虹裏img歴史資料館

1 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:18:35</a> [sage] No.878100878

あの子を拾ったのは8年前だった。 死喰い人が起こした放火事件。火の手は激しく、結局その家にいた両親は助からず、唯一無傷で生き残ったのがあの子だった。泣くでも怒るでもなく、ただ呆然と立ち尽くしているあの子を見て、私は放っておけなくなってあの子を引き取った。後日焼け跡を調査していると一部が焼けた家族写真が見つかり、その裏には「スペシャルウィーク、1歳の誕生日」と書いてあった。

2 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:19:04</a> [sage] No.878101082

あの子との接し方が分からなかった。私はスペの本当の親ではない。闇祓いの仕事といえば闇の連中との殺し合いだ。私の手は、多くの連中の血で赤く染まっている。そんな自分が、どうやって子供を育てればいいのか分からなかった。職業柄家を空ける事が多く、世話は杖屋の姉貴によく任せていた。姉貴はよくスペの面倒を見てくれていて、それに甘えて私はますます家を空けるようになった。いいや、甘えていたんじゃない。私はスペから逃げていたんだ。

3 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:19:29</a> [sage] No.878101223

スペの学校に死喰い人が出た。幸い大事にはならなかったが、その後の対策やらでしばらく学校の警護につくようになった。せっかく一緒にいるんだからたまには親らしいことをしてやったらそうなんだと姉貴から手紙が来て、私に出来ることを考えて自衛のためにと武装解除を教えた。しかし私の指導はあの子を知らずのうちに傷つけてしまっていた。形は出来ていたんだから、親なら褒めてやるべきだったんだ。

4 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:20:18</a> [sage] No.878101658

スペが闇の魔術を、それも分霊箱を学ぼうとしていた。私は反射的にスペを叩いてしまったが、そもそもの原因は私が親として何もやってやれなかったからだ。謝ろうとも思ったがあれ以来スペと距離感が出来てしまい、学期が終わってもあいつは帰ってこなかった。姉貴に話すと頭を軽く叩かれて、今すぐスペのとこに行ってこいと言われてしまった。

5 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:20:41</a> [sage] No.878101801

隠れて会話を聞いていると、スペは本当の家族が羨ましいと言っていた。その時改めて娘にそんな事を言わせた自分の愚かさに気がついた。私はあの子の「お母ちゃん」なんだ。

6 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:21:14</a> [sage] No.878102019

スペと肉を食べに来た。私が肉が好きだっていうのもあったが、姉貴から一緒に飯でも食ってこいと言われて選んだ店がハズレだったのもあった。スペはまだ私に叩かれたせいで萎縮していたが、私がスペの皿に焼きあがった肉を乗せてやると、少し戸惑った後に美味しそうに食べた。私もそれを見ながら肉を食べる。自分では分からないが、きっとこの時の私は穏やかな顔だったんだろう。そのまま2人で黙々と肉を食べていく。普通の家族みたいに話したりはしないけど、きっとこれが私たちの家族の形なんだ。

7 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:21:36</a> [sage] No.878102166

あれ以来たまにスペと肉を食べに行くようになった。以前よりは会話も増えて、この幸せがずっと続くと

8 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:22:01</a> [sage] No.878102416

そう、思っていた。

9 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:22:17</a> [sage] No.878102545

ホグワーツが焼かれた。私が向かった頃にはもう校舎のほとんどは焼かれ、何も残っていなかった。私は必死になってスペを探し回ると幸いすぐに見つかった。名前を呼ぶとゆっくりと、スペは振り返った。スペの顔は、初めて出会ったあの時と同じ―自分以外の全てを失った顔だった。

10 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:23:19</a> [sage] No.878102913

あれ以来スペは肉が食べられなくなり、部屋にも籠るようになってしまった。私には何もする事ができず、ただスペが死なないよう食事を差し入れてやる事しか出来なかった。

11 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:23:37</a> [sage] No.878103053

数日、数週間、数ヶ月...どれだけの時が経っただろう。スペが部屋から出てきた。身体は痩せ髪も伸びて散らばってて、一見死にそうに見えたが、目には確固たる意思が宿っていた。

12 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:23:56</a> [sage] No.878103194

スペが闇祓いになりたいと言った。理由を聞くと闇の魔法使いを全員殺したいと言った。明らかに復讐の為で普段なら拒否するところだが、最近闇の輩が活発になっていて人手が足りていなかったのもあって断ることは出来なかった。 その代わり私が鍛えてやろう あらゆる呪いとその防御手段を教えよう まだ未熟というなら、私がその背中を守ろう

13 <a href="mailto:終">21/12/19(日)23:24:18</a> [終] No.878103341

何故なら、私はスペのお母ちゃんなのだから。

14 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:25:55</a> [sage] No.878104038

2時間くらいで書き上げたからオチがちょっと微妙かも ナリブママいいよね...

15 21/12/19(日)23:29:04 No.878105448

不器用なナリブママ視点良い…

16 21/12/19(日)23:31:57 No.878106716

いい...

17 <a href="mailto:sage">21/12/19(日)23:35:20</a> [sage] No.878108355

ちなみに何だかんだで2人とも生き残ってクリーク倒します というか先人達が書いた怪文書の過去編のつもりで書きました

18 21/12/19(日)23:47:27 No.878113989

>ちなみに何だかんだで2人とも生き残ってクリーク倒します >というか先人達が書いた怪文書の過去編のつもりで書きました クリークを殺して墓参りする方もいいしクリークの杖だけを壊して終える方もいいよね...

19 21/12/20(月)00:05:21 No.878121047

任務の途中でナリブがスペを庇って大怪我してナリブはスペを守れたって満足して死にそうになるけどスペが必死に看病して助かるんだけど目が覚めたらスペに泣きながらもうあんな無茶しないでください...大切な人に死んで欲しくないんです！って泣きながら怒られて自分がスペを庇って死ぬ事を心のどこかで求めていたのに気づいてすまない...って謝るっていうの思いついた