21/10/27(水)23:09:14 「落ち... のスレッド詳細
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21/10/27(水)23:09:14 No.860779474
「落ち葉焚きをしたい」 担当バの呟きにトレーナーは顔を上げ窓の外を見る 既に季節は神無月から霜月へと切り替わる合間の時期 つい先日まで皆が半袖であったのが嘘の様に昼夜の冷え込みが増し もう暫くすれば冬が到来し今年も終わりを迎えるのだろう 「俺も子供の頃良くやったよ」 「へぇ」 ぴくり、と耳を動かしたナリタタイシンがトレーナーの方を見る 他愛ない雑談をする際多くの場合スマホでゲームに興じている彼女だが こうして担当の方に視線を送る時は大体目で「続けて」と言っているのだ 「まあ結構な田舎の方だったしうちはそこそこ庭が大きくてさ だから秋が深まった時の落ち葉掃除は大体俺の仕事だった」 「ふーん…真面目じゃん?」 「や、ほら焼き芋とかさ。お小遣いも貰えたしな」 「…厳禁」
1 21/10/27(水)23:09:27 No.860779557
くすくすと笑うタイシンの様子にトレーナーもまた相好を崩しノートパソコンを閉じる そして担当バへと声をかけると落ち葉の降り積もる学園の中庭へと出る事にした 既に彼は大人である。お小遣いを貰う身分ではない となれば無論落ち葉をかき集めるのは担当を喜ばせたいからに他ならない 二人でコンクリート製の筒に刺さった竹ぼうきを取り出し掃除に勤しむ 幸い風もほぼ無い穏やかな秋の放課後である 釣瓶落としというだけあり既に周囲はオレンジと黒の色彩に包まれつつあった 「それは?」 着火剤を取りに行ったトレーナーの持参したアルミホイルの事を言っているのだろう 口を開こうとした担当を制止したのもまたタイシンだった 「…いいや。当てるから…ストレートにサツマイモか何か?」 「ん。まあ近いけど正解は焼けてからだな」 「ちぇ」 ぶすっとしつつもしゃがみ込むタイシンの前で積み重ねられた落ち葉の山に火が灯される
2 21/10/27(水)23:09:39 No.860779626
夕暮れの橙色とはまた別。焔が落ち葉の山を包み込み パチパチという音を立てながら白煙を上げ秋天へと伸びていく 「そうそう、これこれ」 「いいよな。俺も火を見るのは結構好きでさ」 「トレーナー…その言い方だとアンタ、ヤバい奴に見えるよ」 「悪かったな。ほら…キャンプの時の焚火とか、蝋燭の火とかさ あのゆらゆら揺れる様子ってなんだか見てると落ち着くんだよ」 「ああ。それならなんとなくわかるよ」 火の加減を確かめていたトレーナーもまたタイシンの横に並ぶように腰を下ろす 既に幾年も過ごして来た二人であるが距離感というものがある トレーナー室でも、トレーニング時でも くっつき過ぎるという事は無い物の声の聞こえる距離にいるのが二人のスタンスだ そして今の様により共有したいものがある時には…その幅が狭まるのもいつもの事 「タイシンはさ、どこかこの火みたいな所があるんだよ」 「…あたしが?」
3 21/10/27(水)23:09:49 No.860779699
「そう。一見クールに見えるけどその実しっかりとした熱さを持っていて それが周囲をひきつけるというかさ…まあ、どっちかというと青い炎かな?」 「なるほど。冷めた色はしていても本当は赤い炎よりも温度は上みたいな」 「そうそう」 じっと炎を見ながら話を聞いていたタイシンがそっと、トレーナーに身体を寄り添わせ そしてそのままこてん、と身体を任せる 「燻ってたけどね。あたしはさ。あんたと会うまでずっとそうだった あんたとあってからだって暫くは煙を上げるだけだったのが、さ 近頃は漸く…そうだね。うん…自分の熱は分かるし、チケットやハヤヒデにもぶつけられてる」 「それは何よりで」 「火をつけたの、あんただから」 尚も燃え続ける焚火からちらり、と担当バへとトレーナーが視線を下ろす 周囲は大分宵が近づき暗くなる一方でオレンジの炎に照らされるタイシンは 正面からの熱以外でもどこか顔を火照らせているように見える 「今日は暑苦しいとか、そういうのは言わないんだな」
