ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/12/19(日)21:23:48 No.878048252
「これは…派手に積もったッスねぇ」 スコップを純白の大地に突き刺して、腹の底からの深いため息が溢れ出る 分かっていたこととはいえ、まさかここまでとは誰も思わなかったのだ 「これ、まずプレハブに近づけないプイ」 「ッスね…とりあえず、まずは道を作る事からスタートッス。プイ先輩、エールちゃんとウチで道を切り開くんで除けたやつをどんどん脇に捨ててってくださいッス」 「プーイ…興味本位で見に来たらまたこれプイ…」 プレハブの周囲、いやトレセン学園で見渡せる限りの全ての風景は深い深い雪景色へと姿を変えていた 元々昨日の時点で大雪の可能性があるという予報は聞いてはいたし、帰る頃にはさーっと降り始めていたので積もることはわかっていた それでも、まさか道中を阻まれるレベルだなんて誰が思うか
1 21/12/19(日)21:24:16 No.878048461
「大真面目に早くやらないと雪の重さでプレハブが壊れかねないッス。あ、きたきた」 口の広いスコップを鋼の花束のように抱えて走ってくる見慣れた元気娘の姿 それでも少し速度控えめなのは、やはりこんな豪雪で普段どおりは彼女でも無理という事か 「お待たせしましたあああああああああ!!!!!」 「ありがとうッス、エールちゃん。あれ、姉貴は?」 「でっかいスノーダンプ借りてくるから待ってろって伝言頼まれましたああああああああああ!!!!」 「どこからブン取ってくるつもりッスかそんなもん」 自分で持ってきたスコップは小さすぎてとてもじゃないが役に立たない。エールちゃんが持ってきてくれた方に装備変更して、エールちゃんとプイ先輩にも渡していく 残った数本は背後に突き刺しておく。他のメンバーたちが駆け付けた時に使って貰えばいい
2 21/12/19(日)21:24:28 No.878048560
「あれ、他はどうしたプイ?」 「姐御は寮ッス。ウチらは上手く出れましたけど、寮の周辺も酷いもんッスからね。各チームで数名ずつは寮に残して除雪部隊にするってことになったッス」 「ソングラインちゃんも同じですね!!!」 「で、聖剣先輩と魔女っ娘は寮と正門の道を除雪する方に回されたそうッス」 もう学園全体が大騒ぎだ。こんな状況では練習どころではない。まずはインフラの確保が最優先となってくる 生徒会の正式な指示で生徒トレーナーその他職員総出での大除雪作戦。いくらウマ娘がパワー溢れるとはいえ、ここまでの規模となれば並大抵のことではない さらには、正門までの道を確保した後は学園周辺の除雪作業の支援も行うそうだ。地元への協力は学園の存続に欠かせないという事か。トレーナーはそっちに回されたらしい
3 21/12/19(日)21:24:46 No.878048757
「さー、始めるッスよ。エールちゃん、とにかく全力で前に道を作っていくッス。プイ先輩、少し離れたところから後処理頼みます」 「プイプーイ。こうなったら仕方ないプイ、しっかりお手伝いするから後で温かいお茶とお菓子ちょーだいプイ」 「そんくらい安いもんッス」 「行きますよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」 普段からトレーニングで育まれたパワーとスタミナをフル活用して、どんどん積もりに積もった雪を刺して崩してどけていく 広範囲までやってなどいられないから、まずは人が安全に通れる幅の一本道を作らねばならない 元気全開名古屋娘のエールちゃんもなんとまぁ頼もしい事か。砕氷船かこの子は、と思うほどのスピードで道ができていく 背後ではプイップイップイッという声と共に崩された雪が脇にどかされていく音。どうでもいいけど、背後でずっとこの声聞こえるとどこか気が抜ける
4 21/12/19(日)21:25:01 No.878048881
「そういえばプイ先輩は本来の自分のチームはいいんスか?好奇心でこっち見に来たとか言ってましたけど」 「あー。向こうは他のチームと早々に連携して大人数でやってるっぽいプイ。連絡はしたプイけど、手近なところを手伝ってほしいって言われたプイ」 「それでこっちに来たんスか」 「他にも合流タイミング逃したチームメンバーの子達は同じようにして他を手伝いに分散してるプイ。ここみたいに離れた場所で手が足りないところは多いみたいプイ」 「来てくれてありがとうございまあああああああああああああす!!!!!!」 「どういたしましてプイ。まぁ流石にこの状況でサボるほど鋼の心臓は持ってないプイ~」
5 21/12/19(日)21:25:12 No.878048957
