虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/12/19(日)21:58:27 No.878064731

    朝早く、俺は誰も居ない食堂へと早歩きで向かう。 …空気は冷たい、冬の東京の朝は乾いてて冷たいからか、どこか肌に染みる。 それでも俺には向かう理由がある、他の誰がいない時、唯一2人きりになれる時間。 それは例えば、人ならざるものも含まれてるわけで。 「…おはようございます」 「おはよう!」 静かにティーポットを沸かす彼女との、一つの茶会をするとなれば必然的にこの時間しか無かったのである。

    1 21/12/19(日)21:58:56 No.878064980

    時は少し遡って… 「……カフェのさ、そのコーヒー…気になるんだよね」 「…これがですか?」 昼間の冬、トレーニングの休憩時間にぼんやりと呟いた。 「結構こだわってるんだろうなって」 「…多少は、こだわっています」 「だよねぇ…うーん…単純な興味として飲んでみたいんだよな…」 「でしたら、飲みますか?」 「えっ?」 突然カフェがそのままコーヒーカップを俺に渡そうと…… あれ?これって関節キ…… 『『フトトギモノ!!!フトトギモノ!!!!ムッツリヒトオトコ!!!』』 ガタガタガタ!!!!!

    2 21/12/19(日)21:59:14 No.878065113

    「うーわやっぱり出た!!冤罪だって!!」 「………昼間に出てくる霊は、怨念や霊力が強いんですよ」 「笑えない冗談はやめてくれ!!」 「本当の事です」 「本当なら余計に勘弁してくれ!」 「……しかし、確かにトレーナーさんにコーヒーを飲むのも悪くありませんね」 「…それはそうだけど、たぶん…」 夜や夕方を想像したが…なにぶんカフェである、しかもついてくる幽霊は大体俺に厳しい。 夜は数の暴力、昼間は質の暴力。 困ったな、これではまともに何もーー 「でしたら…それ以外の時間にしませんか?」 「……へっ」 「あの子たちに時間を伝えるのは行けませんから、明日、食堂に来てくださいね」 「………………わかった!」

    3 21/12/19(日)21:59:40 No.878065297

    そうして俺は朝にカフェの元にやってきた。 本当に周囲に霊は居ない、というか隠れてるのかもしれないが、俺には分からない… が、今のところ邪魔しない辺り、カフェの言った通りなのかもしれない。 静かに湯を沸かしたそれを持ってきて、今度はいくつかの豆を用意する。 焙煎機も何故か用意しており、静かに装置に電源を入れて… 「トレーナーさんは、コーヒーの知識はありますか?」 「いや。特には」 「コーヒーは苦いという部分ばかりが目立ちますが、様々な要因によって味が変わります」 ゆっくりと、そこに豆を入れて回し始めた。 「どこで生まれたか、どれくらい焙煎をしたのか…使われる水も、豆の砕かれた数も…」 「…えっと…?」 「…そうですね、説明だと分かりにくいでしょうし」

    4 21/12/19(日)22:00:26 No.878065675

    カフェは静かに、しかし目を確かに輝かせて焙煎機を見ていた。 「人と似てると思うんです」 「えっ!?」 「田舎から生まれたのか、貴族のように裕福な世界から生まれたのか、その過程でどう生きてたのか…それぞれで価値が違うように、コーヒーもまた価値が違います」 「……うん?」 「そうした、様々なコーヒーを混ぜること、これをブレンディングと言います。美味しいコーヒーを作る上では欠かせない事なんですよ」 ゆっくりと回された粉から出てきたものをそれぞれ薬のように合わせ、混ぜて、カップに抽出されるように置いていく。 「例えば安い豆も、高い豆も…お互いにあるから、この味ができる」 「それは…」 「そういったものが溶けて、溶けて、また溶けて…静かに一つの連鎖になって…」 食堂はまだ暖房が着いておらず、空気は冷えきっている。 どこか上の空、白い息を吐く彼女に…俺は目を離すことは出来なかった。

    5 21/12/19(日)22:00:53 No.878065892

    「………そうやって、ひとつになっていく、他者が飲む時に、ひとつの答えになる」 ゆっくりとコーヒーを注ぎ、静かに2つのマグカップに手を取って 「コーヒーというのは…、こうして色んな味が生まれ、混ざることで…真の味になる…人間そのものだと思うのです」 ゆっくりと出来上がったコーヒーを、彼女は静かに俺に渡す。 「あらゆる人がその人らしく生きていけるようになる、だからコーヒーは美しい、……さあ、どうぞ」 ゆっくりと手渡されたマグカップを除くと、黒い液が光に照らされて揺らめく。 「ありがとう…」 ゆっくりと啜ると、不思議な感覚になる。 甘く、苦く、どこか酸味があると思えば、爽やかで、どこか深い焦げのような匂いがする。 アロマですら顔負けするような匂いと、その深い味は一つ完成されたワインのように複雑な味を出していた。 「あ、…ブラックのままでいいんですか?」 「うん、…なんっていうか、…香りを味を誤魔化したくないんだ」 「…そう、ですか…」 その答えに彼女はどこか満足していたようだった。

    6 21/12/19(日)22:01:29 No.878066200

    「今日はありがとう、というか…なんだか色々と学べたよ」 「こちらこそ、コーヒー…美味しかったですか?」 「美味しかった」 あのコーヒーは、確かに不思議な味だった。 たくさんの幽霊を見た彼女の倫理観から生まれたような、沢山の人を思い浮かべるような味。 カフェに別れを告げ、静かに一本道の廊下を歩く。 「…俺がコーヒーを作ったら、どんな味になるんだろう」 「でしたら、今度は豆や焙煎をどうでしょう」 ぬっと出てきた彼女に俺はうわぁ!と声を上げたが、すぐに元に戻った。 「うん!…また朝にね」 「ええ…どうぞ、あなたの味を楽しみにしていますね…?」

    7 21/12/19(日)22:02:30 No.878066658

    っていうマンハッタンカフェと朝カフェして 幽霊とか特殊な人付き合いから生まれるコーヒーへの倫理観を聞いて新しいコーヒーを生み出すトレーナーな怪文書が好きなんだけど 誰か代わりに書いてんくない?

    8 21/12/19(日)22:04:16 No.878067466

    スタンダードに言ってもダメだ お前が書け

    9 21/12/19(日)22:05:16 No.878067955

    お 書