ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/02/19(土)00:11:59 No.898704059
もしも“自分”がチームメンバーの中で“彼女”にするなら誰か、という少しばかり妙な話題で私達がガールズトークを繰り広げることになったのは、単にこのチームで『トレーナーがチームメンバーの中で彼女にするなら誰か』という思春期なウマ娘の王道的話題を振ろうものなら今年に入ってすでに三度崩壊しているプレハブが四度目の崩壊と再建を迎える羽目になるであろうという結末(オチ)が満場一致で脳裏に浮かんだからだ。 さすがにこの寒さの中でプレハブの立て直し作業を行うのは辛いものがあるよなぁ……と三度目でやっと学んだ尊い犠牲の賜物。故にそこから少し変形させて乱闘騒ぎにならないであろう代替案として選ばれたのが上記の話題ってこった。 「うーん、私が彼女にするんだったらぁ…オルフェちゃんかな♪」 「は? カレンお前…正気か」 こいつマジで言ってんのか? 私の怪訝そうな表情を見てカレンは頬に指を当て「そう?」と愛らしい仕草で首をかしげる。相変わらず一つ一つの動作がその道のプロだわ。女の私ですら可愛いと思うのだから、男なら尚更だろう。
1 22/02/19(土)00:12:19 No.898704165
「オルフェちゃんって見た目がいいからきっとウマスタ映えすると思うし」 「ヴィジュアル一点買いかよ」 「うふふ。でもそれだけじゃなくて、オルフェちゃんって好きな人にはとっても一途になるタイプだと思うから♪ 恋人になったらカレンのことすごく大切にしてくれそうだよねー…一緒にかわいいこといっぱいしたいな♪」 あー…まああいつには、そういうとこもあるかもなぁ…一応。とその理由に多少納得しつつも、それでもあの愚妹だぞ…? 姉目線でダメダメな妹を生まれてきた時から見守ってきた私にはいまいちその心の機敏がわからなかった。 「愚妹ねぇ…スイープはどうなんだよ?」 「私ならこのチームの中から選ばないわ!」 一番非常識な奴が常識的なことを言うな。
2 22/02/19(土)00:12:38 No.898704273
「それを言ったら話が終わってしまうでしょう」 デュランダルの至極冷静なツッコミの一閃にぐぬーとやだやだ顔を隠さないスイープ。まあそもそもこんな話を始めた切っ掛けが暇を持て余した私達の暇つぶしなので話が進まないことには時間も潰せないからな。 「……まあどうしても選べっていうなら嫌々だけど私もオルフェかしらね! 嫌々だけど!」 「まさかの愚妹二連続かよ…」 やだ私のチーム男の趣味悪すぎ…愚妹は女だが。 「オルフェってなんだかんだでどれだけわがまま言っても許してくれるとこあるじゃない? 付き合うならやっぱりアタシの全部をそのまま受け止めてくれる人がいいもの! …あっ!? 勘違いしないでよね! 消去法で嫌々で仕方なく選んだだけなんだから!」 「うーん…」
3 22/02/19(土)00:13:00 No.898704397
まあ確かに愚妹には小さい頃から私が教育(調教)してやったからそういう耐性も確かにある。あるがそれはありのまま受け止めるってことでいいのかどうか。 でも言われてみると、思い返せば愚妹ってスイープのわがままそんな嫌がってねえんだよな…本来ドSの癖にドMの気質もあんのか、あいつ…? わがまま言われて嬉しいなんてのは、私にはわかんねえ感性だ。 ちなみに話題の人である愚妹はプレハブの備蓄品が切れたので強制的に買い出しに行かせた。エールとソングラインは先輩1人じゃ可哀想、ってことで付き添いだ。あの後輩二人はウチのチームには珍しく真面目で優しいよなぁ…レース中はまさにキボンヌメンバーって感じだが。 して、最後に残ったのはデュランダルだが…まあエールだろうな。目に見えるレベルで気にってるし。 「しいて言えば、私もオルフェーヴルですね」 頭痛がしてきたのはおそらく気の所為ではない。ちなみにさすがにカレンとスイープも予想外だったようで思わず「えっ!?」という驚きが溢れていた。
4 22/02/19(土)00:13:47 No.898704628
