21/11/11(木)00:33:06 「ここ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1636558386018.png 21/11/11(木)00:33:06 No.865418140
「ここが……その宿ですか……」 「うん、フクキタルのトレーナーに勧められてね」 某日。私はトレーナーさんの車に乗せられ、温泉旅館を訪れていました。 大きなレースも一段落つき、成績も上々だったことから、慰安旅行でも、という提案があり。 ……まぁそれはある種の口実で、お互いに二人でゆっくりしたかっただけなのですが……。 旅館の外観はなかなか趣があります。交通の便が悪いせいか穴場らしく、人気そうな見栄えの割には混んでもいません。 ただ……。 「……何か、色々な気配が……」 「どうした?」 「いえ、なんでも……」 フクキタルさんのトレーナーさんの、ご紹介となるともしかすると……ですがここで水を差してはトレーナーさんに申し訳もなく……。 「さぁ……入りましょうか……」 「お、おぉ……なんだか気合入ってるな……」 私たちは、その温泉宿へと足を踏み入れました。 ******************
1 21/11/11(木)00:33:23 No.865418224
「いいなぁいいなぁずるいぞカフェ!」 「だったらアナタもモルモットさんに頼めばいいじゃないですか……」 旅行出発の前日。温泉に行く旨を伝えると、タキオンさんが駄々っ子のようにしがみついてきました。 「ダメなんだよあの朴念仁は! 私というものがありながら、全くもって気の利いた提案をしやしない!」 「それは……いつ提案しても実験だの何だので袖にされていては、誘う側も嫌になりますよ……」 「えーっ?!」 それにしても、『私というものがありながら』、などと当たり前のように……。 タキオンさんも大分、私たちに毒されてきているのかもしれません。 「どんな宿に行くんだい?」 「こちらの宿ですね」 ホームページを見せると、タキオンさんは大きくため息をついて。 「……はぁ。いいねぇ、カフェは……いや、待てよ……?」 何やらぶつぶつと不穏なことを呟いているように見えたので、私はトレーナー室へと退散しました。 ******************
2 21/11/11(木)00:33:36 No.865418295
チェックインを終え、手荷物を部屋に運びます。外観から漂っていた歪な空気とは裏腹に、館内は古いながらもよく清掃が行き届いており、宿の方々も気持ちのいい接客をなさってくれました。 せっかくの温泉旅館ですから……部屋ではお茶を。 「どうぞ、トレーナーさん」 「ありがとう、カフェ。……ん、カフェはお茶を淹れるのも上手いんだな」 「喫茶は、コーヒーだけではありませんから……普段、自分が飲まないものも、一通りは」 畳の部屋で、トレーナーさんと過ごす穏やかな時間。ふたりきりの空き教室も魅力的ですが、人里離れて隔絶された世界で、というのも、なかなか乙なものです。 「……ん」 「どうしたの、隣に寄りかかってきたりして」 「……理由、いりますか?」 「いんや……」 トレーナーさんも満更じゃない表情で、私の方へ僅かに体重をかけてきました。こうしているとどこか、意識がぽやぽやと浮いていってしまいそうで……。 一杯だけのお茶を飲むのに、一時間近くかかってしまいました。
3 21/11/11(木)00:33:49 No.865418353
「カフェ……カフェ?」 「あ……はい……」 どうやらトレーナーさんの温もりに、少しウトウトしてしまっていたようでした。目を擦って、トレーナーさんを見上げると。 「んっ……」 優しく、唇を重ねられました。こんなやり取りにもすっかり慣れてしまって。 「……もう、トレーナーさん」 「眠そうなカフェが可愛かったから、つい……」 「……ふふ、私も、そういう気分だったからかもしれません」 そう呟いて、もう一度軽く唇を重ねてから。 「夕食までまだ時間があるな……先に温泉、入ってみようか?」 「いいですね……どうせなら……」 と、浴衣に着替えようとしたのですが。 「ま、待て待て!」 「あ……」 つい、トレーナーさんの目の前で服を脱ごうとしてしまいました。私は別に、見られても構わないのですが……。
