虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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22/01/15(土)01:07:05 「はあ.... のスレッド詳細

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22/01/15(土)01:07:05 No.886955847

「はあ...私どうすればいいんだろ...」 レースで大活躍するんだ!そう言って家を飛び出してここ中央トレセンに来た私だが、これがてんで勝てない。 教科書を読んだり、活躍してる先輩達の映像を見て私なりにトレーニングをしても、模擬レースで1度だって入着が出来なかった。 「ハア...このまま結果が出せないと専属トレーナーどころかチームにも入れないまま実家に帰る事になっちゃうよ...」 そう考えながら街を歩いていると日が落ちて来た。冷たい風が吹き付けてくる。

1 22/01/15(土)01:08:14 No.886956134

「うう...寒い...門限まではまだあるけど帰ろうかな...」 そんな時、ふと前を見ると1匹の黒猫がいた。その黒猫は私を見ると、スタスタとこちらに近寄って来た。どうやら人懐っこいようで、私が手を伸ばすと自分から頭を押し付けて来て、そのまま撫でても怒らなかった。 「可愛いねぇお前。私を慰めてくれてるの?」 肯定するかのように喉をゴロゴロと鳴らしている黒猫を抱き上げると、不思議な匂いがした。 「へー変わってるね、お前コーヒー豆の匂いがするよ」 コーヒーは好きだ。特に学校のカフェテリアでの一杯は、日々の疲れを癒すトレセン学園での数少ないひと時だった。 そんな事を考えていると、黒猫が私の手からいつも間にか抜け出していた。しかし逃げるでもなく、私の方をじっと見ていると、そのまま歩き出した。その姿勢はまるで──── 「ついて来い...って事かな?」

2 22/01/15(土)01:08:50 No.886956257

ふと時計を見る。門限までまだ1時間弱あるし、帰りに走れば間に合いそうだ。 「待ってよ黒猫さん!」 あれからどのくらい歩いただろう。いつも歩いているはずの街なのに、周りには知らない建物ばかりが建っていた。 すると黒猫の歩くスピードが一気に速くなった。慌てて追いかけると、その先にはぼんやりと明るい照明の建物が建っていた。建物からは、さっきの黒猫からしたのと同じコーヒーの匂いが漂ってくる。そのドアにある猫用の出入口に黒猫は入っていった。 「純喫茶...マンハッタン...?」 どうやらそれがこの店の名前のようだ。身体も冷えてきたし、早いとこ入ろうと思った私は、ドアをゆっくりと開けた。

3 22/01/15(土)01:09:18 No.886956377

「いらっしゃいませ...お好きな席へどうぞ」 店には黒髪ロングで金の目をした、とても美人なウマ娘さんがいた。 「あっ...ハイ!」 そうしてカウンター席に座る。店内は落ち着く音楽とアンティークなグッズが置いてあり、とてもくつろげる空間だった。 「こちらメニューになります。ご注文がお決まりでしたらお呼びください。」 そうして私にメニューを渡すと、ウマ娘さんはカウンターの向こうへ戻って行った。 「へえ...色んなコーヒーがあるんだ。サイドメニューはケーキにサンドイッチに...カレー?」 ふと自分の腹具合を探る。昼食をあまり摂ってなかったせいで今は空腹であり、しかも今日は食堂が休みの日だった。 「よし...決めた!すみませーん!」

4 22/01/15(土)01:09:41 No.886956489

そうして注文をしてしばらく経つと、目の前にはカレーとコーヒーが置かれた。 「いただきます」 まずカレーを一口。 「...おいしい!」 辛さと甘さの絶妙なバランス、じっくり煮込まれて柔らかくなったチキンがルーに馴染んで、とても美味しいカレーだった。 「さて...コーヒの方は...」 そうしてカップに口をつける。次の瞬間口の中にコーヒーの香りが広がり、次に苦味や甘さが伝わる。 「こっちも美味しくて...なんだか落ち着く感じがするな...」 そう...まるでトレセンのカフェテリアみたいな...

