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画像ファイル名:1643124664676.png 22/01/26(水)00:31:04 No.890591540
本日は休日。 丸一日フリーなので、トレーナーさんの部屋でゴロゴロさせていただきましょう。トレーナーさん分を摂取しなければ、今週も戦い抜くことはできません。 なので私の天敵とも言えるサンサンサン爽やか三組ばりのお日様の下、私は重い腰を上げてトレーナーさんの部屋を訪れました。 チャイムを押す……必要はありませんね、合鍵ありますし。なんなら運が良ければトレーナーさんのあられもない姿を見られる可能性もあるので、邪なカフェちゃんは強行突入することにしました。 と、決意した矢先、玄関前に立ったらがちゃりとドアが開いて。 「ん、カフェ? 遊びに来たのか?」 「暇だったので……来ちゃいました」 現れたのはジャージ姿のトレーナーさん。あの、まさか……。 「あー、今からジョギング行くとこだったんだ。一時間くらい走ってくるから、部屋で待っててもらえる?」
1 22/01/26(水)00:31:24 No.890591635
そんなご無体な。こんな目の前にトレーナーさんという餌をぶら下げられて、一人で一時間も待つなんて地獄じゃないですか。 「やはりジョギングですか……今から出発しますか? 私も同行します」 「カフェ院」 待つくらいなら走りましょう。仮にも私はウマ娘……アスリートですから。休日のトレーニングもなんのその。 「でもカフェのジャージ、洗濯してるんだよな……着るものが……」 「たかがジョギング一時間、私服で走りきってやります」 「そうか? なら軽く一緒に走るか」 「マンハッタンカフェは伊達じゃありません!」 などと調子に乗ったのがつい十分前。 トレーナーさん宅でだらける気満々だった私は準備も覚悟もできておらず。まるで北風と太陽の逸話の如く、数分走っただけで汗はだくだく、足はがくがくの有様でした。
2 22/01/26(水)00:31:49 No.890591762
「ほらもう、だから素直に部屋で待ってなって言ったのに……日差し苦手なんだから……」 「うぁ……トレーナーさんが三人に見えます……」 呆れ顔のトレーナーさんに背負われ、部屋へと引き返していました。流石にちょっと申し訳ない気分。カフェちゃん、反省してます。 隣にはやれやれとため息をつくお友だち。時々死にそうな私の顔を見てはクスクスと笑っていてムカつきますが、私は悪態をつく体力もなく……。 ……ちょっと待って下さい。私、気付いてしまいました。 「この匂い……」 「ん、どうした?」 「いえ、なんでも……」 これは……トレーナーさんの微かな汗の匂い……!! 芳しくも男らしさを感じさせる、青春の香りが私の鼻孔をくすぐります。
3 22/01/26(水)00:32:09 No.890591869
なんてことでしょう……ユートピアはここにありました。全ては神の采配……私がグロッキーになってダウンしたのも、全てはこのときのため……! というわけで、スペさんから奪い取った全身全霊、今まさに使うべきとき……!! 「すーー……はーー…………」 「お友だち、よろしく」 トレーナーさんはぺいっと、背中の私をお友だちに乗せ替えました。 「!? 何故ですかトレーナーさん! 今まさに私は天国へ……!」 「だからだよ、人目がある路上でいきなり人のうなじで深呼吸始めるんじゃないよ」 「……ちっ……そんなに矮小なヒト共の視線程度が気になりますか……」 「いきなり世界を滅ぼそうとするような言動は辞めるんだカフェえ……!?」 お友だちは私の目論見が崩れて満面の笑み。ルンルン気分でスキップしながら私を運びます。くっ……完璧だったはずの私の計画が……!!
