虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

先日ポ... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告はメールフォームにお願いします。 個人情報,名誉毀損,侵害等について積極的に削除しますので、メールフォームより該当URLをご連絡いただけると助かります

22/01/23(日)23:30:46 No.889938573

先日ポケスペ純愛健全ゾロ目スレでのレブルの話が出たので書かせていただきました このスレ自体はダイススレではありません 思いっきり三次創作ですのでご了承下さい あらすじ レッドとブルーがプラモ作りに挑戦し…

1 22/01/23(日)23:31:01 No.889938682

「ふう、これで終わりか」 マサラタウンのオーキド研究所。 その倉庫でレッドとブルーは片付けを行っていた。 「お疲れ様」 「おう、そっちもお疲れ」 2人はお互いに労わりの言葉を交わす。 「おお、終わったか」 ちょうどオーキド博士がやってくる。 「すまんな。2人だけに片付けを任せて」 「仕方ないですよ。グリーンたちも用事で来れなかったんだし」 「これくらいならアタシたちだけで充分ですから」 レッドとブルーがそういうとオーキド博士は申し訳無さそうに笑う。

2 22/01/23(日)23:31:16 No.889938800

「そうか。だがせめてお茶くらいは出させてくれんか。 少しはゆっくりしていってくれ」 レッドはブルーと目を合わせて、 「どうする?」 「アタシはレッドに合わせるわ。特に用事もないし」 「オレもそうだな。なら、お言葉に甘えさせてもらいます」 そう言うとオーキド博士は安心したように笑った。

3 22/01/23(日)23:31:33 No.889938931

「緑茶ですまんな」 「いえ、大丈夫です」 緑茶を啜り、おかきを食べる。 普段は緑茶もおかきも口にすることは無いので新鮮な気分になる。 ブルーも特に嫌そうにしているようには見えない。 彼女としても、オーキド博士なりに自分たちをもてなしていることは理解していて、 それがありがたいのだろう。 と、ブルーの側の棚にあるものに目が行く。 「どうしたの?」 「いや、そこにあるのが気になって」 レッドに言われて、ブルーもそちらを向く。 そこには、中に船の模型を収めた大きな瓶があった。 船の模型はよく出来ていて、まるで本物のような質感を覚える。

4 22/01/23(日)23:31:51 No.889939089

「すごいよくできてるわね…」 「誰がこれを?」 「作ったのはワシだが?」 「博士が!?」 レッドとブルーは同時に驚愕した。 「そこまで驚くことかの?」 「いえ、なんか意外というか…」 「ポケモン研究以外にばっかり夢中だと思ってた…」 「ポケモンバトルばかりのレッドには言われたくないのう」 苦笑するオーキド博士。 長い付き合いのはずだが、この人にこんな趣味があるとは知らなかった。 ブルーも同じなようで、目を丸くしていた。 「ちょっとした息抜きで初めてな。 毎日少しずつ作って、先週ようやく完成したんじゃよ」

5 22/01/23(日)23:32:10 No.889939282

「結構長い日数かけて作ってたんですね」 「だからこの出来なのか…」 レッドとブルーが感心していると、オーキド博士は何でもないような口調で、 「いや、それは2週間で作った」 「2週間!?」 「ちなみにこれで20個目じゃな」 「20!?」 あっさりと言われた内容に、2人で驚愕していく。 「レッドもブルーもどうじゃ? 模型作りやってみんか?」 「は、はぁ…」 「考えておきます…」

6 22/01/23(日)23:33:31 No.889939836

「グリーンにも勧めたんじゃが、あいつは不器用でのう。 対象年齢の低めのものしか作れなかったんじゃ。 一体誰に似たんかの」 「オーキド博士って、結構遠慮なく言う時よな」 「…そうね」 ブルーに囁きかけると、何か思い当たるものがあったのか彼女は口の端を引き攣らせた。

7 22/01/23(日)23:33:47 No.889939942

帰り道、ブルーと一緒に歩く。 故郷のマサラタウンを、彼女と共に進む。 最初は違和感が拭えなかったが、何年もそうしていて、もはや習慣のように身体に馴染んでいる行為だ。 「今日はびっくりしたな」 「まさかオーキド博士にあんな趣味があったなんてね」 はは、と2人で苦笑する。 「どうする?アタシたちも作っちゃう?」 「さすがにボトルシップは自信ないなぁ。 それに作りたいものもないかな」 「アタシもそうね。何を作るって言われてもピンと来ないわ」 2人で頭を捻る。 いつもなら喫茶店でコーヒーや紅茶を飲んで一息ついているのだが、既にオーキド研究所でお茶をご馳走になっているためそれも無しになっていた。

