ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/02/19(土)01:58:19 No.898732883
泥の深酒
1 22/02/19(土)02:07:59 No.898734865
落ち側に2つ来てたな…
2 22/02/19(土)02:18:49 No.898736958
>天魔のシリアスな奴 天摩市の繁華街の路地裏を一人の女性が歩いていた。酔っているのだろうか、その足取りはふらつき顔も赤い。 「おやおや、お嬢さん?こんな所を一人で歩いていては悪い狼に食べられてしまいますぞ」 そんな女性の後ろから、帽子を被りトレンチコートに身を包んだ大柄な男が話し掛ける。 「こんな風にねぇ!」 男は帽子を脱ぎ捨てると、蜥蜴のような奇妙な顔が露になった。その口内は紅蓮のように、とでも言えば良いか真っ赤に染まり、牙は生理的嫌悪感を感じさせるぬめぬめとした光沢が見えた。 女は驚きからか、一歩も動けない。蜥蜴男は女の味を想像して目元を緩ませる。 ───その瞬間 「……残念、私は赤頭巾ではなく猟師よ」 女は一瞬の内に身を翻し、隠し持っていた拳銃で蜥蜴男の口内を正確に撃ち抜いた。 「ガッ! ウエッ! くぅ……さては魔術師ですか、洗礼済みの銀コーティングフルメタルジャケット…最初から狩りが目的と」 蜥蜴男、ドラッドは口内の弾丸を口から血と共に吐き出すと、ひしゃげた弾丸を指で掴み吐き捨てるように目の前のそれを睨み付けた。
3 22/02/19(土)02:20:17 No.898737243
「正解よ、海兵隊に今も信仰されてる45口径の味は如何?」 「最悪ですね、鉄分は有り余ってるので」 ドラッドの皮肉に女、リシアは不愉快そうに目を細める。 狩る側と狩られる側、イニシアチブが逆転したとは言え、その実力、力量は変わってはいない。 リシアは懐から護符を取り出すと、ジリジリとドラッドとの距離を取る。 「あー、一つお聞きしても? まぁこっちが一方的に喋りますが。 私、貴女の家族を害しでもしましたかな?身に覚えが無いのですが」 「はっ、余罪なら幾らでもあるでしょに『角在りし蛇』……この街の騒動について話すなら弁明くらい聞いてあげるけど?」 「……ああ、成る程。 私が今回の件に関わっていると、そう勘違いされていると言うわけですか」 ドラッドの言葉により生まれたリシアの一瞬の隙。ドラッドはそれを見逃さず、瞬時に距離を詰めた。 リシアの腹に向けて放たれる右拳、先祖帰りした混血の一撃は人間などかすっただけで肉塊へと変わる。リシアは護符に魔力を注ぐと前方に風を発生させ、後方へと飛んだ。 「くっ…!」 しかし、ドラッドの一撃は風の防壁とでも言えるそれを貫き、僅かながらリシアに触れていた。
4 22/02/19(土)02:21:30 No.898737490
風の防壁により威力を削られても尚ボクサーに殴られたような痛みを感じ、リシアは思わず胃の内容物を吐き出す。 「並みの魔術師や代行者ならこれでお陀仏何ですが、頑丈ですなぁ」 風の防壁によりズタズタとなった右拳を振りながらドラッドは言う。 「冗談、すげぇ痛いわよ。 暴行罪も罪に追加ね」 「まだ軽口が叩けるとは、油断なりませんな」 リシアは反吐を吐き捨てると、再び拳銃と護符を構える。ドラッドもまた一切の油断なく拳を構えた。
5 22/02/19(土)02:28:58 No.898738808
その時、 気配がした。清浄にも関わらず強い魔力と死の気配。……それが代行者達の物だと二人は知っていた。 「今この街で代行者相手はマズい。いやはや、今宵はこれでお開きにいたしましょう!……ああ、最後に言っておきますと、我輩マジで天摩市へは腹を満たしに来ただけですから!」 「待て!」 帽子を被り、繁華街へと走り去るドラッドにリシアは叫び後を追うが、既に人混みに紛れその姿を追うことは出来ない。 「クソッ! ……ウッ!(観閲済み)」 近寄ってくる人の気配にリシアは酔っぱらいの振りをして嘔吐する。 いや、戦闘前に呑んでおり、激しい運動で三半規管も限界だったのもあるが。 「あー、酔っぱらい。外れかぁ。 お姉さん、この辺で変なの見なかった?」 「ヴッ(観閲済み) あ、あっちに…」 「ありがと、この辺物騒だから気をつけてね!」 口元の嘔吐物を拭いながら暗闇に消えた何者かの後ろ姿を一瞥する。 上手く誤魔化せたかは定かではないが、敵とは思わなかったらしい。 どう思われようが構わない。カンパニーとビュロウの上同士の決定でどうせ二、三日中には本国に帰還しなければならないのだ。ビールでも買って帰るとしよう
6 22/02/19(土)02:40:41 [再掲] No.898740589
>天魔のシリアスな奴 >企画キャラ成人後の飲酒 あの死闘が霞んで思える程の月日が経った。 耳朶に刻みつけられた剣戟も、網膜に焼き付いた闇の色も。 思い返すほどに胃酸が込み上げてくるような日々が、朧げになっていく。 遠近感の失われた眼で傍らの缶を掴み、僅かに残された酒を求め傾ける。 「…………何やってんだろうな、私」 片腕を失くした女性は右腕のみで器用に袋を漁り、2本目となる缶ハイボールのプルタブを開ける。 もう何も考えたくない。逃避の末に行き着いた末路がこれかと、自嘲して笑う。 これでも元々魔法使いだったんだ――――そんな過去すら、今や子供たちの話題の種でしかないが。 「……燃えろ」 空き瓶を放り投げ、その行く末に注視するも火花一つ散らずにゴミ箱へ。 もう何も残っていない。残されたのは自責の念と後悔と、染み付いた恐怖だけ。 だから、その全てを忘れるように……今日もアルコールに溺れていく。
7 22/02/19(土)02:59:01 No.898742787
良質な戦闘だ
8 22/02/19(土)03:06:57 No.898743592
トカゲ野郎強いんだな…