4 21/10/27(水)23:10:01 No.860779767
冗談交じりにいって見せるが彼女はいつもの様に不貞腐れる事は無かった 預ける体重も変えず、火の粉の爆ぜる様子に魅入られたように目を細めている 「…冬も近いでしょ。アンタ位の熱さが丁度いいんじゃない?」 「ならいいんだが…ま、確かに冷えてきたな。風邪はきをつけてくれよ」 「分かってるって。それにアンタだって少なくとも今どうすればいいか、分かるでしょ」 無論だった 彼もまた、そうしたいと何となく思っていた それが学園内だとか、まだ誰か残っているかもしれないとか 正直まあ照れ臭さもあったのだが、次第にそういう建前が崩れつつあった 成程熱に浮かされているのは何も焚火のせいだけではあるまい すぐ横から感じる年不相応の小柄な少女の暖かさにやられているのだ 「…あ…」 だから肩に手を回して、抱き寄せた その瞬間の顔は自分から言い出した癖に驚きに満ちていて だがそれもすぐに満ち足りたようなそれに変わり、やがて目が閉じられた
5 21/10/27(水)23:10:12 No.860779842
「…タイシン。ぼちぼち焚火も消えるから」 「ん。まあそれまではこのままっていう事で」 「なあ、タイシン…」 「うん?」 「どうだ?俺が付けたって火の方はもうしばらくついてそうか?」 もう随分と縮んでしまった火から二人が視線を移し いつの間にかお互いの顔の方を見ていた 「まあ…そうだね。当分大丈夫でしょ。アンタが側にいるんだし」 「そうだな。当分はな」 「当分ね。当分」 それが それが一生涯にでもなりそうだな、と考えたのは果たしてどちらだったのか それはともかくとしてすっかり消えてしまった落ち葉の山 燻る灰の中からトレーナーが木の棒を使いアルミホイルを取り出す
6 <a href="mailto:オワリ">21/10/27(水)23:10:39</a> [オワリ] No.860780023
「…へぇ」 中から出てきたのはにんじんだった それもたっぷりとバターが溶けだし適度な柔らかさに仕上がっており 蒸れたにんじんと織り成す匂いがナリタタイシンの食欲を誘う 「上手くできたな。とりあえず火傷はきをつけてくれよ」 「分かってるって。あっつ」 「ほら言わんこっちゃない!あっち!」 笑い声が中庭に響き、その後も暫くの間話し声が聞こえていたが やがては夜の訪れと共にそれも聞こえなくなった
7 <a href="mailto:すれ">21/10/27(水)23:11:40</a> [すれ] No.860780394
>いいからもとのやつかけ >書いてくださいお願いします かきました
8 21/10/27(水)23:12:20 No.860780667
よくやった…
9 21/10/27(水)23:12:34 No.860780751
こういうのでいいんだよこういうので …でも銀杏並木が襲ってくるのもできればお願いします
10 21/10/27(水)23:13:47 No.860781200
そうそうこう言うのでいいんだよこういうので
11 21/10/27(水)23:13:55 No.860781264
素晴らしいぞ…
12 21/10/27(水)23:17:38 No.860782603
なんでこれからウーマイーターとかになるの…?
13 21/10/27(水)23:17:51 No.860782673
すばら…
14 21/10/27(水)23:19:56 No.860783402
凄く落ち着いた空気を感じて好きだよこういうの ……UEは何だったの?