8 22/01/23(日)23:34:08 No.889940042

「それじゃ、またね」 「ああ、お疲れ様」 ブルーを自宅まで送って、別れる。 その日は何もせず帰宅した。 オーキド博士と話していたことも、寝る頃には記憶から薄れていっていた。

9 22/01/23(日)23:34:25 No.889940149

それから数日後。 ブルーと買い物に出かけることとなった。 「急に呼び出して何かと思ったらやっぱり買い物か」 「ごめんごめん。半額キャンペーンやってるって今朝知ったからついね」 「まあ暇だからいいけどさ…」 呟きつつも荷物を抱えてブルーについていく。 「お詫びに、レッドの欲しいもの何か買ってあげる」 「欲しいものねえ…」 そうは言われたものの、すぐには浮かんでこない。

10 22/01/23(日)23:34:43 No.889940263

ならポケモンバトルしようぜ、などと言えばブルーに断られるか流されるのは容易に想像できる。 さすがに彼女がやりたくもないことを強制するのも気が引ける。 そもそも、レッドにとって欲しいものというのも現在は特にない。 もっと考えれば浮かび上がるのかもしれないが、人からもらうものにそこまで必死になるのも意地汚いようで抵抗がある。 と、何かがレッドの目に止まった。 フシギバナやピカチュウの描かれたポスターだ。 「ん?どうしたの?」 ブルーも釣られたのかそちらを向く。

11 22/01/23(日)23:34:59 No.889940350

「あれって、なんの店かな?」 「多分、玩具屋じゃない?」 「…ちょっと行ってみるか」 「え?まあいいけど」 普段行くことのない店だが、これも何かの縁だ。 フッシーやピカを仲間に持つ者として何かのシンパシーを感じた。 そんな気がしていた。

12 22/01/23(日)23:35:19 No.889940455

「アタシ、玩具屋って入るの初めて」 「オレもだよ」 店内でレッドとブルーは感想を言い合う。 実際に商品を手に取って、 「あ、これタウリナーΩとかいうやつ」 「知ってるのか?」 「シルバーがハマっててね。子供向けアニメらしいの。 あの子、昔はそんなの見ることもできないような生活してたから今になって気に入っちゃったのね」 「そっか…」 趣味は人それぞれだから年齢は関係ないとは思う。 その人に事情があるならなおさらだ。 「…ん?あれ?このポケモンたちってオレの仲間の構成と同じなような…?」

13 22/01/23(日)23:36:48 No.889941019

フシギバナにピカチュウ。 その他にニョロボン、ギャラドス、プテラ、カビゴン。 レッドにとっての大事な仲間と全てが一致していた。 「番組スタッフがレッドのチーム見て参考にしたんだって。 シルバーがゴールドたちと実際にそうだったって聞いたらしいわ」 「知らなかった…」 さっきのポスターも、思い出してみたら他の仲間たちと同じポケモンが写っていた気がする。 何か縁があると思っていたら予想以上のものがあった。 「今度シルバーに会ったらサインお願いされるかもね?」 「ええ…?」 自分の知り合いにサインをねだられるというのは困惑する。 ましてや自分が直接何かしたというわけではないのではなおさらだ。 「正直、タウリナーのグッズをシルバーから贈られるのは困るんだけどね…」 「ああ…」 ため息をつくブルーに同情する。

14 22/01/23(日)23:37:05 No.889941110

きっとシルバーにとっては善意でしかないのだろう。 だが、さすがにこの歳で子供向けグッズを使うのは気が引ける。 好意でもらったものに文句を言うわけにはいかない。 だからブルーも断りにくいのだろう。 「あ、そういえば」 「ん?」 何かを思い出したのか、ブルーは胸の前で手を合わせて、 「シルバーがそのタウリナーΩのプラモ作りたいって言ってたのよ。 でもいざ買ってみたら失敗したらしいの」 「そうなのか?」 「うん。昨日電話で聞いたの。パーツ無くしたとか切ったらいけないところ切ったって。ちょっと落ち込んでた」 「そうか…」

