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21/11/06(土)21:39:42 スーパ... のスレッド詳細

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21/11/06(土)21:39:42 No.863988084

スーパークリークの様子に違和感を覚えたのは、ここ二週間ほどのことだった。 URAでは優勝を飾り、春のレースを順調に終え、夏の休養から秋に向けて調整を始めていたが、どうにも彼女の走りが精彩を欠いている。思い返せばクラシック期の春にも体調を崩していたこともあり、念のためと校医に相談するも、身体面での異常は見られなかった。 そしてもう一つ……以前に比べてスキンシップの頻度が明らかに減った。誤解のないように言うと、彼女のそれはある種のストレス解消であり、甘える……もとい『甘えさせる』ことで精神を落ち着かせるようなものだ。確かに疚しい気持ちが湧かないと言えば嘘になるが、外見の割に精神的に幼い面もある彼女にとっては他意のないことなのだろう。いや、そう思わなければこちらも危ないのだが。 ちなみに、先日その件についてそれとなく訊ねてみたが、 「そう……でしょうか……」 と珍しく歯切れの悪い言葉が返ってきた。もっとも年頃の少女の機微は自分には理解が難しいものだ。とにかく今は本人から話してくれるのを待つしかないだろう。

1 21/11/06(土)21:40:20 No.863988377

昼休み、カフェテリアに向かったクリークは賑やかな集団を避けて壁際の席に腰を下ろす。ここ最近はトレーナー室で弁当を食べていたので、久々の喧騒がどうにも落ち着かない。 「おっ、クリークか。珍しいやんか、今日は食堂なんか」 「タマちゃん……」 ふと顔を上げるとトレイを持ったタマモクロスがテーブルの向かいに立っている。ほな邪魔するで、と返事を待たずにテーブルの向かいに陣取り、手を合わせて食事を始めている。 「なんや、トレーナーと喧嘩でもしよったんか? それにしてもえらい少ないなぁ。ウチとそう変わらんのとちゃうか」 「ううん、そういうわけじゃないの……」 「ほーん」 タマモクロスはそれきり何も言わず、茶碗を片手に黙々とおかずを口に運んでいる。 クリークが口を開かなければ追及はしないだろう。しかし何があったのかと暗に聞いていることは明らかだ。友人の気遣いを無碍に出来るほど、今のクリークに余裕はなかった。

2 21/11/06(土)21:40:40 No.863988543

「……トレーナーさんが、結婚するみたいなんです~」 「へぇ!そらおめでた……へ?」 勢いで返事をしかけたが、混乱のあまり間抜けな声をあげる。 クリークが訥々と語るには、事の発端は二週間ほど前。トレーナーが留守の間に机の整理をしていると、一冊のファイルが目に留まった。アルバムだろうか。本人には悪いと思いながら好奇心で開いてしまった。それが 「お見合い写真、だったんです」 「はぁ」 なんでそんなモン職場に持って来とんねん、という言葉を飲み込んでタマモクロスはしばし考える。中央のトレーナー、しかも専属資格持ちとなれば若くしてかなりの高給取りだ。とすれば『そういった話』の一つや二つが来てもおかしくない。そういえば自分の担当にも……いやこの話はやめておこう。 「まあ、アンタんとこのトレーナーならそないな話もあるやろな。それはええねんけど……アンタら付き合うとるんと違うかったんか?」 「付き合う……? 私とトレーナーさんが、ですか?」 「他に誰がおんねん! あんなん誰が見てもバカップルやないか」 「確かにそんな風にも言われましたけど~……でもトレーナーさんはそういう関係じゃありません」