4 21/11/11(木)00:33:54 No.865418381
スレッドを立てた人によって削除されました モチーフとなる競走馬のファンの皆様や馬主の皆様、および関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は行わないようお願いいたします。 具体的には「ウマ娘 プリティーダービー」において、以下の条項に当てはまる創作物の公開はご遠慮ください。 1.本作品、または第三者の考え方や名誉などを害する目的のもの 2.暴力的・グロテスクなもの、または性的描写を含むもの 3.特定の政治・宗教・信条を過度に支援する、または貶めるもの 4.反社会的な表現のもの 5.第三者の権利を侵害しているもの 本ガイドラインは馬名の管理会社様との協議のうえ制定しております。 上記に当てはまる場合、やむを得ず法的措置を検討する場合もございます。 https://umamusume.jp/derivativework_guidelines/
5 21/11/11(木)00:34:02 No.865418432
トレーナーさんが洗面所に籠もっている間に、浴衣へと着替えて。トレーナーさんも、洗面所で着替えたようでした。 「……浴衣を着ると、やはりスースーしますね……」 「えっ、カフェ、まさかその下……」 「下着は付けてますよ?」 その時のトレーナーさんの表情と言ったら。安心したような、残念そうな……なんとも複雑そうな表情を浮かべていました。 そんなわけで二人揃って温泉へと向かったのですが、ここでまた一騒動と言いますか……。 「……家族風呂?」 貸し切りで、宿泊グループで一緒に入れる小さな温泉。たった今の今まで、別々で温泉に入るつもりでしたが……。 「……あの、トレーナーさん」 「……いや、流石にね……」 その答えは予想していました。なので、上目遣いで浴衣の袖を引いてみます。 「ダメ、ですか……?」 「えと、あの……その、ですね……」 「トレーナーさん……」 「……わ、分かったよ……」
6 21/11/11(木)00:35:09 No.865418732
ナイス管理
7 21/11/11(木)00:35:13 No.865418763
はい、私の勝ちです。 「心配しなくても、タオルは巻きますから」 「それは流石に頼む。……頭がどうにかなっちまうから……」 顔を真っ赤にしながらそんなことを言うトレーナーさんが可愛くて。つい、早く早く、とそのまま袖を引っ張ってしまいました。 ****************** 家族風呂の中は簡易な作りで。脱衣所は視線を隠せるようなところはなかったので……。 「ささっと脱いで先に入るから、ゆっくり入っておいで」 「分かりました」 私が少し視線を逸らしている間に、トレーナーさんは素早く浴衣を脱ぎ、タオルを巻いて浴室へと入っていきました。……どうせなら、こっそり見てしまっても良かったかも……。 「……何考えてるの、私……」 前にタキオンさんの薬を呑んでから……効果は勿論なくなっているのですが、時折このような不埒な思いが巡ってしまいます。良くない傾向です……。 浴衣を脱ぎ、大きなタオルを巻いて浴室に入ると。トレーナーさんは一瞬こちらを見ましたが、すぐに恥ずかしそうに視線を逸してしまいました。 「トレーナーさん、こちらを向いてもいいんですよ……?」 「いや……やっぱり俺には刺激が強い……」
8 21/11/11(木)00:35:40 No.865418893
