22/01/02(日)23:22:31 本日ポ... のスレッド詳細
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22/01/02(日)23:22:31 No.883002431
本日ポケスペ純愛健全ゾロ目スレでの正月ダイスをレブルの話と解釈して書かせていただきました このスレ自体はダイススレではありません 思いっきり三次創作ですのでご了承下さい 今回長めです あらすじ 年末にテレビ見ながら過ごす エロ本見つかって揶揄われたりもしたが ブルーの家の用事で正月は離れ離れに…
1 22/01/02(日)23:22:50 No.883002562
「今年ももう終わりね…」 「そうだな…」 12月31日。 レッドの自宅で片付けをしつつ、レッドとブルーは語り合った。 「今年も色々とあったなぁ」 「アタシとレッドが付き合いだしたり?」 「やっぱり1番はそれかな」 大掃除に呼んだ理由がそれだ。 まだただの友達だったころには掃除に巻き込むのは悪いと思っていた。 だが、もう恋人になったのなら話は別だ。 もうレッドの身内なのだ。 力を借りることに躊躇いはない。 それでも一応は言っておく。
2 22/01/02(日)23:23:21 No.883002814
「悪いな。オレの家の大掃除手伝ってもらって」 「別に構わないわ。この前はアタシの家の大掃除手伝ってもらってたし。 これでおあいこよ」 笑いながらブルーが言ってくる。 「でも、結構掃除するところあるわね」 「そうだなぁ」 長い間一人暮らしだった。 付き合って以降はブルーが泊まりに来ることもある。 だが、1人で住むには大きい家だ。 散らかすこと自体は少なくとも汚れやほこりは溜まっていく。 そうして1人では掃除しきれなくなっていき、 こうしてブルーの手を借りることとなった。 「こっちの部屋はオレがやるから、ブルーは他の部屋やってくれないか?」 「うん。いいわ」 あっさりと頷くとブルーが退室した。
3 22/01/02(日)23:23:38 No.883002938
しばらくして。 「よし、トイレ掃除は終わった!」 宣言してトイレから出る。 これであらかた掃除は終わったような気がする。 「…そういえばブルーはどうしたんだろ」 別の部屋を頼んでから全然見ていない。 耳を澄ませてみるが、掃除をしているような音もない。 「どうしてるんだろう…」 とりあえず、ブルーを探してみることにした。
4 22/01/02(日)23:23:56 No.883003090
探してみると、ブルーはすぐに見つかった。 「あ、ブルー!」 彼女がいたのは物置だ。 いくつもの使わなくなったものが押し込められている。 彼女のまわりを見る。 それなりに掃除はしていたようだが、今は掃除用具をなにも持っていない。 明らかに掃除をサボっていた。 「あ、レッド」 ブルーは悪びれもしていない。 「遅いわよレッド。来るの待ってたんだから」 それどころか、なぜか口元を緩ませていた。 誤魔化し笑いではない。 何か愉快なことがあってそれを我慢できない。 そんな顔をしていた。
5 22/01/02(日)23:24:14 No.883003213
「どうした?何かいいことあったのか?」 彼女の表情に毒気を抜かれて普通に質問する。 「いや、それがね」 彼女は近くの段ボールを開いた。 あれはなんだろう。 レッドは記憶を探るが何も思い出せない。 ブルーの面白がるものが何かあっただろうか。 「これ、なんだと思う?」 ブルーが取り出したのは一冊の本。 それを見て、レッドの心臓が大きく跳ねた。 精神にざわめきが起こる。 先程までの穏やかな心境が嘘のように動悸が止まらない。 忘れていた記憶が怒涛の勢いで溢れ出す。
6 22/01/02(日)23:24:29 No.883003322
