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22/01/22(土)23:46:08 「迷っ... のスレッド詳細

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22/01/22(土)23:46:08 No.889556597

「迷った……」 この度目出度く某地方から日本ウマ娘トレーニングセンター学園への配属が決まり、赴任の挨拶へと赴いた矢先の出来事である 正門前詰め所の守衛から、事務棟への行き方の説明を受けたにもかかわらず、俺は広大な敷地の中で居場所を見失い敢え無く迷子となり果ててしまった スマホで連絡を取ろうにも、連絡を取るべき相手が誰なのかわからない とりあえず足を動かし続けていれば誰かしらに出会い助けを求められるだろうと信じ、歩みを止めることなく学園の構内を道なりに進む と、唐突に視界の先が開き、目の中に飛び込んできたのは──かなりの面積を占める畑の風景だった いやなんで畑?とも思ったが、ここも教育機関だ。園芸やらその方面の文化活動の場として使われてるのだろうと当たりをつける 立ち止まり目に入ってきた情報を処理すること暫し ザクリザクリ、と 地面に固い物を突き立てる音に気づく 音のする方へと目を向けると、そこには一人のウマ娘がスコップを突き立てて穴を掘っている姿が見えた。膝下あたりまで掘り進めてるようで、畑仕事にしては深めの穴を掘っている

1 22/01/22(土)23:46:24 No.889556700

良かった。ここに来てようやくここの関係者、というか生徒と出会えた。早速話を聞いてみるとしよう 「あーすみませんが、少しいいですか?」 穴の近くへと近寄りながら声を掛ける 「ん?だーれ?」 此方からの呼びかけに反応し、振り返るウマ娘 彼女が穴の中にいる為お互いの目の位置にかなりの高低差が生じているので、自然と見下ろし・見上げる構図となる 「……誰なのだお前?ウインディちゃんの事を知らないみたいだし、さてはモグラなのだ?」 と訝しげに此方側の素性を問うてくるウマ娘 「えーと自分は本日付で此方のトレセン学園で働くことになった者でして」 モグラは穴を掘ってる君の方じゃないのか、と思ったがそこには触れず 「恥ずかしながら、事務棟へ向かう途中で道に迷いまして。良かったら道を教えてもらえないかと」

2 22/01/22(土)23:46:41 No.889556807

此方の事情を説明する。そして 「それとも畑の向こうの建物がそうだったりしますかねえ」 彼女と話す途中で目に入った畑を挟んだ先にある建物を指さして、そう問いかけた 「んーん。あそこはウインディちゃんたちの校舎。事務の人とかえらい人のいるのはあっちの方」 そう言って彼女は手のスコップを持ち上げて、あっちと、ざっくりと俺が今まで進んできた方向から外れた方角を指し示していた 「正門から来たのなら、どっかで曲がるところ間違えてるよ」 「やっぱりそうか……途中まで道案内とかお願いできないでしょうか?」 と道案内の依頼を投げかけてみたが 「ウインディちゃんこれでも忙しいのだ」 彼女はスコップを土に突き立て、その取っ手に両手を重ねて、更に手の甲に顎を乗せて、となんともふてぶてしい態度を取られた まぁ彼女にしてみれば、行きかい慣れたこの場でいい大人が迷子になってるという事実に呆れてしまうのも無理もないのかもしれない

3 22/01/22(土)23:46:55 No.889556903

「説明ならするけど」 「それだけでも、お願いします」 と言われたので、今来た道をある程度戻ってからの道の解説をしてもらった。途中途中であっちだのむこうだの指示語が混ざるが、言動の端々や身長から見るにまだ中等部であろうこの少女の語彙の問題かと突っ込まずにうんうんと頷きを返すだけにする 「……その辺りまで行けばまた誰かと確実に会えるから、そしたらそこの人に詳しくお話を聞けば事務棟に行けるのだ」 「そっか、じゃなくそうですか。ありがとうございました、えっと……ウインディさん」 「ウインディちゃんはシンコウウインディって言う名前なのだ。いきなり略すのは失礼じゃないの?」 「これはすみませんでした、シンコウウインディさん」 とぺこりと腰を曲げて謝意を示す。確かに今のは俺が気安すぎた。彼女のセリフから名前らしき響きがあるからと言ってもそれを使ってしまうには早計が過ぎるというもの 「ん」 左手を横に振り、気にしてないというアピールと受け取り 「では自分はこれで」 「ばいばーい」 畑に背を向けて教わった通りの道を歩いて行った

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