3 21/11/06(土)21:41:03 No.863988735

「……まあええわ。せやったらなにがアカンのや」 「それは……わからないの」 自分で答えながら胸がキュッと痛むような感覚に、クリークは身を縮ませる。 「トレーナーさんにとってはおめでたいことですから、お祝いしないといけない……し」 「トレーナーさんが立派になれるなら、私はトレーナーさんを甘やかして……」 「トレーナーさんに……子供が……トレーナーさんを……っ……わたし……は……っ!」 次第に支離滅裂になりながらも振り絞るように語るクリークの目に涙が浮かぶ。 「私はトレーナーさんを幸せに……幸せを……うう……っく……うわああああん!!」 ついに言葉を詰まらせたクリークは顔を覆って泣き出してしまった。通りすがりの生徒たち数人が何事かとこちらを見るが、タマモクロスが無言で手を払って追いやる。 「ごめんなさい、タマちゃん」 「かまへんかまへん。ウチのチビたちに比べたらよっぽどおとなしいわ」 昼休みも終わり、カフェテリアも静かになった。今ここにいるのは授業もなく暇な上級生ぐらいだ。

4 21/11/06(土)21:41:30 No.863988978

「私、トレーナーさんのことが好きなんですね」 そんなん言われんでも見たら分かるわ、とは口に出さない。泣き腫らした目を伏せる友人にとっては大事な悩みなのだ。聞いている方には惚気でしかないのだが。 「……タマちゃんは気付いてたんですか」 顔に出ていたようだ。まあこれでクリークの悩みも解決だろう、と思ったがクリークは浮かない顔のままだ。 「でも……どうしたらいいでしょうか~……その、お見合い、のこと」 「あ」 すっかり忘れていたが、最初の話はそれだった。ただ、ここまで来ればあとはどうとでもなるだろう。 「本人に聞いたったらええねん、その女とどっちを取るんや~!って。んで、なんか言いよったら……せやな、押し倒してまえ。そしたらトレーナーもなんも言えんやろ」 「押したお……た、タマちゃんっ!」 「へいへい。はよ食べてまわんとご飯冷めよんで」 未だ不安そうな表情は残るものの、いくぶん落ち着いた様子でご飯を口に運ぶクリークを眺めながら、タマモクロスはすっかり冷たくなったお茶を飲み干した。

5 21/11/06(土)21:42:17 No.863989360

その後、タマちゃんと別れてトレーナー室に向かうと、トレーナーさんが資料の整理をしているところでした。机の上には見慣れたお弁当箱。今日は何を食べていたのでしょうか…… トレーナーさんは笑顔で、おかえり、と一言だけ声をかけてくれます。机に向かう視線の脇には書類の山、そして下の方には「あの写真」が積まれています。 午後のトレーニングまではまだ時間があります。いま聞くべきでしょうか、でも……いえ、今しかありません。 「とっ、トレーナーさん! あの~……そ、その写真のことなんですけどっ」 思わず声が裏返ってしまいました。トレーナーさんは不思議そうな顔をしましたが、私が指差した先を見て「あ!」と声をあげました。 「ああ、ここにあったのか! よかった、探してたんだ」 なぜかほっとした顔をするトレーナーさんを見て、胸の奥がズンと重くなります。 「断りの連絡はしたんだけど、写真を返すのを忘れていてね。家中探しても見つからないもんだから……そうか仕事の書類に紛れてのか。ありがとう、助かったよ!」

6 21/11/06(土)21:43:03 No.863989722

「その……お断りされたんですか?」 「うん。俺にはクリークがいるから」 そう言うとトレーナーさんは視線を手元に戻します。その日はそれきりで、それ以上何も聞きませんでした。 私の不安はぜんぶ杞憂でした。トレーナーさんは今までどおり変わらないままでしょう。 それでも、私はもう今までと同じ気持ちではいられません。トレーナーさんの言葉はどんな意味だったのか。トレーナーさんは私をどう思っているのか。 私は意識せずにはいられなくなってしまいました。ウィナーズサークルで頭を撫でさせてくれた、私より頭半分背の高いトレーナーさんのことを。夏祭りで咄嗟に握った、私より一回り大きくてごつごつした手のことを。これからもずっと甘やかさせてくれると言った、あの時の真剣な顔のことを。 私は、トレーナーさんのことが好きなのだと。

7 21/11/06(土)21:43:47 No.863990089

スーパークリークの様子に違和感を覚えたのは、ここ一ヶ月ほどのことだ。 秋の初戦も好成績を飾り、その走りにはますます磨きがかかっている。身体面でも過去最高の仕上がりと言ってもいいだろう。 その一方で、以前に比べてスキンシップの頻度が少なくなった。最近はストレスを抱えている様子もなく、ある意味では健全な距離感とも言えるだろう。それは彼女が成長した証でもあり、それを寂しく思う自分もいる。