15 21/10/27(水)23:22:16 No.860784226
すごくいい雰囲気だった…
16 21/10/27(水)23:22:30 No.860784317
寝る前に良いものを見た
17 21/10/27(水)23:24:16 No.860784964
普通にいいじゃん! なんだったのあれ…
18 21/10/27(水)23:25:02 No.860785221
いい…
19 21/10/27(水)23:25:48 No.860785482
懐かしいなぁ焚き火… 昔小学生の頃住んでたところが盆地でそこで何回かやったことあるのよ 杉の枯れ枝がいい具合によく燃えてなぁ… 美味しかったな…さつまいも…
20 <a href="mailto:すれ">21/10/27(水)23:31:41</a> [すれ] No.860787465
>なんでこれからウーマイーターとかになるの…? 俺の考えてる事だからな 気づいたらそうなっている事がよくある
21 21/10/27(水)23:32:49 No.860787851
あんたほどの人がそう言うなら…
22 21/10/27(水)23:35:01 No.860788589
いい雰囲気だ…焚火が消えたあとのほんのり暖かい空気いいよね…
23 21/10/27(水)23:35:58 No.860788938
どっちも好き! いや…真面目にいいもん見れたよありがとう
24 21/10/27(水)23:37:48 No.860789609
同じ書き出しだからすげードキッとした… 雰囲気から伝わるしっとりしたイチャイチャ感がいい
25 21/10/27(水)23:39:20 No.860790197
イモも良いけどにんじんも確かにおいしそうだ
26 21/10/27(水)23:42:22 No.860791323
スーパー怪異大戦してる方のタイトレはタイシンを愛バと言ったけどこっちのタイトレの方が言葉にしなくてもガチさを感じてなんかその違いが面白い
27 21/10/27(水)23:44:16 No.860792028
UEもこっちも書けるのがすげーよ…
28 21/10/27(水)23:45:36 No.860792478
秋の落ち葉焚きタイシン助かる
29 21/10/27(水)23:45:53 No.860792577
>なんでこれからウーマイーターとかになるの…? 何だ何だなんの話だ
30 21/10/27(水)23:46:19 No.860792723
>同じ書き出しだからすげードキッとした… 自分も一瞬第二波かと思った
31 21/10/27(水)23:47:31 No.860793123
>>なんでこれからウーマイーターとかになるの…? >何だ何だなんの話だ ちょっと前に同じ「」が書いたタイシン怪文書があってそれが本当に怪文書が怪文書してたから…
32 21/10/27(水)23:48:29 No.860793448
仲良くそろって火傷してかわいいなこいつら
33 21/10/27(水)23:50:30 No.860794189
一生燃え上がってそう
34 21/10/27(水)23:51:40 No.860794633
温度差で風邪ひきそうだけどどっちのテイストも好きだ
35 21/10/27(水)23:53:49 No.860795435
>仲良くそろって火傷してかわいいなこいつら お揃いの場所に絆創膏貼って少し嬉しくなるタイシンが見える…
36 21/10/27(水)23:54:27 No.860795637
>ちょっと前に同じ「」が書いたタイシン怪文書があってそれが本当に怪文書が怪文書してたから… なるほど…探しておく
37 21/10/27(水)23:56:34 No.860796323
タイシンだけじゃなくてタイトレも含めて守護りてぇ…
38 21/10/27(水)23:57:12 No.860796511
2人の会話もおにんじんも甘く仕上がってこれは…ありがたい
39 21/10/27(水)23:57:48 No.860796686
この二人なら一通り食べ終わったあと無言で灰を片付けてる時間も心地良くなりそう
40 21/10/27(水)23:59:08 No.860797134
寒さにじんわりと効くこの滲むような甘さがありがたい
41 21/10/28(木)00:00:42 No.860797647
見えないのに見えるんだよ 幸せなキスしてる2人の姿が
42 21/10/28(木)00:01:38 No.860797959
きちんと内容見る前にウーマイーター出てこないか流し読みしちゃった…
43 21/10/28(木)00:01:50 No.860798016
>見えないのに見えるんだよ >幸せなキスしてる2人の姿が 俺には珍しくタイトレから顎クイしてるのが見える
44 21/10/28(木)00:02:56 No.860798341
タイトレがちょい田舎出身なのなんかすげー分かる
45 21/10/28(木)00:03:22 No.860798472
キスよりも笑顔でおでこくっ付けあってるのが似合う
46 21/10/28(木)00:03:45 No.860798601
>きちんと内容見る前にウーマイーター出てこないか流し読みしちゃった… 思うんだけど物理攻撃よりこういうイチャイチャ見せつける方がウーマイーターさんも出てこれないんじゃないかなって
47 21/10/28(木)00:04:42 No.860798891
>>見えないのに見えるんだよ >>幸せなキスしてる2人の姿が >俺には珍しくタイトレから顎クイしてるのが見える 身長差のせいで恰好つけてもやっぱりどこか不格好になるキスいいよね
48 21/10/28(木)00:05:34 No.860799148
>>きちんと内容見る前にウーマイーター出てこないか流し読みしちゃった… >思うんだけど物理攻撃よりこういうイチャイチャ見せつける方がウーマイーターさんも出てこれないんじゃないかなって そういえば怪異ってえっちな話苦手って言うよな えっちじゃなくてイチャラブだけど
49 21/10/28(木)00:06:56 No.860799555
寒さを感じる情景のはずなのに暖かくなった…
50 21/10/28(木)00:07:38 No.860799786
>きちんと内容見る前にウーマイーター出てこないか流し読みしちゃった… 警戒しすぎだろ!でも自分も最後までどきどきしてた…
51 21/10/28(木)00:08:43 No.860800118
書いてくれって言ったけど本当にありがとう ありがとうハーブきめろ