ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/12/19(日)00:06:06 No.877707488
デスクに向かう彼女が長いこと難しい顔をしているというのは、そう心穏やかな光景ではなかった。迅速果断を旨とする彼女が益もない長考に奔るとも考えにくく、そうすると彼女の能力をもってしても処理できない無理難題に突き当たっているのではないか、などと考えてしまう。 「何かあったのか?」 案じて声をかけたこちらに振り返った表情は、予想に反して穏やかであった。悪戯を見咎められた子供のような微苦笑を浮かべて、彼女は訥々と話し始める。 「少々、慣れない課題を出されてしまってね」 そう言って彼女が示したのは、数枚ほどの薄い文書の束であった。リーフレットと呼ぶにもまだ薄いそれの表紙には、その字面に反した厳つい明朝体で表題が記されていた。 『甘え方のコツ』
1 21/12/19(日)00:07:20 No.877708217
「近頃、学園内のネット掲示板で話題になっているものらしい。目上の相手に頼み事を上手く聞いてもらう方法から、異性同士の親密な関係をより深いものにする手法まで内容は多岐に渡るが、取り締まりの対象とすべきか審議にかけられてね。結果、さしたる害のあるものではないだろうという結論になった」 ならいいのではないかと思ったが、彼女の表情からするとここからが本番らしい。 「しかし、その内容が些か皆の耳目を集めてしまったようでね。会議が終わったあと、私は人に甘えるのが下手だという指摘を随分多く貰う羽目になってしまった。他の皆だけならともかく、エアグルーヴにも随分とお小言を貰ってしまったよ。『もう少し我々に頼ることも覚えてください』とね。 未だ精進の足らない身といえ、甘えというものはできるだけ己の内から排除するように努めてきたつもりだったが、それが皆に息苦しさを感じさせてしまっているとしたら、私も慚愧に堪えないよ」
2 21/12/19(日)00:07:49 No.877708461
最初は窘めるように会話に入ってきたのに、いつしか他の誰よりも熱が入ってしまう彼女の様子が目に浮かぶようだ。そんな彼女の指摘を大真面目に持ち帰って検討するルドルフにも、大いに原因はあると思うけれど。 「皆に頼るのではなく、頼られることこそが私の使命と心得てきたが、自分を頼らない相手に気軽に頼れというのも酷な話だ。先ずは私の方から歩み寄るべきかと思って、暫くどうすればいいか考えていたのだけれど。 いくら考えても良い案が思いつかないんだ」 つい、嘆息が漏れてしまう。エアグルーヴたちが嘆くのも頷けてしまうほどに。 これほど重症とは。少し荒療治になるかもしれない。 「…すまない、やはり君から見ても、未熟な悩みだというのは承知しているが…ぁっ」 申し訳無さそうに耳を絞るルドルフを、少し乱暴に抱き寄せて頭をゆっくりと撫でる。 「…トレーナー、くん…?」 なんて不器用で、健気な皇帝だろう。誰かに我儘を言ってもらいたいから我儘を言うなんて、まるで本末転倒じゃないか。 自分のためにする我儘も、他人のために使ってしまうなんて。
3 21/12/19(日)00:08:10 No.877708650
「ルドルフ」 「ぁ…」 まだ惚けているような彼女の意識を呼び覚ますように、耳許で囁く。 「明日から、俺は他の娘の面倒も見ることにする。チームも持つ。君一人には構ってあげられなくなるだろう。 そう言ったら、君はどうする?」
4 21/12/19(日)00:08:35 No.877708816
「…君は賢く優しい。私が君のことしか見えなくなるときがあるくらいね。 そんな君を誰よりも知っているからこそ、他の誰にも渡したくない。私だけの君でいてほしい。 君が誰より優しいことは知っているが、その優しさは私にだけ向けられていればいい」 説得と言うには情熱的にすぎる言葉と、背に回された腕に込められた力は、確かな執着と愛欲を感じるには十分だった。 「ちゃんと言えたね」 「もうこれきりにしてくれ。心臓が止まりそうになる」 「ごめん」 「なら、もっと強く抱きしめて。もう離れるなんて、思いもしたくないんだ」
5 21/12/19(日)00:09:25 No.877709159
幾分乱暴なやり方ではあったけれど、己のためだけの言葉を彼女の中から引き出すためには、そのくらいの衝撃は必要だったろう。そのために皇帝を試した罰の味は、思ったよりもずっと甘美だったけれど。 「あんなふうにすればいいのかな」 「それは駄目。俺以外にしないでほしい」 涙を湛えた瞳で上目遣いで見つめるのも、愛を込めて抱きしめるのも以ての外だ。 「困ったな、練習にならない」 「嫌か?時間の浪費は」 ゆっくりと、彼女は首を横に振った。 「ゆっくり教えてくれたまえ。健全な方もね。 もちろん、きみにしかできない甘え方も」
6 21/12/19(日)00:09:42 No.877709266
優秀すぎるのも考えものだ。アウェーに持ち込んで漸く一度振り回せたかと思えば、もうすっかり手玉に取り返されている。 「今からでも、喜んで」 「…ふふ。いつ寝かせてくれるのかな、今日は」 「すぐに覚えるさ。ルドルフは賢いから」 「…では、君の前では愚者を装うとしよう」 「どうして?」 「そうすれば、いつまでも教えてくれるだろうから」 困った。先ずは何から教えようか。 唇の甘さも、愛を囁き肌を重ねる悦びも、とうに知り尽くしてしまっているのに。
