虹裏img歴史資料館

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21/11/07(日)14:41:27 とある... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1636263687359.jpg 21/11/07(日)14:41:27 No.864239596

とある晩秋の空の下、一人のウマ娘がとぼとぼと歩いていた セイウンスカイ。その耳は垂れ下がり普段飄々としたその足取りは重い 地面から彼女がゆるりと見上げると空模様もその心持ちと同じく曇天 「…はぁ…」 重い溜息を吐くと再びふらふらと歩き出す 少なくともつい先刻までスカイは上機嫌であった 午前をのんびりと過ごし、キングをからかい、食堂の新作メニューも当たりだった 高揚した気分のまま顔を出したトレーナー室 お休みにも関わらず案の定机に背を向け作業していた彼に やれやれといつもの調子でトレーナーさんには困ったものですねと話しかける 「すまない。少し集中させてくれないか?」 背中越しの彼の声色は何だかいつもより淡々としていてピシャリと飛んで来た スカイの耳と尻尾がピン、と立ち上がる 上がり調子にあった気分が冷や水を浴びた様に下落していく トレーナーの様子に心当たりはあったのだ

1 21/11/07(日)14:41:39 No.864239665

前回のGⅡレース。調整の為に出バを決めたとはいえ 結果は3着。ここの所順調に勝ちを重ねていただけに悔いの残る結果だった トレーナーは危惧を示していたもの 兼ねてから練っていた策をどうしても試したい思いもあって捻じ込んだ末の惜敗 恐らくその事が原因だと考えた彼女は いつもの調子を装いながらもそそくさとその場を逃げ出した が、トレーナーは背後を振りむききょとんとしていた むしろ彼としては策自体の結果には手応えを感じており 上位陣との単純な地力を差が今回の勝敗を分けたのだと分析していた だからこそトレーニングメニューの見直しに熱が入っており スカイへの応対が少々疎かになったのは否めなかった 元より流れる雲の様にふらっと現れてふらっと去って行くのがセイウンスカイである そして自ら寄って行く割に少しでも拒絶されたと感じると途端弾かれた様に逃げてしまう 故に彼女の性質が仇となり 異変に気付かぬままトレーナーは仕事に戻ってしまった

2 21/11/07(日)14:41:51 No.864239708

「あ……」 気づけばスカイの足は学園付近の公園にまで伸びていた そこでお気に入りのネコであるシロを見かけ、少しだけ調子を取り戻し まるで藁にでもすがるようにおいでおいでをしながらずんずん近づいていく だがその様子が怖かったのだろう 普段なら自分から寄ってくるシロはテテテ…と尻尾を向けて走り去ってしまった 「ううっ…」 思わぬ不意打ちにじわりと目尻に熱い物が込み上げてくる 「へぇ…珍しいじゃん。あんたが猫に避けられるなんて事、あるんだね」 「タイシン先輩…」 はっと目尻を擦りそちらを見るとナリタタイシンが苦笑しながらそちらを見ていた 公園で猫と戯れる事が多い事から二人はそれなりの親交がある とはいえそれこそクールな所のあるタイシンが自分の方から話しかけるのは珍しかった 「ま、そんだけ今のあんたの様子がいつもと違ってたんだろうね …どうかしたの?あたしで良かったらちょっと話聞こうか」

3 21/11/07(日)14:42:03 No.864239766

普段のやや不機嫌そうなものとは違う優しい声色だった 身体こそ小柄なもののその辺りはやはり年上の先輩である 思わずこくん、と頷いたスカイを促し公園のベンチの方へ向かう 側にあった自販機で適当に暖かい飲み物を買ったタイシンは そのまま後輩の方へとそれをポイと手渡した 「あ、ありがとうございます…タイシン先輩」 「いいって。そういえば猫舌だったよね。ま、手でも暖めながら話してよ」 「それで?どーかした?友達と喧嘩でもした?それともトレーナーと何かあったの」 それが…とぽつり、ぽつりとだがスカイが話始める 相槌を打ちながらもタイシンは彼女の話を丁寧に聞いていた そして彼女が大まかな所を語り終えた所で溜息をつく 「んー…あんた本当猫みたいだね」 「え、猫ですか?」 「そう。猫が寄ってくるのには理由があるけどこっちの都合なんて向こうは知らないでしょ あたしもさ、写真撮ってるのに撫でて撫でてなんて鳴かれる事あるし」

