21/12/12(日)23:29:31 シロガ... のスレッド詳細
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21/12/12(日)23:29:31 No.875828379
シロガネ山。 レッドとゴールドはここでのトレーニングの帰途についていた。 「久しぶりに山を下りるな…」 「あー、早く帰って母さんのハンバーグ食いてえー!」 「たはは、オレも何か美味いもの食べようかな」 他愛のない会話。 歩き慣れた道を進みながら話す。 だが、その油断がいけなかった。
1 21/12/12(日)23:29:47 No.875828521
「で、足元の段差に引っかかってこけて腕骨折したって?」 「ああ…」 「オレもいたのに面目ないっス…」 マサラタウンに帰った後。 自宅に遊びに来たブルーから呆れた目を向けられた。 両腕についたギプスを見られて、問い詰められたことで白状することとなった。 腕の痛みよりも、彼女からの視線の方が心に突き刺さる。 「どれくらい腕動くの?」 「肘がしばらく動かせないかな。 手は動かせるんだけど」
2 21/12/12(日)23:30:03 No.875828669
せめてどっちかの腕が自由に使えたらとレッドは思う。 「いつ治るの?」 「2週間くらいだって。軽いヒビ入っただけだからそれくらいで治るって病院で言われたんだ」 それらの質問を終えるとブルーはため息をつき、 「全く、油断してるからそうなるのよ」 「おっしゃる通りです…」 ゴールドと2人して肩を落とす。 だが、そこで彼女は手を打って笑顔に切り替えた。 「まあ、なったものは仕方ないわ。 それより、久しぶりに会ったんだしお昼はアタシが作るわ」
3 21/12/12(日)23:30:24 No.875828858
彼女はそう言って立ち上がって、ポーチからエプロンを取り出す。 「なるべく食べやすいのにするから。 ゴールドも食べる?」 ゴールドはそう言われると苦い顔をして、 「そうしたいのはやまやまなんスけど、ウチで母さんとかシル公クリスとメシ食う約束してるんですよ。 今から行かねーと間に合わねーんで」 「そう、わかったわ」
4 21/12/12(日)23:30:41 No.875829051
「悪いな。ここまで来てくれて」 「まあオレのせいなところもありますしねー。 そんじゃお大事に」 「おう、お疲れ様」 そうやりとりした後、ゴールドは去っていった。 「さて、それじゃ作ってくるわ」 ブルーもエプロンをつけてキッチンへと向かっていった。 「せっかくだけど、食材切らしてるぞ」 「心配ないわ。元々料理作るつもりだったから買ってきてるもの」 こちらの忠告に振り向きもせずにブルーが返してきた。
5 21/12/12(日)23:30:56 No.875829184
「…やっぱり、肘が曲がらないと食べにくいな」 ブルーに作ってもらったオムライスを口に運ぼうとして苦戦する。 「仕方ない。ニョロに頼むか…」 腰のボールを取ろうとする。 だが肘すら曲がらない現状だと、それすら満足にできなかった。 「アタシが食べさせてあげようか?」 「いや、いいよ。自分でなんとか…」 ブルーの申し出を断りつつなんとかボールを取ろうと身体を動かす。 「…あっ!」 椅子から転げ落ち、身体が地面に落ちそうになる。 が、そうはならなかった。 ブルーに抱きとめられ、途中で止まっていた。
6 21/12/12(日)23:31:16 No.875829385
「ご、ごめん!怪我なかったか!?」 「大丈夫よ。レッドこそ身体は?」 「あ、ああ。おかげで無傷だよ」 お互いの無事を確認し合い、安堵する。 と、ブルーの身体の柔らかさと温かい体温が気になってしまう。 「も、もう大丈夫だから!」 「あらそう?」 彼女に椅子に戻される。 少し愉快げに笑うその顔に、不快に思われなかった安堵がくる。 「やっぱりアタシが食べさせるわね」 「…うん。悪いけどそうさせてもらうよ」 素直に頷くことにした。 このまま意地を張っていてもまた怪我をすると考えたからだ。
7 21/12/12(日)23:31:33 No.875829523
「どう?美味しい?」 「…うん。美味いよ」 よかった、とブルーが嬉しそうに笑う。 「これからなんだけど、あなたの腕が治るまでまたご飯作りにきていい?」 「…いいのか?」 思わぬ提案に驚く。 それにブルーは笑顔を浮かべて、 「アタシも料理の練習してるところだからね。 パパやママに食べてもらうのもいいけどレッド相手なら少しくらい美味しくなくても食べてくれそうだし」 「オレは味見役なのか…?」 汗をかきつつ、ブルーを見るとオホホと誤魔化すように笑われた。
8 21/12/12(日)23:31:59 No.875829763
