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  • 冬の朝... のスレッド詳細

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    21/12/19(日)23:26:09 No.878104135

    冬の朝。 身体を震え上がらせる寒さに布団から出る気力が奪われる。 枕元にある時計を手にして見る。 時刻を確認するといつもの起床にはまだ余裕のある時間だ。 日頃の疲れもあってこのまま二度寝しようという誘惑が頭に浮かぶ。 どうせこの後は大して予定も無い。 寒い中でのトレーニングも身体を鍛えるにはいいのだが体調を崩しては元も子もない。 「…ってわけにはいかないよな」 敵は暑い時も寒い時も待ってはくれない。 そんな時に自分が戦えなければそれこそ本末転倒だ。 そう思い、レッドは布団を剥がしつつ起き上がった。

    1 21/12/19(日)23:26:35 No.878104304

    「あ、起きた」 と、声がした。 聞き慣れた、耳心地のいい声。 その方を向くと、予想通りの顔があった。 「ブルー…」 「おはよ♡」 「あ、ああ。おはよう」 間近で見る彼女の顔。 先日付き合い始め、それ以上に知り合ってからは10年以上も経つ。 だけど、彼女の整った顔立ちが至近距離にあるとつい緊張してしまう。 「なんでこんな時間に?」 「アタシのダーリンの顔が見たくなった。それじゃダメ?」 可愛らしく小首を傾げられる。

    2 21/12/19(日)23:27:11 No.878104547

    「ダメじゃ…ないけど」 「ありがと♡」 勢いよくブルーが抱きついてくる。 昔もされた仕草。 だが、あの時よりも成長した身体がこちらに密着する。 押し付けられたものは当時よりもはるかに柔らかい。 レッドの羞恥も、その頃よりも大きなものとなっていた。 「じゃ、せっかくだし朝ごはん作ってくるわ。 食パンにバターとジャムどっち塗る?」 身体を離してブルーが聞いてくる。 まだあの感触の衝撃が抜けきらないが、どうにか返答しようと頭を回す。

    3 21/12/19(日)23:27:30 No.878104668

    「…そ、それならジャムがいいな」 「わかった。じゃあ先に行ってるわ」 返事を聞くと、ブルーは軽い足取りで寝室を出た。 「…まさか朝からブルーが来るなんてな」 合鍵は渡しているので好きな時に彼女が来ても不思議ではない。 だけどこのタイミングで来るとは予想すらしてなくて驚いたのは事実だ。 ベッドから出て、寝間着を脱ぐ。 ブルーの匂いがついた服が身体から離れることに少し未練がある。 だからといって着替えないわけにはいかない。 なので、きちんと着替えを終えてからレッドも部屋を出た。 モンスターボールも忘れずに手にする。 中のピカたちも眠りから覚めていった。

    4 21/12/19(日)23:28:44 No.878105293

    「レッドはこの後予定ある?」 「そーだな、トレーニングくらいしかないかな。 挑戦者が来る予定も無いし」 朝食を終えて、ブルーと話し合う。 腹も膨れ、リラックスしつつも彼女と会話していた。 「そういえばこの前は海外からも挑戦者が来たんですって?」 「ああ、最近は挑戦者も増えてきてようやく一息ついたよ」 レッドはポケモンバトルは好きだ。 だからこそこの道に進み、ブルー達とも出会えた。 自分も成長し、仲間のポケモンとも心を通わせあえた。 だからバトル続きの日々は楽しい。 ボールの中のピカ達も同意するかのように表情を引き締めていた。

    5 21/12/19(日)23:29:02 No.878105428

    と、ブルーが何かを思いついたように指を鳴らし、 「たまには、アタシとデートしない?」 「デート?」 「そ。付き合ってからはまだしたことないしね」 「言われてみたらそうだな…」 一応、先程も言った通りトレーニングをしようとは思っていた。 彼女の頼みと自分の予定。 少し迷うが、優先するべきは相手の方だ。 「よし、じゃあ行くか」 「ありがと。服買いに行きたいんだけどいい?」 「ああ。任せるよ」

    6 21/12/19(日)23:29:25 No.878105641

    最近は忙しかったとはいえ、恋人に構ってやれなかった。 その分、彼女の好きなようにさせてあげたい。 「じゃあ早く準備して行きましょう。 今日は一日付き合ってもらうわよ?」 「たはは。だろうと思ったよ」 頭をかきつつ苦笑し、了承した。

