21/11/15(月)00:02:19 第一回U... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1636902139429.jpg 21/11/15(月)00:02:19 No.866740853
第一回URAが開催されて数年後の有マ記念。例年以上に大きく盛り上がっていた。 「あー!キングちゃん久しぶりっ!元気だった!?」 スペシャルウィークが友人の姿に気づき慌てて駆け寄る。何せ半年ぶりの再会なのだ。 「ええ。貴女も変わりないみたいね。スペシャルウィークさん」 キングヘイロー。第一回URA短距離部門チャンピオン。ここ最近は不調に苦しんでいた彼女は海外修行を経て日本に帰って来た。 その間、一切のレースに出場せずメディアの前にも現れなかった。その彼女が半年の沈黙を破り有マに出場するとあっては話題にならないはずがない。 「にゃはは、すっごいマッチョになってたらどうしようかとおもっちゃったよ」 「お久しぶりですねキングさん」 「みんなでのレース、今から楽しみデース!」
1 21/11/15(月)00:02:56 No.866741058
セイウンスカイ、グラスワンダー、エルコンドルパサー。黄金世代と呼ばれ競い合ってきた朋友たちも集まる。 「皆久しぶりね。素敵なレースをしましょう。ただ、勝つのは私、このキングヘイローよ」 にこりと微笑むキングに皆、違和感を覚えた。勝気な言葉は以前と同じだが、かつての彼女ならもっと高らかに笑いながら叫んだだろう。 「……キング、雰囲気変わった?」 「あら、そうかしら?キングとしての一流の振る舞いは変わりないと思うのだけど。それじゃあレースの時に会いましょう」 言う事だけ言って去っていく背中。自信満々な振る舞いは今まで通り。何人かは先程の違和感を『思い過ごしかな?』と判断する中で、グラスワンダーは得体のしれない何かを感じていた。
2 21/11/15(月)00:04:08 No.866741528
『最後の局面です!コーナーを超え、最初に立ち上がったのはセイウンスカイ!その1バ身後ろにエルコンドルパサー!続きましてスペシャルウィーク、グラスワンダー!その2バ身後ろにキングヘイロー!』 レースは大詰めを迎える。中間のバ群から差しを持ち味にする三人が先行する二人を追いかける。だがその中でもキングはまだ足を溜めているのか加速が鈍い。 『1番から4番までひしめき合っています!キングヘイロー前方をふさがれる形になった!ここでグラスワンダーが抜けだしっ……!?』 攻め時を見極め、残った力を振り絞りグラスワンダーが加速した瞬間。奇妙な光景が脳裏によぎった。 (!? これは……?) 何も存在していないかの程に、澄み渡った水で満たされたみなも。そこにこぼれ落ちるひと雫。空間が波打ち、波紋は同心円状にどこまでも広がっていく。 『キングヘイロー!キングヘイローが来る!!なんだこれは!?』 解説がその体をなしていない。それほどに困惑していた。仕方がない事だろう、何せキングヘイローが黄金に輝き急加速してきたのだから。
3 21/11/15(月)00:05:27 No.866741989
―――有マ記念から数週間前のギニア高地。必死に精神を統一し雑念を払おうとするキングヘイローの姿があった。 「ダメだわ……修行を完成させられないっ、これじゃあトレーナーが……!!」 不調から抜け出せず苦しむ愛バを救うため、キングヘイローを連れてトレーナーはかつての師の元へ赴いていた。その名は東方再起。トレーナーの師であり育ての親でもあるウマ娘。 『私の元を去ったお前が指導するウマ娘を、私に鍛えてくれだと?……貴様、相応の覚悟はあるのか』 『彼女は、キングヘイローはかの高みに、俺が至れなかった高みにたどり着きます。その為なら俺の命をかけます……!!』 『このバカ弟子が……』 昔、彼女の元で修行をしたトレーナーはみるみると技術を習得し、その経験が新人トレーナーでありながらも専属ウマ娘を飛躍させる手助けになった。そんな彼でも修める事が出来なかった教えがある。 『明鏡止水』 己の限界を超えた力を持たせる事が出来る、怒りもわだかまりもない澄んだ心が至る境地。 キングヘイローの修行が最終段階に至った時、その境地に至ったものにしか治せない遅効性の毒をトレーナーは自らあおった。
4 21/11/15(月)00:05:52 No.866742144
!?