全く、以前はあんな悪戯をしてきたくせに、変なところで純情なんですから。そう思って、湯船に浸かろうとしたとき……。 「……きゃっ……?!」 「おっと!」 浴室の床が滑り、危うく転びそうになってしまいました。咄嗟にトレーナーさんが抱きかかえてくれたのですが……。 「……えっ?」 ふわり、と。しっかり巻いていたタオルが、まるでちり紙のように解けて舞ってしまいました。 突然のことに、私もトレーナーさんも、頭が回らず。 「――ッ!!」 「うわあぁ! 見てない! 見てないから!!」 慌ててタオルを拾って急いで巻くと。隣で、お友だちがクスクスと笑っていました……ということは……。 「……もうっ! もうっ! 変なことしないで!」 顔を真っ赤にして抗議しましたが、お友だちは素知らぬ表情で、いつかのように口笛を吹いていました。 「……柔らかかったな……」 感慨深げに呟くトレーナーさんの頭をはたくのも、しっかり忘れませんでした。
9 21/11/11(木)00:35:57 No.865418981
気を取り直して、落ち着いてから。今度はトレーナーさんに髪を洗ってもらっています。 「痒い所はありますかー?」 「大丈夫、です……あ……やっぱりもう少し後ろの方を……」 実は痒いところなんてありません。ですが、トレーナーさんに髪を洗ってもらっているのが、とても心地良くて……この時間を、もっと過ごしたくて……。 「耳も少し洗おうか」 「ぁ……んっ……」 「っとと、ご、ごめん」 「いえ……もう少し、優しく……」 つい、はしたない声が漏れてしまいました。 「それにしても、カフェの髪って滑らかなシルクみたいだね」 「……お手入れには、それなりに気を遣っていますから……」 昔はそこまでではなく、人並み程度だったのですが。でもあるとき、アナタがこの黒髪を好きだと言ってくれて。 それ以来、少しでもアナタに喜んでもらえるように。丁寧に、丁寧に手入れをしているんです。 ……そんなこと、面と向かってはなかなか言えませんが。
10 21/11/11(木)00:36:29 No.865419122
毛づくろいをしてもらって、至福の時間を過ごして。いよいよ二人で、湯船に入ります。 「っあ゛ー……いい湯だ……」 「ええ……丁度いい湯加減ですね……」 少し小さめの湯船は、二人入るとあまりスペースがなくて。だからこそ、自然と身体を寄せ合うことができます。 「……カフェ、ちょっとくっつきすぎじゃない?」 「なんのためにわざわざ家族風呂に入ったと思ってるんですか……」 「いや、まぁ、それはねぇ……」 ここまで来ては、流石のトレーナーさんも観念したようで。私が客室でのように身体を預けると、静かに肩を抱き寄せてくれました。 「でも、こうやって安らぐのもいいもんだね」 「……はい、トレーナーさん」 勿論ですが、こんなことをする相手はトレーナーさんだけで。こんなに安らげる相手も、トレーナーさんだけで。出会う前の自分を思い出すと。 「……こんなに幸せなときを過ごせるなんて、思ってもなかった……」 「そりゃ良かったよ」 口に出したつもりはなかったのですが、つい呟いてしまっていたようで。少し恥ずかしい思いでトレーナーさんを見ると、いつもの優しい笑顔を浮かべていました。 ******************
11 21/11/11(木)00:36:46 No.865419203
温泉から上がって暫くすると、夕食が始まりました。部屋食で、山の幸を中心に丁寧に作られた、素朴な会席料理。 私たちの身の丈よりも少し豪華そうに見える品々は、どれを取っても身に染みる、優しい味がしました。 これもきっと、トレーナーさんとだから……とまで言ってしまうと、板前さんに失礼でしょうか。 「この川魚のお刺身も真丈も美味しいな」 「こっちの蕪もほろほろしていて、美味しいです……」 量はやや多めでしたが、そこはウマ娘の食欲。あっという間に食べ終わってしまいました。 「ご馳走様でした!」 「ご馳走様でした……本当に、美味しかったです」 お膳を下げに来た仲居さんにお伝えすると、嬉しそうに笑ってくれました。 「さて、軽く晩酌でもするかな」 そう言うとトレーナーさんは、懐から小瓶とお猪口を取り出しました。 「それは……?」 「さっき頼んだんだ。この辺りの地酒だよ」 言いながらトレーナーさんが、小瓶を開けようとします。そこで……。