あの本は、まさか、 「レッドがエッチな本隠し持ってたとはねー」 「うわぁぁぁぁ!!」 慌ててブルーから本を取り返そうとする。 が、ひらりとかわされてしまう。 「オホホ、捕まえてごらんなさーい♪」 振り返ると、いつのまにか出していたリリリが天井近くまで浮かんでいた。 その上にブルーが段ボールを傍らに置いて腰掛けている。
7 22/01/02(日)23:24:49 No.883003457
思い出した。 あの段ボールはエロ本をひとまとめにしたものだ。 ブルーと付き合いだしたしそろそろ処分しようかなとあのようにしたまではよかった。 だが、廃品回収の日に限って出すことを忘れていて処分できなかった。 そうしてまた今度でいいかと思っているうちに存在そのものを忘れていた。 「あ、こら!」 一応、彼女の脚には手が届く。 その気になればその長い脚を掴んで地上に引っ張りこむこともできるだろう。 だが、それをしたらリリリがバランスを崩すだろう。 それによってブルーや段ボールが落ちてしまうかもしれない。
8 22/01/02(日)23:25:09 No.883003597
今更段ボールはいいが、ブルーが怪我をする可能性があることはできるだけしたくない。 いや、それよりも気になることがある。 「~♪」 ブルーが脚を組み替える。 その時にスカートが持ち上がって中の下着が見えそうになる。 いや、ちらっと見えてしまった。 純白のパンツが。 「見たいのなら遠慮なく見てもいいのよ?」 「いや!いいから!」 スカートを自分からめくろうとするブルーを静止させる。 正直、凝視したい気持ちはある。 だけど、まだ彼女のそういった部分を見ることには抵抗がある。 そう意識してしまうと、なおさら彼女に触れて引きずり出すことに拒否感が出てしまう。
9 22/01/02(日)23:25:30 No.883003742
「ねぇ、レッド」 「…なんだ?」 震えが来る。 ブルーはどんな反応をするだろう。 自分以外の異性に性欲を向けることに。 嫉妬か、拒絶か。 嫌な予感はする。 先程は愉快そうにしていたがその表情の裏にはどんな本音が渦巻いているのか。 「ここにある本に出てる女の人って、だいたい胸大きいわね」 「…そうだったかな」 記憶を辿ると確かにそうだった気がする。 別に胸の大小にこだわりはないつもりだが、どちらかというと大きい方が好きだということは否定できない。
10 22/01/02(日)23:25:51 No.883003881
「それで、髪の長い子も多かったわね」 「…そうかも」 これもどちらかというとというくらいではあるが。 「で、垂れ目より吊り目派よね?」 「…かもしれない」 また否定しきれない。 と、そのあたりでブルーの笑みがまた濃くなっていった。 なんでだ、と聞こうと思う。 「それってさ、レッドの好みの女の子は胸のが大きくて髪が長くて吊り目の子ってことだよね」 だがブルーの方が先に口を開いた。 嫌な予感がさらに増していく。 だが、もう彼女の言葉を止められるわけがない。
11 22/01/02(日)23:26:10 No.883004015
「全部兼ね備えてるアタシって、レッドの好みど真ん中だったってこと?」 心臓がさらに暴れ出した。 肌寒い部屋のはずなのに、身体が熱い。 顔だけでなく、全身が真っ赤に染まっていく感覚。 それは決して否定からではなく。 「図星?」 彼女の問いに、レッドは頷くしかなかった。 「そっかー。アタシ、レッドの好みのタイプどストレートだったのねー」 実際、そうだった。 初対面の頃からかわいいと思ってしまった。 彼女に騙されたと知ってその時の感情は薄れてしまったが、 いいところも辛い目にあったことも知っていったことで嫌気も薄れていった。 彼女の美貌に慣れたはずの今でも、つい見惚れてしまう時がある。
12 22/01/02(日)23:26:30 No.883004167
