虹裏img歴史資料館

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21/12/17(金)22:56:29 窓を全... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1639749389499.png 21/12/17(金)22:56:29 No.877336098

窓を全開にして扉も開け放っていても、舞う埃の量は尋常では無い 自分は普段ちょくちょく掃除していたつもりだったが、一年間積もりに積もったそれはちょっと予想を気軽に超えてきた 「プイィっ プイッペッペッ」 「あーもう。ほらマスクしてくださいッス」 「貰うプイ…ていうかなんで手伝わされてるプイ?」 「年中居着いてゴロゴロしてるんスから当然ッス。はい、これ捨ててきてくださいッス」

1 21/12/17(金)22:56:41 No.877336182

高いところから埃を落としいらない物を片付けて必要な物を分類していく 大掃除を始めたのはいいが、コレは本当に腰を据えてやらないととても終わりそうに無い。他のメンバーも強制的に招集しての一大作戦と化していた 始めるときにザッと運び出した明らかにいらないゴミはリヤカーに積み込んで魔女っ娘に任せた。せめてそのくらいはして貰わないと困る 第一陣の時点で相当な量だったのでかなり渋られたが、刀剣ジャンキーな先輩が一緒に行ってくれることで何とかなった。というかなんとかした それでもまだまだ追加で出てくるあたりこのプレハブ小屋の普段からの混沌具合が知れるというものだ。第三陣くらいまではかかるかもしれない …自分は毎朝サッととはいえ掃除している以上、他に責任を求めることに問題は無いと思いたい 「そういえばあのタンスも出しちゃったプイ?」 「もうボロッボロでしたしね。リサイクルショップで程度のいい安いの見つけたんで入替ッス」

2 21/12/17(金)22:57:00 No.877336304

今頃捨てやすくするために他の大物と一緒に姉貴が細かく破壊しているはずだ。ほら耳を澄ませば聞こえてくる爽やかな破壊音 適材適所。怪獣には怪獣に向いたお仕事がある 個人の私物は名前を書いた段ボールにどんどん入れていき、不明な物はプラコンテナにどんどん詰めていく いくらやっても終わりが見えないような混沌具合だがせめて年末くらいはしっかりやらねばならない。この後も予定してる作業はどんどん詰まってる以上手は止められない

3 21/12/17(金)22:57:23 No.877336427

「プイッ!?なにこれカビ生えてるプイ!」 「うっわ、誰のいつのジャージッスか。問答無用で廃棄ッス」 「なんか小判みたいなの出てきたプイ」 「どっかの誰かさんの剣の鍔ッスね多分。そっちの段ボールッス」 「何語かわからない本が積まれてるプイ」 「魔女っ娘め…読めないなら意地張って買わなきゃいいのに。そっちの段ボールッス」 「このお菓子食べていいプイ?」 「姉貴のッスよ、それ。怪獣を刺激しないでくださいッス」 「これなんの人形プイ?」 「それあの芦毛マニアの変態の奴じゃないッスか。いやほんとなんの人形なんスかこれ。なんでここにあるんスか」

4 21/12/17(金)22:57:33 No.877336487

いくらやっても終わりが見えない。それでもサボろうとするプイ先輩を無理矢理動かしつつ作業は進み、ようやくおおよその私物の分類はできてきた 「一息入れるッスよ。飲物とってくるッス」 「カントリーマアム食べたいプイ」 「それはエールちゃんのッス。割れ煎で我慢するッス。手ぇ洗ってきてください」 手をしっかり洗って、マスクを取って息を吐く どうせゴタゴタするからとあらかじめ大きな魔法瓶に入れておいたお茶とコップを持って戻れば、すでに英雄と呼ばれた三冠バは広くなった床にごろりと転がっていた お茶を置いて煎餅を出したあたりでようやく起き上がってプイーッと一つ伸び スイッチオフの時は毎度こんな感じだけどこれでいて最強クラスの英雄とまで呼ばれたウマ娘なのだから世の中本当にわからない。今日だって聞けばお偉いさんの集まる忘年会から逃げてきたとかなんとか 魔法瓶のお茶は冷めておらず丁度いい具合。二人してほっと息をついて周りを見渡し、二息目はため息に