12 21/11/11(木)00:36:59 No.865419249
「……お酌、しますよ」 そう告げて、トレーナーさんの手から小瓶を取りました。キャップ式の蓋を、パチリと開けて。 「いや、どうなんだろうな……未成年に注いでもらうのは……」 「私のお酌は、嫌ですか……?」 「……その言い方は卑怯だぞ……そりゃ嫌なわけないでしょうが……」 苦笑しながら、トレーナーさんがお猪口を差し出します。そこへ小瓶の日本酒を、とくとくと注ぎました。そして一口呑んで、トレーナーさんは。 「あぁ、水が良いところの酒はやっぱり美味しいな……」 「そんなに、ですか?」 「それに……カフェが注いでくれたから尚更、ね」 気持ちいつもよりも陽気そうな笑顔で、トレーナーさんが私の頬を撫でます。少しだけ体温が高い気もする温もりに、私も少し、浮かされてしまって……。 「あ、トレーナーさん……あれ、なんでしょう……?」 「ん?」 よそ見をした隙に。 「えいっ」 「あ」
13 21/11/11(木)00:37:10 No.865419303
トレーナーさんが卓上に置いていたお猪口を素早く取り、興味本位でくいっと呑んでみました。 「あーーーっ?!」 「……へ……?」 てっきり、お猪口に残っている量はもっと少ないかと思っていましたが。トレーナーさんは舐める程度しか呑んでいなかったらしく。 初めてのアルコール一気呑みに、頭が揺れ、視界は乱れ。 「……はれ……?」 「かかかカフェ?!」 「……きゅう」 「カフェーーっ?!」 私の意識は一瞬で、暗闇に落ちてしまいました。 ******************
14 21/11/11(木)00:37:28 No.865419394
気がつくと部屋の明かりは消えていて。いつの間にか敷かれていた布団の上に、私は転がっていました。 「んん……頭、痛い……」 ずきん、と眉間に痛みが走ります。その声を聞いたのか、隣の布団から。 「ああ、目が覚めたか……体調はどう?」 「その……ちょっとだるいような、頭が重いような……」 「気持ち悪いとかはないか?」 「ええ、大丈夫です……」 「良かったよ……全く、未成年飲酒で、しかも多くないとはいえ、日本酒を一気なんて……」 「……すみません」 ふたりきりの旅行。楽しい夜。そんな幸せな時間を、身勝手な好奇心で壊してしまって。申し訳無さと自分勝手な寂しさで、泣きそうになっていました。 「……どうしても悪い遊びがしたいなら、多少なら付き合うから。もう無茶はしないでくれよ」 「はい……」 時計を見ると、幸いと言いますか……まだ、そこまで時間は経っていませんでした。 「トレーナーさんと色々お話とか……んぅっ……」
15 21/11/11(木)00:37:41 No.865419446
「無理しなさんな、今日はしっかり休もう」 「でもっ……!」 私はもっと、アナタとの時間を過ごしたくて……。 と思った、そのとき。 「……ぐ……?」 トレーナーさんが急に、頭を抱えて呻き始めました。 「トレーナー、さん……?」 「なんだ、これ……急に頭が……締め付けられ……」 すぐに気付きました。私たちの周囲に、良くないものが集まっている……! 宿に着いたときに外で感じた、嫌な気配たち。それが、トレーナーさんに纏わりついていました。 「やめて……トレーナーさんに、手を出さないで……!」 いつもならトレーナーさんの手を取って助けられようものですが。今日に限っては、先程のお酒のせいで、思うように身体も動かず……。 「なんで……こんな時に限って、私……!」 お友だちも必死にトレーナーさんから引き剥がそうとしてくれていますが、纏わりついてくる気配のあまりの多さに、手が回っていません。
16 21/11/11(木)00:37:55 No.865419499
