ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/01/08(土)02:10:44 No.884634134
遠い過去に思いを巡らせてみる、もしも自分の姉が生きていれば間違いなくトレセンに通っていただろう、自分でも入れたのだ。 自分より優秀な姉だ、自分なんかよりいい記録は間違いなく出せていた、それこそ皇帝シンボリルドルフと並ぶウマ娘になれていたかもしれない。 そうなった時私はブライアンさんのように優秀な姉に挑めるだろうか…、もしかしたら戦う事すらせずにただの一般のウマ娘になっていたかもしれない、それはそれでいいのかもしれない…無様を晒して姉に迷惑をかけるよりは…。
1 22/01/08(土)02:10:56 No.884634162
夢を見る。 ゲートの中でスタートを待つ、今日はお姉ちゃんとのレースだ、お姉ちゃんの妹としてレースに出る以上無様な姿は見せられない、ゲートの中で気合を入れる。 ゲートが開く、少し力み過ぎたからかスタートは少し遅れてしまった、お姉ちゃんは前に走っている、…大丈夫だ、焦ることはない自分の武器は末脚だ、それまで溜めてついて行けばいい。 順位は変わらずお姉ちゃんが前を走りレースは第4コーナー、ここだ!そう思って溜めていた足を解放…できない?なんで!いつもならもっと伸びるはずなのに、自分の考えとは関係なくお姉ちゃんや周りのウマ娘たちが自分をどんどん突き放していく、待ってこんなんじゃ…そう思っていると視界にトレーナーさんが映る、しかし応援しているのは自分ではなくお姉ちゃん、そうだあの人は自分のトレーナーじゃなくて…。
2 22/01/08(土)02:11:09 No.884634206
目が覚めた、寝汗と全身の震えが止まらない、隣の寝たままのルームメイトを見てほっとするこんな姿見せられない。 全身に力を入れて震えを止めようとする、なぜこんなに動揺している、理由はわかっている、お姉ちゃんとトレーナーの二人が想像とはいえ…。 自分以上にしっくり来てしまった。 あの光景が頭から離れない、もしお姉ちゃんが死んでいなければ、もしトレセン学園に通っていたら、……もし自分が変わりに死んでいれば、悪い方向だとは思うが一度考えてしまうと想像は止まらない。 夢の中で幸せになっているお姉ちゃんには悪いとは思ったがあの光景は二度と見たくない、そう思ってしまう、楽しいことを思い出そうとしても思考が向こうに持っていかれる…。 夢を見ない、そうだ眠らなければいいんだ、一生寝ないのは無理でもせめてあの光景を忘れられるまでは寝なければいい。 その日はできれば眠りたくないので今日は軽めにと遠回しに頼んだらいつものように甘えていると取られたのだろう、いつもの倍のメニューを渡された。 ふらふらとした足取りでベッドに倒れこむ、ダメだ…眠ってしまう…せめて眠らないように空腹の状態なのに…眠って…。
3 22/01/08(土)02:11:19 No.884634236
私はマチカネフクキタル、トレセン学園に通う何の変哲もない普通のウマ娘だ。 大好きだった姉に勧められて走ることは好きであったので試験に挑んだら何の間違いか合格してしまい通っている。 とはいえ私はデビューも何もしていない誰も声をかけてはくれない。 入学した当初は優秀な姉がいたので 「お姉さんのように速いのだろうか」「お姉さんのように素晴らしいウマ娘なのだろう。」 とチヤホヤされて自分の事のように褒められていると思っていた。 なにをしても並でしかない私に周りは失望していった。 「姉は優秀なのに…」「姉は素晴らしいのに…」「どうして姉のようにならないんだ…」 最初は嬉しかった姉の存在を今では避ける存在になっている…あぁ姉なんてどこかにいなくならないか。
4 22/01/08(土)02:11:30 No.884634275
