ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/02/26(土)20:57:34 No.901413146
ある日の夜でした。普段はおちゃらけて不真面目な我が友、シップが私を誰も居ない練習コースの真っ只中に呼び出したのです。 「どうしたのですかシップ。大事な練習器具にイタズラしたら反省文程度じゃ済まされませんよ?」 私がそう戒めると、しかしどうして我が友は至極真面目な顔で私の方向へと振り返りました。 「…あんな、ジャスタ。今から凄く馬鹿馬鹿しいけど現実に起こる事を話すぜ」 「…お巫山戯にしては演技が過ぎるのでは?」 私がそう言うとシップはクックック、と苦笑を漏らすのでした。それは恐らく、今までの自分の奇行に対する評価と信用の無さに対して。 「ゴルシちゃんな。ゴルゴル星の第一王女なんだ。地球でいっぱいレースして、勉強してきたから、オヤジとかーちゃん、あと口煩い爺やと婆やが、いい加減ゴルゴル星に帰ってこいって言ってきたんだよ」 我が友が語る言葉は、とても真剣其の物でしたが、真剣であるが故にそれはとても胡散臭く信用に値しない言葉に聞こえました。 「流石に信じられねえよな。相棒。ジャスタウェイ」 寂しげに笑う我が友はどうして、私の胸に酷く痛く突き刺さるのでした。
1 22/02/26(土)20:57:57 No.901413293
「…そろそろ迎えの来る時間だ」 時計を見て、夜空を見上げる我が友。それに倣って私も夜空を見上げました。すると… 遠く、空の彼方から、明らかに動いている光の物体が見えたのです。人工衛星の明かりでも、空高く飛んでいる飛行機の明かりでもありません。紛れもなく、それはUFOと呼ばれる物でした。 銀色で流線型の葉巻型のソレの側面には、我が友の帽子に刻まれていたエンブレムと同じ文様が付いていました。 信じられません。余りの現実感の無さに頭がパンクしそうです。 「じゃあな、ジャスタウェイ。アタシの愛しいウマ娘。楽しい日々をくれてありがとうな」 私を抱きしめて、別れの言葉を告げる我が友。嗚呼、嫌だ、嫌だ、行っちゃ嫌だ。だって私は、私はもっと…そう 「愛してくれるって!」 私は叫びます。 「ずっと愛してくれるって、一生愛してくれるって、言ってくれたのに!!」 「相棒って呼ぶのはお前だけだって言ってくれたのに!!」
2 22/02/26(土)20:58:59 No.901413725
怒りと悲しみと虚しさが噴火します。 「私に対する言葉、そして愛情は全て嘘だと言うのですか、我が友、ゴールドシップ!」 そう叫び、悲しそうな表情でゆっくりと振り返り…再び宇宙船へと歩み寄る我が友を見て、私は、私は…! 利き手に気力を強く送り込みます。グワングワンと音を立てて力の流れが唸り、掌の中には一振りの木刀が握られていました。 「ゴールドシップ!!」 私は涙を流しながら叫びます。彼女は歩みを止めて振り返りました。 「黄金の不沈艦! 貴女は確かに皆から、私からそう呼ばれましたよね!」 「…ああ」 「ならばこそ、私は!」 ──貴女《黄金船》を略奪する!!── 私はそう宣言すると、夥しいオーラを纏った木刀を構え、雄叫びを上げました。 『我が道ぞ、其処を退け!旭・日・昇・天!!』 全身全霊の居合い切りは我が友の意識を失わせ、宇宙船を綺麗に真っ二つに叩き斬りました。
3 22/02/26(土)20:59:28 No.901413872
燃える宇宙船を背中に、私は気絶を失った我が友を抱きしめます。そして《領域》の力を応用し、互いの手首に鎖を結びました。 「ぅ…けほっ、けほっ、ジャスタ、お前…お前なんて事」 「知りません。そんな事は知りません。何故なら我が友、ゴールドシップ、貴女はもう私の物です。黄金の不沈艦の持ち主は私になったのです。誰にも言わせません。貴女は一生。そして来世でも、私の物です。嫌とは言わせません。貴女が、貴女が裏切ったのが悪いのだから」 そして私はシップを連れて寮へと戻ると体を重ねました。 我が友がもう駄目、頭がおかしくなる…! と愛撫を止める事を懇願しても私は手を動かし、舌を動かし、玩具も、怪しいお薬を使ってまで不沈艦が沈む程の愛を『注ぎました』 …数日後。私の傍らには朗らかな笑顔で、首輪を付けて私にべっとりとくっ付いている我が友の姿がありました。 この不沈艦の金の鎖は、私だけのモノ…… 誰にも、渡しません。 誰にも、決して。 私だけの、ゴールドシップ《愛しいヒト》
4 22/02/26(土)21:00:49 No.901414420
尾終い ジャスタは独り残されてシップにゴルゴル星に帰られるとしたら 重い鎖をその首に巻いて返さないよねって ドロドロした物が出来ました