21/11/15(月)00:14:33 トレセ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1636902873972.jpg 21/11/15(月)00:14:33 No.866745204
トレセン学園のカフェテリアの密かな自慢と言えばコーヒー豆や紅茶葉にもこだわりを持って揃えているところである。 と言ってもジュースやスポーツドリンクをまだまだ飲みたい少女より、落ち着いてきた大人の事務員やトレーナー向けに集めたものであるが、もちろん愛好する生徒達にも静かに人気を誇っている。 玉に瑕なのはそういった嗜好品はこだわりゆえに仕入れる数が少なくすぐに在庫がなくなってしまうことだ。 なのでコーヒー愛好家であるウマ娘、マンハッタンカフェは少し早めにカフェテリアへと脚を運ぶのだが。 「……困り、ました」 目当ての物はちゃんと手に入れることができた物の、今日に限って何かのフェアでもあったのか、カフェテリアはもう満席近くで周りを彷徨う羽目になってしまっていた。 食事と折角のコーヒーが冷めてしまう前に何処か席はないか、とカフェが探していると、突如としてがたんと室内の隅にある小さな二人用の丸テーブルが揺れた。
1 21/11/15(月)00:15:05 No.866745390
誰も座ってもおらず、がたがたと席は揺れている。のに、近くの人間はまるでそれが見えていないというように通り過ぎていく。その様子にカフェは一人微笑み、 「ふふっ……ありがとう……」 と誰かに語り掛けるように呟くとその席へと座った。カフェが座ると学生たちの賑やかな声達はリモコンで音量を小さくしたかのように急に遠のいて、まるでそこだけ別空間のように静かになった。 「うん……たまには……二人だけで、お喋り……しよう……」 誰も座っていない対面の席に微笑みかけながら、カフェがコーヒーに口をつける。静かな午後がそこにあった。 「あのっ、相席よろしいでしょうか!」 ふと、そんな声が聞こえたかと思うと、泡が弾けたかのように喧騒がまた戻ってきてマンハッタンカフェは驚いたように顔を上げた。その視線の先にはカツカレーを持った一人のウマ娘がいた、カフェは顔と名前と風聞だけは知っている。マチカネフクキタルである。 にこやかな笑顔でこちらをみてこちらに話しかけている。カフェがそれを認識すると、いつの間に「お友だち」は席を開けるようにどこかに、その存在をどこかに移していた。
2 21/11/15(月)00:15:49 No.866745644
「……どうぞ」 「本当ですかありがとうございます! 今日は占いでここでカツカレーを食べるのが吉! と出ていたので、もし断られていたら冷めたカツカレーを食べることになっちゃってました!」 「え……断られてたら……私が……食べ終わるまで……待つつもり、だったんですか……?」 「はい!」 ぺかーっという底なしに明るい笑顔で屈託もなく答える様は、カフェには何処か太陽のように思えた。こういう子は霊に好かれやすいが触られることはない、太陽を目指すイカロスのように途中で自身が光に当てられすぎて消えてしまう。もしかしたら本人も霊などには会ったことがないのではないだろうか。 「マンハッタンカフンさん……でしたよね! お噂はかねがね!」 「マチカネ……フクキタルさん……ですね……」 一瞬カフェは自分のお友だちに関する噂だと思ったが、すぐに相手の笑顔でレースでの活躍のことだと理解した。対してカフェもフクキタルのことは知っていた。 全てを飲み込む黒い影とまで称されるカフェの走りはライバルのアグネスタキオンと一緒にレースで広まりつつあったし、フクキタルもまた調子がいい時に出る神憑ったような末脚は特に有名である。
3 21/11/15(月)00:16:30 No.866745892
だが、二人ともレース関係の話はしなかった。ウマ娘らしい闘争心がそう言ったものは一緒に走って分かるものとしたのかもしれない。代わりに、趣味や人間関係の話になった。 性格的には正反対の二人であったが、これが意外と話が合う。カフェのちょっとしたオカルト話もフクキタルは面白そうに聞いてくれたし、フクキタルのお守りや占いの話はカフェの興味を引いた。一癖も二癖もある友人の話も花が咲いた。 「なるほど、カフェさんのトレーナーさんは良くどこかに行ってしまいそうになると。ならばこれなんていかがでしょう!」 そんな話の中、お互いのトレーナーの話題になった時に、カフェの―ちょっと事実とは異なるものの―トレーナーの話を聞いて、フクキタルが懐から小さな鈴を取り出した。 「これは……?」 「これはですねぇ、迷子防止のお守りです! その人に付けておくのも良し、会いたい人に願いを込めて振ってみればなんとその人に会える! というありがたーい縁起物でして!」 それはつまり、お母さんが好奇心旺盛の子供に付ける類の目印、音印なのではとカフェは思ったが口に出さずに受け取った。