そんな会話をしながらフルパワーで道を拓いていくと、段々とプレハブとの距離も縮まってくる 近くで見ると余計に酷い。下手に放置したらなんの冗談でもなく潰れかねない。早々に屋根の雪をおろして壁の雪を除けなくては そう考えてペースを上げようとした時、背後からの妙な地響きと叫び声が耳に入った きょとんとしたエールちゃんと共に振り向けば、地鳴りのような音と共に雪をかき分け…いや撥ね飛ばして接近する小さなブルドーザー…いやウマ娘の姿 いや、はい。凄く見慣れた姿です。こっちの姿を確認し、地面を削るような音と共に急ブレーキ 「ようやく着いたぞゴラ!!!感謝しろや愚妹!!!」 「いや、確かにありがとうッスけど」 ここに来るまでに相当難儀したのか、それともスノーダンプの争奪戦が熾烈だったのか 到着した姉貴はすでに髪を逆立てんばかりの怪獣モード真っ最中で、いっそその熱気で雪を溶かせそうだ 絶対に口には出さないが。出さないが。小さい体でモッコモコに着こんでるせいで冬毛の動物みたいにまん丸になってる
6 21/12/19(日)21:25:34 No.878049140
「先輩お疲れ様でええええええええええええええええええええええす!!!!!!!!」 「うわうっさ!!こんなにさみーのによくそんな元気出るなオイ」 「さっきブルドーザーしてた人が言えることじゃないプイ」 「うるせーうるせー!!寒くて仕方ねえんださっさと終わらせんぞオラ愚妹!!!」 「はいはい。じゃあここからは道幅広げていくッスよ。ウチとエールちゃんが両サイド、センターを姉貴ドーザー。プイ先輩もウチの脇でどんどんお願いするッス」 「プイプーイ」
7 21/12/19(日)21:25:48 No.878049272
そこからは本当に早かった。さっさとコタツで休みたい姉貴の全力のドーザーで掻き分けられた雪をどんどん捨てていき、三人がかりでスコップを振るっていた時の倍以上の速度で道が拓けていく 怪獣の大咆哮とエールちゃんのハイテンションで若干耳が痛くなりつつも、ようやく、そして壊れる前にプレハブまでたどり着くことができた 周囲の雪を除けてから飛び上がるようにして屋根に上がった姉貴の、溜まりに溜まった鬱憤その全てをぶつけるかのようなスコップ一閃の薙ぎ払い それによって屋根に乗っていた雪が吹っ飛び、下で待っていた自分たちに降り注いだところで雪掻き騒動はひとまずの区切りを迎えた。krs
8 21/12/19(日)21:26:00 No.878049372
● 「…とりあえず、壊れてる場所はなさそうッスね。軋んで隙間とかできてないか不安だったッスけど」 「これでまたこの小屋でコタツ入ってミカン食べて漫画読めるプイ」 「おめーは何処の所属だ英雄サマ」 ようやく解放されたプレハブ小屋の周囲を破損していないか点検を行ったが、心配することはなさそうだ 先ほど連絡が来て、おおよその場所が終わってあとは一部が外の手伝いに向かうということで、各自終わり次第終了、休養としていいとのこと 流石に疲労も溜まっている。普段トレーニングしているからといってこんな作業は想定外だ エールちゃんに頼んで室内の暖房器具を付けてもらっている間に見回りも終わり、これにて終了と安堵の息をつく 「他も随分早く終わったんスね。こういう時大所帯は羨ましいッス」 「なんか変な噂流れてんぞ。UFOが片っ端から雪を吸っていったとか重力が歪んで雪山が崩れたとかなんとか」 「だからこの学園はどうなってるんスか」
9 21/12/19(日)21:26:17 No.878049499
まあいちいち気にしていたら身がもたない。さっさと暖かい室内で 「それプイっ」 後頭部に何かの衝撃、ついでにめっちゃ冷たい。ぶふぅと噴き出す姉貴 後ろを見れば、目を細めてニヨニヨしながら雪玉を固めている一着至上主義サン 「雪があってこれやらないのは流石にもったいないオバケがププイッとでるプーイ」 「ええい子供かこの英雄。せっかく寒い中での大仕事から解放されたんッス、大人しく…」 スパァンとさっきより強い衝撃。振り返れば、プイ先輩とは似ても似つかない邪気漂う笑顔の姉貴 「雪があってお前を虐めないのは嘘だろ愚妹」 「こっちは蛮族の理論ッスか。だからもう大人しく」
10 21/12/19(日)21:26:31 No.878049598
顔面と後頭部にそれぞれ雪玉。オーケー、エンジン始動。スイッチオン 最近トレーナー以外にはやってなかったしそろそろいいかも我慢できない 「 krs 」 両手でそれぞれ全力で固めた雪玉を持てる限りの力で投擲。クソッ避けるなkrsないじゃないか 「ププププーイ、そんなの当たらなヘブプイッ」 「ぼがっ」 ウチの投げたものとは違う、妙に速球気味の雪玉がガキンチョ二名の顔面を強打 見れば案の定というか、この子がこんなノリで大人しくしてるはずがない
