虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 22/01/25(火)20:16:12 No.890498313

まず漂ってくるアルコール臭、ついで目に飛び込んできたのは部屋のあちこちに転がる酒類の空き缶や瓶、ベッドには部屋の主人では無くアタシの友人の専属トレーナー二人が抱き合って寝ており、主人は半裸でコタツに突っ伏している。 そしてベランダに続く大窓は開け放たれており、そこには今にも飛び降りんと手摺に足をかけている芦毛の美女、ゴールドシップ。 その小脇には彼女のトレーナーが抱えられている。 ゴールドシップは部屋に入ってきたナイスネイチャに気がつくと、 「こいつは頂いていくぜあばよとっつぁーん！」 と叫んで宙へ飛び出していった。 ベランダからグライダーで彼方へと飛び去っていく彼女を見送ると、改めて部屋の惨状を見回し何だったのかとため息をつく。 事情を聞けたのはコタツに突っ伏している我がトレーナーとベットで抱き合って眠る成人男性たちもろともを叩き起こして、寝ぼけ眼で帰路についた二人を見送ってからだった。

2 22/01/25(火)20:17:29 No.890498846

「なんなんですこの有様」 「いやあ昨日テイオーとマックイーンのトレーナーとで宅飲みすることになってさ、ついでに暇そうだったゴルシのも誘って飲んでたんだがゴルシのが持ってきた酒を飲んでからその後の記憶が無くて……」 頭を掻きながら不思議そうな顔をしている彼だが、聞いているこっちの方が頭が痛くなってくる。 「あーもう！とりあえずシャワー浴びて来なさい、お酒の臭い酷いんだから！」 彼を脱衣所へ追いやり、アタシは片付けを開始。酒類の空き缶、菓子類の空袋、小さな木魚に564と書かれた謎の空き瓶。床に散乱したそれらを丁寧に分別してゴミ箱へ叩き込み、ついでに掃除機もかける。 すっかり綺麗になった所で一息つくと、脱衣所からびしょ濡れの頭が顔を出した。 「ごめんネイチャ、箪笥からタオル取ってくれる？」 何も言わずに３段目の引き出しを開け中からバスタオルを取り出して、申し訳なさそうな顔の前に突き出す。 ありがとう、といって脱衣所の中へ引っ込むのを見届けると、何も食べていないであろう彼の朝食を作るべく冷蔵庫を開けた。

3 22/01/25(火)20:20:19 No.890499876

「あーサッパリした。ごめんねネイチャ、片付けなんかしてもらって」 「いやそれはいいんだけどさ、トレーナーさんお腹減ってる？だいぶ飲んだみたいだけど二日酔いとかさ」 「うん、大丈夫みたい。記憶ないくらい飲んだ割に不思議とスッキリしてるんだよね」 元気元気、と子供のようにジェスチャーする彼に苦笑しながら火を止めた鍋に味噌を落とす。 「もう出来るから、座って待っててちょうだいな」 「ほぅ……沁みる～」 ズズ、とお味噌汁をひと啜りして何ともジジ臭い声を出す彼と、向かいに座ってそれを見るアタシ。 「ふふん、おふくろ直伝の二日酔いに効く味噌汁ですから」 「ネイチャの家では毎日これが飲めるわけか、いいなそれ」

4 22/01/25(火)20:21:20 No.890500236

「なっ……！……あのさ、トレーナーさんちょっとは考えて喋ったほうがいいよ」 「？うん？」 ダメだこりゃ、わかってない。 ポケッとした顔を恨めしく思いながら見つめても返ってくるのは「なんかついてる？」とさらに気の抜けた言葉。 このままではただ乙女心を翻弄されるだけと判断して早鐘を打つ心臓を落ち着かせる。 トレーナーという人種は大なり小なりこういう性質を持っているのは友人達との与太話で立証済みなのだ。 「はぁ……アタシ以外にそんなことしたら許されないから気を付けてね」 「…………うん、わかった」 いかにもわかってるような顔で頷く彼を訝しげにたっぷり睨みつけてから、小さなタッパーを押しやる。 「これ、実家の梅干し。この間たくさん送られてきたからお裾分け」 「おー、ありがとう。梅干しも飲んだ次の日にはいいんだよね」

5 22/01/25(火)20:22:33 No.890500696

彼はそう言いながらタッパーを開けて梅干しを一粒口に放り込むと、顔がギュッと中央に集中する。 「おぉすっぱ……米が進む……」 「ふふふ、ちょ、そんな突然、ふふ、あっはっはっはっは」 「お、なんだそんな変な顔だった？」ｷﾞｭｯ 「ちょっと、やめ、アッハハハ、ひぃー、ふふふっふふ……」 調子を良くした彼の変顔アンコールをくらったアタシは数分間お腹を抱え続けることになった。 「ご馳走様でした」 「はい、お粗末様でした」 「ネイチャ、お茶いる？」 「いただこうかな」 手早く洗い物を片付けた彼が急須と湯呑みを乗せた盆を持って戻ってくる。