「エールは確かに可愛い後輩で愛弟子ですが…彼女にする、ということを考えると少し違いますね。私は恋仲になるのならその人を支えたいと思います。エールはことレースに限っては見ていて心臓が悪くなることもありますが、その心には決して折れず曲がらず輝く剣が宿っている。 ですから、私が支えずとも彼女は立派に歩んでいくことでしょう。そして、あの人が作ったこのチームのメンバーもほとんどの皆が強い剣を…心を持っています。しかしオルフェーヴルは違う…すべてを両断するような鋭さを持ちながら、しかしその刀身は強く振るえば容易く折れてしまうような薄刃の剣…誰かが鞘になってやらなければなりません」 デュランダル特有の聖剣語でわかりずらいがおそらく愚妹がクソザコメンタルだと言いたいのだろう。さすがチームの最古参だけあってメンバーのことをよく見ている。愚妹は手先は器用でやろうと思ったことは少しやれば何でもできる癖に生き方そのものが不器用なのだ。確実に1人じゃ生きていけねぇタイプでお姉ちゃんは心配で心配で涙がでちゃうぜ全くよ。 「そういう意味で、私はオルフェーヴルの鞘となってもいい…そう思いますね」
5 22/02/19(土)00:14:12 No.898704754
無論チームで彼女にするならばという仮定の中だけでの話ですが、と付け加えて精神統一するようにデュランダルはすっと目を閉じる。若干頬が赤くなっていた。 「デュランダルってダメ男にハマるタイプだよな…」 「アタシもそう思うわ!」 「悪い人に騙されないようにねデュランダルちゃん…」 「失礼な…それはそうと、まだジャーニーは言ってませんでしたね。ジャーニーは彼女にするなら誰なのですか?」 して、ラストは私である。彼女にするならかぁ…ぶっちゃけ私もスイープと同じでこのチームの中から選ぶのはノーサンキューだがそういうわけにもいくまいて。
6 22/02/19(土)00:14:53 No.898704962
カレンチャン…ない。あのウマスタだのかわいい空間に耐えれる気がしない。ついでに尻に敷かれそうなのもやだ。 スイープ…ない。わがままに付き合いきれる気がしねぇ。付き合って三秒で喧嘩別れするだろう。 デュランダル…ない。重い。 エール…ない。後輩としては可愛いもんだがあの元気っぷりと喧しさは彼女とするとなると厳しいものがある。 ソングライン…ない。あいつ絶対いざって時は手がでるタイプだ。最近どんどんたくましくなってるしバトっちまうと確実に血を見る。 ……困ったな、マジで誰も彼女にしたくねぇ…なぜ私はこんなくだらねぇ暇つぶしの話題で真剣に悩んでいるのだろう…。 私のことをよくわかってて、私の言うことをよく聞いて、そんでもって一緒にいて楽しくて、彼女にしたくなる奴がこんなチームにいるわけ…。 ……。 「愚妹、かなぁ」
7 22/02/19(土)00:15:10 No.898705055
「…うわー…」 「嘘でしょあんた…実の妹はやばいでしょ…」 「ジャーニー…さすがに私もそれは引きますよ…?」 「ぶっ殺すぞてめぇら!? あぁ!?」 ――そうして、結局プレハブは今年四度目の崩壊を無事迎えた。 買い出しから帰ってきた愚妹が死んだ目をしながら再建に励むことになることは別の話である。 結論、ウチのチームで色恋沙汰の話をするとろくなことにならない。
8 22/02/19(土)00:15:53 No.898705285
おまけ 「え? まさかとは思うッスけどそんな話の流れでプレハブぶっ壊すことになったんすか? ねえ姉貴? ねえ」 「うるせぇ文句なら私を怒らせたあの三人に言え。直す暇つぶしに聞いてやるがお前なら誰を彼女にするよ」 「はぁーマジ信じられねぇッス…まあもう済んだことは仕方ねぇッスけど…もしもうちのチームで彼女にするなら誰かッスか…」 インパクトドライバーを本職顔負けの手付きで扱いながら、うーんとしばし悩み…愚妹は言った。 「全員ッスね」 「は?」
9 22/02/19(土)00:16:06 No.898705342
「いや、だってカレンの姉御と付き合ったらかわいくておしゃれな場所とか連れて行って貰えて楽しそうッスし、スイープ先輩と付き合ってわがままに振り回されるのもそれはそれでずっと刺激的で暇にならずに済んで悪くないッスし、デュランダル先輩と付き合っても厳しくも優しく支えてくれそうでありがたいッスし、エールちゃんと付き合っても毎日騒がしくて元気貰えそうッスし、ソングラインちゃんと付き合っても普通の甘酸っぱい恋愛とかできそうでいい感じッスし…それなのに1人だけ選ぶのってすげームズくないッスか?」 「えぇ…」 「まあでも…もしもにさらにもしも加えて、アタシと姉貴が姉妹じゃなかったらとかだったら…意外と、姉貴と付き合ってんじゃないッスかねアタシ」 ケタケタとくだらない冗談を笑い飛ばすかのようなそんな愚妹を見て、こいつそう遠くない未来に刺されそうだなと私はにわかに思った。
10 22/02/19(土)00:16:11 No.898705381
マスクド三冠馬嫁力高いから分かるよ…
11 22/02/19(土)00:16:55 No.898705632
と思ってたらこの女たらしはさぁ!!!!