11 21/12/19(日)21:26:48 No.878049756
「雪合戦ですかあああああああああああ!!!!!混ぜてくださあああああああああああああああい!!」 「プイッ!?ちょ、なんでこっちばっかり狙うプイ!プキュゥ!」 「エールちゃん!!まずはそこの一着至上主義を徹底的に狙うッス!!」 「おい愚妹テメエ石仕込んでんじゃねえ!!やめろツララ付けるなkrsぞこの愚妹がぁ!!」 「とりあえず動くもの全部に投げまああああああああああああああああああああああああす!!!」 「あ、駄目だこの子が一番ヤバいッス」
12 21/12/19(日)21:27:00 No.878049875
せっかく終わった雪掻きなんて重労働。さっさと暖まっておけばいいものを、何故かこんな無駄な遊びに発展するのはなんの業か 敵も味方もありはしない。とりあえず自分以外に雪玉を投げつける、子供じみた雪合戦 ギャーギャー騒いでるのを聞きつけたのか、姐御たちの声が聞こえてくる。たぶんこれ姐御も混ざるか、さもなきゃお話。されるやつだ ただ、まあもうどうでもいい。とりあえず、いきなりの労働で溜まったフラストレーションを全部ここで発散して明日に残さないようにしておこう まずはアンタだ、ゆるゆる英雄。そう思って雪玉を何個もぶつければプキュイップキュイッなんて変な声出して涙目に。いい気味だ そしてそんな隙をさらしたせいで馬鹿力で固められた姉貴の雪玉が脇から飛んできて吹っ飛ばされる。駄目だ怪獣放置したらロクな事にならない
13 21/12/19(日)21:27:13 No.878049991
「プッププーイ!楽しいプイねー!」 「勘弁しろッス!」 まぁ…こんな日もあるだろう。普段走って走ってまた走ってのウマ娘だって年頃の学生だ。テンションに身を任せてしまうのは仕方ない なら、せいぜい遊び倒してしまえ。雪が解けてから「もったいなかったかも」なんて思えないくらいに 無駄に疲れるのは好きじゃない。だけど、ここでいつもの大騒ぎするのだって別に嫌いじゃない 来年の今頃にでも、その先の今頃にでも。こんなこともあったなんて話のタネにできるくらいには楽しんでみようとは思える 吼えながら無差別に雪玉を投げつける姉に、エールちゃんに負けないくらいはしゃいでる先輩に、さらに負けじと大騒ぎな後輩に 大雪なんて面倒ごとが寄こしたお休みを、せめて楽しい疲れに変えてしまおうとするいつもの顔ぶれはレースの重圧も無い普通の学生そのものだった
14 21/12/19(日)21:27:34 No.878050201
「いっきますよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「あ、これ駄目なやつッス」 名古屋娘が持ち上げた2m近い雪玉。それは投げるものじゃない、雪だるまにでも使ってほしい 姐御たちが合流する直前にウチらはみんなまとめて、エールちゃんの全力投球に巻き込まれて無様な悲鳴をあげることに その後、様子を見に来たトレーナーが混ざろうとしたので雪だるまの芯材にしたことが今日の締めくくりとなった あと、ちょっと風邪ひいた
15 21/12/19(日)21:27:57 No.878050375
以上。酒を飲み過ぎたので舎弟した
16 21/12/19(日)21:28:24 [URA] No.878050594
ディープインパクトが雪合戦する日くらいあってもおかしくないと思うの
17 21/12/19(日)21:29:42 No.878051134
酒飲みすぎだよぉ!
18 21/12/19(日)21:31:34 No.878051918
いい日常だ
19 21/12/19(日)21:32:22 No.878052268
こいついつも飲んでんな…おかわりもいいぞ…
20 21/12/19(日)21:32:26 No.878052299
実際雪かき大変だからリアルにウマ娘が居て欲しくなる…
21 21/12/19(日)21:32:29 No.878052312
最近毎日酒飲んでてありがたい...
22 21/12/19(日)21:32:42 No.878052415
毎日舎弟してる…
23 21/12/19(日)21:33:01 No.878052552
舎弟は動詞じゃないよ!
24 21/12/19(日)21:33:39 No.878052835
大真面目に雪かきの時のウマ娘とか救いの神に見えそう
25 21/12/19(日)21:34:23 No.878053170
プイプイかわいいねえ おやつあげようねえってなる
26 21/12/19(日)21:34:29 No.878053211
多分スペちゃんが滅茶苦茶輝いてる日
27 21/12/19(日)21:34:36 No.878053262
雪合戦でプレハブ小屋が破壊されるに1スペ