6 22/01/25(火)20:23:18 [ｵﾜﾘ] No.890500955

手早く洗い物を片付けた彼が急須と湯呑みを乗せた盆を持って戻ってくる。 いつだったか商店街の雑貨屋で二人で買った揃いの湯呑みも、今ではだいぶ手に馴染んだ。 「わざわざ朝からありがとうね、ホント助かったよ」 「いやいや梅干しお裾分けするって言ったのアタシだし。まああんな有様だとは思ってませんでしたケド」 「面目次第もございません」 二人でお茶を啜りながら窓の外を見ると、抜けるような冬晴れに心が躍る。 こんな何でもない毎日が、アタシにとってのとびっきり特別で大切な日なのだ。 さあ、今日はコタツで何をしようか。

7 22/01/25(火)20:23:53 [s] No.890501215

ネイチャにコタツで飲みすぎた朝に朝ごはんを作ってもらいたい人生でした

8 22/01/25(火)20:29:23 [ｵﾏｹ] No.890503213

「なあネイチャ」 「ん？」 「さっきの梅干しさ」 「うん、気に入った？」 「ああ、いやそうなんだけど、おふくろさんに漬け方聞いといてもらえるかな」 「そりゃまあいいけど、なんでまた？」 「いや、去年は梅酒を仕込んだし、今年は梅干しも漬けようかと思って」 「アンタも好きだねえそういうの」 「でもさ、ネイチャの家の味も美味しかったけど俺達が漬けたら俺達だけの味が出来上がると思うんだ。きっと楽しいよ」 「…………やっぱわかってない」 「え？」 「いーえ、なんでもありませんとも」 「…………わかってるさ」ﾎﾞｿｯ 「！！…………うにゃぁ……」

9 22/01/25(火)20:30:43 [ｵﾏｹﾉｵﾏｹ] No.890503730

「あのさぁネイチャ、もうダメでしょそんなの。ライン超えてるでしょ」 「ネイチャちゃんのトレーナーさんシレッと半年先くらいの予約入れてくるのすごいね……マヤもう付き合ってるとか付き合ってないとかわかんないよぉ……」 「おいスカーレット、どこ行くんだよ？」 「決まってるでしょウオッカ、アイツに味噌汁届けに行くのよ」 「これが一心同体の極地……素晴らしいものを聞かせていただきましたわ……！それで、式はいつですの？御協力は惜しみませんわ、メジロプロデュースにお任せあれ！」 「いやいやいや、みんな前のめりすぎでしょ。こんなの普通の日常でしょ」 「ボクなんだかんだネイチャのトレーナーが悪いと思ってたけどネイチャも悪いって思うようになったよ」 「クソボケにヘタレね」 「破れ鍋に綴じ蓋みたいな言い方しないでよ！」 「自分でそれいうあたりもうダメだってわかっちゃいなよ」 「うにゃあああああ！！！！！！」

10 22/01/25(火)20:33:23 No.890504748

またうにゃされてる…

11 22/01/25(火)20:39:47 No.890507228

バスタオルを渡すところ手慣れ過ぎてない？大丈夫？

12 22/01/25(火)20:44:57 No.890509195

気づくとタンスの中の服やタオルや下着までネイチャの畳み方になってる生活いいよね

13 22/01/25(火)20:47:18 No.890510130

バスタオル渡されるシーンであっこれはほぼ全裸でしかも水も滴るいい男になってるトレーナーに赤面するネイチャさんの話だな！って思ったのになんか手慣れた感じで流された…遥か先を進んでた…

14 22/01/25(火)20:47:23 No.890510171

>「アンタも好きだねえそういうの」 はいこういうとこ こういうとこだよネイチャ

15 22/01/25(火)20:48:39 No.890510664

もう抱くしかないのでは？ 商店街は訝しんだ

16 22/01/25(火)20:49:17 No.890510901

うにゃうにゃしてきた

17 22/01/25(火)21:00:22 No.890515259

なんですかこれは もはやイチャつくを通り越して日常になってるじゃないですか

18 22/01/25(火)21:01:06 No.890515530

>なんですかこれは >もはやイチャつくを通り越して日常になってるじゃないですか お嫌いですか？

19 22/01/25(火)21:02:19 No.890516051

>こういうとこだよネイチャ いやいやいやいや…別にアタシは 梅干し好きだな～、食べたいな～と思ったまでで…

20 22/01/25(火)21:02:30 [s] No.890516137

数えたらコタツネイチャも19作目でした もっとイチャイチャネイチャ増えろ下さいあと因子継承ありがとうございます