15 22/01/23(日)23:37:20 No.889941214

ブルーまで沈んだ表情になる。 弟のように可愛がっているシルバーが落ち込む姿は、ブルーにとっても苦しく感じてしまうのだろう。 彼女の暗い顔を見ると、こちらまで悲しくなる。 なんとかしてあげたい。 だけど、自分に何が出来るだろう。 そう考えていると、ふと思いつくことがあった。 「なら、オレが作ろうか?」 「レッドが?」 「ああ。そういえばオーキド博士にプラモ作ってみたらどうだって言われてたし。 ちょっと挑戦してみるよ」 ブルーはそう言われるとは思わなかったようで、意外そうな目でレッドを見返していた。

16 22/01/23(日)23:37:38 No.889941317

「大丈夫?ポケモンバトルみたいに上手くいかないかもしれないわよ?」 「まあやってみるさ。やってみないと出来るか出来ないかもわからないしな」 「…なら、お願いしようかな」 「おう、任せとけ」 不安がないわけではないが、レッドはそう言った。 「じゃあ代金はアタシが払うわ」 「え、いいのに」 「いいのよ。さっきレッドが欲しいもの買ってあげるって言ったしね」 「…なら、お願いしようかな」 「うん、任せといて」 さっきと同じようなやりとりに2人で苦笑した。

17 22/01/23(日)23:37:52 No.889941420

帰宅後、ブルーに買ってもらった商品を開封して説明書を読む。 バトルならばある程度出たとこ勝負でなんとかなるというのがレッドの信条だ。 だが、誰かが失敗したと聞いたならさすがに慎重にもなる。 自分が二の舞にならないよう注意せねば。 そう思って説明書に目を通す。 「ええと、Aの17って…」 「これじゃない?ランナーっていうのかな。これにAって書いてるし」 「あ、ほんとだ」 ついてきたブルーの助言もあって、内容を少しは理解していく。

18 22/01/23(日)23:38:07 No.889941499

「…よし。多分わかった。多分だけど」 「…大丈夫?ほんとに」 「多分な。それじゃやってみる」 一緒に買ってもらったニッパーを使い、切り離してヤスリで切り口を整えていく。 「案外丁寧に作るのね」 「自分のならともかくシルバーに渡すものだからな。 綺麗なもの渡された方がシルバーだって喜ぶだろうし」 「…そうね」 「色も塗ってみるよ。せっかく塗料も買ってもらったしさ」 「なんだか、段々楽しんできてない?」 「そうかもな」

19 22/01/23(日)23:38:22 No.889941622

それ一つではよくわからない部品同士を組み合わせ、次第に脚だったり腕だったりの形へとなっていく。 それがレッドには楽しみに思えた。 早く作りたい。 完成させてみたい。 自分の中の幼い少年の部分が沸き立っていく。 恐る恐るだった手の動きが、スムーズになっていく。 初めてやることに対しての上達。 それを経験するのはいつぶりだろうか。 「男の子って、そういうの好きよね」 何気ない口調でブルーが声をかけてくる。

20 22/01/23(日)23:38:53 No.889941828

「かもな。子供の頃からポケモンバトルばっかりでこういうのやったことなかったけど案外楽しいよ」 だと思ったと言いたげにブルーが苦笑する。 「ちょっと、アタシも手伝おうかな」 「ブルーもか?」 「うん。レッドが楽しそうだからアタシもやってみたくなって。 アタシもメカはともかくプラモデルは作ったことないから」 ブルーも、好奇心を抑えきれないように笑みを浮かべていた。 「じゃあ、一緒にやるか」 「ええ!」

21 22/01/23(日)23:39:25 No.889942024

「やっぱり、ブルーの方が器用だな…」 「そう?」 腕や脚の塗装を頼んだものの、自分の担当した胴体よりも上手い気がする。 ムラもはみ出しも自分の担当したものより少ない。 「これくらいなら誤差じゃない?少なくともアタシはそんなに違和感ないと思うけど」 「そうかな…」 自分としては疑問ではあるが、ブルーが言うなら信じよう。 レッドはそう思った。 「なら、これで完成かな」 「そうね。明日シルバーに渡しに行きましょう」 出来上がったプラモを見つめる。 反省点はあれど、初めて作ったにしては綺麗にできたと思う。

22 22/01/23(日)23:39:40 No.889942125

「レッドとアタシの共同作業の成果ね」 「そ、そう、かな」 なにか言い回しがむず痒く、ついレッドはどもってしまう。 「この子、アタシとレッドの子供なのね」 「そういう言い方やめろって!」 さすがに羞恥が限界になって止めると、ブルーは愉快そうに笑った。

