21/10/30(土)18:30:00 明治経... のスレッド詳細
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21/10/30(土)18:30:00 No.861643622
明治経済奇譚~熊の寓話~ 渋沢のいない場所で起きたそれぞれの事件 終 あとがき fu479479.jpg 資料集 fu479480.jpg これまでの話 https://twitter.com/mizuwonagu
1 21/10/30(土)18:30:17 No.861643717
雑談5 「中国不動産に新税が設定されることでバブルを安定させる緊縮効果が今後期待されている」 とあるニュースの見出しだが、まるで呪文のような一文だろう、マクロ経済者以外にはほとんど暗号文と変わらない 税を設定することがバブルを安定させ緊縮する? それは一体なぜだろうか 答えは税が「乗数を減じる」からである 乗数、これは難しい概念だ 一口に説明しても恐らくすぐには理解できない 乗数とは「経済の自律的変化が引き起こす最終的な経済効果を導きだすための数」である 意味が解らないだろう まず、とある会社に政府が5000万を払い仕事を任せたとしよう この5000万が「自律的変化」だ その5000万を使って会社は他会社から資材・派遣などを雇ってプロジェクトを開始する 当然その会社で業務にあたった社員たちにも給料が支払われ、払われた給料で社員達はペヤング超超超大盛GIGAMAXを買う
2 21/10/30(土)18:30:28 No.861643773
「自律的変化」は当然5000万分の経済価値を生んでいる…ではその5000万によって最終的に購入されたペヤングは価値がないのか? それは違う、社員達が購入したペヤングも立派な経済価値として数えられるのだから、この5000万の自律的変化は 「自律的変化分の5000万」と「X」の経済効果を生んでいる このXを予測するのが乗数ということだ この未知の数字「X」と「自律的変化」を合わせたもの、「最終的な経済効果」を導き出すため 乗数は「1/(1-限界消費性向)」という数式によって求められる、この限界消費性向というのは“給料が入った時どれだけ使っちゃうか” 限界消費性向(MPC)はどれだけ消費するかを表す数字、つまり10万の給料から8万を使う場合MPCは0.8 1/(1-MPC)で1/(1-0.8)=5 乗数は5となり、5000万の支出で2億5000万分の経済効果を 各員が給与の8割でペヤングを買う事によって達成できると、この限界消費性向から算出される乗数は予測する “5000万[自律的支出] x 1/(1-MPC)[乗数] = 2億5000万[最終効果]”
3 21/10/30(土)18:30:40 No.861643863
限界消費性向についてもう少し詳しく描き加えておくと 限界消費性向は「各ラウンドでどれだけ貯蓄が行われるか」を示す数字である 政府から5000万が会社に支払われ、会社その2割を貯蓄に回し仕事を行う 会社は労働者に給料を支払い、労働者はその2割を貯蓄に回してペヤングを買う ペヤングを買われたまるか食品はその利益を計上し、その2割を貯蓄に回してペヤングを作る こうした「各ラウンド」の消費性向を決定し、最初の「自律的変化」が引き起こす経済活動を計算するものが乗数というわけだ
4 21/10/30(土)18:30:52 No.861643927
まだ納得いってない鯱山はお馴染みのトリクルダウンの並べられたグラスを思い描いてみよう 天辺から注がれた水が下に滴った総量を計算するための数字が乗数となる さて何故この乗数を税が減じるのか…簡単に言えば税は滴る雫の量を減らすことになる その結果税が設定されると、その自律的変化の乗数が減り、最終的な効果も縮小する、経済活動の規模が緊縮するのである そして経済学者は概ね税によって乗数が減じることを歓迎している(当然やりすぎである場合は除いて) それは何故か? 乗数が削られることによって経済が安定化するからである 野放しな乗数は景気を確かに加熱させるが、大抵の場合それは過熱になる 中々飲み込めない概念だろうが、まさにその実例が中国不動産であれば納得のいくことだろう 経済は自由を謳って数字の規模を上げたがるものだが、政府はそれを監視し、行き過ぎないように「福祉」を行う これがケインズ以後政府に求められる「自由の制限」 だから中国政府が不動産に税を設定し緊縮し、乗数を減じて経済を安定させることを多くの人々が望んでいるのだ
5 21/10/30(土)18:31:07 No.861643998
雑談6 10月24日、面白いニュースを見た 経営者たちはこれから嘘がつけなくなるらしい 「自然言語処理」という技術の台頭により彼らはAIの分析に晒され、虚偽を暴かれてしまうのだ もちろん私はAI技術者ではないのでNLPの転移学習がどうのという技術的側面について語りたいわけではない これまで経済において大きな障害となってきたのは「人間が付く嘘」だ 特に経営者というのは常に嘘をついて生きている人種で、彼らが量産する嘘は常に経済を混乱させ「市場」を失敗させてきた だからもしこうした技術が確立され、市場から嘘が排斥されれば恐らく経済学は一つの目標を達成することになる 「経済の安定化」である、混乱を発生させず常に経済をアンダーコントロールにする、それを可能にする技術であるだろう しかしその一方でこの技術が一般化された社会では一体何が起きるだろうか 未来を想像することはできないが確かな事は一つだけある マトリックスの世界がやってきても、きっと民衆は魚の群れだろうということだ https://jp.reuters.com/article/global-investment-nlp-idJPKBN2HC0IS
6 21/10/30(土)18:31:19 No.861644071
雑談7 Googleの検索で2008年以降、今最も「スタグフレーション」という言葉が検索されているそうだ 生産要素の値上がりによる供給ショック、その後引き起こされるのは経済的な傷の深いスタグフレーション それを人々が恐れるのは当然のことで、その結果がこの検索結果ということだろう 特にインフレが高止まりしたまま引き下がらないでいるアメリカは最悪のシナリオを想像しなければならない これはアメリカが無策のままスタグフレーションに遭遇するというわけではない、アメリカは冷静に現況を把握して 急いで“テーパリング”を開始しなければならないという圧力が迫っているということだ インフレは絶対に阻止しなければならない ケインズがかつて唱えた「インフレこそが経済成長であり、インフレに問題はない」という認識を信じる経済学者は過去のもの 行き過ぎたインフレは必ず経済を破壊するのだから
7 21/10/30(土)18:31:37 No.861644177
雑談8 インフレって何が悪いの? すげぇ一杯色々悪い インフレ自体の悪さは大体ハイパーインフレの現象を観察すればわかるので省略するが、インフレの問題はとにかく止めづらい事 一旦景気が加熱すると政府以外の動きでは冷却不可能になり、政府が存在していたとしてしても税制が無ければ 値札が次々書き換えられていくのをただ黙って見ているしかない そして何が最も悪いかと言えばインフレを止めるための「ディスインフレ」は経済に破滅的な影響を与える事になるからである まず債権というのはインフレ状態では借り手側が圧倒的に強い、だからみんな債権を作りまくるし、貸し手側も対等な利子をつける この状態でインフレに歯止めを掛ければ債権の“価値”が上がってしまい、借り手側に多大な負担が圧し掛かる 借り手はほとんどの場合企業だ 企業の資金繰りが硬直すればどうなるか? 失業率記録チャレンジだ 弾けた泡が引き起こすディスインフレはまさに“フリーフォール”となる