虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    22/01/03(月)01:32:20 No.883051196

    「う……、ん」 カーテンの隙間から漏れる日差しに、セイウンスカイは目を覚ました。寝ることが至福だからこそ、毎日の起床の瞬間は多少は憂鬱になったりするのだが、今日の目覚めはなんだかいつもより清々しい気がする。 どうしてだろう、と身をよじろうとして、腕の中に何かがすっぽりと収まっているのに気がついた。 「……これは、流石にまいったねえ」 スカイはその正体に気づいていた。自分のベッドで、自分以外のウマ娘が眠っているなどという状況をどう解釈すればいいのかわからないほど鈍感ではないつもりだ。 「キング……」 彼女の名前を呟いてみる。彼女は小さく寝息を立てていた。その表情はとても穏やかだった。─昨日のレースとはちがって。 レース後、キングは泣いていた。そしてその後……。

    1 22/01/03(月)01:32:55 No.883051332

    (私……) ぼんやりとした頭のまま、そっと手を伸ばして彼女の頬に触れた。指先で触れると、ぴくりとその小さな身体が震えた。しかし起きる気配はない。 スカイはそのまま手を滑らせ、キングの前髪をかき上げた。露わになった額には、白い包帯のようなものが巻かれていた。 レース中に転倒して怪我をしたキングは幸いにも大きな傷ではなく、一週間ほどで治ると聞いている。だが、この様子では少なくとも二週間は安静にしていなければならないはずだ。 つまり、今こうして彼女がここにいること自体がおかしいということだ。本来なら保健室のベッドの上で大人しくしているべきなのだ。それなのに。 「なんでこんなところにいるかなあ」

    2 22/01/03(月)01:34:01 No.883051591

    スカイは苦笑しながら呟く。 きっと自分も同じことをするに違いないと思ったからだ。自分が怪我をして動けなくなった時、誰かそばに来てくれるだろうかと考えるだけで心強い。だから自分はここに来たのだ。 キングが自分を頼るように、自分もまた彼女を頼りたかったのかもしれない。 でも、それは逆効果だと思う。 そんな風に頼られたら、誰だって嬉しくなるものだ。それが例えライバル同士であったとしても。 キングは優しい子だと、スカイは知っている。普段は高飛車な態度を取っていても、本当はとても情が深いことも。 ただ、不器用なだけだ。

    3 22/01/03(月)01:35:20 No.883051884

    「私はもう大丈夫だよ、キング」 彼女の前髪を再びかき上げながら囁きかける。 「私ね、ちゃんと考えてることがあるんだ。そのためにちょっと頑張ろうって思ってるんだよ」 だから安心して休んで欲しい。あなたがここで眠る必要はない。あなたにはあなたの場所がある。自分の居場所は自分の力で勝ち取るから。 「キング……」 もう一度呼びかけたが返事はなかった。代わりに穏やかな寝顔を見せてくれるだけだった。それを見ているうちに、段々と眠気が襲ってきた。レース後の疲労はまだ残っている。それに、まだ朝早い時間である。二度寝しても問題ないだろう。

    4 22/01/03(月)01:35:46 No.883051992

    「キング……」 もう一度呼びかけたが返事はなかった。代わりに穏やかな寝顔を見せてくれるだけだった。それを見ているうちに、段々と眠気が襲ってきた。レース後の疲労はまだ残っている。それに、まだ朝早い時間である。二度寝しても問題ないだろう。 キングが起きてしまったらその時に起こせばいい。それまではこの幸せな時間を味わっていたい。 「おやすみ、キング」 スカイは再び目を閉じた。キングの体温を感じながら眠りにつくことに幸せを覚えながら。 結局二人は昼過ぎまでぐっすりと寝てしまい、目覚めた後にお互いに真っ赤になりながら謝罪したのだった。

    5 22/01/03(月)01:37:42 [S] No.883052430

    なんか友達以上ではあるんだけどその先が曖昧な二人が書きたかった おしまい