ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/10/25(月)22:50:40 No.860137413
前回まで→fu465581.txt
1 21/10/25(月)22:51:12 No.860137613
2人目の語り手のセイウンスカイのトレーナーの語りが終わり、折り返しを迎える。 この3番手の語りで後半がどのような流れになるのかが決まることを、スペシャルウィークのトレーナーは無意識に感じ取っていた。 「さあ、次は3番目だ。3番、名乗りをあげろ!」 しんとカラオケボックスの部屋が静まり返る。誰も声をあげる様子がない。 「おい、キントレさんよぉー…アンタが3番目だろっ」 「ッ!?」 「隠しても無駄だぞ!さっさと前に行った行った!」 エルコンドルパサーのトレーナーに押され、キングヘイローのトレーナーが部屋の中央に立たされる。 「なあ、勘弁してくれ…俺はキングの事をそんな目で見てなんて…!」 「嘘ばっかりいうんじゃねーぜ!キングヘイローのあの素晴らしいプロポーションを見て何も思わない男なんていねーって!」 「その通りですよ、キングヘイローのあの美尻…」 言いかけたグラスワンダーのトレーナーの口を塞ぎ、その先をセイウンスカイのトレーナーが奪った。 「ま、いーじゃないですか。それに、ここで優勝して温泉行のチケットをプレゼントしてあげればいい罪滅ぼしでしょ?」
2 21/10/25(月)22:51:39 No.860137796
「う…分かったよ…ほんとに誰にも言わないでくれよ…。」 遂に観念したキントレは、ぽつり、ぽつりと語り始める。 俺たちトレーナーってのは知っての通り激務だ。特に、一線級の一流ウマ娘が担当ならなおさらってことだ。 常に深夜までトレーニングメニューの改善、次レースで走るコースの研究、キングヘイローの使う靴や蹄鉄が消耗してないか確認。やることなんて無限にある。 色々重なって遂に三徹を完遂した日は流石にグロッキーで、鏡で自分の顔を見るとゾンビかと思うくらいにげっそりしてた。 当然キングが気付かない訳もなく、第一声に「おばか!」のお叱りを受けてしまった。 『貴方、一流のウマ娘のトレーナーとしての自覚が足りないんじゃないの!?こんなに…もう、肌もがさがさだし髪もぼっさぼさじゃないの!』 『ごめん…。』 『貴方の事だからきっと私の為に働いていたのでしょうけど…こんなに自分を蔑ろにされてまで尽くされても嬉しくないわ。…もちろん、その努力は認めてあげるけど。』
3 21/10/25(月)22:51:53 No.860137883
厳しい声とは裏腹に、気遣うようにキングは俺の手をさすってくれた。極端に短い睡眠時間と不安定な食事のせいで副交感神経がぼろぼろの俺の指先は冷え切っていて、キングの手のひらから伝わるほのかな熱が身に染みる様だった。 その時になって初めて気づいたんだが…。 『…キングの指、綺麗だなぁ…。』 『えっ?』 『あっ。』 不意に口をついた。いや、余りにも疲れ切った脳が思考を留めることが出来ず、つい口に漏れ出してしまったという方が正しい。 でも、本当に綺麗だったんだ。すらりと伸びた長い指が真っ白な肌に覆われて、小さいながらもしっかりとした輪郭をたたえている。 指の感触は柔らかく、まるで絹みたいな上等な布に包まれているみたいだった。 『あ、えっと…いや!変な意味じゃなくて!キングは指以外も綺麗だし素敵だけど!!』 『お…おばか!おばかっ!もう!せっかく心配してあげたのに!!』
4 21/10/25(月)22:52:10 No.860138011
うっかりとした失言のせいで、一日中キングは顔を合わせてくれなかった。 でも、あの日から俺はずっとキングの手に魅了されてしまったんだ。 走るときの握りしめた目。食事をする時のお箸を持つ手。キングコールをする時の顔に添えられる手。 気付けばずーっとキングの手を目で追ってしまっていた。 俺は…ついに自分の中の衝動を抑えられなくなってしまった。 ある日のトレーニング、いつも通りランニングを終えたキングに水分を持っていく。 『キング、お疲れ様。水分持ってきたぞ。』 『ええ、ありがと。…って、なにこれ?』 『あー、えっと…すまん。近くのお店がどこもスポーツドリンクが売り切れていたから、残っていた粉末タイプを買ってきたんだ。』