「よっと」 レッドが戸惑っていると、ブルーが飛び降りた。 「う、うわ!」 慌てて落ちてくるブルーを受け止める。 お姫様抱っこの形になり、顔が間近になってしまう。 こうなるとわかっていたのか、ブルーは笑ったままレッドの耳元に口を寄せ、 「自分の好みの女の子に出会えて、彼女にできて嬉しい?」 「…うん」 また、頷くしかなかった。 「…よし。ならいいわ」 ブルーは納得したように頷くと器用にレッドの腕の中から抜け出した。
13 22/01/02(日)23:26:50 No.883004308
「アタシ以外の女の子の本持ってたのはこれで許したげる」 「…あ、うん」 呆気に取られたが、その一言で納得した。 自分の恋人が自分以外の異性を邪な目で見ていた。 そのことを知って愉快に思う人間はそうはいないだろう。 ブルーだってどこにでもいる女の子の1人なのだ。 そこに辛い思い出があるだけで。 ちょっと意地悪だが、それ以上に優しくて繊細な女の子。 そんな彼女を嫌な気持ちにさせてしまった。 「…ごめん」 「だからもうこれで手打ちにしようって。 それより掃除の続きしましょう?」 「…ああ、そうだな」 彼女が言うならそれに従おう。 せめてもの詫びに通り過ぎる時に頭を撫で、掃除を再開した。
14 22/01/02(日)23:27:14 No.883004457
「今年ももう終わりか」 年越しそばを啜りつつ、レッドは呟いた。 「それ、午前中も聞いた」 同じくそばを啜りながらブルーが苦笑する。 「いや、こうして年越しそばを食べて、年末特番を見てると改めてそう思ってさ」 テレビを見る。 今回は各地方のコンテストのことが放送されていた。 「あ、ルビーだ」 「サファイアもいるわね」 ホウエン地方の場面が映される。 後輩たちがポケモンと共にアピールを繰り返している。 元気そうな2人の様子に顔が綻んでくる。 しばらくすると、スタジオにカメラが戻った。
15 22/01/02(日)23:27:32 No.883004602
「スタジオにも2人ともいるのか」 「こっちが生中継みたいね」 司会がルビーとサファイアの仲を茶化す。 と、サファイアが照れながら傍らのルビーをはたいていた。 ルビーが恨めしそうにサファイアを見返して、そこから言い合いが始まった。 「相変わらずね。あの2人」 「たはは。まぁらしくていいじゃないか」 しばらくそうして食べ続ける。 「…っはぁ。ご馳走様」 「お粗末でした」 食事を終え、ブルーが食器を片付ける。 しばらく待っていると、作業を終えたブルーが戻ってきた。
16 22/01/02(日)23:27:49 No.883004730
隣にブルーが腰掛ける。 「なんか不思議な気分だな」 「何が?」 「ブルーとこうして年末過ごすことがさ」 「…そうかも」 すぐ近くで彼女が微笑む。 お互いの用事があって、今までの年末はブルーと2人だけということにはならなかった。 彼女は昔そうできなかった分、家族と少しでも長い間いたいだろうという遠慮もあった。 だけど、今はもう恋人同士だ。 2人きりでいることに何の躊躇いもない。
17 22/01/02(日)23:28:04 No.883004868
しばらくテレビをつけっぱなしにしていると、除夜の鐘をつく場面が映し出された。 鐘の鳴る音が部屋に響く。 「この音を聞いてたら、心が洗われる気分になるよ」 「レッドの煩悩は、除夜の鐘でも浄化されそうもないけどねー」 「うっ…」 あの段ボールの件を思い出し、否定できなくなった。 と、腕に柔らかな感触。 見ると、ブルーの胸がこちらの腕に当てられていた。 大きく、柔らかく、それでいてハリのある感触。 女性の乳房という男ならば意識せざるを得ない箇所。 それが当てられている。 それも最愛の恋人のものが。
18 22/01/02(日)23:28:27 No.883005042
たちまち、頭に沸騰しかねないくらいの熱が湧き上がる。 「ちゃんとアタシ本人でもそういう気持ちになるんだ。安心した」 そういうとブルーが離れる。 安堵から大きく息を吐きだす。 これ以上触れていたらおかしくなりそうだった。 だけど、正直名残惜しいという気持ちもあるのは否定しきれない。 と、そこでテレビから新年を祝う言葉が流れた。 年が明けたのだ。 ブルーと目を合わせる。 どちらからともなくお互い苦笑して、 「明けましておめでとうございます」 「本年も宜しくお願いします」 お辞儀とともに挨拶を交わした。
