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22/01/19(水)05:52:00 No.888327799
[不定期] 会社から逃げて、幼女に拾われようシリーズ [今の予定] ・やさぐれよう ・コッショリ ・年上誘い受けを目指す
1 22/01/19(水)05:52:15 No.888327812
吐き出された息と喉から滲み出る掠れた音。 暫し何をするでもなく、ただ布団の中で目を見開き天井を見上げた。 額に浮き出た汗と、布団の中の温もりがここが寝具の中であることを思い出させる。 ……ロクでもない夢を見ていたらしい。 暫しただ天井を見上げた後、我に返ってみると体にまとわり付いた汗に不快感を覚えた。 ……汗を拭きたい、起き上がれるだろうか。 そう思いながら手を地面につくと、隣で寝ていた少女が少し眠そうな不服の声を上げる。 「んん……」 構わず起き上がろうとして、肩に力を込めて少しずつ体を起こした。 すると隣の少女の腕が私のお腹にまとわり付いていたらしく、力なく布団の上に落ちる。 そのままふらつきながら布団から這い出ると、下半身が妙に暖かく違和感を覚えた。 ……ああそうか、おむつをさせられていたんだっけ。
2 22/01/19(水)05:52:27 No.888327821
そんな事を思いながら、なんとかゆっくりと時間を掛けて立ち上がる。 随分長い間寝ていたせいか、体の筋肉が随分と落ちているのだろう。 ただ立ち上がるだけでも体がふらつく。 手を壁について少しずつ歩く。 ……下着と洋服の変えは有るだろうか? そんな事を思いつつ、窓の外から漏れる夜明けの明かりを頼りに部屋の中を探して回る。 だが少し歩いて、タンスを探しているだけなのに軽い息切れを起こしてしまった。 ……随分と体力が落ちている。 あれからいくつ日にちが過ぎたのだろうか。 そんな事を思いながら部屋をうろつくが、目当ての変えの衣服も下着も見つからない。 「……あれ……?」
3 22/01/19(水)05:52:45 No.888327835
そうして居ると、少しだけ眠気の混じった声が部屋に漏れる。 その声の主は、私の背後であるはずの何かを探して腕を動かしているらしく、柔らかな布団を撫でる音が耳に届いた。 ……起きたのか。 そんな事を思いながら声の方に振り返ると、少女がこちらを見つけて布団から起き上がる。 「……あ、起きたんですね」 そう言いながら、少女は部屋の明かりをつけてこちらに近づいてきた。 「ぅろ……」 そう言って咄嗟に口を開くが、口から漏れる声は力が抜けきっており、言葉の体を成さずに部屋へと漏れ出していく。 肺に穴でも空いているのだろうか? そんな事をぼんやりと思いながら、少女が近寄ってこちらを見上げるのを黙って眺める。
4 22/01/19(水)05:52:59 No.888327844
「……あ、お風呂ですかね?」 少しの間があってから彼女がそういうのを聞いて、私は静かに頷いて返す。 ……一応聞き取れたらしい。 声と言うには随分とか頼りない気もしたが、それでも一応通じはするものらしい。 「それじゃあ、一緒に行きましょう」 そう言って私に手を差し伸べる少女を、私は不審げに眺める。 ……一体どういう意味なのだろうか、そう思っていると彼女が口を開く。 「あ、その……まだ足腰の筋力が衰えていますから、手を握ってくださいね」
5 22/01/19(水)05:53:10 No.888327849
一瞬あっけに取られ、少しイラつく。 だが考えてみれば実際に立ち上がって、部屋の中でものを探すだけで息切れしてしまうのだから彼女が正しくは有る。 ……だがこんな幼さを残した少女の手をとるのは、何だか憚られた。 そうして口を一文字に引き結んで、少女の手を眺めていると彼女が少しだけ困ったような顔をしてみせる。 「……あ、あの……?」 そう言って彼女は私の顔を確認するように見上げる。 その戸惑い混じりの彼女の表情を見ながら、構わず壁に手をつきながら部屋を出ようとした。 「あ、だ、大丈夫ですか?」
6 22/01/19(水)05:53:26 No.888327860