4 21/11/15(月)00:17:35 No.866746298
そのままどうぞ振ってみてくださいと言われるがままに、自分のトレーナーの顔を浮かべて振ってみる。 ちりんちりんと可愛らしい音が鳴ると、何故だかカフェは先ほどどこかに行った「お友だち」の気配を感じ取った。 感じるままに、顔を向けてみると「お友だち」と、自分のトレーナー、それにもう一人のトレーナーが昼食を持ちながら少し遠くの席に腰を下ろしている。 「この鈴、は……」 「えっ! 本当に見つけちゃったんですか! あれっ、私のトレーナーさんもいます、もしかしてお友だちだったんでしょうか! ご挨拶に行きませんか! ついでにお守りが聞いたことを話しちゃいましょう!」 「フク、キタルさん……少し……待って、ください……」 尻尾をふって飛び出そうとするフクキタルの手を掴んで、カフェは耳を器用に動かしてトレーナー達が座った方向へと向けた。ウマ娘の耳は大きく、器用に動き聞きたい方向に向ければ色んな雑音を取っ払って聞きたいものを聴くことができる。 盗み聞きはするつもりはなかったが「お友だち」の雰囲気がなんだかピリピリとしていたからである。あまり刺激しない方がいい気がした。あんなにあの子が目立つことをするなんて。
5 21/11/15(月)00:18:00 No.866746445
フクキタルの方は、カフェの理由を知るはずもないが、その表情を見て頭に疑問符を浮かべながらも耳を同じようにテーブルに向けた。 「凄いな、そのスプーン。芸術的な形で」 そう言ったのは、フクキタルのトレーナーである。冷たい、というよりかは物事の好きと嫌いをハッキリと口に出すような喋り方である。 「さっきまでは芸術的ではなかったんですが……」 返したのはカフェのトレーナーだ。声には広い海のようなイメージが湧いてくる。故に何でも受け入れる。 「そういう霊的現象なやつ、まだ続いているのか。怖くないのか?」 「慣れました。先輩は?」 「興味がない」 目の前で怪奇現象が起きたのに、興味があるもないもないだろうとカフェのトレーナーは苦笑いしたが、フクキタルのトレーナーはカツカレーを頬張ってまた口を開いた。 「そもそも幽霊がいるってことは、死後に天国やら地獄があるかもってことだろう? ネタバレは好きじゃない」 「そういう問題でしょうか……」 「そういう問題だ。君はどうして信じる?」 「カフェがそういうからです。カフェがいると言えばいるし、あるといえばある。彼女が信じると言えば俺も信じます。シンプルに」
6 21/11/15(月)00:18:32 No.866746639
「幽霊に憑りつかれていますよと言われたら?」 「カフェがそうさせません、守ると言ってくれましたから。それも俺は信じてますし、というかもうお友だちには憑りつかれてるようなも、あいたっ」 トレーナーの背後の見えない存在がざわっと漂って、カフェのトレーナーの身体を揺らすと、スプーンがさらにぐんにゃりこれでもかというぐらい曲がって蝶結びになった。聞いていたカフェは思わぬ話にどうにも照れ臭くなって耳を少しだけ曲げた。なんだか頬が熱い。 「一途だな」 一連の怪現象をまるで意に介さずに、フクキタルのトレーナーはまたカレーを口に運んだ。 「そういうそっちこそ、マチカネフクキタルというウマ娘が担当なのに運とか、運命とか信じていないんですか?」 「いや、これっぽっちも」 その言葉にガーン!と先ほどまでカフェの隣でぬふふと笑っていたフクキタルがその場に倒れ込みそうな勢いで項垂れた。 「ハッキリとまた……じゃあそのカツカレーとかは何なんです。その子から今日はラッキーアイテムって言われたんでしょう」 「君と同じだよ」 その言葉に、カフェのトレーナーが首をかしげると、フクキタルのトレーナーは柔らかく微笑んだ。
7 21/11/15(月)00:20:29 No.866747326