19 22/01/02(日)23:28:47 No.883005183
「…じゃ、アタシそろそろ帰るわ」 ソファから立ち上がり、ブルーが帰り支度を始める。 「送ってくよ」 「いいわ。帰るのが惜しくなるもの」 「明日から海外だっけ?」 「そう。パパやママと一緒にね」 前から彼女が言っていたことだ。 家族で旅行に行きたい。 そのためにお金を稼いでいたのだと。 今日、この時間までブルーがいたのは正月期間に会えなくなる分の埋め合わせでもあった。
20 22/01/02(日)23:29:05 No.883005315
「気をつけてな」 「心配ならレッドもついてくる?」 「今からだとチケットも取れないだろ。 それに家族水入らずなんだからオレがいたら邪魔になっちゃうよ」 「そんなことないと思うけど」 言いつつ、身支度を終えるとブルーは部屋を出ようとして、 「じゃーねレッド。良いお年を」 「ああブルー。良いお年を」 そして今度こそブルーは部屋から出た。 しばらくすると玄関のドアが開く音。 それからドアが閉じて鍵がかかる音がした。 合鍵は渡してあるので向こうからも鍵はかけられる。 ブルーの去った方向を見る。
21 22/01/02(日)23:29:22 No.883005458
「帰るのが惜しくなる、か」 そう言ってくれるくらい自分がブルーにとって大きな存在になっている。 その考えがレッドの背筋をむず痒くさせる。 気を取り直し、風呂でも沸かそうと部屋を出ようとする。 振り返って、ソファを見る。 先程、自分とブルーが並んで座っていた場所。 でも今は誰も座る人がいない。 大掃除の時は多少騒がしくしていた家が、静かになっている。 自分1人が世界から切り離されたかのような孤独感に苛まれる。 気のせいだとかぶりを振って、改めて部屋を出た。
22 22/01/02(日)23:29:42 No.883005589
1月1日。 その日はレッドはトレーニングもせずに自宅にいた。 正月の今日くらいは休んでおこう。 毎日トレーニングやポケモンバトルだと鍛えるどころか疲労か溜まるだけだ。 なので、定期的に休日をとるようにしている。 今日もその日だ。 だけど、今日は暇を持て余していた。 今はブルーがいない。 グリーンたちも家族との用事があり、呼び出すわけにはいかない。 「…溜まってた録画でも見るかな」 リモコンを手に取り、そうしようとした時だ。 傍らに置いていたポケギアが着信音を奏で出した。
23 22/01/02(日)23:30:01 No.883005726
手に取ってみると、画面にはゴールドという文字が映し出されていた。 後輩からの連絡かと思って、レッドは通話ボタンを押す。 「もしもし」 「あ、レッド先輩!明けましておめでとうございまーす!」 「ああ、明けましておめでとう」 予想通り、元気なゴールドの声が聞こえた。 「今年もよろしくな」 「こちらこそっス。んで、今暇してたりしないっスか?」 「たはは、ちょうど暇だなーって思ってたところだよ」
24 22/01/02(日)23:30:18 No.883005876
正直に白状すると、ゴールドもだははと笑い、 「なら、うちに来ませんか?シル公にエメラルドもいるんで新年早々パーっと行きましょう!」 「いいな!わかった今から行くよ」 こちらも元気よく返答する。 と、ゴールドがバツが悪そうに声のトーンを下げて、 「すいません。急に連絡しちまって」 「いいって。オレも1人で暇だったからな」 「1人って、他の先輩方は?」 「みんな家族と過ごすってさ。そっちも名前上がってなかったクリスは?」 「あー、クリスのやつはポケモン塾っス。 年末年始に親のいない子供たちのお世話しなきゃって」 似ていないクリスのモノマネを交えての説明につい吹き出してしまった。