4 21/11/07(日)14:42:17 No.864239827

「タイシンさん結構動物に好かれますよね」 「ふふ。ありがと、まあそれはおいておいてもさ、トレーナーにはトレーナーの事情があるんだよ あたしらと違って実際は暇そうにしてる人でも裏ではこっちの事考えててくれたりさ 大体、あんたが3着取った程度でつれない態度取るような男なの?あんたの担当は」 思わずスカイはふるふると首を振った そしてそこに答えがあった事に思わずハッとする その様子にタイシンもまたうん、と頷いてみせた 「そういう事。多分早合点か何かでしょ。そんな落ち込む事ないって」 「ありがとうございます先輩」 「いいのいいの。でもさ、スカイ。覚えておくといいよ トレーナー達はあたしらからすれば年上で、頼れる大人なのは間違い無いと思う でもまだ精々二十代の前半だよ?あたしだってぼちぼち成人するけど 正直この数年で、多少人付き合いが良くなったとはいえ人が変わったとは思えない そこはあんただってそうでしょ?」 言われてみれば思い当たるフシはいくつかあった

5 21/11/07(日)14:42:36 No.864239910

人は大人に近づく事は出来るし演じられる …ただ、本質の部分は中々変わらない 以前よりも勝負に関して負けん気は強くなったがのんびりはしていたい そんなスカイだからタイシンの言っている事は良く分かる 「あたしのトレーナーにしてもやたら暑苦しくてさ、タイシンならやれるとか 一生面倒見るとか、時々ついていけない事もある。間違いだってする 特に中等部の事は凄い憧れで足元が見えない位にトレーナーを見る事もあるけど あいつらだってただの大人のなり立てなんだよ。あたし達の全部が分かる訳じゃない …だからさ、尚更気になる事があったりする時は自分から言わないとね」 「そですね。いやー、セイちゃんちょっと大人に近づけた気分」 「お?良かったじゃん。ちょっとは調子が戻って来たね」 言いながら二人で笑う 話している内におごってもらった飲み物は大分温くなっていた だが今はそのほんのりとした暖かさと甘味がスカイには嬉しかった

6 <a href="mailto:オワリ">21/11/07(日)14:43:16</a> [オワリ] No.864240107

後日。BNWの3人で話していた所にセイウンスカイが駆けてきた 「あーいたいたタイシン先輩!この間はありがとうございました!」 「気にしなくていいって。まああんたの調子よくなり過ぎると 適正距離カブってるあたしとしてはちょっとレースがしんどくなるんだけど」 「あはは!悪いですけどその時はセイちゃんお礼に全力で行きますんで!」 「そうそうそれでいいから。手抜きなんてされたらあたしが怒るよ」 「はい!じゃあまたレースででも。それじゃ!」 それだけ言うと踵を返し尻尾を振りながらスカイは自らのトレーナーの腕に組みついていた 「どうしたのタイシン!?なんだかスカイと仲良くなったみたいだね!」 「うむ…あの様子。また懐いてくる後輩が増えたな」 「や。別になんでもないよ」 そっけない言葉 だが優しいまなざしで小さな先輩はスカイ達の様子を暫く見ていた。