5 22/01/15(土)01:10:07 No.886956583

「美味しいですか?」 すると急にそうやってウマ娘さんに声をかけられた。 「当店のオリジナルブレンドです。あなたは見た感じ悩んでいる様子だったので、落ち着く感じになるようにしました。」 「凄い...私が悩んでる事が分かっちゃうなんて!」 「そういう子が来るんですよ...この店には」 そうして黒猫の方を見る。黒猫はと言うと、のんびり顔を洗っていた。 「何を...悩んでいるんですか?」 そう聞かれる。そのウマ娘の目はなんだかこちらを見透かしているようで、自然と口が開いてしまった。

6 22/01/15(土)01:10:49 No.886956752

「模擬レースに勝てなくて...これじゃ満足にデビューが出来ないまま退学になるかもしれないと思うと...故郷の家族にも申し訳が...」 「そうですか...良ければ相談に乗りますよ?これでも昔はレースに出てたんですから」 「そうなんですか!?じゃ、じゃあお願いします!」 それから私たちは色んな事を話した。レース場の事や私の走り方、息の入れ方やコースの取り方、仕掛けるタイミング等、目の前のウマ娘さんのアドバイスはとても参考になるもので、自分の走り方が見えてきた。

7 22/01/15(土)01:11:16 No.886956857

「相談に乗ってくれてありがとうございます!これで今度のレースではいい結果が出せそうです!」 「気にしないで下さい...お節介でやってるだけですから...」 「そんな事...。デビューが出来たらお礼にまた来ます!それじゃあ本当にありがとうございました!っと結構長話しちゃったのでもう出ますね!門限が近いので!それじゃあ!」 そうして支払いをして店を出てからふと写真でも撮ろうかと振り返ると、さっきまで店があった場所には何も無くなっていた。 「.......えっ?」

8 22/01/15(土)01:11:44 No.886956968

それから数週間、あの日ウマ娘さんが教えてくれた走り方で見事一着を取った私は、念願の担当トレーナーと共に久々に学園のカフェテリアに来ていた。 「トレーナーさん!ここのコーヒーが本当に美味しいんですよ!」 「はいはいわかってるよ、コーヒーにうるさいお前が言うんだから間違い無いな」 そうして私はカウンター席に座ると、いつもコーヒーを淹れている店員さんに注文を...

9 22/01/15(土)01:12:41 No.886957170

「あー!貴方この間の純喫茶マンハッタンの!」 「...?母の店がどうかしましたか?」 「えっ...?母...?」 「はい。母が迷えるウマ娘の為に開きたいと言って父と共に開いた店で、ここのコーヒーもその店のオリジナルブレンドを参考にしてるんです」 「へーそんな事が...。でも私が店から出たあと振り返ったらそのお店消えてたような...」 「当然ですよ。あの店は迷えるウマ娘が来る場所、あなたの迷いはもう無くなったので店も貴方の前から消えたんです。」 「へ、へぇー...」 なんだか納得がいくようないかないような...。

10 22/01/15(土)01:14:11 No.886957499

「なんだかよく分からない話をしてるようだが...それよりコーヒーはまだかな?」 「おや、申し訳ありません。こちらになります」 そうして差し出される2つのコーヒーカップ 「じゃあ...ちょっと遅いけどデビュー祝いに」 「じゃあ...トレーナーさんも初の担当祝いに」 「「いただきます」」 2人で飲んだコーヒーは、1人で飲んでいた時と違った味わいだった。

11 <a href="mailto:s">22/01/15(土)01:15:55</a> [s] No.886957928

純喫茶マンハッタンは迷えるウマ娘の皆さんをいつでもお待ちしています 黒猫を見かけた際には是非お立ち寄り下さい 的なのいいと思うのだが貴様は?

12 22/01/15(土)01:19:00 No.886958652

貴様!? 私こういうの好き!

13 22/01/15(土)01:22:13 No.886959373

力作だ…

14 22/01/15(土)01:32:32 No.886961883

あの謎空間で店開いてるのかな…

15 22/01/15(土)01:34:23 No.886962321

都市伝説だよこれ!

16 22/01/15(土)01:37:47 No.886963223

ちょっと不思議でちょっといい話いいよね…

17 22/01/15(土)01:39:40 No.886963712

推定アラフォーくらい?でも娘と間違われるカフェ

18 22/01/15(土)01:45:43 No.886965114

>「そうですか...良ければ相談に乗りますよ?これでも昔はレースに出てたんですから」 育成シナリオ経てるなら最低でもGⅠ4つで三着以上と有馬一着なんだよな…

19 22/01/15(土)01:58:24 No.886967770

あいつら当然のようにうまぴょいしたんだ!

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