25 22/01/02(日)23:30:36 No.883006059
「で、エメラルドの野郎もオシャレ小僧と野生児ギャルがテレビに出ずっぱりで暇してっからってこっちに来てんすよ。 シル公はまあ、入り浸ってんのは毎度のことですし」 「なるほどなぁ」 つまりはゴールド以外は家族のいないものや、家族とすごすことのできない者たち。 それらがゴールドの家に集まろうとしていた。 「じゃ、言った通り今から行くから」 「ウッス。待ってますんで」 それで通話は切れた。 「さて、そんじゃ行くか!」 ボールの中の仲間たちに声をかけて、出かける準備をして家を出た。 誰かと会う、というだけで先程までの寂しさは消えていた。
26 22/01/02(日)23:30:55 No.883006218
その後、ゴールドの家。 「ほっ」「よっ」 「ほいさっ」「よっ」 「オラァっ!」「よっ」 「っしゃあ!」「よっ。ってゴールドさん掛け声いちいち変えないでよ! 息合わせるの難しいだろ!」 ゴールドとエメラルドが餅をついていた。 ゴールドが杵を振るい、エメラルドが餅を捏ねていた。 「こまけーことは気にすんな!そんじゃそろそろシル公もやっか?」 「ああ。任せておけ」 ゴールドから杵を受け取り、シルバーが構える。
27 22/01/02(日)23:31:11 No.883006360
「オレも先輩たちみたいに杵つきたいんだけど、背が足りないからなー。 マジックハンドもさすがに杵なんて持ったら重さで壊れるし」 「仕方のないことだ。人にはどれだけ欲しくても手に入らなかったものがある。 それにどう向き合って生きていくかだ」 「シルバー先輩が言うと重すぎるんだけど」 「この杵ほどではない」 そうかなぁ、とその場にいる全員が首を傾げる。 が、それ以上追求することは誰もしなかった。 「杵をつきたいなら、フッシーのつるを絡ませて補助してもらおうか?」 「…なんか自分でついてる気になれなさそうだからやめとく」 「そっか。じゃあ次はオレが杵をつくよ」 「お、レッド先輩がやるならオレ様が餅こねるのやりますよ! そろそろエメラルドも交代しとけ!ずっとこねてばっかだろ!」 そうして、男4人で餅をついていた。
28 22/01/02(日)23:31:45 No.883006614
つき終わると、ゴールドの母が声をかけてきた。 「お餅なににするー?」 「砂糖醤油」 「お雑煮!」 「すみませんお汁粉で」 「みんなバラバラじゃねーか!あ、母さんオレはきな粉で」 「はいはい。ちょっと待っててね」 嫌な顔一つせず、ゴールドの母は奥に引っ込んでいった。 しばらく待つと、注文通りの餅料理が届いた。 「いただきます。あ、美味い」 「ほんとだ」 「そりゃトーゼンっスよ!うちの母さんの料理っスから」 誇らしげにするゴールドも交えて、みんなで餅を食べる。
29 22/01/02(日)23:32:02 No.883006740
「で、ブルー先輩とはどうなんすか?」 食べ終わり、一息ついたところでゴールドが聞いてきた。 「順調だよ。昨日も一緒に年越しそば食べてた」 「姉さんが幸せにしてるならいいことだ。 レッド先輩、改めてよろしくお願いします」 「あ、おう」 頭を下げてくるシルバーについこちらもそうしてしまう。 「レッドさんのとこはいいっスねー。 こっちはクリスがろくに休みもとらねーからあんまりそーゆーの出来ねーんですよ」 あー、という顔を皆でしてしまう。 「ったく、休みくらいとれっつーの! そのうちパンクしちまう」 「まあまあ、クリスさん頑固だから聞いてくれないだろうし」
30 22/01/02(日)23:32:22 No.883006889
エメラルドに宥められ、ゴールドは渋々と引き下がる。 「そのうち強引にでも休ませっかなー。 そんときゃ、力借りんぜ」 「ああ」 「任せといてよ!」 「オレでよかったら、協力するよ」 「サンキューな。レッド先輩もあざっす」 男たちで協力を誓い合う。 こういう絆もいいな、とレッドが思っていると、 「レッド先輩の方は寂しくないんスか? オレは平気ですけど」 「オレも大丈夫だよ。数日会えないくらいだから」 「さっすが先輩っスね…」 感心したように後輩たちから見つめられる。 視線が少しくすぐったく思いつつ、レッドは苦笑した。
