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21/11/07(日)23:29:10 島の守... のスレッド詳細

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21/11/07(日)23:29:10 No.864437829

島の守り神カプ・キブルよ 先日ポケスペ純愛健全ゾロ目スレでレブル運ムンの話になりましたので三次創作を書きました どうかお受け取りください そしてなにとぞ、レブルと運ムンにお力添えください

1 21/11/07(日)23:30:01 No.864438178

「ふぅ、いっぱいいいもの買えたわ♡」 「そんなにですか…」 アローラのブティックにて。 大量の袋を抱えてご満悦となっているブルーにムーンは引いていた。 今朝ブルーから呼び出され、ブティックを案内することになったのだ。 「海外ものは通販だと高くなっちゃうし、 どうせ海外にいるんだから今のうちにいっぱい買っておかないと。 それに下着とか海外のじゃないとサイズが合って可愛いのがなかなかないしね」 「スタイルいいのも案外大変なんですね…」

2 21/11/07(日)23:30:16 No.864438274

自分とは、まだ縁のない話だ。 姉もスレンダーな方なので、自分もそこまで育たないのではと思わなくもない。 そこまでスタイルよくなりたいとも思わないのでそれはそれでいいのだが。 「そんなに買って、帰りに持ち運ぶの大変じゃないですか?」 「大丈夫よ。レッドだって手伝ってくれると思うし」 「レッドさんがですか?」 「多分、頼まなくてもそうしてくれるわ。 だから、あいつの分の服も買ったし」 そうすると言う確信のこもった声や眼差し。 ブルーのその様子に、ムーンは目を細める。 「…信頼してるんですね。レッドさんのこと」

3 21/11/07(日)23:30:35 No.864438416

「信頼、というか理解かな。付き合い長いしレッドならこうするだろうなとか、 レッドならこう考えてるんだろうなっていうのは多分わかるわ。 全部ではなくても、何割かは当たってると思う」 「…なんか、わかる気がします」 ムーンの脳裏に、サンの顔が思い浮かぶ。 「ムーンも、サンのことで?」 「はい。あの人は明確な行動指針があるので。 でも、本音というか心の中はなかなか表に出さないからわかりやすいようでわかりにくかったんですけど。 今は少しはわかるようになったと思います」

4 21/11/07(日)23:30:51 No.864438519

「…そう」 こちらを見つめるブルーの眼差し。 懐かしむような、その目を見てしまいつい恥ずかしくなって目を逸らした。 「で、ブティックを案内してくれたお礼にムーンにも何か買ってあげないと」 「え、いえ、お金なら別に困ってませんし…」 「いいのいいの。こういうのは気持ちよ」 急な申し出に戸惑うが、ブルーに流されるままブティックに連れて行かれた。

5 21/11/07(日)23:31:07 No.864438639

一方その頃。 サンとレッドは仕事を一通り終えて、休憩していた。 木陰で腰を下ろして、水を飲んで一息つく。 「そういや、今日はブルーさんは一緒じゃねーんだな」 「そうだな。普段も別に一緒ってわけじゃないし。 気が向いたらたまに会うくらいかな」 「…仲わりーのか?」 「そんなことないさ。 昔はちょっと距離あったけど、今は友達だ」 「そうなん?」 頷き、レッドは昔を思い出す。 「出会ったばかりの時は色々騙されたり、利用されたりしたけどな」 「そんなことしてたん?」 半目になったサンに苦笑する。

6 21/11/07(日)23:31:27 No.864438780

確かに客観的に見たら、当時の自分たちの関係はそういう反応をされても仕方ない。 「でも、あいつも辛いこといっぱい経験してたって知ってさ。 今だとオレが困った時には率先して助けてくれるし。 オレもあいつが苦しんでるなら助けてやりたい。 それに、わがままやお願いされてもできる範囲から受けてやりたいんだ。 そういうのオレにしかできないみたいだからさ」 「へぇ…」 今度はサンが感心したように零す。

7 21/11/07(日)23:31:44 No.864438894

「ブルーさんのこと、好きなのかい?」 「好きかー。確かに人として好きな方だとは思うけど」 「いんや。そういうのじゃなくて、彼女にしてーのかってこと」 「…え!?」 言われて、レッドの顔が真っ赤になった。 昨日のことがまた思い出され、さらに身体が熱くなる。 「い、いや、そりゃ美人だしつい見ちゃったりすることもあるけど、 付き合いたいかっていうと」 「イヤなのかい?」 「違う!そうじゃないんだけど、今更恥ずかしいっていうか…」 「一応、意識はしてんだな」

8 21/11/07(日)23:32:01 No.864439009

サンの言葉に素直に頷く。 水を飲むと少し落ち着きを取り戻せた。 正直、ブルーとそういう関係になることに嫌悪感はない。 外見だけでなく、人格にも心惹かれるものがある。 でも、素直にそうなれない自分がいた。 「ま、別にいいけどさ。 オレっちがそこまで首つっこむことじゃないだろうし」 サンの言葉に安堵しつつ、つい疑問に思ったことを聞いてしまう。