そう言って彼女の手を無視した私の後を、少女が追いかける。 私が一歩踏み出すと、少女の足音が心配そうについて回った。 放っておけばいいのに。 彼女には悪いが、そんな事を思う。 ……最後に思い出せる記憶の中で、彼女は私を助けたのは確かなのだろう。 冷えていく体から、段々と力が抜けていくのを感じるさなか少女は確かに私を運んでいた。 あの後酷いことにならずにここに立っているのは、この背後に寄りそう少女のお陰だというのも分かる。 ……だが、それがどうしたというのだ。 これで私を助けたとして、一体何の意味があるというのか。 冷える廊下を一歩、また一歩と足を踏み出しながら床が軋む音を響かせる。 まだ少女は背後で、私の後を追うように歩いてるのか、私の後に続いてまた床が軋む音も続く。 そうして道を歩いていると、少し冷えた空気が吹き込む部屋を見つけた。 湿っていて少し寒い空気を漏らす部屋のドアを開くと、質素な洗面所が顔を出す。 洗濯機と、洗面所の並ぶ中隣に二つ折りのドアがあり、その中から冷たい空気が吹いているようだ。
7 22/01/19(水)05:53:39 No.888327872
「あ、あの……」 そう言って遠慮がちに少女が声を上げる。 ……まだ何かあるのだろうか、そう思って少女の方を見つめると、彼女は少しだけ気恥ずかしさを感じながらこちらを見つめ返す。 「……困ったら、何でも言ってくださいね」 そう言ってこちらを見る少女から、私は目線を反らして風呂場に入る。 ……少し肌寒いか、そんな事を思いながら履いていたおむつのシールを剥がし、少女のいる部屋に放り投げた。 「わっ……」
8 22/01/19(水)05:53:49 No.888327880
彼女はそう言って、床に落ちたおむつを慌てて拾うのを見ながら、シャツも一緒に部屋に投げ捨てる。 ……もともと薄着だったというのもあるが、どうしてだか部屋の中が寒くてたまらない。 気を失う前はもっと寒かったはずだが、気にならなかったのに。 ……それとも、それを気にする程度には回復してきたというのだろうか? ドアの向こうでパタパタと少女が駆けていくのを感じながら、私は吐き出す息が薄く白ずむのを見つめる。 寒さなのかそれとも筋肉の衰えからきているのかは分からないが、微かに震える指で給湯器のパネルを触って電源を付けた。 それからシャワーの蛇口を回し、暫く流しに水を垂れ流す。 指で触れると暫くの間脳がかじかむような冷たさが垂れ流された。 ……あの時の海水も、確かこれくらいの冷たさだっただろうか。 そんな事を思っていると、段々と水が温まってきたのか指先がぼんやりと熱さを感じ始める。 「ふぅ……」
9 22/01/19(水)05:54:17 No.888327897
私は少しだけ息を吐き出しながら、壁のシャワーフックにシャワーを掛けて、全身にお湯を浴びた。 全身にへばりついた不快な感覚が、お湯に溶けて流れ出していくのを感じながら髪を指でほぐした。 ……髪を洗うのが久しぶりだったのか、キシキシと髪が固くなっている。 それと頭皮を指でなぞると、お湯に溶けだすフケの塊のようなものを感じた。 ……寝たきりだったのは恐らく本当なのだろう、そして少女は精々髪を軽くタオルで拭く程度が精一杯だったようだ。 後は体をタオルで拭うくらいの事はできるが、私を風呂場に引っ張っていって髪の毛を洗い流すことは出来なかったらしい。 顔を指で拭ってから、シャンプーを手に載せて髪を洗い始める。 だが泡立ちが悪い……恐らく、汚れが酷く溜まっているのだろう。 全体にシャンプーが馴染むように指で広げた後、お湯で汚れと泡を洗い流す。 それからもう一度シャンプーを手のひらに載せてから、今度はゆっくりと泡立てるように髪を洗い広げた。 ……それでもあまり泡が立たないことに、思わず苦笑いを零した。 相当に汚かったらしい、最初にお風呂に入って正解だったな。
10 22/01/19(水)05:54:41 No.888327912
それからもう一度シャンプーで頭をよく洗った後、ボディソープをボディタオルに掛けた。 思わずため息を漏らす……少し疲れた、だが後一息だ。 そんな事を考えつつ、肩からタオルで擦り始めた。 泡が体に纏わりつく度に、全身から汚れが落ちていくのを感じる。 ……ああ、何だか気持ちがいいな。 ぼんやりとそう思いながら、ゆっくりと手を動かし続けた。 ─── 「……ふぅ」
11 22/01/19(水)05:55:37 No.888327964
今日はここまで fu724074.txt
12 22/01/19(水)06:16:13 No.888328867
いつから連載再開したんだよ!?待ってた取り敢えず今日より前の分読んでくる …介護ゆかりさん?
13 22/01/19(水)07:18:05 No.888332193
>いつから連載再開したんだよ!?待ってた取り敢えず今日より前の分読んでくる 昨日