虹裏img歴史資料館

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22/01/25(火)06:04:10 [不定期... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1643058250418.png 22/01/25(火)06:04:10 No.890318485

[不定期] 会社から逃げて、幼女に拾われようシリーズ [成分] ・きりゆか ・コッショリ ・年上誘い受け

1 22/01/25(火)06:04:28 No.890318494

停留所からバスに乗って、15分ほど。 バスのスプリングが緩いのか、それとも道路がアスファルト舗装ではないからか車内は酷く揺れる。 運転手のお爺さんは少ない車内にも慣れているのか、特に何も言うでもなく道路を走り続けていた。 ……車内が妙にガソリン臭いような気がする。 これが普通なのか、それとも本当に何か漏れているのか。 おそらくは前者だろう。 車体は跳ねた泥と弾いた小石で、幾つも擦り傷が幾つか出来ていた。 そして車内の人々は誰もそれを気にする様子はない。 そんな耐久年数までの期間が気になる車内で、私はただ窓の外を眺めていた。 幾つも畑が通り過ぎていく、ここで何の作物が育つのかは分からない。 ただ重要な作物であることだけは分かる……いずれ消費されるために何処かへと出荷されるのだろう。 ……そしてふと思うのだ、私が居なくなったとして社会は変わらずに回るのだと。

2 22/01/25(火)06:04:41 No.890318501

「……ゆかりさん」 「……ん?」 そんな時、ふと少女が私の肩を手で叩く。 「ほら、見えてきましたよ」 「……ああ、本当だ」 そう言って、少女が指差した先の建物を眺める。 遠くでは分からなかったが、都会で言うスーパーとは比べ物にならないほど大きい。 「そろそろ降りる準備をしなきゃ」 「……分かった」

3 22/01/25(火)06:04:55 No.890318510

私はそう言って、バスの停車ボタンを押そうとしたが既に誰かが既にボタンを押していた。 運転手がハンドルを切って、施設の前にある少し大きめの停留所の前にバスを停める。 そうして誰も何も言わず、車内を降り立つ。 ……それがここの日常なのだろう。 「ありがとうございました」 そう思っている中、少女だけが礼を言ってバスを降りていく。 尻目に見た運転手は少しだけ物珍しそうにこちらをサイドミラーで一瞥した後、ただ静かに帽子を縦に揺らしてみせる。 ……それだけ少女の行いが珍しかったのだろう。 私はただその光景を眺めた後、何も言わずにバスを降りる。 先に降りた少女はバスから降りた私を振り返って、笑みを漏らした。 「さあ、たどり着きましたね」

4 22/01/25(火)06:05:15 No.890318531

そう言って少女こちらを見上げる。 ……他意は無い、私を見る少女の笑みは無垢そのもの。 ……だがどうしてだろう、時折そんな彼女の顔をよごしたくなるのは。 「……? どうかしましたか」 「……なんでも無い」 私はそう言って、何かを誤魔化すように建物を見上げた。 ……時々そんな事を思うようになったのは何故だろう。 そんな事を思いながら、ただただため息を漏らした。 途中の中継停留所が少なかったのが気になるが……兎に角、私達は少女の言う店にたどり着いた。 「……ここがスーパーか」

5 22/01/25(火)06:05:36 No.890318548

私はそう言ってスーパーと言うには大きすぎる店舗を眺める。 ……スーパーと言うよりは、ホームセンターだろうか。 一店舗だけのお店ではなく、幾つかの施設が連なった施設。 都会では見ることのない施設だから、何だか新鮮だ。 「ここらへんにはここしかお店がありませんから、みんな少し遠くても何時もここで買ってるんですよ」 「……少しと言うには大分遠いと思うけど」 私がそう言うと、少女は少し苦笑いを零しました。 「ゆかりさんの体力を考えたら、もう少し先にバスを使えば良かったかもしれませんね」

6 22/01/25(火)06:05:52 No.890318564

そう言ってこちらを見る少女に反論する余地も無いので、静かに頷きを返す。 思っていたよりも田舎に来ていたのだな、そんな事を思う。 ……そう言えば、ここって何県なんだろう。 そう思って少女に口を開く。 「そう言えば……ここって何県なんですか」 私がそう言って彼女尋ねると、少女は少しキョトンとしたような顔をこちらに向けてくる。 「何処って……東北の○○県ですよ」 そう言って少女はことも無さげに私の顔を見上げた。 ……会社の反対方向に行きたいとは思っていたが、大分遠い所まで来ていたらしい。 「……随分遠くだな」

7 22/01/25(火)06:06:12 No.890318586

感慨深い気持ちになって、そんな事をぼんやりと呟く。 そうして何とも言えない気持ちになっていると、少女が私の方を見ながら口を開いた。 「ゆかりさんはどちらからいらっしゃったんですか?」 「……都内」 「え、都内から態々あの海に来てたんですか」 「……どうやってきたのか、あんまり覚えてないけどね」 私がことも無さげにそう言うと、少女は少しだけ複雑そうな顔をして私を見上げた。 「……理由は聞かないほうが良かったりしますか」 「……別に、どっちでも」

8 22/01/25(火)06:06:31 No.890318601

そう言ってホームセンターへ向かって歩いていく。 正直、どちらでも良い。 バスに揺られている内に少し疲れていたことに気がついたこともあってか、そんな気持ちになっていた。 それに睡眠不足も相まって頭も動いていない、だったら変に誤魔化すよりも正直に答えたほうが良いような気がする。 だが彼女は私がそう言って歩いているのが以外だったのか、少し何とも言えないような表情をしていた。 「……一先ずお店に入りましょうか」 「ええ」 取り敢えずとでも言うように、私の後を追って少女が歩く。 ……お金も降ろさないとな、そんな事を思いながら入り口をくぐる。 大型モールというだけあってか、お店の中は様々なお店が立ち並んでいた。

9 22/01/25(火)06:06:50 No.890318617

「……広いですね」 「ゆかりさんはこういうお店には来たことは無いんですか?」 「都内だとそこまで大きいお店は無くて」 都内にはこの様なお店は少ない。 土地の値段というのもあってか、それぞれのお店が小さく立てるのが一般的だからだ。 「そうなんですね……でも、それだと普段の生活に不便じゃないですか?」 「いえ、、電車で行ける範囲に色々なお店のビルが立っている感じなので」 「へぇ……一箇所に全部集めたりしないんですね」 「ふふ……都内の全部のお店を集めたら、それこそ物流が混乱してしまいますから」 「え、そんなに一杯あるんですか?」

10 22/01/25(火)06:07:07 No.890318628

少女は興味深そうに私を見上げて、驚いたような顔をこちらに向けました。 彼女にとってはこっちの様式のほうが普通なのだろう。 ですが、私からすれば様々な建物が通りに立っていたり、電車で行ける所に立ち並んでいるのが普通。 これも彼女と私の感覚の差異か。 ……意外と庶民的なところから違うものだ。 「興味ありますか?」 「……少しだけ」 そう言って、少女は私を見上げて笑いました。 屈託のない笑み。 ……やっぱり彼女はそう笑っているほうが良いな、なんて思いながらコンクリートの通りを歩く。 ……だが先程の表情との差異は何だろう。 さっきは汚したいと思っていたのに、何とも矛盾したような気持ちに内心頭を傾ける。

11 22/01/25(火)06:07:40 No.890318650

今日はここまで fu743286.txt

12 22/01/25(火)07:10:52 No.890322267

いい…

13 22/01/25(火)07:41:28 No.890324954

東北は魔境

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