23 22/01/23(日)23:39:58 No.889942264

翌日。 「ありがとう、2人とも」 ブルーと2人でシルバーに手渡すと、彼は笑顔を見せた。 「礼には及ばないよ」 「いや、ありがとうございます。 わざわざオレのために作ってもらって」 「アタシとレッドの子供よ。大事にしてね」 「まだそのネタ言うのかよ!」 シルバーが目を白黒させたが、冗談だと理解したようですぐに元の調子に戻った。 「ブルー姉さん、レッド先輩。大事にさせてもらう」 嬉しそうに微笑みを見せるシルバー。 それに釣られてレッドもブルーも笑みが溢れる。 作ってよかった。 心からそう思える。

24 22/01/23(日)23:43:53 No.889944088

「すまないが、レッドさんにお願いがあるんだが」 「なんだ?なんでもいいさ」 特に何も考えず安請け合いすると、シルバーが元のむっつり顔に戻りつつも嬉しさを隠しきれないように距離を詰めて、 「できればこれも作ってくれないか。 もし可能ならばこのシリーズ全てを」 ポケギアの画面を差し出される。 そこには昨夜作ったタウリナーのシリーズが表示されていた。 その数をざっと数えて、 「30くらいあるな…」 「やはり、無理か…」 残念そうにシルバーが俯く。 「だ、大丈夫。オレに任せとけって」 思わずそう言ってしまう。

25 22/01/23(日)23:44:55 No.889944525

「本当か!?ならお願いします!」 すぐにシルバーは立ち直り嬉しそうなオーラを放ってきた。 ブルーを見ると、呆れたような目を向けてきていた。 がっくりと項垂れ、レッドは先程の発言を後悔した。

26 22/01/23(日)23:45:09 No.889944611

以上です 閲覧ありがとうございました

27 22/01/23(日)23:46:45 No.889945195

お疲れ様です 久々のオーキド登場!と思ったらプラモ作りを共同作業に絡めてきてて驚かされました

28 22/01/23(日)23:47:51 No.889945603

>「うん。昨日電話で聞いたの。パーツ無くしたとか切ったらいけないところ切ったって。ちょっと落ち込んでた」

29 22/01/23(日)23:50:16 No.889946511

>1642949271041.png そこ折れたかー

30 22/01/23(日)23:52:57 No.889947528

書き始めの段階ではレッドがフシギバナのプラモ作ってこの花びらの塗装が…と悪戦苦闘する予定だったんですが 店の中に入って雑談のネタにさせようとタウリナーの商品手に取らせたら気がついたらタウリナーのプラモ作る流れになってしまいました 多分タウリナーのプラモくらいあの世界にはあるだろうなくてもミニプラ的なものはあるかなという妄想で

31 22/01/23(日)23:53:55 [s] No.889947864

>1642949271041.png ありがとうございます! 間違えて切ったらいけないところ切った時はそうなりますね…

32 22/01/23(日)23:54:56 No.889948219

>多分タウリナーのプラモくらいあの世界にはあるだろうなくてもミニプラ的なものはあるかなという妄想で 色塗ってる辺り300円でパーツ全て同じ色なんだろうな…

33 22/01/23(日)23:56:20 No.889948683

>>多分タウリナーのプラモくらいあの世界にはあるだろうなくてもミニプラ的なものはあるかなという妄想で >色塗ってる辺り300円でパーツ全て同じ色なんだろうな… まあ最近のミニプラでも色足りないところはあるからそういうところ塗ったのかなということで

34 22/01/24(月)00:00:03 No.889949985

>「うん。昨日電話で聞いたの。パーツ無くしたとか切ったらいけないところ切ったって。ちょっと落ち込んでた」 文中にはないけどシール失くすのも地味につらいよね

35 22/01/24(月)00:02:05 No.889950676

>文中にはないけどシール失くすのも地味につらいよね カラーでありがとうございます! 目のところはシールの輝きが欲しいですから無くすと凹みますね…

36 22/01/24(月)00:11:33 No.889954017

これで98か99作目です 100作まであともう少し

37 22/01/24(月)00:12:04 No.889954233

>これで98か99作目です >100作まであともう少し もうそんな大台か…

38 22/01/24(月)00:13:50 No.889954947

>目のところはシールの輝きが欲しいですから無くすと凹みますね… シルバーのことだから床に落として見つける頃にはよれたり折れ目ついちゃってるんだと思います ちなみに自分がやらかした時は同じ色の余白部分を切り出してどうにかしました

39 22/01/24(月)00:18:21 No.889956767

数え直したら98でした 100まで残り2作 >1642950830944.png 自分も同じことやります