虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

──木枯... のスレッド詳細

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21/12/21(火)21:21:57 No.878692922

──木枯らしの吹くある日の放課後… ウチはオグリと一緒に寮に戻ってる最中やった… 「うぅ~…めっちゃ寒いなぁ~…!」 「ああ…私も寒さには強い方だが…っ…!都会の風は妙に肌に刺さる…」 「はよ寮戻ってコタツにでも…おっ?」 《いしや~きいも~…》 ウチらが寒さに身を震わせとるのを見計らったかの様に焼き芋売りのトラックが来おった。 あ~…こりゃオグリが買い占めてしまうやろなぁ…あのトラックのおっちゃんも運がええんか悪いんか…

1 21/12/21(火)21:22:47 No.878693253

「ほれほれぇ~!オマエん好きなヤツが来たで~?」 「……」 隣のオグリを小突いてトラックを指差したが…何や様子がおかしい… いつもなら教えるよりも早うから飛んでくんやが… 「どないしたん?オグリ…?」 「行こうタマ…早く…早く!!」 「そ、そっちトラックちゃうで?おい!オグリ!腹でも痛いんか!?どないしたん!?」 トラックに目もくれず…いや目を逸らすようにして走り出すオグリ… 寮に帰った後もオグリは何処か暗い様な顔で腹ばっか鳴らしておった… やっぱ食いたかったやんか…なんなんや…

2 21/12/21(火)21:23:23 No.878693491

──ある日の晩… 「…おっそ…何やっとるんや…」 門限も過ぎた頃…ウチは部屋の窓から真っ暗になった外を眺めとった いつもなら部屋に居るはずのオグリが今日はまだ帰って来とらん… 「はぁ~…何やっとるんやもぉ~…」 スマホでオグリにメッセージを送る… 『何しとるん?』 『まだトレーニングしとるんか?』 『もう門限やで?』 『フジキセキ怒らせると怖いで?』 『どないしたん?』 全て既読は付かん…まぁそもそもアイツは携帯をろくに操作出来へんしハナから気付いとらんのやろうが…

3 21/12/21(火)21:23:47 No.878693658

「ぉ?帰ってきよった…」 暗がりの道路で目立つ芦毛の頭…あ~ほら言わんこっちゃない… 寮の玄関前でフジキセキに頭を下げるオグリを尻目に、ウチはベッドに横になる… 全く…どうせ何処かで買い食いでもして夢中になっとたんやろ… せやけど、帰ってきたオグリは腹ぐーぐー言わせて食堂へ急いで行ってしもうた… 何や買い食いやなかったんか? その後も部屋に戻ってくるなり布団に突っ伏して寝てしもうたし… 秘密の特訓でもしとるんか…?

4 21/12/21(火)21:24:24 No.878693926

──数日後の放課後 「オーグーリー!今日トレーニング休みやろ?イナリがめっちゃ美味い饅頭屋見つけたらしいで!」 「ま、饅頭!?」 「せやで~!あんこがたぁ~っぷり入ってて皮もモッチモチ!しかも特大サイズまであるらしいで!」 「あんこ…!もちもちの皮…!と、特大サイズ…!」 「ほな行こか!」 と、振り返るとオグリが付いてきとらん… 「…どないしたん?」 「す、すまない…その…予定…が…」 目逸らしたオグリが気まずそうに呟く… 焼き芋の時もそうやったが、食いもんの事でコイツがこんなに歯切れが悪いんはおかしい…

5 21/12/21(火)21:24:40 No.878694037

「…何やそれ…オマエ最近何しとん…?おかしいで?今日はトレーニングオフやろ?せやのに何の用があるん?」 「……それはその……た、頼まれごと…をだな…」 「誰にや?トレーナーか?他のウマ娘か?」 「……それはだな…えっと…」 何やコイツ…人が心配してるっちゅーに… 問い詰めるとすぐに視線キョロキョロさせて嘘ついてるのバレバレやんか… 「……もうええわ…」 「あっ…た、タマ…!」 「用事あんのやろ?勝手にせえ!」 もう知らん!何やっちゅーねん…

6 21/12/21(火)21:25:13 No.878694247

──翌日の朝 「あ…お、おはようタマ…」 「おはよーさん。ほなさっさと行くで?遅刻したらアカンからな…」 「ぁ…ぅ…」 ──放課後 「タマ…!」 「何や?今日も帰り遅うなるって話か?」 「あ…ああ…」 「そか。ウチからフジキセキに伝えといたるわ…」 「……」

7 21/12/21(火)21:25:56 No.878694548

─それからウチはオグリとあんま話さんくなってもうた… 何やトレーニング以外でも忙しなくしとるし、誰に聞いても何しとるんか知らん言うし… そんならもうウチは…ウチは… 「……何やねん…」 今日もオグリは帰って来いひん…冷たい風が窓ガラスを鳴らす部屋でウチだけ一人…

8 21/12/21(火)21:26:09 No.878694630

──さらに数日後… 栗東寮の中が何や騒がしくなって来おった そういえばそろそろクリスマスやったな… いつぞやはオグリのヤツがファンのクリスマスパーティーに呼ばれて 吹雪ん中でソリ担いどったとか聞いたな… まぁそのオグリもまた今日も居らんのやけど… 「アホくさ…何しとるんか知らんけど…そんなに大事なんか…」 天井を眺めながらボーっとしとると…ふとまぶたが重うなってきて………

9 21/12/21(火)21:26:45 No.878694898

…… 「タマ…?タマ…!」 …! ふと目を開けるとオグリが覗き込んどった。 「おお…おはよーさん…ウチそんな寝とったか…?」 窓の外をチラっと見たが…まだ日は落ちとらん… 「何や…早かったんやな…」 「…っ!ああ…!そうだな…確かにタマの言う通りだ…ちょっと…早かったかもしれない…」 「…?」 急いで帰ってきたんか、何やオグリの顔が火照っとる…