    7 21/12/19(日)23:31:27 No.878106517

    「…だからといっていきなりここか?」 ブルーの行きつけらしい下着店。 そこにレッドは連れられていた。 「ここじゃないとサイズ合う下着なかなかないのよ。 結構育っちゃったから」 というのが彼女の弁だった。 だが、女性用下着店に男がいる。 他の女性客からのそのことへの視線が痛くて、帽子を目深く被って耐えようとする。 つい店にある華やかな下着を見てしまいそうになり目を逸らすが、 周りに下着のない空間はなかった。 それがさらにレッドの居心地を悪くさせていた。 ブルーは今、試着室の中だ。 今のうちに逃げようかという考えが浮かんでくる。

    8 21/12/19(日)23:32:04 No.878106755

    「レッド」 「え、お、おう」 こちらの内心を見透かしたようなタイミングで、ブルーから呼びかけられた。 振り向くと、試着室からブルーが首から上だけを出していた。 「レッドは赤と青、それから白と黒どれがいい?」 「え?どれも好きだけど、強いて言うならくかなぁ」 「わかった。それにするわ」 彼女は聞き終わるとまた試着室に引っ込んでいった。 なぜあんな質問をしたんだろうと首を傾げる。 と、ポケギアにメールが届いた。 着信音からブルーだとわかる。 何事かと早速開いてみる。

    9 21/12/19(日)23:32:51 No.878107167

    「!?」 そこには、黒い下着に身を包んだブルーの自撮り写真が表示されていた。 慌てて画面の表示を消して、周りを見回した。 画面を見た者はいないと判断して、ほっと胸を撫で下ろす。 安心すると、脳内が先程のブルーの下着姿に占領されていく。 初めて見る恋人の露出の多い姿。 グラビアアイドルにも引けを取らない恵まれたスタイル。 それを引き立てるような漆黒の布地。 まだブルーの下着の一枚すらも見たことがないレッドにとっては刺激が強すぎた。 「お待たせ」 「お、おう」 試着室から出てきたブルーに声をかけられ、返事をする。

    10 21/12/19(日)23:33:11 No.878107328

    服装は当然だが、試着室に入る前と同じだ。 つい、この服の下にはあの下着や身体つきが隠されてると意識してしまう。 目がどうしても顔ではなく身体の方へと向かってしまう。 「バトル一筋みたいなレッドでも、そうやってアタシを意識してくれたりするのね。 安心したわ」 「そ、そういうの興味ないのに、付き合うわけないだろ」 愉快気に笑う彼女から目を逸らしつつ反論する。 と、彼女に手を引かれた。 「じゃ、あとはお会計してくれたら最近かまってくれなかったのチャラにしてあげる♪」 「…はぁ、わかったよ」 ため息をつきつつ、後をついていく。 値段はなかなかに高かったが、それでブルーに許してもらえるなら安いものだと思った。

    11 21/12/19(日)23:33:34 No.878107507

    それからも、ブルーの買い物に付き合っていた。 「結構買ったな…」 ベンチに一旦荷物を載せて一息つく。 自分達もベンチに座り込む。 「レッド、靴結構ぼろぼろじゃない?」 「ん?ああ、そうだな」 ブルーに言われて見ると、靴があちこち剥がれそうになっているのが気になった。 「言われてみたらそうだな。履ければいいかなって思ってたけど」 「もう。そんなわけにいかないでしょ」 と、ブルーは立ち上がり手を差し出した。 「ほら、靴買いに行くわよ」 「あ、ああ」 彼女の手をとって立ち上がる。

    12 21/12/19(日)23:33:48 No.878107652

    「そういえばレッドの分はあんまり買ってないからね。 ある意味ではちょうどよかったわ」 「待った待った!荷物持ってからじゃないと!」 急ごうとするブルーをレッドは慌てて制止した。

    13 21/12/19(日)23:34:04 No.878107776

    「ありがとな。靴買ってくれて」 「レッドに服も下着も買ってもらったからね。お返しよ」 真新しい靴を履いてブルーと並んで歩く。 履き心地もいい。 歩いていて変な違和感もない。 ふと、隣のブルーを見る。 楽しそうに笑う顔。 それを見てるとこちらまで楽しくなる。 「気分転換になった?」 「え?」 ブルーから尋ねられて、思わず聞き返す。 「レッド、朝起きたとき疲れてそうだったから。 ピカちゃんたちもね。 だから、少しは気晴らしできたらなって」 「…そうだったのか」