31 22/01/02(日)23:32:40 No.883007056
帰宅後。 リビングでレッドはため息をついていた。 「ゴールドたちの手前、ああは言ったけど…」 1人きりのリビング。 静かな部屋を見回すと、またため息が漏れた。 「やっぱり寂しいかな…」 隣に彼女がいないと落ち着かない。 また笑ってほしい。 悪戯してきても構わない。 くだらない内容の話でもしたい。 「…腑抜けになったのかな、オレ」 はは、と乾いた笑いが口から出た。 と、またポケギアが着信音を流しだした。 少し億劫な気分になったが、我慢してポケギアを手に取る。
32 22/01/02(日)23:32:59 No.883007191
画面に表示されてる名前。 間違えようもない。 ブルー、という三文字が目に飛び込んでいた。 慌てて通話ボタンを押す。 「もしもし?」 「もしもし!ブルーか!?」 慌てすぎて、彼女の声に被り気味になってしまった。 「落ち着いてレッド。ちゃんとアタシだから」 「ああ、ごめん」 呼吸を整えて、改めてポケギアに向き直る。 と、スピーカーからブルーの笑い声が聞こえてきた。 「そんなに必死になって。そこまで寂しかったの?」 「そんなこと…」 ない、と言いかけてやめた。
33 22/01/02(日)23:33:40 No.883007467
「そうだな、ブルーがいなくて寂しかったよ」 「あら、素直ね」 「お前相手に意地張っても仕方ないからな。 どうせ隠してもバレるだろうし」 そうね、とブルーも同意してくる。 「…ごめん」 「ん?」 「からかってごめん。アタシも、寂しいかな」 「ブルーも?」 「うん。レッドがいなくて」 「…そうか」 安堵した。 ブルーが同じ気持ちでいて。
34 22/01/02(日)23:34:10 No.883007725
「気が合うよな。オレたち」 「付き合うくらいにはね」 ふっ、とほぼ同時に笑い声がした。 「そっちは今日、何してた?」 「オレはゴールドの家に呼ばれてたよ。 ゴールドだけじゃなくて、シルバーもエメラルドもいた」 「暇を持て余した男たちの集まりねー」 「そうだな。あ、シルバーに姉さんをよろしくってまた言われたよ」 「あの子ったら心配症ね。レッドなら大丈夫なのに」 「それはそれで責任重大だな…」 「でも、守ってくれるんでしょ?」 「ああ。必ず」 他愛無い話。 途中、重い決断も迫られてる気はするが。
35 22/01/02(日)23:34:38 No.883007929
スピーカー越しの会話でお互いの顔は見えない。 だけど、今はこれだけでいい。 表情なんか見なくてもわかる。 楽しそうに、笑っている彼女の顔は容易に思い浮かぶ。 「ブルーの方はどうだった?」 「アタシの方はね。パパが途中で歩き疲れちゃって…」 それから、深夜になるまで通話は続いた。
36 22/01/02(日)23:35:01 No.883008110
その次の日も、また次の日も。 夜にブルーから電話がかかってきて。 そのまま彼女と深夜になるまで電話を続けるようになった。
37 22/01/02(日)23:35:30 No.883008307
そして、1月4日。 ブルーが帰ってくる日。 「ただいま」 「うん。おかえり」 夕方のレッドの自宅。 久しぶりに顔を合わせた挨拶はあっさりとしたものだった。 が、代わりと言わんばかりにブルーに抱きつかれた。 「ぶ、ブルー!?」 「…会いたかった」 耳元で囁かれる。 スピーカー越しではなく、久しぶりに聞く生の声。 いつもの小悪魔の顔の裏に隠された、1人の女の子としての本音。 それを耳にしたら、レッドは受け入れるしかなかった。
38 22/01/02(日)23:35:41 No.883008402