10 21/12/21(火)21:27:13 No.878695084

「やっぱり…タマにはバレてたんだな…」 「???…何がや?」 「そうだな…タマはいつも何でも見抜いてしまう…だから早くても良いんだ」 「??????」 何を勝手に納得しとるんやコイツ… こっちは嫌味言うたんやで?最近ずーっと付き合い悪いし ウチが心配しても何も言わんし… 「あんなオグリ…ウチは…!」 ウチが言い掛けた言葉を押し止める様に…オグリが赤と緑で包装された紙袋を突き出して来おった… 「メリークリスマスっ!タマっ!」 「…っ!?」 …何や…これ…?は…?メリークリスマス言うたか…? その紙袋を受け取って、目を白黒させとったウチをオグリが不思議そうに見とった…

11 21/12/21(火)21:27:50 No.878695368

「うん…?気付いていたんじゃなかったのか?」 知らん…何の話や… 「タマにはいつもお世話になっているからな…クリスマス位はその分のお礼をしようと思っていたんだ…」 何やそれ…聞いてへん… 「だが…流石にお小遣いだけでは足りなくてな…ほら、買い食い!アレはやはり良くない…お小遣いをほとんどアレに使ってしまっていたからな…」 だから…ウチが焼き芋誘った時も…饅頭買い行こう言った時も… 「それでな…特別にアルバイトをさせて貰っていたんだ!商店街でチラシを配ったり…そうだ!気ぐるみも着たりしたんだぞ!」 それで…帰り遅うなって…

12 21/12/21(火)21:28:22 No.878695562

「でもほら!こういうのはえーっと…さぷ…?さぷりめんと?さぶぷらいむ…だったか?」 「……サプライズ…」 「そう!サプライズが大事だとマヤに教えてもらってな!だからバレたら良くないと思ってたんだが…やっぱりタマにはバレていたみたいだな…」 「全然…気付かんかったわ…」 「そうだったのか!?つまり大成功って事じゃないか…!」 満面の笑みで喜ぶオグリ… なんなんそれ…反則やん…!? オグリが素っ気ない言うてウチだけツンツンして… オグリがウチの為思って何か準備しとったのに…ウチだけムキになって… 「だ、大成功って…!何やそれ…!ウチ…ウチばっか…!ウチ…おっ…オグリが…!オグリがぁ…!」 無理やこんなん…紙袋を取り零すと同時に大粒の涙が滴り落ちる… 「どうしたんだタマ!?中身…まだ中身を見てないだろう!?きっとタマが喜ぶ…っ!タマっ…!?」

13 21/12/21(火)21:28:52 No.878695780

…ウチはオグリの胸元に飛び込んで泣きじゃくった… いくら驚かすため隠しとる言うたって、オグリがウチの為に思うて頑張っとる時にウチは冷たくしてもうた事 そんでもってウチばっか寂しい気持ちになって、オグリはもっと別のもん大事にしとる思って…それでもっとムキになってしもうた事… そんでもって…やっぱりオグリはオグリだった事に安心した事… そんな感情が溢れて止まらんくなって… 何やウチばっかり一人で勝手に落ち込んでバカみたいやん…

14 21/12/21(火)21:29:19 No.878695965

「……グスッ…」 「落ち着いたか?タマ…」 「次…」 「…?」 「次からは…も、もーちょい解りやすくしてくれんと…心配するやん…」 「そ、そうだったのか?」 「そうだったんや…!」 オグリの肩をポカッと軽く叩く…するとその肩から少しだけ、ふっと力が抜けた感じがして… 「すまなかった…タマには心配を掛けてしまったんだな…」 「せや…ちゃんと…ちゃんと気いつけ!」 窓の外はもう暗くなって来ておった… せやけど…今日の部屋ん中は…明るくて暖かくて…

15 21/12/21(火)21:29:40 No.878696108

「おわっ…!なんやこれ…!」 「新しいメンコだ!どうだ…?キレイだろう!?」 「き、キレイって…ちょっと派手過ぎひん?」 「そうだろうか?きっと似合うはずだぞ…!」 ウチの所のサンタは…心配ばっか掛けさせよるけど… ホンマに…ええ奴やでっ!

16 21/12/21(火)21:29:56 No.878696232

「所でオグリはクリスマスに何が欲しいん?」 「えっと…そうだな…」 「何でもええで~!ウチからの詫びも兼ねて何でも用意したる!」 「何でもっ!?きゃ、キャビア…フォアグラ…!松阪牛…!」 「すまん…駅前の食べ放題でウチの名前使わせるんで許しとくれ」 「すまない…そこの店はもう…タマの名前も…イナリも…クリークも…」 「……」

17 21/12/21(火)21:31:34 No.878696936

今回はタマ実装記念にタマ視点としてみました。 いつもはオグリの世話を焼くタマですが、今回はちょっと違った一面として書けたかなと思います。 こういった文章を書いたことは全く無くてオグタマで物は試しにと思い立って今回で6作目を書き上げることが出来ました。 ゲームの方でもタマを引いてまた色々な想像をしながら、来年もオグタマで書いていきたいと思います。 今年も長文乱文お付き合い頂きありがとうございました。 ひとまずはまとめておきます。 fu636138.zip

18 21/12/21(火)21:32:42 No.878697437

いいな…つい黒いものが出てしまったタマと純粋なオグリのハッピーエンド…

19 21/12/21(火)21:35:08 No.878698427

めっちゃ長い

20 21/12/21(火)21:35:15 No.878698475

素晴らしいオグタマだった…

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