ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/01/17(月)21:46:16 No.887930647
いつもの空き教室は本日もパッパカ快晴です。 しっとり湿度は上がっていますが、次第に気温も上がり、過ごしやすい、熱の籠もった暑い一日となるでしょう。 そんなマンハッタン天気予報の下、私はソファーに腰掛け、トレーナーさんを膝枕していました。 「俺は今から何をされるんだ……」 「青春の定番……耳かきですよ……」 テーブルの上にずらりと各種耳かきを並べます。 基本の竹、欧米風のスクリュー、最近流行りのコイル型やワイヤー型、更にはスコープ付きの吸引式まで……。 「さぁ、まずはお選びください……」 「オペか? 俺はこれからブラック・ジャックでもされるのか?」 「何を言ってるんですか……これから訪れるのはくんずほぐれつ、アナタの耳元に甘いひとときを。マンハッタンカフェです……」 「何言ってるんだカフェお前……」 実はヒトの耳かきは初めてです。ウマ娘とヒトとでは耳の構造は全く違うので、正直勝手は分かりません。 まぁ、何とかなるでしょう……。 「そうだな……竹やステンレスはなんか怖いから、まずはこのシリコン製のスクリューで……」 「合点承知の助、です……」
1 22/01/17(月)21:46:37 No.887930803
私は指定の耳かきを手に取り、カクテルマドラーのように格好良く指元で回します。 その姿を見て、トレーナーさんの額に汗が浮かびました。 「頼むぞ……無理しなくていいから鼓膜の命は守ってくれ……」 「嘗められたものですね……」 静かに、トレーナーさんの耳に耳かきを差し入れます。あまり深くやると良くないと聞いたので、少し浅すぎるくらいの気持ちで。 優しく擦るように耳かきを這わせると、トレーナーさんの口から震えるような息が漏れました。 「お……ぉぉお……? い、いいぞ……悪くないぞカフェ……そこ痒い……」 「ふふ、いいでしょう……私の耳かきなしでは生きられない身体にしてあげます……」 と、順調に耳かきをしていたのですが、正直物足りません。 もっと薄い本みたいに悶えてくれるのを期待していたのですが、割と普通に気持ちよさそうです。 そこで、リーサルウェポンを解禁することにしました。 「……ちゅ」 「ぅ!? いきなり不意打ちインモラルはやめろカフェえ……!?」 舌を細くし唾液を纏わせ、トレーナーさんの耳にちょんと当てます。 一瞬聞こえた甘い声に、熱き魂が打ち震えます。
2 22/01/17(月)21:47:11 No.887931000
ほー、いいじゃないですか。こういうのでいいんですよ、こういうので。 さて、それではこのままトレーナーさんの性癖を開拓しちゃいましょうか。そう思い、もう耳かきとかどうでもいいのでそのままかぶりつこうとしたとき……。 「しかしカフェの耳かきもなかなか上手いもんだなあ」 「……は?」 ぴしり、と場の空気にヒビが入ります。というか、私の空気に。 「お友だちは特に上手いんだよな……タキオンは不器用で痛かったけど」 「……なん、ですって……?」 寝取られじゃないですか……!? 待ってください、私にそういう趣味はありません……!! 「詳しく聞かせてもらいましょうか」 「いだだだだだ!? 耳かき抜いてカフェえ!!」 ハッと気づいてドアの方を見ると、私の般若顔を見て顔面蒼白の白衣の子鹿さん。怯えているのか、足元がガクガク震えています。 「ち、違うんだカフェ……私はただ、薬を作るために物資を採取しただけで……」 「子鹿さん、母なる海に帰っていいですよ。帰ってください」 トレーナーさんをそこらの床に放り投げ、ゆらりと子鹿さんに迫ります。子鹿さんは涙を浮かべながら、その場にへたり込んでしまいました。
3 22/01/17(月)21:47:43 No.887931198
「だってカフェが薬を作ってくれって言ったんじゃないかー!」 「……あれ、そうでしたっけ?」 「トレーナーくんの耳を敏感にする薬を作ってくれって……!」 あ、思い出しました。確かに以前、そんなことを頼んだ気もします。 トレーナーさんに飲ませようとして結局取り押さえられて、自分が飲む羽目になり一日痙攣してたやつだったでしょうか。 「……ちっ……どさくさに紛れてアナタでも欲求を発散しようと思ってたのですが……」 「私にそういう趣味はないよカフェ……!?」 すると、こら、とトレーナーさんに頭を小突かれました。 頭を押さえ、涙目でトレーナーさんを見上げます。 「俺で遊ぶのはまだいいけど、それは流石に可哀想だぞ。反省しなさい」 「……はい……」 トレーナーさんにそう言われては致し方ありません。 小鹿さんはホッとしたように深く息を吐きました。 「……ところで、お友だちがどこにいるか、知ってますか……?」 「うん? さっきまで俺の膝で寝てたけど……あ、そこに」
4 22/01/17(月)21:48:13 [おしまい] No.887931386
見ると、さっきまで座っていたソファーに腰掛け、『遅かったじゃないか……』といったドヤ顔でコーヒーカップを持つお友だち。その愉悦に歪んだ口が、ゆっくりと動きます。 『ヘ・タ・ク・ソ・♡』。 ターゲット確認。メインシステム、戦闘モード、起動します。 「イレギュラーなんだよ……やりすぎたの……アナタはね……!」 「いかん! そいつには手を出すな!」 トレーナーさんの叫びも虚しく、第三次マンハッタン大戦が幕を開けました。 吹き飛ぶ実験スペース。涙を流す少女。 「私の実験スペースが……じょ、冗談じゃ……」 そして数分後、子鹿さんエリアは焦土と化して。冷戦期の切ない戦争映画のような様相を呈し、戦いは終わりました。 実験スペースという名の戦地を支援する義援金は随時募集中です。 以上、マンハッタン天気予報をお伝えしました。
5 22/01/17(月)21:48:39 [s] No.887931557
インモラルカフェさんも年相応の恋心は持ってるんだよ でもそれはそれとして治安は悪い
6 22/01/17(月)21:57:41 No.887935290
お友だちは何をしても上手そう
7 22/01/17(月)21:58:23 No.887935546
小ネタの奔流がスゥ~ッと効いて…これは…新鮮味…
8 22/01/17(月)22:00:55 No.887936628
>まぁ、何とかなるでしょう……。 絶対どうともならないやつ
9 22/01/17(月)22:02:44 No.887937317
カフェはこれくらい浮かれポンチになってもよい
10 22/01/17(月)22:09:28 No.887939841
隙あらば奪おうとするお友だち