「大丈夫よ。ちゃんと自分でも味見して食べさせられないようなものは出さないから。 だから、ね?」 ウインクまでされ、考えてみる。 自分で料理作ることもできないし、外食にしようとしても腕がこれでは何も食べることができない。 「じゃあ、お願いしようかな」 「わかった。あ、着替えも手伝ってあげようか?」 「それはさすがに自分でするよ!」 そう言うとまたブルーは愉快そうに笑った。
9 21/12/12(日)23:32:14 No.875829896
「…はぁ、今日は疲れた」 日も落ち、シャワーを浴びようと浴室に入る。 今度は世話要員として、ニョロやピカを連れて来ていた。 「ブルーに世話してもらうのはいいけど、 女の子にあれこれしてもらうのは緊張するな…」 「なんなら背中も流してあげましょうか?」 「さすがにそれは悪いよ…」 と、声が聞こえたことに違和感を覚える。 出入り口の方を振り向くと、そこにはブルーの影があった。
10 21/12/12(日)23:32:34 No.875830124
「まだ帰ってなかったのか?」 「そんなにアタシに帰ってほしかったの?」 「いやそういうわけじゃ…」 「冗談よ」 彼女はそう言うと、あのねと続け、 「アタシもあるんだ。そういう経験」 「え…」 そういう、とは恐らく腕の怪我のことであろうか。 「子供の頃に色々してた時に逃げそびれて怪我して。 その時、腕に怪我しちゃって。今では跡も残ってないけど」 ブルーの語る昔の思い出。 そういえば、彼女が昔のことを語るのは珍しいかもしれない。
11 21/12/12(日)23:32:49 No.875830258
「その時、すごい不便な生活してて。 それでレッドの怪我を見て思い出したの」 「だから、オレに世話しようとしてくれてたのか…」 合点がいった。 彼女が優しい人物だということは知っている。 だけど、いくら優しいとはいえ友達に対してそこまですることに疑問があった。 「ありがとな、ブルー」 「うん」 ドア越しに言い合う。
12 21/12/12(日)23:33:07 No.875830424
ふと、笑みが溢れた。 自分にここまで優しくしてくれる友達がいる。 そのことが嬉しく思える。 「…ホントに今度背中流してあげようかな」 「え!?」 「あ、ちゃんと水着着てだけどね」 「あ、ああ。びっくりした…」 一瞬、脳裏に浮かびそうになった光景を振り払う。 「今、アタシと裸で混浴するの考えたでしょ」 「ご、ごめん」 「いいわよ。アタシがそうするように誘導したんだし」 そう言われてほっとする。
13 21/12/12(日)23:33:30 No.875830627
「じゃ、アタシ帰るわ。不便なことあったら呼んでね」 「ああ。その時はお願いするよ」 じゃあね、とドア越しに別れの言葉を聞く。 曇りガラス越しの姿も見えなくなり、彼女の気配も消えた。 「いやぁ、びっくりしたけど助けてくれる友達がいるっていいな」 そう言うと、なぜかニョロやピカから白い目で見られた。 「どうしたんだ?2人とも」 そう聞いても、言葉を喋らない彼らの気持ちはわからなかった。
14 21/12/12(日)23:33:46 No.875830834
そしてそんな日がしばらく続いた。 そうする毎に、自分の腕も癒えていった。 「明日でギプス外れるんだっけ?」 「ああ。これで久しぶりに腕が自由に動かせるよ」 そう言って腕を回す。 不自由な思いをしたが、それも終わりが近づくと気が楽になる。 「ブルーもありがとうな。長い間世話してくれて」 「いいのよ。アタシがやりたくてやってるんだから」 「たはは。でもそれももうすぐ終わりか」
15 21/12/12(日)23:34:05 No.875830996
最初は戸惑っていた。 だが、今は彼女に面倒を見てもらうことに慣れてしまっていた。 それが終わることに寂しさを感じている自分がいる。 と、ブルーが手を叩き、 「じゃあ、もうすぐ治るお祝いしましょう」 「お、ケーキとか作ってくれるのか?」 「それもいいんだけど…」 上目遣いでこちらを見る。 豊かな胸が揺れて目が奪われる。 が、ブルーは知ってか知らずかそのまま続け、 「この前言ってた背中流してあげるっていうの。あれやりましょう」 「……えぇーっ!!」 言ってることを理解して、レッドは悲鳴を上げた。
16 21/12/12(日)23:34:19 No.875831135
「かゆいところない?」 「うん…」 風呂場にて。 水着姿のブルーに髪をシャンプーで洗われる。 頭皮をくすぐる彼女の細い指の感触が形容しがたい刺激を与えてくる。 なんともむずがゆい。 直接触れられている頭ではなく、背筋がだ。 ちらりと彼女を見る。 正面に座るブルーの身体。 凹凸の激しい優れたプロポーション。 着込んでいるビキニが、それをさらに強調する。
17 21/12/12(日)23:35:11 No.875831568