5 21/12/17(金)22:57:46 No.877336558

「これ本当に終わるプイ?」 「終わらせるんスよ。じゃないと本当に今後一切手が付けられなくなるッス」 まだまだ残っている荷物や掃除しないといけない場所 とりあえず電灯カバーや窓も拭かないといけないし、外に出した荷物だって中に戻さないといけない ただそれにしたってここまで広々とした室内なんてなかなか見れるものでもない。ずっとこうやって広々としてくれてればいいのだが お茶をすすって、煎餅を一齧り。適当に安い奴を買ったけど、なかなかに当たり 「そろそろ姐御が高圧洗浄機借りて戻ってきてくれるはずッス。そしたら窓と壁の洗浄お願いするッス」 「うえー、寒い中で水仕事プイ?」 「凍える手で雑巾搾って延々室内全部を水拭きするのとどっちがいいッスか?」 「文明の利器って素晴らしいと思うプイ」

6 21/12/17(金)22:57:59 No.877336640

エールちゃんもそろそろ戻ってくるはず。あの子には足りなくなったり足りなくなりそうな洗剤や手数を増やすための新しいブラシその他を取りに行ってもらっている こっちの休憩が終わるくらいには姐御と同じくらいに戻ってきてくれると思う。何事も、何事も起こしてなければという前提はつくが 「まぁ正直ウチらはまだまだマシな方ッスよね。大所帯のチームは大騒ぎですし」 「さっきオペラオーちゃんが走り回ってたプイ。こう…はーはっは!忙しい!って」 「ぶふっモノマネっすかそれ」 あちらも規模的にはそう巨大ではないがこんなプレハブよりはしっかりとした拠点である以上苦労も多いだろう。とはいえ、手伝ってやれるほどの余力も無い

7 21/12/17(金)22:58:12 No.877336730

「そういえばトレーナーさんは?自転車なかったプイね」 「会議終わり次第来るって言ってたッス。トレーナー組も年末で忙しいみたいッスね」 気付けばもうこんな時期、なんて毎年言ってる気がする レースも含め、この時期は特にトレセン全体が畳みかけるようなスケジュールの津波に襲われる時期だ そんな中、ウマ娘は学業とトレーニングをこなしレースに出て、トレーナーはウマ娘を指導しながら自分たちの事務仕事をこなしつつ予定をすべて管理してレースに同行する 流石の流石に年始くらいはゆっくりしたい。だからこそ、今やれることを片付けるのに必死にもなる 「もう今年も少しプイねぇ…」 「急に老け込んだッスね。でもまぁ、確かに時間が経つのが早いッス」 「今年も色々あったからプイね。ほんとに色々」 「このプレハブで起こった事件だけでも長編ラノベ並のストーリーにできそうッスね。頭痛いッス」 「突然の和歌ブームには面食らったプイ」 「あれ何だったんスかね…全員全力でノってましたけど」

8 21/12/17(金)22:58:25 No.877336801

問題児の巣窟なんて不名誉な見方をされるだけあってここは日々トラブルが尽きない 思い返すだけでも泣きたいほどに鮮明な思い出たちが脳裏を走り回る。それも大体ロクでもないやつ 最初はギャーギャー騒いで抗議してた、学園の外れにあるこのプレハブ小屋という拠点もいつしか馴染んで当たり前になって 気付いたら誰かが妙な事をしでかして、気づいたら全員巻き込んでの大騒ぎ 本当に本にでもしたら何冊分になるのだろうか 「どうせまた来年もこうなるプイ」 「いやー、せめてもう少し平和に過ごしたいッスけどねぇ」 「諦めも肝心プイ。それに退屈しないから割と嫌いではないプイよ」 「こっちは胃が痛くて仕方ないんスよ」

