虹裏img歴史資料館

1 21/11/26(金)22:07:37 No.870567469

普段から全力全開に駆け回り、ペース配分などというものは別の世界のお伽噺と言わんばかりのエンジン全開娘 そんな彼女の走りの輝きと可能性に魅せられてトレーナーとなり、幾つものレースに挑み続けて数年 華こそあるがいまいち勝ちきることができないと、そう評されていたその脚はこれぞ真の華だと咲き誇る 幾人もの強敵をその全霊の走りで引き離し、あまりの気迫と熱気に心乱れさせ、例え追えどももう遅いと駆け抜けた小柄な青いウマ娘は…ついに、最後の最後。 学園にて最高峰の栄誉を、決して曲げぬままに貫いた自分だけの走りで掴み取るという極大の煌めきを見せつけて大歓声を一身に受けることとなった あの時の吠えるかのような声、どうだ見たかと掲げた手、限界を超えて尚崩れぬ脚、何一つ取り繕うことのない魂からの満面の笑顔 その全てはどんな記録映像よりも鮮明に自分が覚えている

2 21/11/26(金)22:07:51 No.870567576

それから、少しばかりの時が経った 大舞台が終わった後も欠かさない日々のトレーニングを終えてクールダウンの最中、彼女は思い出したかのように一度帰省することを伝えてきた 最大の目標が最高の成果で終わって、その後大きなレースなどはしばらくないと聞いた実家が一度帰ってこいと連絡してきたという スケジュールを確認し、念のためたづなさん等にも連絡して彼女の帰省の日程は滞りなく決まった。日程までは、滞りなかったのだ 彼女が突然、自分にも実家に来て欲しいと言い出すまでは

3 21/11/26(金)22:08:05 No.870567702

地方の小さな駅のホームには自分以外には誰もいない 本当は彼女の帰省に合わせて同行することを強く望まれたのだが、流石に急だったこともあって一日ずらすことになってしまった。不満そうに頬を大きく膨らませていたが、一応納得は得られた、はずだ 教えて貰った最寄り駅は間違えていない。問題はここからの道だが、なんとか彼女の言葉を整理して地図を用意することができた。衛星写真がすぐに見られる現代は素晴らしい 道中の目印は？と訪ねたら「何もない！」と自信満々に応えられたときには流石に頭を抱えたものだがなんとかなりそうだ 駅を出て歩き出せば、田畑の緑と土の匂い。幾つも重なった虫たちの声。山から聞こえる鳥の囀り ああ、確かに目印になるようなものは何も無いかもしれないが。何も無いどころかとても豊かなそれに見えた

4 21/11/26(金)22:08:21 No.870567787

歩きながら、様々なことを思い返す 何故自分も実家に？と聞けば、まず両親祖父母が是非にと言っているとのこと。特に昔から可愛がってくれている祖父母があの活躍を見ていても立ってもいられなくなっているという 確かに愛娘、孫娘が頂点を掴み取った姿は何より心震えるものだろう。電話などでずっと話には聞かされていたそうだが、是非この機会にということだ そして、何よりも彼女が強く望んでいた。生まれ育った故郷を見て欲しいと。この人が自分のトレーナーなのだと両親祖父母に見せたいのだと。たづなさんが噴き出してしまうほどに強調され、思わず耳が熱くなった もとより、予定さえ合わせられれば断る理由などどこにもないのだ。時折地図と時計を確認しつつ、のどかな里山風景に似つかわしくない革靴で歩き続ける 予定なら、もうじき見えてくるはずだ

5 21/11/26(金)22:08:33 No.870567892

その走りに、目に、魂に惹かれたあの日 不安が無かったと言えば嘘になる。この尖りすぎる程に尖った個性を活かしてやることはできるのか。勝利を掴ませてやれるのか。頭をよぎる暗雲など数え切れなかった それでも、と。手を伸ばさずには、声をかけずにはいられないほどこの目に彼女は眩しく映ったのだ 道は険しいなんてものではなかった。悪路も悪路、最悪の獣道 何度も心折れかけ、いや半ば以上に折れた。別の道があったのではと悔いた。彼女を目指す先へ連れて行けないのではと怯えた ふと気がつけば、なんのことはない。ただ逆だったのだ 本当に駄目だと膝を屈しそうになった時、「大丈夫」「まだやれる」「いこう」と手を引いていたのは…彼女の方だったのだ 諦めないとはこういうことだと、ニカッと笑って走り続けた彼女。救われた、導かれたのは果たしてどちらなのだろうか