友達とはいえ、美人でスタイルのいい女性。 彼女に奉仕されていることが、女性経験に乏しいレッドにとって未知の体験だった。 「じゃあ、流すわね」 頭からシャワーを浴びせられる。 シャンプーが洗い流される。 自分の煩悩もいくらかは流されたようで、頭が少しスッキリしていた。 「それじゃ、背中流すわ」 ブルーが背後に回る。 ボディソープのついたタオルが背中を滑る。 先程とは違い、直接触れられているわけではない。 だけど、あの時とさほど変わらない感覚がレッドを襲った。
18 21/12/12(日)23:35:25 No.875831689
「ついでだし前もね」 「え?」 止める間も無く、ブルーがタオルをこちらの胸にも滑らせた。 後ろから抱きつかれる形になる。 背に柔らかなものが押しつけられる。 途端に、レッドの心臓が高鳴った。 「ぶ、ブルー…」 「なに?」 後ろを振り向く。 そこには、ブルーの笑顔があった。 こちらをからかうようなものではない。 慈しみと、熱を持った目だった。 どんな想いでそうなっているのか、レッドにはわからなかった。
19 21/12/12(日)23:35:50 No.875831925
「どうしたの?」 「え、えっとさ。さすがに、友達にここまでしてもらうのは…」 「だったら、なんでアタシの誘い受けたの?」 「それは…」 言われて、自分でも疑問に思う。 何故、拒まなかったのか。 断ることは容易だったはずなのに。 「アタシは、友達じゃイヤ」 表情を変えず、ブルーが言う。 「アタシは、レッドともっと仲良くなりたい」 「…なんでだ?」
20 21/12/12(日)23:36:48 No.875832439
言葉の意味がわからない。 いや、わかりかけてはいるが思考がまとまらない。 自分の気持ちに名前をつけることができない。 「ホントに鈍感ね」 「…ごめん」 「いいよ。それがレッドだから」 その直後、唇を奪われた。 「これならわかるよね?」 優しく微笑み、ブルーに言われる。 さすがに、それでわかった。 彼女がどうして自分の世話をしてくれたか。 自分がそれを拒まなかったのか。
21 21/12/12(日)23:37:06 No.875832583
自分も、彼女に同じことを返す。 一度身体を離し、また同じことをしようとした。 だが、それがいけなかった。 「おわぁっ!!」 「レッド!?」 体勢を崩して、レッドは激しく床に落下した。
22 21/12/12(日)23:37:39 No.875832843
「…で、そのままこけて治りかけていた腕をまた折っただと?」 「ああ…」 「アタシもいたのに面目ないわ…」 その翌日。 グリーンに2人して白い目で見られた。 「まあまたブルーに世話してもらえると思えば悪くないけどな」 「もう、ダーリンったら」 「こいつらは…」 グリーンが頭を抱えて嘆いているのを見て、さすがにそれ以上はやめておいた。
23 21/12/12(日)23:37:54 No.875832951
以上です 閲覧ありがとうございました
24 21/12/12(日)23:38:29 No.875833271
日常の一コマ感がいいね…
25 21/12/12(日)23:41:56 No.875835154
すごい久しぶりにダイススレゾロ目スレ原作でないレブル二次創作書きました 読み返してみたら10/10以来でほぼ2ヶ月ぶりでした
26 21/12/12(日)23:42:24 No.875835365
>すごい久しぶりにダイススレゾロ目スレ原作でないレブル二次創作書きました >読み返してみたら10/10以来でほぼ2ヶ月ぶりでした ダイスだけで濃厚なレブルを体験出来てたんだな…
27 21/12/12(日)23:59:27 No.875842636
最近投稿遅くなってすみません さすがに90以上も怪文書書いてるから話の展開のバリエーションが尽きてきて…
28 21/12/13(月)00:03:03 No.875844034
毎週書けてるだけでかなり凄いと思うけどマンネリはどうしようもねえな…
29 21/12/13(月)00:05:31 No.875844952
>すごい久しぶりにダイススレゾロ目スレ原作でないレブル二次創作書きました >読み返してみたら10/10以来でほぼ2ヶ月ぶりでした (「」^)>自分はゴールに対して筋道を考える事に頭が回るタイプっぽいので原作なしで書けるのホント凄いと思います
30 21/12/13(月)00:16:09 No.875848623
あと未だにゴールドの動かし方には悩みます 彼のキャラを掴み切れてる自信が無い…
31 21/12/13(月)00:27:29 No.875853148
>あと未だにゴールドの動かし方には悩みます >彼のキャラを掴み切れてる自信が無い… 正解持ってるわけじゃないですが自分だったら >「なるべく食べやすいのにするから。ゴールドも食べる?」 に対して「元気な身で看病されるのもおアツいお二人の邪魔するのも悪いッスよ」的な事言って帰る気がします