとを見つめてしまう。 「あら、座ってて構わないのに」

    3 22/02/27(日)14:44:51 No.901660993

    そうして先に出てきたのは、ゆかりで後から雫が半分に切ったバケットが幾つか入った木の器を運んでいる。 鼻先にまで届く匂いは、抗いがたいほどに魅力的だった。 先日までの粗食とは大きく違う、豊かで魅力的な黒いスープ。 それを背の大きな女は、鍋に入れて運んできていた。 「……別に」 そう言って何かを誤魔化すように目線を反らす。 ……これを食べたら帰るだけ、そう自分に言い聞かせる。 「ふふ、ほらきりたんも席に座って」 「……はい」 一瞬湧き出してきた反抗心を抑えながら、先に席についた彼女たちを警戒しながら席に座る。 ……問題が有るとすれば、私の正面から見て左右に彼女たちが席についていることか。

    4 22/02/27(日)14:45:04 No.901661051

    「それじゃあ、頂きます」 「頂きます」 そう言ってふたりとも、両手を合わせてからビーフシチューを皿に盛り付け始めた。 ……だが一方の私は見慣れない行為に少し面食らったような表情をする。 「……何ですか、今のは」 私が思わずそう言うと、雫が私を見て少しだけ困ったような顔をしてみせた。 「あ、きりたんは知らないんだっけ」 「あら……忘れてたわ、今の人はそういうことはしないんだったかしら」 「……おまじない?」

    5 22/02/27(日)14:45:17 No.901661101

    私が彼女たちの行為を見て、何となく当てはまる言葉を呟くと二人が顔を見合わせてからくすくすと笑みをこぼす。 「ええ、そういうものです」 「いただく食べ物に、これから食べますよっていう感謝を述べる言葉ですよ」 「……私は、しませんから」 そう言って、木の机の上に置かれた鍋から、お玉でいっぱいすくい上げて自分の皿によそう。 ……ちらりと二人の様子を伺うが、特に何かを気にしている様子は見せない。 それどころか、対して気にもとめずに私がシチューを皿に取るのを眺めている。 それが尚の事不気味だ。 ……もしかすると、この中になにか入っているのか? そう思って取ったシチューを軽く睨みつける。

    6 22/02/27(日)14:45:31 No.901661148

    「変なものは入っていませんよ」 「……どうだか」 そう言って声を掛けた女性を軽く一瞥してから、周囲の二人が先にシチューを口に含むのを眺める。 だが、思いの外あっさりと彼女たちはバケットを手にとって、器の中の黒いスープをパンで軽く掬ってから食べ始めた。 ……警戒しすぎなのだろうか? ……いや、そうではない。 これくらいの警戒はするべきなのだ、そう思いながら彼女たちがシチューを食べるのを他所に、切り分けられたバケットを手に取る。 ……パンの生地は、白パンを使っているらしい。 ふん、どうやら何らかの農地は持っていると見た。 それとも、豪族か何かの別荘なのだろうか。 ……まあいい、こんな奴ら私には関係の無いことだ。 そんな事を思いながら、パンを手に取る。 恐る恐る一切れ千切ってみるが、違和感は感じない。 ……普通のバケットだ。

    7 22/02/27(日)14:45:44 No.901661208

    それを口に含んで、口の中で転がす。 硬い食感、だけど白いパン生地は甘い。 久しぶりに食べる美味しいご飯の味に涙が出てきそうだ。 「……美味い」 そうポツリと呟くと、目の前の二人が私ににっこりと微笑んでみせた。 「そうでしょう?」 そう言って口を開いたのは雫。 その表情には当たり前でしょう、とでも言いたげな表情が映っている。 ……もしかしたら、何か勘違いをしていたのではないか。

    8 22/02/27(日)14:45:55 No.901661240

    そんな錯覚を覚えそうになる。 ……今の所、別段変なことをされているわけでもないし、出される食事は真っ当どころか極上の一品。 もしかしたら彼女たちの所にいれば、もっといい目に合うことが出来るんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。 「……そうですね」 そう返事をすると、二人の女は私をじぃっと微笑みながら見つめている。 その目線は私の食べているパンと、私の口元に注がれていた。 そしてその目線から、私の危険管理能力だけはずっと警報を鳴らしているのだ。 こいつらはヤバいと。 だが、何を持ってヤバいのか?

    9 22/02/27(日)14:46:06 No.901661281

    私を恋人扱いにしようと言い出している所? それとも出自不明の部屋の品々のせい? ……まばらに散らばっている要素だけは、どれも何か危機感を煽ってはいるのだが、確定的な確信が持てずにいる。 何となくちらりと二人を見ると、彼女たちはにっこりと微笑みを零す。 私を見ている事を隠そうとすらしない、それがより一層不気味なのだ。 ……この緊張感さえなければ、思う存分この美味しい料理に舌鼓を打つのだが……。 そんな事を思いながら次にスプーンを手にとって、ビーフシチューをゆっくりと掬い上げる。 目の前で蒸気を上げる黒く、そして肉と野菜の混ざった匂いのするスープを見つめて思わずつばを飲む。 ……こんなに上等な料理、食べたのは何時以来だろうか? ……いや、違う。 食べたことなんて、無いはずだ。 村に居た時、この料理を口にするはずがない。 肉といったら鶏肉が精一杯のあの村で、細々と生活している私と家族がこんな料理など口に出来るはずがないのだ。 ……では、何故私はこの料理を懐かしいなどと思ってしまったのだろう。 ……いや、そんなはずが有るわけがない。

    10 22/02/27(日)14:46:18 No.901661347

    彼女たちの言うことなど、まやかしに過ぎないのだから。 そんな考えを拭い去るように、スプーンを口に入れる。 ……染み渡るような肉の味と、溶け込んだ野菜、それにブイヨンの味。 「そ、そんな、筈はない……」 「ね? 懐かしい味でしょう、きりたん?」 そう言ってこちらを見つめる女を睨みつける。 ……だが舌は、確かに懐かしい味だと知覚していた。 ……もしかすると、彼女の言っていることは本当のことなのか? 「ち、違います! ……ただ、美味しいと思っている……だけ……です……」

    11 22/02/27(日)14:47:45 No.901661680

    今日はここまで fu843743.txt ヒで朝からエッチなゆかきりの絵が流れてきてバチクソに元気になっちゃったから 負けてらんねぇなっていう気持ちになりました

    12 22/02/27(日)15:15:45 No.901668834

    来てたのか! 取り乱すきりたんかわいいね…過呼吸してそう