虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/12/07(火)16:18:00 「アー... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

21/12/07(火)16:18:00 No.874002122

「アーヤベさーん!ただいまっ!」 「おかえりなさ……わ、ちょっと!?」 専属がいないウマ娘としての――そもそも、必要と感じたとは無いし必要ない――トレーニングも終わって、緩慢な時間が流れる夜。 ぼんやりと窓辺から空を眺める私に、カレンさんが飛びついてくる。 「へへへ、ごめんね」 もうすっかり慣れ切った彼女の奇行のせいか、ドジな友人……でいいのかな、大柄なあの子にぶつかられても平気になってしまった。 後ろから伸びた手はお腹の前で組み合わされて、ぎゅうっと私を締め付ける。 「運命の人は見つかった?」 返事の代わりに、締め付けが強くなる。 背中に押しつけられた顔が暑くて、どうしたって顰めっ面になってしまう。 「そう……」 私には彼女が理解できない。別に、理解を求めているわけでもないんだと思う。 きっとそれは多分、どうしようもなく寂しいだけで……私は、月さえも彼方に消えた暗雲の空から目を逸らす。 ねぇ、どこにいるの、私を見ているの、恨んでいるの、それとも。 互いの呼吸音しか響かない部屋から、明るい世界に。

1 21/12/07(火)16:18:18 No.874002175

どうやって過ごしたかすらぼんやりと、きっと記すようなことは何もない一日が終わって互いに一枚の布団を被る。 いつからかこうして、褥を共にする様になった。 自己を確立する拠る辺がないもの同士の惨めな慰め合い。 お互い友人に恵まれないわけでもなければ、親の愛だって十分以上に受けている。 けれどどうしたって埋まらない欠落が内側から穴を広げて、そうしてがらんどうになった身体を操り人形のように取り繕うのが私達だ。 欠けたものを求めるうちに遂には自分を見失った、けれど走る本能にだけは逆らえない空虚な存在。 それはどれだけテクスチャアを貼り付けたところで埋まることはないのだと、分かっていても続ける彼女と捨て去った私。 互いに抱き合って、ようやく明日を安心して迎えられる。

2 <a href="mailto:おわり">21/12/07(火)16:18:45</a> [おわり] No.874002272

「いっその事こと、一緒に消えちゃってもいいんじゃない?」 「だめよ、そんな……んっ、カレンさん……やめ……あっ」 後ろから絡みついてくるカレンさんの指が、するりと寝巻きを抜けて――そもそも下着をつけていないのだけれど――大事なところをくすぐる。 きっと機械的な刺激による肉体の反応だとは分かっていても、こうして生まれる内側からの熱が、伝わる体温がかろうじて私を人たらしめる実感となって伝わり、だからこそ辞める気にもなれない。 「さきに、キス……させて……」 ぐるりと身を回して、真正面から抱き合う。似たようなスタイルの、幾分太い私のものとすらりとした彼女の脚を絡ませあって、決して離れないように。 「ん……くち……んむっ、あっ……じゅる……」 「ふっ……うん、ずじゅ……ずるっ……ちゅ……」 恋人同士のような絆を確かめ合う、深め合うような浅いそれはいらない。 ただお互いを存在をお互いに塗り込むためだけの、深い交接。 そうしてお互いを奪い合って、内から焦がしてもどこかに逃げて冷えるばかりで、必死に指を絡ませ合う。 「ごめんなさい……」 「ごめんね……」 あぁ、お腹がすいた。

↑Top