虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/11/25(木)23:33:15 No.870293267

    カフェテリアも掻き入れ時を迎え、ヒト耳ウマ耳問わずひしめき合う。 期間限定ウマ重とやらにつられてか普段は弁当の面々も押しかけ、いつも以上の賑わいを見せている。 早めに昼食を済ませる癖を付けておいてよかったなんて、ラーメンを啜りながら考えていた。 「失礼、相席よろしいかな」 「あ、はいどう……うわっ、シンボリルドルフのトレーナーさん!?」 「おや、私のことを?」 「知ってるも何も、新人ながらシンボリルドルフの7冠達成を導いた超敏腕トレーナーって養成校だと憧れですよ!」 「へぇ……なんだかくすぐったいね。私は大したこともできなかったけど」 「トレーナーの本懐がウマ娘の実力を引き出すことなら、貴女はまさに模範例ですとも!わぁ……光栄です」

    1 21/11/25(木)23:33:38 No.870293400

    照れくさそうに頬を掻く仕草にも、心なしか威厳を感じるような気がする。 かと思えば、私の方を真っすぐ見つめ返しこう切り出した。 「そちらこそ有名人の自覚は無さそうだね」 「えっ、私?」 「ウチのルドルフもよく言っていたよ。短距離路線の立役者カレンチャンのトレーナー。彼女とあなたのおかげでより一層レースが盛り上がっているとね」 「あぁ……確かにカレンは凄い子ですからね」 「独自の賞までURAから引き出すなんて、流石にそこまではルドルフもできなかったからね」 「……えぇ、ほんとに」

    2 21/11/25(木)23:33:50 No.870293456

    憧れの人に担当を褒められて嬉しくならないはずもなく、じわじわと口角が上がっていく。 俯いて表情を隠し、改めて彼女の成した偉業に思いを馳せれば、ますます現実感の無くなっていく思いがする。 ぴかぴかのプラのお盆に反射する顔を見つめながら落ち着くのを待った。 「だから、悩みがあるなら聞かせてほしい。あの子のようにいい案が浮かぶとも思わないけどね」 すっ、と映る顔から表情が消えた。

    3 21/11/25(木)23:34:35 No.870293721

    「……私、何にもできなかったなって」 「ふむ」 とんでもない思い上がりなのは自覚していた。 カレンが表彰されるのに至ったのは彼女の走りの賜物で、そこに私の貢献が全くないというならば今すぐに辞職するべきだ。 「だから、レースにまつわることには全力を尽くしたと思ってるんです。あの結果に嘘はないんです」 「……でも、無力感を感じている」 「逆に言えば、レース以外の全部はあの子が一人でやりました。全部」 イベントも、企画も、SNSの更新も、金を貰ってもできそうにない激務を涼しい顔でこなし続けた。 一回身を崩しかけたこともあったけど、結局見守ることを選んだ。 選ぶしかできなかった。

    4 21/11/25(木)23:34:51 No.870293811

    「ちょっと悔しいです。私の方がずっと年上なのに、あの子の十分の一も頑張れてない」 「でも、レースではちゃんと結果を残した。トレーナーならそれで……」 「十分です。分かってます。だから……」 振り回されるばかりだったあの3年間はこんなことを考える暇も無かった。 こうやって一度落ち着いて、改めて振り返ると自分は随分と小さい人間だったことに気づかされる。 「醜い嫉妬ですよ。いい大人がみっともない。はぁ……」 「はは、いや、よく分かるよその気持ち」 「やっぱり、そうなんですか」 「エアグルーヴのトレーナーなんかは偶に業務を手伝ってるらしいけど、私にはさせてくれなくてね」

    5 21/11/25(木)23:35:16 No.870293956

    トレセンに赴任したころからウマ娘の憧れの的だった。 デビューもまだなのに生徒会長の任を受け持ち、学園の為に尽くしてきた。 学生離れした理想の持ち主で、そしてその理想を追い求めるウマ娘。 「あの子のそばに居て、何度彼女を羨んだか分からないよ。それだけ才気に溢れた子だ」 「……貴女から見ても、やっぱりそうなんですね」 「だから、私とあなたは似ている。立派すぎる教え子に、微々たる助力しかできないことに苦しんでいる」 「……」 少し寂しそうな表情の彼女は、さっきよりも少し近くに見えた。 「でも、それでも門外のことに安易に首を突っ込まないのは彼女たちを信じているからだ」 「……それは、はい」 「できる人ができる事に全力を尽くす、ただそれだけのこと。でしょう?」 「……うーん」

    6 21/11/25(木)23:35:41 No.870294095

    「ははは……まぁあなたも重々承知なことだったね。でもどうか、そんなに自分を追い詰めないでほしいな」 「……はい」 結局、この鬱屈した気持ちに解は無かった。 でも同じように考えていることが居ることを知れて、ちょっとだけ心が軽くなった、気がする。 「さて、そろそろお暇しようかな」 「あれ、いつの間にか食べ終わって……」 「じゃあ、また」 そうやってすたすたと去っていく姿も、どことなく品があるような気がした。 トレーナーはウマ娘に似るというやつだろうか。 「……私も戻ろ」

    7 21/11/25(木)23:36:11 No.870294262

    すっかり冷えた飲み残しと氷だけのグラスを返してカフェを後にする。 愚痴って多少楽にはなったから、午後からはもう少しだけ頑張ってみよう。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 「と、いう訳で宇宙に行くことになったよお姉ちゃん♪」 「えぇ~~~~~~~!?」 ……人生を三周くらいしても、この子には勝てそうにない。

    8 21/11/25(木)23:36:51 [おわり] No.870294497

    ちょっとカワイくないお姉ちゃんが書きたくなったので 捏造&捏造&捏造ですが許して

    9 21/11/25(木)23:39:28 No.870295399

    ルドルフのトレーナーはハロー効果ってヤツかな…

    10 21/11/25(木)23:45:09 No.870297341

    トレーナー同士の共通点っていうのは面白い着眼点だなって思った

    11 21/11/25(木)23:48:30 No.870298445

    引け目を感じてるのにカレンチャンに愛されてるとお姉ちゃんも不安に感じてしまうのかもしれないな…

    12 21/11/26(金)00:09:22 No.870305021

    どういう訳なんだ… スペースカワイイカレンチャン

    13 21/11/26(金)00:19:39 No.870308198

    SEE YOU SPACE CURRENCHAN...

    14 21/11/26(金)00:20:54 No.870308607

    スペースカレンチャンとは宇宙のカレンチャンである