7 21/11/07(日)14:47:12 No.864241260

タイシンは何だかんだ面倒見良さそうだよね…

8 21/11/07(日)14:51:12 No.864242371

きっとウマ娘達が気づかないだけでトレーナー達もミスしたり弱音吐いたり苦労はしてるんだろう

9 21/11/07(日)14:52:44 No.864242833

ちゃんと先輩してるタイシンに猫みたいになつくセイちゃんは私の解釈と一致してますよ

10 21/11/07(日)14:53:34 No.864243085

完璧な対応ばかりしてるように見えるけど社会人一年生だからねトレーナーも…

11 21/11/07(日)15:06:29 No.864247010

BNWはそれぞれ別の理由で下級生から慕われそうなとこある

12 21/11/07(日)15:15:32 No.864249539

タイシンもなんとなく猫みたいな部分あって別ベクトルの猫っぽい2人いいよね

13 21/11/07(日)15:18:00 No.864250219

大人として見上げるだけじゃなくなるのはトレーナーとの距離感がいい意味で近づいた証だよ

14 21/11/07(日)15:21:49 No.864251321

なんとなく波長の合う部分もありそうな二人

15 21/11/07(日)15:23:06 No.864251715

先輩してるタイシンも後輩してるセイちゃんもいいな…

16 21/11/07(日)15:23:44 No.864251886

>きっとウマ娘達が気づかないだけでトレーナー達もミスしたり弱音吐いたり苦労はしてるんだろう タイトレセイトレも飲みに行ったりしてたりしてな

17 21/11/07(日)15:27:29 No.864253032

いつかタイシンが落ち込んだ時にはセイちゃんが話聞いてあげるんだろうか ガチガチの親友ともライバルとも違う先輩後輩みたいな関係もすきだなぁ

18 21/11/07(日)15:27:31 No.864253045

落ち着いた話だな

19 21/11/07(日)15:28:30 No.864253436

ネコ娘のふたり

20 21/11/07(日)15:29:34 No.864253778

大人のなり立てなんだって気付いてるあたりに過ごした来た年月が見える

21 21/11/07(日)15:30:53 No.864254205

猫っぽいよねタイシンとウンス

22 21/11/07(日)15:32:06 No.864254564

>ネコ娘のふたり すぐお腹見せてくるけど本心が見えなくて気まぐれにふらっといなくなりそうな雰囲気のあるセイちゃん シャーッてしてたヒト嫌いだけど無意識に喉鳴らすようになって野良から飼い猫になるタイシン

23 21/11/07(日)15:34:48 No.864255455

セイちゃんも根が泥臭くてちょいダウナーぽいテンションな部分もあるからお互いにめっちゃ仲良しでないけど一緒にいる空間も苦にならないって感じがする

24 21/11/07(日)15:36:42 No.864256052

>>きっとウマ娘達が気づかないだけでトレーナー達もミスしたり弱音吐いたり苦労はしてるんだろう >タイトレセイトレも飲みに行ったりしてたりしてな こっちは担当と逆でタイトレの方が後輩ぽい気がする

25 21/11/07(日)15:37:20 No.864256217

>「あたしのトレーナーにしてもやたら暑苦しくてさ、タイシンならやれるとか うnうn >一生面倒見るとか、時々ついていけない事もある。間違いだってする >一生面倒見るとか …うn?

26 21/11/07(日)15:38:14 No.864256496

>>きっとウマ娘達が気づかないだけでトレーナー達もミスしたり弱音吐いたり苦労はしてるんだろう >タイトレセイトレも飲みに行ったりしてたりしてな 「…なんか俺、やっちゃったんですかね?」 帰り道、偶然に会ったナリタタイシンのトレーナーに、セイウンスカイのトレーナーはぽつりと呟く。 「ん…まあ、考えすぎても分からないなら、いっそそのままでいればいいんじゃないか?」 「…それ、結構無責任じゃないですか?」 「言いたいことは分かるけどよ、俺たちも完璧じゃないだろ。それに、セイウンスカイは賢い子だし。」 「まあ…それは、そうですけど。」 「俺もよくタイシンを怒らせたりしちまうよ、要らない事言ったりさ。でも、本当に大事なことはちゃんと言ってくれる。 そういう信頼関係さえあれば、まあ大体の事はなんとかなるさ。」 「…そう、かもですね。」 「おう、それはそれとして…今金無いから割り勘で良いか?」 「え~…先輩後輩の信頼関係…」 笑う2人の声が、夜空に溶けていった。

27 21/11/07(日)15:41:10 No.864257474

>>一生面倒見るとか >…うn? 元からほぼそういう意味で間違いないしこのタイシンは更に理解深まってそうだから改めて言われたのかもしれないだろ

28 21/11/07(日)15:41:57 No.864257744

そういえばアニメの駅伝回でチームNだったなウンス

29 21/11/07(日)15:42:01 No.864257770

トレーナー同士の関係も面白いよね タイトレみたいな先輩は重宝しそうだ

30 21/11/07(日)15:43:54 No.864258395

タイシンセイちゃんもいいしタイトレセイトレの会話もいいなぁ…

31 21/11/07(日)15:45:48 No.864259015

そこがかわいくもあるんだろうけどこの2人のトレーナーは苦労も多そうだし 飲みに行ってお悩み相談からの惚気大会にシフトチェンジしてるのが見える

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