虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/12/27(月)11:56:25 19世期... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

21/12/27(月)11:56:25 No.880538145

19世期の始め、フランス黄金期の英雄ナポレオンの側にはひとりのウマ娘が居ました 小柄な身体に似合わぬ膂力、素晴らしい健脚を持った、その芦毛のウマ娘の名はマレンゴ そう、現代にも伝わるあの有名な、ナポレオンとウマ娘が共に峠を駆ける絵画に描かれた、あのウマ娘です 18世紀の終わりにエジプトからナポレオンによって見出されて渡仏した、という記述から登場する彼女は、当時から既に綺麗な芦毛であったと伝わっています ナポレオンと共にあったという事は、当然革命戦争の真っ最中。当時のフランスでは、栗毛より明るい毛並みは目立つからと忌避され、軍からは疎まれています しかし派手好き、目立ちたがり、なんといっても革命野朗であったナポレオンは、そんな意見は全て無視 芦毛で結構、芦毛が良いと、見初めた彼女に向かって自らが大勝した戦いの地にちなんで、マレンゴと名乗るよう言いつけたのです まぁ実はマレンゴの戦いはナポレオンの凡ミスでいっぱいいっぱいな辛勝だったんですけど

1 21/12/27(月)11:56:46 No.880538233

そんなマレンゴはナポレオンのもとで育った後、見事な素養を見せつけます 驚くべきはその体力、朝食前に走ってきますと行って来た先はなんと40km先の隣町 行き帰り合わせて80kmという超長距離を走って来た彼女はけろりとした態度で朝食の席に現れ、ナポレオンたちの度肝を抜きます そうして朝食を食べ終わると、今度はナポレオン直参の軍人たちとさらに走り込みを行いますが 放っておけば100km以上を走ってもけろりとしているマレンゴの体力の前に、全員が悲鳴をあげたのだとか とにかく長く、早く走る事が出来た背景には並外れた集中力も備わっており、耳の良いウマ娘には辛かったであろう戦場の騒がしさに対し、マレンゴはひとつも動じなかったと言われています

2 21/12/27(月)11:57:00 No.880538301

さて、誰もが驚く素養をもってナポレオンの側に居たマレンゴはその後、幾度もの戦いをナポレオンと共に駆け抜けます アウステルリッツ、イェーナ、アウエルシュタット、フリートラントにヴァグラム……7度とも、8度とも言われる戦傷を負いながらもナポレオンと戦場に立ったマレンゴの芦毛は遠くからでも目立ったそうで、そんな2人の姿こそがフランス軍の士気の高さにも繋がったとか そんな最中、一枚の絵画が描かれます その絵画にはアルプス峠を駆けるナポレオンと、荒々しく描かれた芦毛のウマ娘 アルプス越えといえばマレンゴの戦いの際に行われたもので、彼女とはまだ出会う前 しかし、ナポレオンはこの戦いの時に彼女が居れば、と、夢を描かせたのです そうして出来上がった絵画の中にあった2人の姿は、少しばかり背が高く、また体型も豊か これに疑問を持ったマレンゴとナポレオンは、互いの顔を見合わせながら笑ったそうです

3 21/12/27(月)11:57:13 No.880538347

そうした睦まじいエピソードも多い中、彼ら2人の最期というのは無情にも訪れます 1815年、ワーテルローの戦い この戦いでウェリントン公アーサー・ウェルズリーに対し決定的な敗北を喫したナポレオンは、その天下を王党へと譲る事となります 一方マレンゴは、自らと共にいれば王党派に裁かれ、惨い仕打ちを受けるだろうと考えたナポレオンにより、投降した折に英国へ渡らされたとされています 全てを奪われたナポレオンとマレンゴ、その別れの辛さというのは……語るまでもないでしょう しかし、一説によればワーテルローを敵側の将と共に駆け回ったウマ娘であるコペンハーゲンと暮らした時期もあると言われるマレンゴの余生は、その過去の割には存外穏やかなものであったとされ その最期もつとめて穏やかに、老衰で亡くなったとされます

4 21/12/27(月)11:57:29 No.880538411

ここまでは比較的穏やかな結末を迎えたウマ娘を紹介していますが、従軍したウマ娘の中にはなんとも救いのないお話も当然ながら存在します 例えば15世期イギリス、薔薇戦争後期におけるバーネットの戦いでの一幕 この戦いでは互いの陣形が大きく崩れながらの乱戦になったのですが、その原因の最たる物が、ロンドン近郊、バーネット一体を覆った濃霧でした ランカスター派に付き予備の軍勢を率いたウォリック伯は同士討ちまで起きている崩れっぷりを憂いて一度陣形を立て直すように叫びますが、錯乱に陥った前線、当時は切り札として扱われたウマ娘の知覚に頼ろうとするウォリック伯麾下の部隊……それらがまるで言う事を聞きません 戦場の怒号と濃霧の中ではウマ娘とて到底無力、むしろ混乱を引き起こすでしょう。事実、前線はそうしてますます崩れていきました ウォリック伯の愛バであったブラックサラディンも、その場に立ちすくんでいます

5 21/12/27(月)11:57:42 No.880538460

まずは集団を形成することの必要性を説くべく、ウォリック伯の取った行動はなんと、剣を抜き、ブラックサラディンの首を刎ねる事でした ごろりと彼女の首が落ち、血を流しながら身体が崩れ落ちる音が聞こえる中、ウォリック伯は感覚に頼らず、隣人と結託し、陣形を立て直せとさらに叫びますが……薄れゆく霧の先には、絶望的な光景が ヨーク派・エドワード4世の予備部隊によって無残にも各個撃破された、ランカスター派の兵士たちが映ったのです 敗北を確信したウォリック伯は慌ててその場から逃げようとしますが、主人に首を刎ねられたブラックサラディンの恨みか、拠点に辿り着く直前にヨーク派の歩兵隊に加わるウマ娘にその身を斬り裂かれ、死亡したのだとか 薔薇戦争の結末については教科書に譲ることとしますが、このような凄惨な出来事もまた、歴史には数多く残されています

6 21/12/27(月)12:01:21 No.880539235

でた…ウマ娘史だ…

↑Top