    14 21/12/19(日)23:34:35 No.878108029

    たしかにバトルは楽しい。 だけど、流石に何日も続くと疲労は溜まる。 自分ですら疲れているのだ。 実際に戦っている仲間のポケモンたちはもっと疲れているだろう。 「ありがとう、ブルー。 いい休暇になったよ」 「うん。よかった」 にこりと笑いながら彼女が応える。 と、腕を組まれる。 また柔らかな感触にどきりとする。 が、ブルーの表情が違う。 こちらを慈しむ、優しい笑みを浮かべていた。

    15 21/12/19(日)23:35:15 No.878108328

    「ねぇ、レッド」 「ど、どうした?」 「もう、暗くなってきたわね」 「そ、そうだな」 空を見ると日も沈んでいる。 夜の時間が訪れていた。 「若い男女が夜にすることって、なんだかわかる?」 そう言ってブルーは顔を近づける。 下着姿がまた頭の中をよぎる。 顔に血が昇って行くのを感じていく。 「そ、そういうのはまだ早いって! まだキスもしてないのに!」 慌てて顔を背けて言う。

    16 21/12/19(日)23:36:29 No.878108912

    と、ブルーから半目を向けられた。 「ヘタレ」 「ぐ…」 「女の子に誘われて、断るのは失礼よ?」 「ごめん…」 反論できずに素直に謝った。 「まぁいいわ。アタシの身体に関心あるのはわかったんだし。 待つのは慣れてるわ」 「ごめん…」 照れから踏み出せないこちらに合わせてくれるブルーに感謝と罪悪感を覚える。 「あ、でも」 「?」 何か、と聞く前に唇を奪われた。

    17 21/12/19(日)23:36:48 No.878109030

    「あんまり待たせすぎると、こうやってアタシから行っちゃうからね?」 2度目のキスすら奪われる。 柔らかな唇の感触。 これが愛する人との口付け。 今度はこれで頭がいっぱいになっていく。 「じゃ、帰ろ?」 彼女の申し出に頷き、着いていく。 置いていかれないよう、歩く速度を上げる。 逆にブルーを追い抜く形になり、今度は彼女が追いかける。 そうして、2人で帰途についた。

    18 21/12/19(日)23:37:02 No.878109154

    以上です 閲覧ありがとうございました

    19 21/12/19(日)23:37:33 No.878109357

    お疲れ様です ブルーはこういう大胆な事する

    20 21/12/19(日)23:41:59 No.878111633

    >「レッドは赤と青、それから白と黒どれがいい?」 >「え?どれも好きだけど、強いて言うならくかなぁ」 >「わかった。それにするわ」 脱字なんだろうけど(予想通りテンパってくれちゃって…オホホ♪)とか思いながら推測して黒を選びそうだよねブルー

    21 21/12/19(日)23:43:45 No.878112491

    >>「レッドは赤と青、それから白と黒どれがいい?」 >>「え?どれも好きだけど、強いて言うならくかなぁ」 >>「わかった。それにするわ」 >脱字なんだろうけど(予想通りテンパってくれちゃって…オホホ♪)とか思いながら推測して黒を選びそうだよねブルー しまった誤字でした… すみません…

    22 21/12/19(日)23:48:55 No.878114603

    >だが、女性用下着店に男がいる。 >他の女性客からのそのことへの視線が痛くて、帽子を目深く被って耐えようとする。 めのまえがまっくらになった >慌てて画面の表示を消して、周りを見回した。 >画面を見た者はいないと判断して、ほっと胸を撫で下ろす。 >安心すると、脳内が先程のブルーの下着姿に占領されていく。 あたまのなかがまっくろになった

    23 21/12/19(日)23:56:40 No.878117767

    今回のデート話書いてる最中に「このネタクリスマス回に温存しとけば良かったのでは…?」ということを思いつきましたが他にネタが思い浮かばないのでこのまま行きました クリスマスの時はクリスマスの時の俺がなんとかしてくれるはず…(皮算用)

    24 21/12/19(日)23:58:39 No.878118502

    >今回のデート話書いてる最中に「このネタクリスマス回に温存しとけば良かったのでは…?」ということを思いつきましたが他にネタが思い浮かばないのでこのまま行きました >クリスマスの時はクリスマスの時の俺がなんとかしてくれるはず…(皮算用) そういえばクリスマスイブはシルバーの誕生日でもあったな…