すると次の瞬間。 纏わりついていた影が、一気に姿を消しました。悪い気配が去ったのか、と安心するのも束の間。 「か、ふぇ……」 「……トレーナー、さん?」 トレーナーさんの表情が見えません。そして、トレーナーさんはいきなり、私の両腕を押さえつけました。 「きゃっ……トレーナーさん……?!」 その力は、とてもじゃないですがヒトの腕力ではなくて。酔っているとはいえ、ウマ娘の力でも振りほどけないほどで。 そのままトレーナーさんは、食いつくように私の唇を奪いました。 「んむ――?!」 いつもとは全く違う、暴力的な口づけ。そこで私は、ようやく理解しました。今目の前にいるのは、トレーナーさんではない。 「っぷはぁ……アナタ、誰ですか……?!」 身体は間違いなくトレーナーさんのもの。ですが、恐らくその心は、先程の影たちに囚われていて……。 「カフェ……!」 「やっ……!?」 トレーナーさんが力任せに、私の浴衣を解きます。なされるがままの私は何も抵抗できず、姿を晒してしまって。トレーナーさん自身も、浴衣を開けさせました。
17 21/11/11(木)00:38:09 No.865419571
「カフェ、カフェ……!」 その勢いのまま、トレーナーさんは私の首筋に痕を残します。互いの肌を合わせて、体温を伝え合いながら。幾つも、何度も、私に声を上げさせながら。 「嫌です……嫌だ……!」 これがトレーナーさん本人となら、どれだけ幸せなひと時だったか。けれど、今動いている心は、トレーナーさんのものなどではなく。 トレーナーさんを操る、沢山の……。 「やめて……」 そして操られたトレーナーさんの手は、私の大切なところにまで伸びていて……。 嫌……やめて……それは、トレーナーさんと優しく愛し合ってでなきゃ……! 「……トレーナーさん……!」 私が涙声で小さく叫んだとき。 トレーナーさんは勢いよく、自分の頬を殴りました。 「トレーナーさん……?!」 そしてトレーナーさんは私の隣に倒れ込み、動かなくなりました。私は急いで身を起こして、トレーナーさんに呼びかけて。 「トレーナーさん、トレーナーさん!!」 するとその呼び声が届いたのか、トレーナーさんが細く目を開け、申し訳無さそうに言いました。
18 21/11/11(木)00:38:23 No.865419622
「ごめん、カフェ……身体が、急に動かなくなって……怖い思い、させたね……」 「そんなことっ、そんなこともうどうでもいいですからっ……!」 アナタが動かなくなった瞬間。私は、最悪の可能性が頭を過ぎっていて。助けられなかったんじゃないかと、本当に怖くて。 「ふぅぅ……ぅぅうぅ……!」 「カフェ……泣かないで、大丈夫だから……」 無理矢理笑顔を作りながら、トレーナーさんが身を起こしました。少しは自由が戻ったようですが、未だに僅かに、影がトレーナーさんを取り巻いていて。 「……あ」 すると傍らにいたお友だちが、これまで見たことのないような剣幕で、影たちを吹き飛ばしました。 お友だちは髪の毛が逆立ち、耳は引き絞られ、尻尾はピンと天を衝いています。 そしてそのまま一喝するようにお友だちが叫ぶと。影たちはそのまま怖気づいたように、壁の向こうへと消えていきました。 「……ありがとう」 お友だちは最後に威嚇するように鼻を鳴らすと。震えが止まらない私の頭を、優しく撫でてくれました。
19 21/11/11(木)00:38:33 No.865419674
スレッドを立てた人によって削除されました モチーフとなる競走馬のファンの皆様や馬主の皆様、および関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は行わないようお願いいたします。 具体的には「ウマ娘 プリティーダービー」において、以下の条項に当てはまる創作物の公開はご遠慮ください。 本作品、または第三者の考え方や名誉などを害する目的のもの 暴力的・グロテスクなもの、または性的描写を含むもの 特定の政治・宗教・信条を過度に支援する、または貶めるもの 反社会的な表現のもの 第三者の権利を侵害しているもの 本ガイドラインは馬名の管理会社様との協議のうえ制定しております。 上記に当てはまる場合、やむを得ず法的措置を検討する場合もございます。