9 21/12/17(金)22:58:44 No.877336909

とはいえ、だ 見渡せば片付けた物やこれから片付ける物を含めて、山のようなあれこれ。これらが積み上がっていくだけの時間を過ごしてきた上で、別にその全部を否定したいとは思わない もう少し平和に、という願いはそのままではあるが もし本気で嫌なら、とっくのとうにこの場所に脚を運ぶことなどしなくなっている 絶対に言わないが。絶対に 「新しいメンバーとかどうなるんスかねえ」 「ここに放り込まれるって事はその時点で色々お察しプイ」 「おう喧嘩販売ッスか?」 「本当に申し訳ないけど事実だプイ~。もしかしたら、重力を無視して垂直に浮いたりする子かもしれないプイよ?」 「それ本当にウマ娘ッスか?いやに具体的な不吉な予想やめてくださいッス」

10 21/12/17(金)22:58:55 No.877336967

人はそういうのを怪奇現象というのだ。そんなキワモノとてもじゃないが制御できる自信が無い どちらにせよ、学園全体が新たな世代に満ちていく時にここに…まぁその、流されてくる子もいるだろう そうなった時、今こうして流れている日々は何か変化するのだろうか。気づけないほどの変化かも知れないし、大きく様変わりするかもしれない それでも。きっと 「…ま。なるようにしかならないッスよ。エールちゃんも後輩楽しみにしてるみたいですし、出たとこ勝負ッス」 「せめて新入生の前でトレーナーさん投げるのはやめるプイ?」 「kmiことしなければッスね」 約束はしない。できない

11 21/12/17(金)22:59:07 No.877337036

「さて、そろそろ再開するッスよ。やっと戻ってきたみたいですし」 「あー、なんかドタバタ聞こえるプイね。それにこの距離で聞こえる声は間違いないプイ」 「じゃ、窓と壁お願いするッス。室内はささっとこっちで片付けますんで」 もうすぐ一年が終わる。新しい年が来て、新しい世代が来て、新しいレースが来る それを走り終えたとき、自分はどうしているのかなんてわからない。明日のこともわからないこんな場所だ。それでも、どうなろうと続けていかなきゃいけないことは変わらない 普通より少しばかり騒がしくて慌ただしい場所だ。癖のある新入生だろうと退屈だけはさせないだろう 個性を煮詰めたようなチームメイトたちと、同じくらい個性が煮詰まったトレーナー、それと半分居候みたいなゆるゆる英雄サマ まだ見ぬ新たな子は、果たしてどんな仰天顔を見せてくれるのか。そればかりは少し楽しみだったり。逃げられなければ、だが

12 21/12/17(金)22:59:20 No.877337126

「お待たせー!高圧洗浄機借りてきたよー」 「ただいま帰りましたああああああああああ!!!!!何処をお掃除しましょうかあああああああああああああああ!!!」 さあ、その個性に詰まった仲間たちが帰ってきた 他の連中ももうすぐ戻ってくる。そしたら、もう一度くらい休憩してもいいだろう。お茶でも飲みながら、尾張が見えない掃除に愚痴をこぼしてダラダラと 「エールちゃんこっち借りていいプイ?」 「了解ッス。姐御ー、高圧洗浄機二人に貸してくださいッス。ウチらは室内片付けましょう」 「オッケー。じゃあそっちよろしくねエールちゃん」 「はああああああああああああい!!!全力でやりまあああああああああああす!!!」

13 21/12/17(金)22:59:31 No.877337191

なのでまずは、皆がダラけられるくらいのスペースは確保してみますか 忙しない冬の日に、指をかじかませて文句言いつつ、明日からもまたここでグダグダで騒がしい毎日を過ごすために 「んじゃ、やるッスよー」 この日常も、まだもう少しばかり終わりそうにないだろうから

14 21/12/17(金)22:59:44 No.877337268

以上。酒を飲んだので舎弟した

15 21/12/17(金)23:02:03 No.877338096

また舎弟してる…

16 21/12/17(金)23:03:29 No.877338605

突発的な和歌ブームは直後のエリ女含めて恐ろしかったな…

17 21/12/17(金)23:03:38 No.877338673

筆がお速い…

18 21/12/17(金)23:04:32 No.877339011

いい酔い方だ

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