「シンプルに、俺は何よりもフクキタルを信じている。だから、あの子が今日は良い日になりますよと言ったらその日は良い日だし、ラッキーアイテムに外れはない。あの子が勝つと言えば、それを誰よりも信じるし、運命の人だと言ったら、出会いは運命だったんだろう。」 「一途ですね」 先ほどまで項垂れていたフクキタルが立ち直ったと思うと、静かに席に座って仏像のように動かなくなった。カフェが見てみれば、顔の隅々まで赤くして震えている。表情はというとにやけたり、恥ずかしさで固まったりで忙しい。 そうしていると、ふとカフェの眼にフクキタルのトレーナーの後ろからなんだか白いオーラのようなものが形を持って動いているのが見えた。「お友だち」とはまた違う、しかしながら同じくらい力強い存在がそこにある。 「そう言えばフクキタルと心霊スポットに行ったと聞きましたが、何もなかったんですね。霊感はあるっぽいのに」 「これもフクキタルの占いからだが、俺には守り神がついているらしい」
8 21/11/15(月)00:21:41 No.866747697
それがカフェのトレーナーの後ろにいた「お友だち」と対面している。カフェにはお友だちがピリピリとしていた理由が分かったような気がした。スプーンはあれは意図的ではなく、力の競り合いの結果だ。 しかし分からないのは、その存在のイメージがどうやってもまるでフクキタルと同じとなることだった。 「(私達……は……根源的な……ところで、似た者同士なのかも……しれません……)」 カフェはその二つの強大な存在に惹かれて近づいていき、同時に消滅されていく怪異を見ながら、コーヒーを口にした。しばらく経ったはずなのに、コーヒーはまだ暖かかった。
9 <a href="mailto:s">21/11/15(月)00:22:46</a> [s] No.866748056
フクとカフェいいな…と思っていつの間にか書いてましたこれでオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリ
10 21/11/15(月)00:23:48 No.866748473
>フクとカフェいいな…と思っていつの間にか書いてましたこれでオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリオワリ ワリオ
11 21/11/15(月)00:23:51 No.866748486
ウワーッ!?
12 21/11/15(月)00:23:56 No.866748518
長距離金デバフシスターズ来たな…
13 21/11/15(月)00:25:27 No.866749018
サンデーとシラオキがバチっておられる…
14 21/11/15(月)00:25:46 No.866749131
これがスタンドバトルか…
15 21/11/15(月)00:25:50 No.866749150
>長距離金デバフシスターズ来たな… お前らと長距離走るの息苦しいよ…
16 21/11/15(月)00:28:08 No.866749863
さらっと怪異が消滅してる…
17 21/11/15(月)00:30:24 No.866750569
相席ひさしぶりに見た
18 21/11/15(月)00:31:29 No.866750949
>>長距離金デバフシスターズ来たな… >お前らと長距離走るの息苦しいよ… だがフクがフルアーマーだったらどうかな?
19 21/11/15(月)00:31:56 No.866751101
後方からものすごい勢いで二人かっ飛んでくるんですけど
20 21/11/15(月)00:32:55 No.866751442
こうみると色々似てるなこの二人…運命の相手がいることも含めて
21 21/11/15(月)00:33:07 No.866751503
>>>長距離金デバフシスターズ来たな… >>お前らと長距離走るの息苦しいよ… >だがフクがフルアーマーだったらどうかな? カフェ固有に反応して一緒に上がってくる
22 21/11/15(月)00:33:49 No.866751741
>カフェ固有に反応して一緒に上がってくる 怒涛の追い上げ 内的体験
23 21/11/15(月)00:35:55 No.866752477
後ろの方とかいっといて3位ぐらいでも後ろが兆し見せだしたら固有発動するからフルアーマーはズルい