呪われた夢を見た、昨日の晩と同じく飛び起きる、全身の震えが止まらない、昨日の夢なんて目じゃないくらい悪化していた。 両手で頭を抱える、しかし目をつぶれない、眠ってしまうのが怖い、あの夢は自分の…今の幸せを壊してしまう様な夢だった。 あの夢から3日ほぼ1睡も出来ていなかった、最初の日は必至でこなし、次の日はトレーナーさんがいないので言われていたトレーニングをずる休みをして何とか過ごせたが3日目となっては無理だった、いつも通りのトレーニングメニューだったが10分の1もこなせていないところで頭が全く働かなくなる、もう無理だ、でも眠りたくないまた同じ夢を見たら…いやもっと悪い夢になるのかもしれない、そう思いながら必死で意識を保とうとする。 「フク!!」 トレーナーさんのおおきなこえがきこえる、あぁまたなにかわたしはやったのだろうか…あやまらないと…あのひとがはなれてしまう…
5 22/01/08(土)02:11:40 No.884634305
私はレース場の観客席で私はお姉ちゃんを応援しに来た、私の姉は連日連夜その姿をテレビで見ない日はない…自慢の姉だ。 ゲートの中に入る姉を見ながらまるで自分の事のように緊張しながら見守る。 レースは圧勝、煌びやかな勝利を自分の事のようにうれしくなって遠くにいる姉に聞こえないはずなのに大声を投げていると姉に誰かが近づいてくるのを見る。 あれはトレーナーだろうかレースに勝ったお姉ちゃんの頭を撫でながら優しい表情をしている…。 …それにしても誰だろう、どこかで見たことのある顔だ…どこでだろうか…そうだ!あの人は……。
6 22/01/08(土)02:11:51 No.884634353
くっ…フク!!! 身体が揺すられて悪夢から目が覚めた、…ここはトレーナー室? 大丈夫かと肩を掴んで聞いてくるトレーナーに対して「目は覚めた」と返すと一つ頷いて後に肩から手を放して自分の机に戻りカップラーメンをすすっていた、食事中だったのだろうか、我ながらタイミングが悪い。 その匂いに釣られてかグゥ…と腹の虫が鳴る、いつまで眠っていたのだろう外を見るともう真っ暗になっている、時計を見ると食堂はもう空いていない時間だ。 なんでもいいから腹に入れといたほうがいいそう言って私の前にお湯の沸いているケトルとカップラーメンを置いてくれた、食欲はあまりなかったが腹の虫を聞かれた時点で食べる以外ないだろう、しかし。 「私お蕎麦がいいです。」 机に戻ろうとしていたトレーナーにそう言ったら回転するカップのそばを頭にぶつけられた、うぅ酷い…。 「随分うなされていたがどんな夢を見たんだ?」 なんとかお蕎麦を平らげて一心地付いた後に心配した表情のトレーナーに話しかけられた。 練習にも穴をあけてしまったのだ、気になるのは当然だ、その質問に言葉に詰まらせていると、答えたくないならいいと言ってくれた。
7 22/01/08(土)02:12:02 No.884634388
話したくはない、しかし話すべきだろう、誰でもいいから吐き出さなければダメになると思った。 「夢を見るんです…お姉ちゃんがもしも生きていたら、お姉ちゃんは活躍したんだろうなって。」 そのお姉ちゃんとトレーナーが一緒にいる一番心に亀裂の入った大事なことは言わなかった。 「そしたら私っていらないじゃないですか、お姉ちゃんが走ってくれるんですよ?」 「お前は走るのを辞めないだろ?」 一番大事なところを言わなかった結果イマイチ要領を得なかったトレーナーが、返してくる。 「でもお姉ちゃんくらい強かったらトレーナーさんも担当をしたいでしょう!?」 もどかしい態度をとるトレーナーについ声を荒げた、言ってしまった、自分の言葉で何を言いたいのかわかったのだろう、少し考えこんだ後に。 「確かに担当するなら強いウマ娘のほうがいいな。」 その一言に背筋どころか心臓すら凍り付いた感覚になった、こんな話しなければよかった。 そんな自分を尻目にトレーナーは続ける。
8 22/01/08(土)02:12:16 No.884634426
「俺も強いウマ娘に出会えるように神社に願掛けでもと行ったらいきなり運命だっていう変なのに捕まったしな、そいつが面白い奴だと思って面倒をみていたら気が付いたら担当だ。」 「あの…私でよかったんですか?」 今のトレーナーの話はどう聞いても自分と組んでよかったとは思えない、もしかして。 「私を選んで後悔してます…?」 いつの間にか聞いていた。 しかしトレーナーはバッサリと。 「いや、選んだのはお前だろう。」 そういう事じゃなくて、と言おうとしていたら、大きなため息でこちらを遮り。 「お前の姉と会ったことはないし知らない、それにお前を弱いと思ったことは1回もない、お前の姉が誰よりも強かったとしても俺はお前なら勝てると思っている。」 そう言うとこれで満足だろ、と言って話を打ち切った。 話はそこで終わった、その後私は泣いて、それを聞かないようにトレーナーはキーボードを黙々と叩いていた。 私が泣きやんだ頃に、明日は厳しくするから帰って寝ろと厳しい事とタオルを投げられて部屋に帰された、不思議と夢への恐怖がもうなかった。