6 21/11/26(金)22:08:43 No.870567965

見えてきたのは、大きな庭のある日本家屋。年季の入った門がいかにも地方の旧家であると告げているようで、流石に息をのむ しかし、足は止められない。そこに立っている背中が見えたから 左右で二つに結んでいた青い髪は今はほどかれ、背に真っ直ぐ下ろして中ほどで結ばれ風に揺れている 青を基調としながらも鮮やかな文様に彩られた着物に、花飾りの添えられた鼻緒の履物 まったく。本当に、いつだって人を驚かせてくれる。退屈なんて絶対に許さない君らしい まるで別世界の御令嬢のようなその雰囲気のまま、静かに、風に乗せるように振り向いた艶やかな瞳

7 21/11/26(金)22:08:56 No.870568073

「…びっくりした？」 ああ。ああ。びっくりしたよ 初めて出会ったあの日より少しだけ大人びた、だけど変わらぬ色のニカッとした笑い方 「せっかくだからおめかししてお出迎えしてこーいって、皆に着せられちゃった」 それでそこまで着こなせるのか。やはり、名家のお嬢様だ。だけど、何一つ変わらない俺の担当の愛バだ 「みんなが待ってるよ。ほら、いこ？」 何か違和感があると思ったらそうか。随分喋り方が大人しいじゃないか。いつものエンジンはどうした？ 「今日は特別。明日からはいつもどーりだから。でさ、トレーナー？」 半歩身を寄せた彼女は笑う。どこか悪戯っぽいニシシなんて笑い方をして、 「似合ってるかな？」

8 21/11/26(金)22:09:14 No.870568209

ああ。似合ってるよ。本当に、綺麗だ ツインターボ。俺の自慢の愛バ。未だ驚きの毎日を見せてくれる、俺が心から惚れ込んだ青い髪の少女 今日一日、そんな見たことのないお嬢様の顔を見せてくれるというイタズラッ子 最強最速を誓い、共に成し遂げた俺のパートナー 彼女に手を引かれ、門をくぐって歩き出す 手土産も持った、頑張って考えた挨拶も大丈夫。だから、君の家族に伝えに行こう ツインターボは。誰も文句のつけようがない、最高のウマ娘ですってさ

9 21/11/26(金)22:10:30 No.870568820

以上。酒を飲んだらターボな気分になったので 実は育ちがいいとかだと嬉しいなと思って

10 21/11/26(金)22:12:08 No.870569644

実家で子作りかい？

11 21/11/26(金)22:12:23 No.870569748

実はお嬢様ターボ良い…

12 21/11/26(金)22:12:44 No.870569952

いい...とてもいい...

13 21/11/26(金)22:18:27 No.870572595

間違いなくターボは家族に愛されて育ってる

14 21/11/26(金)22:24:15 No.870575276

髪をおろしたターボをじっくり見たい委員会です

15 21/11/26(金)22:28:42 No.870577267

ターボには無限の可能性がある

16 21/11/26(金)22:35:59 No.870580597

普段元気娘なターボが髪下ろしてちょっと しおらしくなるのは俺にクリティカルが入る

17 21/11/26(金)22:40:28 No.870582468

ネイチャが見たら口ぱくぱくさせて固まる姿

18 21/11/26(金)22:43:46 No.870583972

すき....

19 21/11/26(金)22:46:01 No.870584912

着物髪下ろしターボとお祭りを歩きたい

20 21/11/26(金)22:46:58 No.870585339

もっと酒飲め

21 21/11/26(金)22:48:00 No.870585816

次の朝起きた時いつもみたいな寝顔を見れたらいいなって....

22 21/11/26(金)22:49:04 No.870586249

タ、ターボ…さん

23 21/11/26(金)23:02:25 No.870592337

>次の朝起きた時いつもみたいな寝顔を見れたらいいなって.... なんですぐ隣で寝こけているのだろうか

24 21/11/26(金)23:03:47 No.870592955

貰え 貰っちまえ

25 21/11/26(金)23:06:21 No.870594189

これは良いものだ……