5 21/11/15(月)00:06:12 No.866742283
『お前のトレーナーはお前を信じて命を懸けた。今度はお前が覚悟を示す番だ』 猶予は七日。ひたすら精神を研ぎ澄ます最も単調で最も苦しい日々が始まった。一日、二日と時間は過ぎトレーナーを覆うように痣が増えて行く。それに伴い体を動かす事も困難になるトレーナー。 「私には出来ない……私には貴方を助けられない……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 自分を信じてくれたトレーナーの為に、トレーナーを救う為に、修行を続けていたキングヘイロー。その心が、最愛のトレーナーを失う事への恐怖についに屈しかけてしまう。 『ほら、やっぱり駄目だったじゃないの。恥をかく前に帰ってきなさい』 何度も聞いた事のある嫌な言葉が耳に入ってきた。驚きのあまり目を見開く。 『多少は見るものがあるが、母親程の才能は無いな』 『あの方の娘だというから楽しみにしていたが、とんだ期待外れだ。何が一流だ、笑わせる』 周囲の光景はかつて何度も挑戦した模擬レースの会場で。あの時と同様の嘲笑の中に自分がいた。 (何よみんな好き勝手に!良いわ、私の覚悟を何度でも見せつけてやる……!)
6 21/11/15(月)00:06:28 No.866742387
比喩的な意味でなくて実際に黄金に光ってる…?
7 21/11/15(月)00:07:04 No.866742589
「私に注目なさい!私がキングヘイロー!一流の……」 そこで言葉が止まってしまった。今まで一度も言い淀んだ事の無いその宣言が。 (ここで私が意地を張ったから、貴方は苦しむことになってしまったの……?) ここには彼はいない。自分の宣言に応えてくれる筈の彼は自分のせいで苦しみ寝たきりになっているのだから。その事実がキングヘイローの心を打ちのめす。ならば、ここでこうべを垂れてしまえば―― 『君は一流のウマ娘だ』 聞こえないはずの、もっとも聞きたい人の声が折れかけたキングの心に響いた。 『何度だって、一流っていうさ』 あれはいつの事だったか。ああそうだ、菊花賞で他の子たちに敗れ誰も自分に見向きもせず。今の様に屈しかけた時。彼はいつだって頑固で不器用で、いつだって自分の事を信じてくれた……なら私の示すべき覚悟はっ! 「私に注目なさい!私がキングヘイロー!一流のウマ娘よ!!」
8 21/11/15(月)00:07:15 No.866742648
もうBGMが聞こえる
9 21/11/15(月)00:07:33 No.866742783
『そして俺こそが、一流のトレーナーだ!』 幻覚が解ける。ろくに動かすのも困難な体を引きずって来たのだろうか、目の前にはトレーナーが倒れていた。 「トレーナー!!」 慌てて最愛のトレーナーを抱き寄せる。浅いが呼吸をしている事にキングは心から安堵した。 「……ねぇ、トレーナー。聞こえる?」 「私たちの今までって何だったのかしらね。クラシック路線を必死に駆け、短距離への前代未聞の方向転換、そして高松宮記念……」 「確かに私は、自分の道で一流のウマ娘になった。でもそれはいつも貴方がそばにいてくれたおかげなのよ」 「これまでの勝利は私と貴方、二人で闘ってきたものなのよ。だからこれからも貴方と一緒じゃなくちゃ意味が無いのよ」 「今まで貴方に言いたかった事があるの。……私は意地を張って首をさげない、不器用なウマ娘だからこう言う事しか出来ない」 「私は、私は貴方が好きっ!! 貴方が欲しいの……!!」 キングから放たれる叫び、輝きと共に、トレーナーを覆い尽くそうとしていた痣は消滅した。
10 21/11/15(月)00:08:08 No.866742979
『キングヘイロー、先頭集団に追いつく!しかし前をふさがれて……!?すり抜けました!!キングヘイロー先頭に!その差3バ身後続追いすがるが脚色は衰えない!!』 後ろからぶつかりに行ったとすら思えた時、キングの姿がにじみその数バ身前に現われたなどいったい誰が信じられるだろうか。 『キングヘイロー1着!!半年の沈黙を破り、見事な大復活を遂げました!キングヘイロー!キングヘイロー!!』 その驚異の走りで有マを勝ち取った彼女を割れんばかりの歓声が称賛した。改めてキングヘイローは自身が一流である事をまざまざと証明して見せた。