8 <a href="mailto:s">21/11/06(土)21:44:41</a> [s] No.863990592

「うふふふ……トレーナさん、また1着です~」 「おめでとう! いい走りだった」 レース直後だというのに早々と息を整えたクリークがスタンドに駆け寄ってくる。観客の前で抱き上げられたり、頭を撫でられていた頃を懐かしんでいると、無言のままのクリークが上目遣いでこちらを窺っている。レース後の高揚感でうっすらと紅潮した頬に思わず見とれてしまう。 「トレーナーさん……褒めてくれますか~?」 「あ、ああ」 求められるままに頭を撫でると、クリークは耳を伏せ、嬉しそうに目を細める。その姿は年相応の少女のようであり、しかし不意に心を乱す艶やかさを放っている。なるほど、そうだったのかと。こうして自分は、心のどこかで考えていた先月からの違和感の正体と、彼女にずっと恋をしてきた自分に気付かされるのだった。

9 <a href="mailto:s">21/11/06(土)21:45:16</a> [s] No.863990859

近くて遠い関係が少しずつ変化するのが見たかった

10 21/11/06(土)21:45:57 No.863991221

やはりタマちゃんはオカン…

11 21/11/06(土)21:48:57 No.863992696

相手を子供のように扱い擬似的な母性に被依頼心を得る事で自己肯定と安心を得ていたクリークが 年齢相応かつ女性的な感情を母性より優先して与えられる事に喜びを得る この成長を喜ばずしてどうしようというのか

12 21/11/06(土)21:50:00 No.863993236

完全に恋する乙女だ…

13 21/11/06(土)21:50:53 No.863993643

いい…俺の中のトレクリ最適解に近い…ありがとよ…

14 21/11/06(土)21:51:35 No.863993982

多分このまま一緒になったらクリークママの赤ちゃんプレイはやるし トレーナーパパの赤ちゃんプレイもやると思いますよ私は

15 21/11/06(土)21:54:53 No.863995468

こういうのでええんやこういうので

16 21/11/06(土)21:55:18 No.863995634

168cm B97・W61・H91 こんな子が撫でて撫でてって感じて背中丸くするの最高じゃない?

17 21/11/06(土)21:55:18 No.863995636

家族から恋人に戻れるなら幸せやないの、と笑うタマちゃん 真っ赤になるクリーク

18 21/11/06(土)21:55:41 No.863995794

乙女クリーク本当に好き

19 21/11/06(土)21:56:30 No.863996182

この前のイベントでタマの信頼度がまた上がってしまったのでつい頼りがち でもタマにもちゃんと支えてくれる相手がいて欲しい

20 21/11/06(土)21:56:55 No.863996361

はやく結婚しろ

21 21/11/06(土)21:57:49 No.863996746

クリークは遅咲きの恋がよく似合う… でも泣いた後にトレーナー室帰ったら気づかれないかなと思った

22 21/11/06(土)21:59:01 No.863997339

これまでなら「いい子いい子~」ってしてたタイミングで はにかんで照れくさそうにトレーナーさんの顔を盗み見るようになるクリークいいよね…

23 21/11/06(土)22:06:47 No.864000916

年相応の乙女クリークは健康にいい

24 21/11/06(土)22:07:18 No.864001136

こういうイチャイチャならどんどんやって ええ!

25 21/11/06(土)22:13:22 No.864003947

推せる~

26 21/11/06(土)22:15:03 No.864004765

今まで神の子神の子~してたファン達がなんか固唾を飲んで見守るようになるスーパークリーク一着のレース後

27 21/11/06(土)22:19:33 No.864007094

乙女クリークはもっと流行って欲しい

28 21/11/06(土)22:23:24 No.864008996

恋心を覚えて今までしてきたことに恥ずかしさを覚えるけど それを無かったことにせずに一緒に前進してほしい

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