ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
22/01/05(水)19:51:14 No.883911675
「あけましておめでとう、トレーナー!」 「ああ、おめでとう、今年もよろしく。」 クリスマスが終わったらすぐに街の装いは新年に変わって、この時期は季節まで慌ただしい。 カイチョー達も忙しそうで、生徒会室に遊びに行っても追い返されることが増えてきた。 「ほら、お年玉。」 赤地に白で大入、なんて書かれた小さな封筒、ちょっとわくわくする。 開けていい?って目で聞いてみると、小さくうなずいてから缶コーヒーを飲み始めた。 じゃあ遠慮なく、と開いてみるとプリペイドカードの束。えーと、一枚に一万ずつだからー……、うわ、結構な額。 「こんなにいいの?」 「三年分まとめてもらったとでも思っておけ。それにアスリートは体が資本だ、自分に投資し磨き続ける必要がある。そうなると金はいくらあっても困らん。」 飲み終わった缶を握り潰してゴミ箱に投げるトレーナー。コン、と軽い音がしてナイスシュート。 あんまり行儀良くないなあ、それに缶を潰したって強そうにも見えない。
1 22/01/05(水)19:52:03 No.883911948
「癖なんだよ、昔からのな。」 ボクの視線に気づいたのか、言い訳のようにトレーナーが呟く。 「昔見た映画……あー、映像と音声だけのメディアだ。それに出てくるタフガイが缶コーヒーを一息で飲み干して、その空を握り潰して捨てていてな。かっこよく見えた。 その頃使われていたのは金属缶だったから、握りつぶして腕力を示してたんだろうな、多分。」 ほえー、とトレーナーの昔話に曖昧な声を出す。映画、教科書に書いてあるのを読んだことがあるぐらい。 トレーナーって古いものが好きなんだろうな。まだハサミなんて使ってるし。 映画…今で言うとグラビーかな、それの真似なんてちょっと子供っぽい。 他の映画の話も聞こうとしたところでドアがノックされた。 開けるとそこには 「カイチョー!」 「歓談中に失礼する、新年の挨拶をと思ってな。」 「ルドルフか、あけましておめでとう。」 「あけましておめでとう!忙しそうだったのに、来て大丈夫なの?」
2 22/01/05(水)19:53:29 [終わり 前回までのログfu685034.txt] No.883912397
「あけましておめでとう。挨拶回りも仕事の内、何より時候の挨拶を欠かすなとエアグルーヴに追い出されてしまってな。」 困ったように肩をすくめるカイチョー。エアグルーヴに背中を押されて生徒会室から送り出される様子を思い浮かべて、笑いが漏れてしまった。 「笑ってやるな、忙しい中来てくれたんだから。飲むか?」 「もらおう。」 返事をきくと、トレーナーは小型冷蔵庫に何本も入れてある缶コーヒーから一本をカイチョーに投げ渡す。 「ついでに聞きたかったんだ。今年の有マ、出るよな。」 カイチョーは缶コーヒーを一息に飲み干すと、缶を握り潰してゴミ箱へ投げる。壁に一回跳ね返ってナイスシュート。 「気の早い話だが、肯定だ。」 「皇帝が肯定するならその通りか。ならテイオーとの決戦の場はそこだな。」 トレーナーの言葉の直後、ごくり、という音が耳に響く。無意識につばを飲み込んだ音だと一瞬遅れて気づく。 そうだ、ボクはカイチョーに勝つために走ってるんだ。ボクのライバルはマヤノやタキオンかもしれないけど、ボクが超えるべき目標は、この人だ。
3 22/01/05(水)20:14:13 No.883919708
アニメ版みたいなカッコいいテイオーだ…