21/10/30(土)21:10:37 なんて... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1635595837747.png 21/10/30(土)21:10:37 No.861704166
なんて運の無い事かしら。わたくしははしたないとは思いつつも溜め息を吐きましたわ。 今日は同室のヴィルシーナとデートの予定…だったのですが、生憎な事に急用が出来たらしく、彼女は別件の用事に出向かれ、わたくしは集合場所の駅前で独りポツン…と立っていましたの。 嗚呼如何した物かしら。折角めかし込んで来ましたと言うのに此れでは骨折り損の草臥れ儲けではございませんの。 …ちぇ…と少しだけ小さな子供っぽく不平を漏らした時でしたわ。陽射しが差し込んで参りましたの。 「おっ。お嬢じゃん。何々? お洒落しちゃって若しかして今日はデートか?」 嬉々としてわたくしに話しかけてきたのは同級生にしてライバルの、おバ鹿のゴールドシップ。彼女はサラサラと眩しい芦毛を靡かせながらわたくしの周りをクルクルと回りましたの。 「えぇ。そうですわね。デート『でした』のよ…今日の予定は」 わたくしがそう言うとおバ鹿のシップはピタリと動きを止めて、わたくしの顔を覗き込んできましたわ。
1 21/10/30(土)21:12:53 No.861705111
「…なんか、止ん事無い事情でも出来てご破算にでもなったか。今日のデート」 彼女の真剣な声に私は肯き、僅かな時間の間、沈黙の空気がわたくし達の間に満ちましたの。 「…うしっ! 決めた!」 はて、と思った次の瞬間には、丁寧に手入れのされた爪が輝く手先を差し出されて、シップはこう言いましたわ。 「お嬢の今日一日をくれよ。デートしようぜ」 眩しい太陽が、わたくしに笑いかけてきましたの。 先ずは巡りたいと思っていたブティックから。某企業のお陰様で色んな服がありますのは嬉しい反面、選ぶのに時間が掛かるのが困りものですわ。 「なぁお嬢、どんな服が欲しいんだ?」 ペーパーブックのカタログをパラパラと真剣に流し読みしながらシップは問いかけてきましたの。 「そうですわね。秋から冬に掛けての暖かい物を、と…」 「そっかそっか。なぁお嬢。ちょっち服を選ぶ上で相談があるんだけどよ」 ひょっこりとわたくしの隣に現れたシップはそっと声を掛けてきましたわ。
2 21/10/30(土)21:13:33 No.861705414
「怒らずに聞いてくれな? お嬢は肩幅広くてガッシリしちゃってるだろ? それで、お嬢は赤色が好きじゃん? 赤色ってな、膨張色って呼ばれてて、実際の見た目よりも大きく見えちまうんだ。そこでだ。トップスは落ち着いたネイビーか、上品なモスグリーンを選ぼうかと思うんだ。この手の色合いは物を小さく見せる効果があってな。シュッと細く見せさせるんだ。良いだろ? それでアンダーだけども、上と同じ色にしたら良いのかって言えばそうとも行かなくてな? MIBみたいに全身真っ黒とかになると重苦しい感じがしてダメなんだわ、此れが。そこでアンダーは暖かい感じの紅色を選んで調和を取る。ってどーよ」 シップの論理だった説明にわたくしは素直にふんふん、と頷きましたの。確かに悪くなさそうですわ。 「さーてそうだなー何が良いかなー。おっ。ゆったりめの可愛いゴシックあるじゃーん! セットのベリーショートのコートも可愛いし、お嬢これにしてみたら?」 なんて、シップの言葉に乗せられてブティックの店員さんに試着室に押し込まれたわたくしは、見事ゆったり可愛いゴシックウマ娘になりましたの。…悔しいですが可愛かったから買いましたわ!
3 21/10/30(土)21:14:33 No.861705825
その後のわたくし達は本屋に立ち寄ったり(シップが意外と良い筋トレの本を教えてくれましたわ)スポーツ関連店に出向いてみたり(シップお勧めのプロテインが美味しかったですの)等と 他愛も無く、楽しい一日を過ごしていましたわ。 「ねぇ、シップ。可愛いおバ鹿さん」 わたくしはマスカットのケーキをフォークでつつきながら問い掛けましたの。 「何故、わたくしをデートに誘いましたの?」 他愛も無い。だけどもわたくしには小さくない事柄に対してフォークを入れますの。そうしたらあの子は… 「ぁん…? 可愛い子が、おめかししてデートに来たのに、おじゃんになって泣きそうな顔してたら、手を差し伸べてやるのが出来るウマ娘ってもんだろ?」
4 21/10/30(土)21:14:58 No.861705986
ニシシ、と子供っぽく笑うあの子は本当に、「おバ鹿のシップ」と言う言葉がよく似合って…だけども、隣に寄り添うのが心地良い子でしたわ。 「そーだ。お嬢にコレ」 何やら上着のポケットから紙袋を取り出すと、わたくしに差し出しましたの。 「中身見てみな」 促され、紙袋を開くと其処には…鮮やかな水晶で出来た赤い薔薇のブローチでしたの。 「シップ…シップ、貴女これって何時の間に…シップ!?」 わたくしがオロオロとしている内に彼女は伝票を片手にテーブルから立ち去っていましたの。 「この、おバ鹿! わたくしを弄んで!」 そうぼやきながらも、わたくしの心がトクントクンとときめいて居たのは内緒ですわ…
5 21/10/30(土)21:15:28 No.861706200
尾仕舞い ゴルジェンデートでした
6 21/10/30(土)21:21:40 No.861708777
む!
7 21/10/30(土)21:22:46 No.861709249
いいね…
8 21/10/30(土)21:24:34 No.861710003
美女カップルいいね…
9 21/10/30(土)21:25:42 No.861710514
このマフティのマークみたいな流星は
10 21/10/30(土)21:26:16 No.861710837
>このマフティのマークみたいな流星は (本人は一切登場しない)
11 21/10/30(土)21:29:55 No.861712693
多分全シーンに分かりにくいハリウッドのカメオ出演レベルでいる
12 21/10/30(土)21:31:37 No.861713447
数日後自分が知らない薔薇のブローチつけてちょっと照れくさそうなお嬢を見てショックを受けるヴィルシーナ