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21/11/13(土)01:46:15 泥の深夜 のスレッド詳細

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21/11/13(土)01:46:15 No.866063721

泥の深夜

1 21/11/13(土)01:46:31 No.866063785

深夜になるとどうなる?

2 21/11/13(土)01:51:42 No.866064771

SSが来る

3 21/11/13(土)02:00:26 No.866066413

もう深夜なのでいないかもですが世紀末「」いますか? もしいる場合次の聖杯戦争企画を出すタイミングで要望などありますでしょうか? この泥出すまで待ってほしいとかこのシナリオが完成するまで待ってほしいとか もしそういうのがあれば12月頭から開始予定だった聖杯戦争企画はずらします

4 21/11/13(土)02:22:08 No.866069992

「…あ~、駄目だこれ。今晩眠れるかな…」 キャスターと一緒にバスから降りた俺はぼやいた。 なんというか、キャスターは凄かった。悩殺っていうのはああいうのを言うんだろう。 セイバーとか、百合先輩とか、棗とか、あのあたりにはできないやつだ。いや百合先輩ならイケるか。そういう問題じゃない。はい。 どうやら女性としての魅力をストレートにぶつけられるというのに俺は参ってしまうようだった。 世の男性も皆そういうものだと信じたい。そうでないと俺ひとりがだらしない男ということになってしまう。 「いや、なかなかどうして面白かったねぇ。  からかい甲斐があったよ。私がどんな格好してもいちいち顔を赤らめるんだもの。  私は笑えたけどね。もうちょっと免疫つけたほうがいいんじゃないの?いちいちあんなのじゃ間に合わないよ」 先を行くキャスターのチェシャ猫みたいな悪戯っぽい微笑み。いや、まったくその通りで。 こんなことでいちいち紅潮していたらセイバーたちの水着を拝んだ時どうなるか分かったものじゃないというのはその通りなのだけれど。 …いや、そうじゃない。セイバーたちと比しても、キャスターの艶姿はとても魅力的だった。

5 21/11/13(土)02:22:20 No.866070020

「でもね典河。あんまりからかっちゃ駄目だよ。私はいいけれどね?  ヤキモチ焼きのセイバーあたりが見咎めたら煩いよ。あくまで私はいいんだけれどね。面白いし」 キャスターの言葉をはいはいと頷きながら歩く。 はっきり言ってキャスターはそのへんの分を弁えないが、しかし自分に害が及ぶとなると引き際は弁えている。 そのぶん俺に被害が行くのだが、まぁそれについては甘んじよう。どうにもキャスターに対しては甘くなってしまうという自意識はある。 なんでだろう。不思議とちらつくのがごろごろとのたうち回るドラゴンなのが癪だ。ああいうのがタイプと思われたくない。 「…ま、それはそれとしてさ。  今日はありがとね、典河。成り行きでこうなったこととはいえ、十分楽しかったよ。それについては礼を言わなきゃね」 「ああ、そうだな…」 気がつけばもうすぐ俺の家の門が見えてくる。 結果的にではあるが、今日は半日以上の時間をキャスターと共に楽しんだことになるわけだ。 茜に照らされながら普段共に歩くことの無い相手と歩く。奇妙な取り合わせだった。 「うん。キャスターがそう言ってくれるなら良かったよ」 本当、成り行きが全てだった。

6 21/11/13(土)02:22:34 No.866070054

優待券が余っていたのもそう。俺の周りの皆の予定が埋まっていたのもそう。たまたまキャスターだけ予定が空いていたのもそう。 だったとしても、俺がこの1日をキャスターと一緒に過ごしたことが楽しかったことは間違いない。 「典河は楽しかったかい?」 「そりゃね。キャスターの水着姿も拝めた。文句ないよ。いや、本当に」 本心だった。キャスターの水着姿はびっくりするくらい綺麗だったし、俺の心をどぎまぎさせるくらいには衝撃的だった。 セイバーたちには悪いが、キャスターのそれはそれで心華やぐものだったのは間違いない。 傍らの俺がそれに釣り合うような男だったか心配なくらいだ。キャスターはくすりと笑う。 「正峰も一緒だったら違う感想を口にしていたかな」 「どうだろう」 答えは曖昧にしかならない。けれど仮に先生が一緒だったら今キャスターに告げる答えも違ったものだったような気もする。 現金な話だが、今日この時この瞬間にキャスターが見せてくれた水着姿だったからこそ沸き立つものがあったんだろう。 黒瀬先生と共にここへ来ていたのなら、違う感想があったような気がする。 それこそここでは決して告げることのなかった言葉を。

7 21/11/13(土)02:22:49 No.866070099

そう感じていた俺の心を知ってか知らずか、くすりと微笑んたキャスターの顔が間近にあった。 「今日は───ありがとね、典河」 「え?」 そう言われて額に軽くキスをされれば、つい慌ててしまうのがティーンエイジャーの性というやつだ。 「き、キャスター!」 「ふふん。先も言った通り、今日は楽しませてもらったからね。精算した上で釣り銭が出れば、きちんとそこまで支払うさ」 あくまでキャスターは余裕を保っていた。やり込められ放しの俺はつい溜息を付いてしまう。 「…敵わないな。キャスターがもし男でも憎たらしいほど格好良くて綺麗だったろう」 「そうかい。それを言うなら典河が女だったら誰も放っておけないほど愛らしい娘だったろうさ。  掛け値なしに。それこそ男だろうが女だろうが、もちろん私でさえ放っておかないくらいにね」 もし俺が女ならか。俺の再びの溜息をキャスターは降参と受け取ったらしかった。 「分かったよ。それじゃまた明日、キャスター。何か用事があったらな」 「はいはい。また明日、典河。何か用事があったらね」 そう言い残してバスを降りたキャスターは去っていく。夕日に照らされたその姿を俺はしばらく見送った。

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