「…ああ。オレも会いたかった」 彼女の背に手を回す。 細い背を長い髪ごと抱きしめる。 柔らかな身体。 そこから伝わる鼓動。 久方ぶりに感じる恋人の温もり。 自分の心臓は大きく弾んでいるのに。 心は不思議と穏やかになっていた。
39 22/01/02(日)23:36:16 No.883008701
「これから初詣行かない?どうせレッドは行ってないでしょ?」 「ああ、うん」 ブルーに図星をつかれて、少し狼狽えつつも頷く。 「じゃ、晴れ着着るからちょっと部屋を借りるわね♡」 「じゃあリビング使っていいよ。オレは外で待ってるからさ」 そう言うとレッドはリビングを退室した。 しばらくは寝室で待機していることにする。 ブルーの晴れ着姿。 見たことはないが、きっと似合うのだろう。 まだ見ぬその姿を妄想し、時間を潰している。
40 22/01/02(日)23:36:33 No.883008886
と、声がした。 「レッドー!ちょっと来てー!」 「わかったー!今行くよー!!」 名を呼ばれたので素直にそちらに向かう。 すぐにリビングに到達する。 「開けていいわよ」 「わかった」 着替えが終わったんだろう。 そう思ってレッドはドアを開けた。 「…あれ?」 周りを見回すが、誰もいない。 ドアを閉めて、改めて部屋を見回す。 ブルーが脱いだと思われる衣服が畳まれて置かれているのが見えたがそれからは目を背ける。
41 22/01/02(日)23:36:56 No.883009088
と、晴れ着まで置いてあるのが見えた。 「あれ?」 「レッド」 「おおっ!?」 背後からの声に驚き、振り向く。 そこにはいつのまにかブルーがいた。 それはいい。 が、問題はその格好だ。 上下ともに純白の下着。 彼女が纏っている衣類はそれだけだった。 「ご、ごめん!」 「いいのよ。着替えてる途中で呼んだんだから」 「え…?」 何故、という言葉を出す前にブルーが近づく。
42 22/01/02(日)23:37:12 No.883009222
彼女のブラジャーに覆われた胸、特に深い谷間に目を奪われる。 「着付け、初めてやってみたけど上手くいかなかったの」 「そ、それで…?」 鈍いわね、と言われるが答えが脳に浮かばない。 下着姿という扇状的な格好の恋人。 それを目の当たりにして冷静でなどいられるはずがなかった。 「だから、着付け手伝ってくれる?」 そんな頭で、断るという選択肢が浮かぶわけはなかった。
43 22/01/02(日)23:37:26 No.883009334
「えーと、写真だとこうだから」 「こ、こっちが前じゃないかな」 「あ、ホントね。危うく死に装束になるところだったわ」 目のやり場に困りつつ、着付けを手伝っていく。 途中、何度かブルーの身体に触れてしまう。 わざとではない。 が、嬉しくないわけがない。 ブルーは笑って、 「もっとがっつり触っていいのよ?」 と、本気とからかいを混ぜた発言をするだけだった。
44 22/01/02(日)23:37:52 No.883009554
そしてしばらくして。 「よし、できた!」 「やっとできたな…」 着付けが完了した。 改めてブルーを見る。 落ち着いた、花の模様で彩られた青い着物。 彼女の大人びた、いや今は立派な大人の女性の年齢とそれに釣り合う美貌が引き立てられる。 頭にはあれこれ浮かぶ。 彼女の姿を褒めないと。 だが、照れと混乱から上手く言葉をつなぎ合わせることができず、 「…似合ってるよ。すごい綺麗だ」 月並みな褒め言葉しか出てこなかった。
45 22/01/02(日)23:38:04 No.883009665
が、ブルーはそれで充分だったのか、 はにかみながら、 「ありがとう」 少し頬を赤くしつつの感謝の言葉。 それは先程よりも魅力的に見えた。
46 22/01/02(日)23:38:29 No.883009890