7 21/12/19(日)00:10:04 No.877709438
あれほど言っておきながら、彼女を甘え下手のままにしておきたくなった。 ──彼女の我儘を受け止める権利は、他の誰にも渡したくない。
8 21/12/19(日)00:11:20 No.877709948
おわり 甘え下手な会長もトレーナーくんにはたくさん甘える会長もどっちも楽しみたい
9 21/12/19(日)00:13:08 No.877710847
ルナちゃんじゃなくてルドルフのまま甘えてくる会長は初めて見たな ありだね
10 21/12/19(日)00:15:38 No.877712128
頼るのは下手だけど甘えるのは上手い トレーナー君にしか甘える所は見せないけど
11 21/12/19(日)00:19:06 No.877713829
雰囲気も態度も大人な美女に甘えられたい願望は一定数存在する
12 21/12/19(日)00:19:59 No.877714226
これくらい凛としていてなおかつ甘えん坊なのすごく良い ちょうどいい塩梅だ
13 21/12/19(日)00:21:52 No.877715153
もう一通りやることやってる距離感いいよね
14 21/12/19(日)00:22:46 No.877715491
fu627856.jpg
15 21/12/19(日)00:23:38 No.877716020
独占力いいよね…
16 21/12/19(日)00:25:02 No.877716711
お互いに対してだけは二人とも我儘になるんだよね…
17 21/12/19(日)00:27:00 No.877717590
大人なお姉さんするのはずるいぞ会長!!
18 21/12/19(日)00:27:27 No.877717809
甘え方のコツ◎になるとどうなる?
19 21/12/19(日)00:27:50 No.877718001
アダルトな空気が美味しい
20 21/12/19(日)00:28:00 No.877718069
いい関係性だ… 好き…
21 21/12/19(日)00:28:35 No.877718495
甘えるのもキスもえっちも大好きな会長ですって
22 21/12/19(日)00:30:31 No.877719388
大人のしっとりイチャイチャスキルは現状カイチョーとマルゼンさんのみが習得可能とされている
23 21/12/19(日)00:31:00 No.877719596
女の顔する会長いい…
24 21/12/19(日)00:31:16 No.877719726
すでにそういう仲なのいい…
25 21/12/19(日)00:32:23 No.877720248
会長とのうまぴょいは3回出してからが本番
26 21/12/19(日)00:33:59 No.877721006
本番よりピロートークのほうが好きなやつ トレーナーくんの胸板をなんとなく指でなぞりながら微睡んでるやつ
27 21/12/19(日)00:40:39 No.877723742
>会長とのうまぴょいは3回出してからが本番 声はあんまり出さないけどイった時と中に出されたときに「…ぁっ…!」みたいな小さいけどはっきりわかる反応してくれるといいと思います
28 21/12/19(日)00:47:59 No.877726488
>>会長とのうまぴょいは3回出してからが本番 >声はあんまり出さないけどイった時と中に出されたときに「…ぁっ…!」みたいな小さいけどはっきりわかる反応してくれるといいと思います 声抑え目なしっとりぴょいいいよね…
29 21/12/19(日)00:49:42 No.877727131
会長と大人らしい恋愛してぇな…
30 21/12/19(日)00:50:00 No.877727228
会長が会長のままで甘えるのいいね…
31 21/12/19(日)00:51:38 [ある夜のこと] No.877727719
お互いに忙しく、中々思うように時間がとれない反動だろうか。 まるで示し合わせたように、お互いの存在が無性に恋しくなる時がある。 快楽を貪るためでも、子を成すためでもない。互いの存在をもっと感じたくて、衣服も何もかも脱ぎ捨てて、深く繋がりたくなる。 緩やかに登り詰める愛欲とともに、ゆっくりと彼女の中に精を吐き出すと、彼女はいつも、本当に嬉しそうに微笑むのだ。 「…あ…ん…」 寂しがりやなのかもしれない。俺も、彼女も。 どれだけ求めても足りない。皮膚も何もかも邪魔になる。 替えがたい充足感と満たされない距離を埋めるために、もう一度強く彼女をかき抱いた。
32 21/12/19(日)00:56:48 No.877729405
シームレスにいちゃいちゃに移行するやつ
33 21/12/19(日)00:58:22 No.877729893
いい… すごくいい…
34 21/12/19(日)01:01:38 No.877730935
もっと求め合え