9 22/01/08(土)02:12:26 No.884634462
夢を見る。 ゲートの中でスタートを待つ、まさか大事なレースでお姉ちゃんやスズカさん、タイキさんやエアグルーヴさん達と同じレースとは…これは自分も運の尽きか?そう考えてしまうのも仕方ないだろう、しかしまぁそんなこと言っていたらトレーナーさんに勝てるように一緒にトレーニングをしたんだろうと叱咤されるので走らないわけにもいかない…後も怖いし。 ええい野となれ山となれ、私のレースを見ていてくださいトレーナーさんシラオキ様!気合を入れた数秒後、ゲート開いた瞬間に駆け出す。
10 22/01/08(土)02:12:40 [終わり] No.884634531
先頭は当然スズカさん、その後ろタイキさんやエアグルーヴさんお姉ちゃんがその後ろでお互いをけん制しながら走っているのを少し距離が出来た馬群の先頭で見ていた、大丈夫だトレーナーさんと立てた作戦通りの好位置についている。 馬群に飲まれないようにレースを続ける第4コーナーに差し掛かる、まだだ、先頭集団は固まっているこのまま前に進むと馬群に捕まるだろう、しかし作戦通りだ、コーナーの大外から一気に先頭集団を抜いた、今日の為、トレーナーさんの厳しい…本ッ当に厳しいトレーニングの成果で大外を走っても未だ足が伸び尽きる気配がない、観客席から自分の名前を叫ぶトレーナーさんが視界に入る、見ててください!このまま前に…!!
11 22/01/08(土)02:22:29 No.884636376
お姉ちゃん主軸にすると重すぎるな…
12 22/01/08(土)02:27:57 No.884637321
わたし普段明るく振る舞う子の抱えてる暗いコンプレックスとか大好き!(バァアアアアアン
13 22/01/08(土)02:31:59 No.884637955
あっ決して煽りとかではなく御馳走様でしたという意味です!
14 22/01/08(土)02:51:01 No.884640982
読点減らした方が読みやすくなるかなと思ったのと 一文に同じ単語が2回出てくる事が何度かあったので投下する前に一回読み直すといいかもしれない
15 22/01/08(土)02:58:06 No.884641958
>「俺も強いウマ娘に出会えるように神社に願掛けでもと行ったらいきなり運命だっていう変なのに捕まったしな、そいつが面白い奴だと思って面倒をみていたら気が付いたら担当だ。」 >「いや、選んだのはお前だろう。」 >そういう事じゃなくて、と言おうとしていたら、大きなため息でこちらを遮り。 >「お前の姉と会ったことはないし知らない、それにお前を弱いと思ったことは1回もない、お前の姉が誰よりも強かったとしても俺はお前なら勝てると思っている。」 まさにフクのトレーナだよ…
16 22/01/08(土)03:06:56 [s] No.884642995
>読点減らした方が読みやすくなるかなと思ったのと >一文に同じ単語が2回出てくる事が何度かあったので投下する前に一回読み直すといいかもしれない ありがとうございます いつも短い奴で長文書くの初めてだったからもうちょっと生かしてみます
17 22/01/08(土)03:07:15 No.884643038
>「私お蕎麦がいいです。」 >机に戻ろうとしていたトレーナーにそう言ったら回転するカップのそばを頭にぶつけられた、うぅ酷い…。 ここすき
18 22/01/08(土)03:40:11 No.884646071
私はいいと思う
19 22/01/08(土)06:02:59 No.884652998
書けるやつもそれに対して嫌味ぽくなくちゃんとした指摘できるやつもどっちもすげえよ…