神社は人が少なかった。 すでに三が日は過ぎた後だ。 最も人が訪れるであろう時期ではなくなったためか、思ってたよりスムーズに参拝できた。 賽銭を入れ、ブルーと共に手を合わせる。 目を瞑り、願い事を内心呟く。 それが終わると、安堵のため息が2人同時にこぼれた。 「…で、何をお願いしたの?」 ブルーの問いに迷わず答える。 「やっぱり、最強のポケモントレーナーだな!」 「…そう言うと思ってたわ。聞いておいてなんだけど」 ブルーから呆れたような半目を向けられる。 「そう言うブルーこそ何をお願いしたんだ」 「レッドのお嫁さん」 即答だった。 真顔で言い切られる。
47 22/01/02(日)23:38:47 No.883010022
「レッドのお嫁さん」 また言われた。 聞き間違えるはずもない。 急なお嫁さん志望に、頭が混乱しだした。 「え、いやそのそりゃいつかはやらなきゃとは思ってるけどオレたちまだキスくらいしかしてないしでも勢いでやるのもアリかもしれないしブルーが望むのならすぐにでもだけど指輪とか式とかの準備もしないといけないし親御さんの挨拶も…」 「レッド、声に出てる。全部言っちゃってるから」 言われて口を慌てて閉じる。 照れからブルーから目を逸らしてしまう。 が、チラリと目線を彼女に戻すと、愉快そうにニヤけた顔が見えた。 「…ひょっとして、からかってただけか?」 「さあ、どうかしらね」 今度は柔らかい笑みを浮かべた。
48 22/01/02(日)23:39:14 No.883010268
多分、からかいではある。 だけど、何割かは本音も混じっている気がする。 それなりに付き合いも長い幼馴染。 その上、今は恋人だ。 完全に、とまではいかなくても半分以上は考えていることを読める自信はある。 「…そうだな。結婚しようか。今すぐじゃないけど」 「…うん」
49 22/01/02(日)23:39:32 No.883010409
うふふ、と珍しい笑い声。 照れながらの幼い笑い顔。 いつものとは違う、仮面の奥の素顔。 それがこの顔ではとレッドは思う。 「じゃ、いつ結婚してくれるの?」 「えっと、半年くらい後で…」 「えー!3か月くらいにならない?」
50 22/01/02(日)23:39:46 No.883010519
語り合いつつ、神社を後にする。 最強のポケモントレーナーより優先すべき目標。 こっちもなかなかハードだなと考えつつ、歩いていく。 隣にいるブルーと手を繋ぎながら。
51 22/01/02(日)23:39:59 No.883010616
以上です 閲覧ありがとうございました
52 22/01/02(日)23:40:33 No.883010929
お疲れ様です いつもより多い…
53 22/01/02(日)23:44:40 No.883012896
正月休みでいつもより時間がとれたのと、ゾロ目スレの正月関連のネタが自分の脳内で上手いこと噛み合ってここまで長くなりました 長すぎて読みにくいとなってしまったらごめんなさい
54 22/01/02(日)23:51:57 No.883016608
餅つきシーンなんか…いいな…
55 22/01/02(日)23:57:29 No.883019410
個人的にエロ本見つけた時の図鑑所有者女子の反応は イエローがショック受けつつも受け入れる覚悟して クリスは不潔!と言いながら蹴ってくるけど後でエロ本の中身が気になっちゃう サファイアは自分とエロ本の中の女性を比べだして凹んだり落ち込んだり プラチナは嫉妬とかよりもこういう本の存在に好奇心刺激されて ホワイトはまあ男の子だもんね…と苦笑いしつつ受け入れる ファイツは顔真っ赤にしつつもがっつり見ちゃう(それがラクツ所有かは置いといて) ワイちゃんは怒るか気にしないかの2択 ムーンはクリスに近いけど蹴ってはこない感じ しーちゃんはショックで例の死んだ目に という個人的なイメージ
56 22/01/02(日)23:59:35 No.883020463
今気づいたけどスレ文本日のスレじゃなかった… 先日でした誤字すみません