4 22/01/26(水)00:32:40 No.890592017
そんなわけで部屋へと連れてこられた私ですが。思いの外体力が尽きており、トレーナーさんの布団に寝かされていました。 「でもいくらなんでも体力尽きすぎじゃないか……?」 「昨夜は徹夜でトレーナーさん隠し撮り集を眺めていたもので……」 「何してんだお前ほんと……」 ナニしてたんだと言われたら、答えてあげるが世の情け。 「……いや、やっぱり何も言わなくていい」 「失礼ですね……お友だちに見られても恥ずかしくない程度のことですよ……」 「そのお友だちはあんな感じだが?」 両手で押さえた頬をぽっと赤らめ、視線を逸らすお友だち。あー、昨夜のアレコレはそのライン越えてましたか。自分だって時々してるくせに……カフェちゃんは知ってるんですから。 「まぁしっかり休んでなさい。何かさっぱりするお昼でも作っておくから」
5 22/01/26(水)00:33:11 No.890592174
そう言い残して立ち去ろうとするトレーナーさん。でも私は、一人は少し、寂しくて……。 つい、トレーナーさんのズボンの裾を引っ張ってしまいました。 「あの……少しでいいですから……」 「……なにかな」 「添い寝してもらっちゃ……駄目ですか……?」 これは特にインモラルな気分とかではなく。 素直な私の、素直な気持ち。 女の子は弱っているとき、好きな人に寄り添ってほしいものなんです。男の子もそうかもしれませんが。 「お願い、です……トレーナーさん……」 そして必殺の上目遣いアタック。お正月は不発でしたが、今は真っ向から直撃です。
6 22/01/26(水)00:33:37 No.890592328
「ぐ……」 「とれーなーさん……」 「…………少しだけ、ね」 そう呟くと、トレーナーさんが隣に来て、静かに横になりました。それだけで私の心は、少しずつ穏やかになっていきます。 今日は、大人しくしていようと思います。たまにはただただ優しい一日を過ごすのも、悪くありませんから……。 と、私は思っていたのですが。 何故かトレーナーさんの表情が、少しずつ辛そうに……というか、赤くなっていって……何か悪いこと、してしまったでしょうか……? 「あの、トレーナーさん……私、何か……」 「いや、カフェは悪くない。これについては、きみは悪くないんだ……」 恥ずかしそうに視線を逸らすトレーナーさん。問い詰めるような目で、尚も見つめ続けると。
7 22/01/26(水)00:34:01 No.890592467
「その……色々言っておいてなんなんだけど」 「はぁ」 「カフェの汗の匂いが漂ってきて……ちょっと、イケナイ気分に……」 カッと、顔が熱くなりました。 言われてみれば外でグロッキーになって、私は汗がだくだくで……シャワーも浴びず、そのまま布団に横になっていて……!? 「は、離れてくださいトレーナーさん……! 私、くさいですから……!!」 「いやくさくなんて全然ないけど、カフェが嫌なら勿論……ぬあっ!?」 その瞬間、謎の力で左右から押し潰される私たち。密着し、互いの顔が眼前にあり、漂ってくるのは二人の仄かな汗の匂い。 「ぁぅ……!?」 「いやっ、そのっ……!?」
8 22/01/26(水)00:34:25 No.890592600
互いのこんな表情、ウオッカさんが薄い本を見つけたときくらいしか見たことがありません。この程度のこと、慣れっこだと思っていたはずなのに。 突然遭遇すると、私たちは身動き一つできなくて。すると、頭上からクスクスとお友だちの笑い声が聞こえました。 「アナタ……アナタの仕業なんだね……!?」 顔を真っ赤にして叫ぶと、『たまにはこんなのもいいだろ?』とはお友だちの弁。 そうかな……そうかも……。 いつもの私なら、掛かりに掛かってトレーナーさんに襲いかかり、見事なカウンターを受けて夏の終りのセミのように床に転がっているところですが。 今日の私は何故か、そんな気が起きなくて。
9 <a href="mailto:おしまい">22/01/26(水)00:34:46</a> [おしまい] No.890592705
「……トレーナーさん」 「な、なに?」 「もう少し、もう少しだけ……この距離でも、いいですか……?」 「あ、あぁ……カフェが、いいのなら……」 もう日差しも運動もないはずなのに。 私たち二人は互いの息を感じながら、尚もしっとりと静かに、汗をかいていました。
10 <a href="mailto:s">22/01/26(水)00:35:24</a> [s] No.890592870
インモラルカフェさんも時々は大人しくなっちゃうね こういうギャップというか二面性もカフェの可愛いところだと思うんだ
11 22/01/26(水)00:39:11 No.890593999
お友達仕事したな!!
12 22/01/26(水)00:39:24 No.890594071
カタログでもインモラルな顔してる!