11 21/11/15(月)00:08:23 No.866743054
――――なおその後、ウイナーズ・サークルで待っていたトレーナーに抱きつきそのままキスをした映像がテレビ配信で全国に流れた。さらに、その後の記者会見で 『愛している相手にキスをするのは普通でしょ?』 と物おじせず答え、ファンの間からはレースも愛もつかみ取るキング、『キング・オブ・ハート』と称えられるようになったのは別のお話である。
12 21/11/15(月)00:10:07 No.866743682
Gガン見て、 Call me KING→Pride of King→King of Heart とスキルが進化したキングの怪文書を書きたくなって書きました。
13 21/11/15(月)00:10:08 No.866743691
急にGガンダムが始まって脳が混乱した
14 21/11/15(月)00:10:52 No.866743932
なんだこれはって…なんだこれは
15 21/11/15(月)00:11:43 No.866744241
そういやガンダムも大体親がちょっとアレだよな…
16 21/11/15(月)00:11:52 No.866744303
>キングヘイローを連れてトレーナーはかつての師の元へ赴いていた。その名は東方再起。 風雲再起がさらっとウマ娘化してる……
17 21/11/15(月)00:13:06 No.866744715
面白かったけどネタ文書なのが惜しいくらい 抜け出すまでのレース描写が綺麗だ
18 21/11/15(月)00:13:20 No.866744809
覆面つけたエイシンフラッシュとか考えたけど流石に収拾つかないんで止めました
19 21/11/15(月)00:13:31 No.866744873
風雲再起が師匠のトレーナーとは
20 21/11/15(月)00:21:22 No.866747603
こんのおばか弟子が!
21 21/11/15(月)00:21:56 No.866747776
Gガンのメインイベント大体こなしてる…
22 21/11/15(月)00:23:10 No.866748197
フウウンサイキがかつての師の流派と名を受け継いで自分の見込んだ若者を鍛えてるって噂は一部のマニアの間では有名
23 21/11/15(月)00:24:04 No.866748569
このキングとトレーナーって石破ラブラブ天驚拳放てますよね??
24 21/11/15(月)00:26:19 No.866749265
>そういやガンダムも大体親がちょっとアレだよな… マジでまともな親って誰がいたっけってなるレベルよな。ブライトくらい…?
25 21/11/15(月)00:26:41 No.866749392
https://m.youtube.com/watch?v=BvKWpyGQCK0
26 21/11/15(月)00:26:47 No.866749428
あのBGM流れたら大抵の無茶な展開は熱さでゴリ押せる
27 21/11/15(月)00:27:07 No.866749543
そういやあの馬ドモンの兄弟子だった
28 21/11/15(月)00:28:27 No.866749948
カッシュさんちは両親はまともだよ
29 21/11/15(月)00:34:45 No.866752065
>>そういやガンダムも大体親がちょっとアレだよな… >マジでまともな親って誰がいたっけってなるレベルよな。ブライトくらい…? >カッシュさんちは両親はまともだよ ガンダム世界のまともな親って大体悲惨な目にあってばっかりな気がする
30 21/11/15(月)00:48:10 No.866756578
>その境地に至ったものにしか治せない遅効性の毒 ねえこれDG……
31 21/11/15(月)00:52:33 No.866757989
本来の意味での怪文書じゃねーか!
32 21/11/15(月)00:57:00 No.866759374
だが待ってほしい。別にキャラに変な性癖を付けたり変態にしている訳ではないあたりまともな怪文書ではなかろうか