20 21/11/11(木)00:38:38 No.865419694
「……なんか、どっと疲れちゃったな……」 ごろんと、トレーナーさんが転がります。その隣で、私も体力が尽きて横になって。 「ごめんな、散々な旅行になっちゃって」 「……いえ、いいこともありましたから」 「いいこと?」 「一緒に温泉に入れましたし……先程の一件も……」 トレーナーさんは改めて、私を信じさせてくれる人だと、分かりましたから。いつもならそう、サラリと言えるはずなのに、今日はなんだか照れくさくて。 「さっきの一件も……?」 「……なんでもないですよ」 「え、まさかカフェ……実はああいうのが……」 「と、トレーナーさんのばかっ!」 「いだっ!」 思わずまた、頭をはたいてしまいました。……ただ、トレーナーさんと、という前提なら、確かに、その……。 「アナタも、ありがとね」 お友だちに告げると。いつになく優しい顔で、お友だちは私たちのことを見つめていました。
21 21/11/11(木)00:39:06 No.865419834
「あ……」 ふと手を伸ばしたとき、私の手が、浴衣がはだけたままのトレーナーさんの胸元に触れました。そして自分を見てみると、自身も浴衣が乱れたままで……。 「……カフェ?」 よじよじと、トレーナーさんの上に登ります。そして、互いの胸を合わせて……。 「……トレーナーさんの体温を感じるくらい、いいでしょう……?」 「……散々怖い思い、させちゃったからなあ」 そう言って、いつものように私の長い髪を梳くように撫でてくれて。その撫でられ心地と胸元の暖かな温度に、アルコールの緩みも重なって。 「ふぁ……」 「いいよ、寝ちゃって。たまにはこんなのもいいでしょうよ」 「ええ……この場所、お借り、します、ね……」 愛しい人の腕に抱かれながら。 私は再び、今度は心地良く、静かに意識を落としていきました。 ******************
22 21/11/11(木)00:39:21 No.865419914
そして、その隣室では。 「どうなった?! 何が起こってるんだタキオン!!」 「カフェとトレーナーくんの圧が……消えた……?」 隣からの突然の騒音に、興味半分恐怖半分の二人の姿があった。 「タキオン、その新発明の『壁の向こうが分かる君』でも分からないのか?」 「これはシャカールくんに無理矢理作らせたものだからなんともねぇ……私の専門は薬だから……」 結局アグネスタキオンは駄々をこね、トレーナーたるモルモットに無理を言って、マンハッタンカフェたちと同じ宿へ旅行に来ていた。 そして偶然にも隣室に宿泊となり、夜の騒動に驚いて様子を窺っていたのだが。 「まさか……あいつらとうとう一線を越えたんじゃ……」 「まっさかぁ! カフェとトレーナーくんに限って……あの薬を乗り越えるほどの猛者だよ……?」 「だよなぁ……じゃ、じゃあまさか、また前に取り憑いてきたやつらみたいな……」 「……やめたまえモルモットくん……私は未だに思い出して眠れないときがあるんだよ……」 「お前、意外と可愛いとこあるのな」 「煩いねぇ!」
23 21/11/11(木)00:39:35 No.865419983
その時、壁の中からすり抜けるように、二人の部屋に現れた影が二つ、三つ。 「な、なんか来たぞタキオン……!」 「いつもの彼女……では、ない、よう、だねぇ……?」 たらりと冷や汗を流す二人。そして影はタキオンに絡みつき……。 「な、なんだいこれは?! も、モルモットくーん!」 「タキオン! お前の犠牲は無駄にはしな……アレッ?! ドアが開かん!!」 なんとか脱出を試みようとするモルモットに迫る影。何かに取り憑かれたように、タキオンはモルモットをドアから引き剥がすと。 「どべっ?! た、タキオン、あまり暴力的なの、は……?」 転んだモルモットがタキオンを見上げると。その目は、何かに染まっており――。 「あ、あの、タキオン、さん……?」 「モルモット、くん……」 モルモットの小さな悲鳴が、微かに宿に木霊した。 ******************