5 21/10/25(月)22:52:33 No.860138171
もちろん、トレセン学園の周りの店でスポーツドリンクが売り切れるなんてことは絶対に起こらないことは俺自身がよく知っている。流石にキングも一瞬不審な顔をしたが、それもすぐに戻った。 『そう…それじゃあ仕方ないわね。…って、これ水に溶かすタイプだからこの粉だけじゃどうしようもないじゃない!』 『あ、それは大丈夫。水はちゃんとある。』 そうして取り出したのは、水の入った水筒だった。ただし、アスリートが使うようなものではなく、すかしたOLなんかが持ち歩く細くてちっちゃい水筒だった。多分、満タンに満たしても500mlも入らないであろうサイズだ。 『えぇ…嘘でしょう?ぜんぜん足りないわよ…。』 『すまん、直ぐに他の店に買いに行ってくるからとりあえずはこれで済ましてくれないか。』 『はぁ…分かったわよ。』 小さい水筒の蓋を開け、さらさらとスポーツドリンクの粉末を入れていく。お目当ての光景が見れると思うと、俺はその瞬間までじっとキングの動きを見ていた。 蓋を締め直し、水筒の中ほどを持ち直す。そして───攪拌の為に水筒を上下にしゃかしゃかと振り始めた。
6 21/10/25(月)22:53:09 No.860138387
本当に最低な話だが…俺はその瞬間、水筒を愚息に見立ててキングに手で扱いてもらう妄想をしてしまったんだ。 (うっ…キングの指…手…綺麗だっ…!) しゃこしゃこ、ちゃぷちゃぷと水音がより一層妄想を激しく淫靡な方向に向かわせる。俺の愚息は既にかなり漲り、くらくらとした興奮を覚えていた。 あらかた混ざったところで、キングは水筒を振るのをやめた。だが、俺は全然がっかりしてなかった。むしろここからが本番だと思ったくらいだ。 『はぁ…やっと飲める…。んっ…。』 ランニング終わりの乾いた喉に一刻も早く水を流し込みたい。普通の子ならなりふり構わずぐびぐびと飲んでしまう所だろうが、キングは決して些末な所作にも手を抜かないことは俺が一番よく理解していた。 乱れた髪を手でたくし上げ、流れる様な美しいフォームで口に水筒を近づける。
7 21/10/25(月)22:53:39 No.860138593
ぷるぷるとした唇が飲み口につぷ、とくっつくと、目を閉じて静かに飲み込み始めた。 『んくっ…んくっ…ふはぁ、んっ…んくっ…』 時折呼吸の為に口を離し、一息入れて再び飲み始める。その光景は、脳内での欲望に任せた編集によって口で優しく奉仕するキングとなって網膜に移りこんだ。 先端を唇で撫でられながら、先から漏れ出た汁を静かに飲み下すキングは最高にかわいかったんだ。 『…貴方、他の店に買いに行くんじゃなかったの?』 『…えっ?あ、はっ!す、すまん!キングに見惚れてて…!』 消して嘘ではなかった最後の一言はキングにとって余計な一言だったらしく、「おばかー!」の声を背に受けながらスポーツドリンクを買いに行った。…その時にコンビニで我慢できずに抜いてしまったけど。
8 21/10/25(月)22:54:00 No.860138728
キントレの語りが終わる。皆が聞き入っていた。 「…てか、終始お前らいちゃついてんな!?」 スぺトレがエルトレに手を向け発言を制止させる。 「うむ、なかなかの話だった。それじゃあ投票の時間だ。」 グラトレとセイトレ、さらにエルトレの手が挙がる。 「いや~羨ましいですね…うっかり甘勃起してしまいましたよ。」 「マジでその報告は要らないと思うよ。でも俺も興奮しちゃいました。」 「うん、参ったぜ…ってか、スぺトレは?」 唯一手を上げなかったスぺトレが、口を開く。 「…俺は手よりおっぱい派だからな。」 (知らねーよ…) 『キントレ…3点!(ただの惚気か?)』
9 21/10/25(月)22:58:50 No.860140778
一家言ある奴らしかいねーのか黄金世代!
10 21/10/25(月)23:06:53 No.860144350
こまった…ちょっとかてない