9 21/11/07(日)23:32:19 No.864439134

「サンの方は、ムーンとどうなんだ?」 「んー、オレっちとお客さんはそういうのじゃないだけど」 あっさりと答えるサンに拍子抜けするも、そういうものかと思い直す。 こちらこそ、そういうことに口出しすることではない。 「んじゃ、そろそろ休憩終わろうぜ。 まだまだ運ばなきゃいけねーものいっぱいあるんだしよ」 「…ああ。そうだな」 サンが立ち上がり、レッドもそれに同じく立ち上がってついていく。 進展はしたが、止まっている自分とブルーの関係。 自分は、そこから踏み出せるだろうか。 それとも、このままなのか。 レッドには、まだ答えは出せなかった。

10 21/11/07(日)23:32:38 No.864439266

そうして時は経ち、日が暮れて。 アローラに花火大会の時間が訪れた。 夜の道に屋台が並ぶ。 サンも、その中の一つにいた。 「よう、サン」 「こんばんは」 「よう、レッドさんにブルーさん。 2人とも来てくれたんだな」 屋台で焼きそばを調理しながら、サンは応対する。 レッドは昼間と同じ格好だが、ブルーは浴衣姿だった。 「こういう海外のお祭りで浴衣っていうのも変かもしれないけど、 やっぱり花火大会なら浴衣着なきゃ」 「オレはいいと思うぞ。 ブルーの浴衣姿、似合ってると思うし」 「うふ、ありがと」

11 21/11/07(日)23:32:57 No.864439397

嬉しそうに笑うブルーを見て、この2人はお似合いなのではとサンは思う。 だけどわざわざ言わなくでいいかと考え直して調理を再開する。 「焼きそば三つ頼むよ」 「三つ?」 「ああ、もう一人いるからさ」 そう言ってレッドが横を向く。 釣られてサンも、そちらを向いた。 そこには、ムーンがいた。 彼女に目を奪われる。 ムーンも、浴衣を着ていたからだ。 いつもの動きやすい格好ではなく、めかし込んだ姿。 印象のがらっと変わったその姿に、サンは今までにない何かが感じられた。 その姿に、言いようのない感情が生まれる。

12 21/11/07(日)23:33:16 No.864439533

「運び屋さん」 「お、おう」 彼女は何を言うだろうか。 予想ができず、身構えてしまう。 「鉄板見なくて大丈夫?焼きそば焦げない?」 「へ…?うわっヤベェ!」 慌てて調理を再開する。 幸い、そこまで焦げているわけではなく、 食えないこともなかった。 が、さすがに商品として出すのは控えておく。 後で自分で食べて処分しようと心に誓った。

13 21/11/07(日)23:33:49 No.864439758

「はいよ。焼きそば三つ。 出来立てだからやけどに注意な」 「ええ、ありがとう」 ムーンが受け取って、他の2人に分ける。 「じゃ、いただきます」 3人が蓋を開けて、そばをすする。 「美味しい…」 ムーンの言葉にレッドとブルーも頷く。 商品として出しているものだから、味には自信はある。 だけど、こうして評価してくれるとそれはそれで嬉しかった。 そう思ってる間にも彼女たちはそうして食べ続け、空になった容器をゴミ箱に捨てる。 「さて、それじゃわたしも運び屋さんのお手伝いしましょうか」 「え、いいのかい?」

14 21/11/07(日)23:34:16 No.864439955

予期せぬ申し出に驚く。 が、ムーンは当たり前のように、 「一人で屋台やるのは大変でしょう。 屋台なんてやったことないけど、少しは助けになると思うから」 「マジで?無料で?」 「当然です」 いつもの彼女の台詞に安堵する。 見返りもなく助けてくれる彼女。 そこにサンは居心地の良い感覚に浸れる。 「じゃあ、オレも手伝って…」 レッドが言いかけるが、ブルーが口を塞いで阻止した。

15 21/11/07(日)23:34:30 No.864440054

「あとは2人で頑張ってね。アタシとレッドはこれからデートしてくるから♡」 「え!?」 「じゃーねー」 戸惑うレッドの手をひきながら、ブルーは去っていった。 「やっぱお似合いじゃねーかな。あの2人」 「そうね」 ムーンに同意してもらえることが、サンには嬉しかった。

16 21/11/07(日)23:34:45 No.864440166

サン達が見えなくなるまで歩かされて、ようやくブルーが脚を止めた。 「なんで止めたんだよ…」 「あのね。せっかく2人でいい雰囲気になって頑張ろうとしてるんだから。 アタシたちがいたら邪魔でしょ」 「…そうか。確かにな」 言われて、納得がいった。 あの2人の間に色恋が挟まるかは分からない。 が、サンがムーンといると楽しそうにしていることはわかる。 自分といる時よりも。 ならば、ブルーの言う通り2人きりにさせてあげた方がいいのかもしれない。