24 21/11/11(木)00:39:48 No.865420041
明け方、目を覚ますと。私の浴衣は綺麗に整えられ、掛け布団を被って横になっていました。 「トレーナーさん……?」 不安になって周りを見回すと。広縁の椅子に、トレーナーさんが腰掛けていました。 「あ、起きたかい、カフェ。動けるならこっちに来てごらん」 幸い酔いは覚めたようで、軽い頭痛だけでした。頭を押さえて、広縁の窓から外を眺めると。 「わ……」 正面の山から綺麗な太陽が昇っていました。 「いい日の出だね」 「ええ……」 日の出自体はたまに見ます。コーヒーを飲むのに、早起きをすることも多いので。 ですがこの窓からトレーナーさんと眺める朝日は、いつものものとはどこか違っていて。 テーブルを挟んでトレーナーさんの反対の椅子に腰掛けると、缶コーヒーが差し出されました。 「自販機で買ってきたので良ければ……飲むかい?」 「はい……ありがとうございます……」 その缶は、とても暖かくて。プルタブを開けて口に運ぶと、ほうっと落ち着く味がしました。
25 21/11/11(木)00:40:01 No.865420104
単純な美味しさで言えば自分で淹れたほうがいいですが、缶コーヒーにも缶コーヒーなりの良さがあります。 旅先で大好きな人と飲むのは、この味ならではの楽しみだと思うんです。 「さて……寝汗もかいてるし、朝風呂でも入ってこようかな」 「私も、そうします……」 「もう家族風呂はなしだからな?」 「……分かりました」 少し、残念ですが。けれど、穏やかな時間を過ごせたので良しとしましょう。 そう思いながら、二人で湯浴み道具を持って廊下に出ると。 「あ」 「お」 ばったりと、何故かいるタキオンさんとモルモットさんに出会いました。お二人共とも、なんだか汗ばんでいて……。 「……来てたんですか?」 「い、いやぁ、奇遇だねぇカフェ。ちょっと朝風呂でも行こうかと思ってね」 「はぁ……」 そう告げるタキオンさんは、どこか恥ずかしそうな表情で。
26 21/11/11(木)00:40:18 No.865420178
「おいモル公……お前、まさか……」 「……俺は何もしてない……俺は、何も……」 そう呟きながら、そそくさと浴場へ向かう二人を見送って。 「……ちょっと風呂は時間ずらすか」 「……ええ、ちょっと……今入りに行く気は起きないですね……」 代わりに、旅館の外へ風に当たりに出ることにしました。 「まさか……アナタ、変なことしてないよね……?」 そう訊ねるとお友だちは、今回は本当に何も知らないと。慌てて首を振っていました。 尚、後日、トレーナーさんがフクキタルさんのトレーナーさんに今回起きたことを話して抗議したところ、ゲラゲラと笑われたので一発ぶん殴ってやった、とのことでした。
27 21/11/11(木)00:41:30 No.865420505
カフェは浴衣が似合いそうだねぇスレンダー美人には和服だよ お友だちガードマンは我が家にもほしいねぇ
28 21/11/11(木)00:41:38 No.865420537
長い!?
29 21/11/11(木)00:42:24 No.865420742
力作だねえ!
30 21/11/11(木)00:42:49 No.865420850
フクトレは自前で除霊できるけどカフェトレは引き寄せるだけ引き寄せて対抗できないからな…
31 21/11/11(木)00:42:49 No.865420852
やっちまったのか!
32 21/11/11(木)00:43:09 No.865420936
気ぶりタキモルいっつもオチ担当だけど今回は役得だったようだねぇ…とても良かったねぇ