17 21/11/07(日)23:34:59 No.864440243

「そういうわけだから。アタシたちはアタシたちで楽しみましょう」 「…そうだな」 ブルーといると楽しい。 かつてはともかく、今ははっきりとそう思える。 だから、2人でいることを自分も楽しめる。 ブルーもそうだといいなと思いつつ、彼女についていった。

18 21/11/07(日)23:35:14 No.864440361

「あ、花火」 「お、もう出たのか」 屋台から人気がなくなった頃合いに、 サンとムーンは屋台から顔を出した。 空に色とりどりの花が咲く。 すぐに散って消えるが、それもまた風流というものだろう。 「綺麗ね。運び屋さんもそう思わない?」 隣を見ると、固まったサンがいた。 先程の浴衣姿の自分を見た時と似たような光景にムーンは眉を顰めた。 「運び屋さん?」 「あ、ごめんよ。お客さんがすげー綺麗に見えて、つい」 「…え」 今度は、こっちが凝固する番だった。

19 21/11/07(日)23:35:34 No.864440499

「また来たいな。ここに」 「そうね」 隣のブルーが同意し、レッドは言葉を続ける。 「今度はグリーンたちも誘ってみるかな」 想像する。その光景を。 もっと多くの仲間と共に過ごす。 賑やかで、もっと楽しくなるはずだ。 「んー、確かに楽しそうだけど。 アタシはレッドと2人がいいかな」 「え?」 彼女がそう言うと、予想してなかった。 だから、レッドは戸惑った。 「それって、どういう…」 「さぁ、なんでかな。アタシも正直よくわからないけど」

20 21/11/07(日)23:35:50 No.864440598

言いつつ、服の裾をブルーに掴まれる。 「今は、こうしてあなたと2人でいるのが1番いい。 そんな風に思ってる」 「…ああ。多分、オレも」 2人で空を見上げる。 空に咲く花は、また咲いては消えていった。

21 21/11/07(日)23:36:07 No.864440735

自分たちの関係。 明日には、未来ではどう変わっているのだろう。 それはわからない。 だけど、今は。 この綺麗な瞬間を楽しもう。 この時が終わっても。 また、こうしていられるようになると。 ひょっとしたらもっとよくなると そう信じて。

22 21/11/07(日)23:36:27 No.864440874

以上です 閲覧ありがとうございました

23 21/11/07(日)23:37:11 No.864441179

お疲れ様です 4話ほど使っただけあってどっちのカプも濃厚だ…

24 21/11/07(日)23:50:59 No.864446708

なんとか完結できましたが 手描き「」も言ってた通り連載って書いてると予定と違う展開になったり 書いても書いても終わらなくて焦ったりして大変でした いつも書きなれてるレブルだけでなく運ムンも同時に書いてるから大丈夫かなこれと不安になりつつもどうにか最後まで書けました 今後もしまた長編をやるなら反省することばかりです 次回からは普通に一話完結に戻ります

25 21/11/07(日)23:52:55 No.864447444

手描きは間に合わないので今後の感想スレで >「サンの方は、ムーンとどうなんだ?」 >「んー、オレっちとお客さんはそういうのじゃないだけど」 >印象のがらっと変わったその姿に、サンは今までにない何かが感じられた。 >その姿に、言いようのない感情が生まれる。 私この変化好き!!(バアアアアアン)

26 21/11/07(日)23:55:43 No.864448535

>「運び屋さん?」 >「あ、ごめんよ。お客さんがすげー綺麗に見えて、つい」 >「…え」 >今度は、こっちが凝固する番だった。 ここも好き!!(バアアアアアン)

27 21/11/07(日)23:57:27 No.864449239

レブルみたいに長い年月をかけながらゆっくりと着実に仲が深まって意識し始めるのもふとしたきっかけで相手の魅力(異性)に気付く展開も良いよね…

28 21/11/08(月)00:00:55 No.864450504

最後くっついて終わるのも良いけどこう未来をなんとなく示唆するような終わり方は読み手側の妄想が捗って良い レブルは勿論として最高の運ムンでした…

29 21/11/08(月)00:18:34 No.864456513

>最後くっついて終わるのも良いけどこう未来をなんとなく示唆するような終わり方は読み手側の妄想が捗って良い >レブルは勿論として最高の運ムンでした… 色々と予定外のことにはなりましたが最後くっつくまではいかないのは予定通りでした 短編ならともかく長編で急にくっつくのもなんだなと思いまして意識し始めるくらいにとどめようかと そう言ってくれるとすごいありがたいです

30 21/11/08(月)00:20:42 No.864457245

(浴衣の艶気が再現できない)

31 21/11/08(月)00:22:09 No.864457798

>1636298442677.png やっぱイメージ変わるな…

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